次世代カーの普及―課題と解決策―
金融システム研究室 指導教員 飯島高雄
08175107 平野太郎 1.はじめに
現在、地球規模でCO2などによる環境問題が
取り上げられている。異常気象、地球温暖化など 全地球規模の環境の変化が顕著になってくるに つれ、人々の環境問題に対する関心は徐々に高 まってきている。そのような状況で、環境汚染の 原因のひとつとされている自動車も、より環境 に配慮した次世代カーへと徐々に移行しつつあ る。
自動車による環境への影響としては排気ガス の問題をはじめ、走行による騒音などの問題な どが挙げられる。しかし、我々の移動手段として 自動車は必要不可欠であり、これらを排除でき ない状況にある。近年、環境問題の改善のための 有効な手段として、環境負荷が小さい様々な次 世代カーが登場しており、現在自動車は大きな 転換期を迎えている。そこで本研究では、次世代 カーの普及に向けての様々な問題点を検討し、 その解決策を考察する。
2.自動車が環境に与える影響
21世紀に入ると、BRICsを代表格として経済 発展の離陸に成功した新興国が増加した。これ らの国々では経済発展の結果、国民の中間層も 車を買えるようになった。そのため、近年世界の 自動車の保有台数が飛躍的に伸びている。 それに伴い、自動車の走行中に排出する排気ガ スも増加している。これにより、移動発生源とし て大気汚染の一因となっており、人体に様々な 悪影響を与えることがわかっている
地球資源的観点からみると、現在のところ石 油の枯渇をさほど心配する必要はない。しかし、 低燃費車の増加は石油需要を減少させるため、 その結果、原油価格が下落し、合成樹脂をはじめ、 様々な製品の原料として幅広く使用することが できるようになる。
さらに、プラグイン・ハイブリッドカーや電 気自動車の場合、使用の少ない夜間に主に充電 するため、夜間電力の活用により電力の平準化 に役立ち、日中の新たな消費を生むことができ る。また、現在の一般的なガソリン車に比べ騒音
公害も大幅に抑えることができる。また、省エネ
に加えて、自動車からの排気や排熱を削減でき ることから、ヒートアイランド現象の抑止にも つながる。
3.次世代カーの特徴
CO2の排出が非常に少ないという点が次世代
カーの利点である。それに伴い燃費が非常によ く、電気自動車の場合、電気を使用し走行するた め、ランニングコストを大幅に抑えることがで きる。ハイブリッドカーは販売台数の台数は
100万台を超えており、近年大幅に普及してい
るが、電気自動車は全体の0.02%にも満たない。 しかし、インターネットによるアンケート調査 では今後購入したい自動車の種類において、ハ イ ブ リ ッ ド カ ー の 44.3%、 電 気 自 動 車 は
17.4%と買い替えの際に、購入対象となってき
ている。
4.普及への課題と解決方法
近年、ハイブリッドカーとほぼ同等の低燃費 ガソリン車が安価な価格で販売された。ハイブ リッドカーは、さらなる燃費の向上と低価格化 が望まれる。電気自動車の場合、急速充電所など のインフラの整備がまだ十分とは言えない。巡
航距離は約160km程度に過ぎないため、現在
はまだ遠出には向いているとは言えない。また 価格も高価であるため、今後は巡航距離の向上、 低価格化といった企業努力のほか、自治体など が中心となった急速充電所などのインフラ設備 の充実が、電気自動車の今後の普及に重要であ るといえよう。
5.おわりに
今回の研究で、ハイブリッドカーの販売台数 は飛躍的に伸びているが、電気自動車はまだ一 般に普及するには至っていないことがわかった。 電気自動車の普及への大きな障壁となっている のが、充電施設などのインフラの整備の問題で
ある。今後、政府や自治体が中心となり、インフ