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素粒子に関する発見 ①
https://sites.google.com/site/hakkennorekishibutsurigaku/
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“素”粒子ってなんでしょう?
(elementary particle)
物質の構造を分子・原子・原子核と分けて階層的に見たとき、 原子核の次にくる粒子をいう。
相互転化を基本的特徴とする。
個々には質量・電荷・スピンなどの量子数で指定され、 ハドロン族・レプトン族・ゲージ粒子族に大別。
(広辞苑第5版) (elementary particle)
物質の構造を分子・原子・原子核と分けて階層的に見たとき、 原子核の次にくる粒子をいう。
相互転化を基本的特徴とする。
個々には質量・電荷・スピンなどの量子数で指定され、 ハドロン族・レプトン族・ゲージ粒子族に大別。
(広辞苑第5版)
素粒子
とかかれていますが、ここでは 『物質の“素”となる粒子』
『それ以上分解できない粒子』 (例:素数)
3
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物質の階層構造
太陽系の大きさ 約60億km 太陽系の大きさ 約60億km
太陽系の
~ 1万分の1 太陽の大きさ 約70万km 太陽の大きさ 約70万km
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自然の階層構造
分子
電子
原子核
陽子
中性子
クォーク
10
-10m
原子10
-9m
10
-14m
10
-15m
ナノメートル
Å(オングストローム)
10
-18m
原子の大きさ 10-10 m 原子核の大きさ 10-14 m
~ 1万分の1
原子の大きさ 10-10 m 原子核の大きさ 10-14 m
~ 1万分の1
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原子核が人の大きさ程度とすると
原子: 山形市 (~20 km) 原子核: バランスボール (1 m)
陽子・中性子: ソフトボール (10 cm)
電子・クォーク: 花粉以下 (< 0.1 mm)
原子核が人の大きさ程度とすると
原子: 山形市 (~20 km) 原子核: バランスボール (1 m)
陽子・中性子: ソフトボール (10 cm)
電子・クォーク: 花粉以下 (< 0.1 mm)
原子の大きさ 原子の大きさ
原子核の大きさ 原子核の大きさ
クォークの大きさ クォークの大きさ 陽子の大きさ
陽子の大きさ
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基本粒子
力を伝える粒子 力を伝える粒子 陽子・中性子を作る粒子
陽子・中性子を作る粒子
質量を生み出す粒子(神の粒子)
質量を生み出す粒子(神の粒子) もしかしたら 2012年に・・・
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素粒子年表
クォークの不思議
R・M・バーネット、H・ミューリー、H・R・クイン (守谷 昌代 訳)
20世紀は
『素粒子物理学』の世紀 20世紀は
『素粒子物理学』の世紀
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ノーベル物理学賞に見る『素粒子』の発見
1935年 ジェームズ・チャドウィック 中性子の発見
1935年 ジェームズ・チャドウィック 中性子の発見
1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見 1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見 1936年
ビクター・ヘス 宇宙線の発見
カール・デイヴィット・アンダーソン 陽電子の発見 1936年
ビクター・ヘス 宇宙線の発見
カール・デイヴィット・アンダーソン 陽電子の発見
1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン 反陽子の発見
1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン
反陽子の発見 1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン ジェイプサイ中間子の発見
1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン ジェイプサイ中間子の発見
1984年 カルロ・ルビア、シモン・ファンデメール
弱い相互作用を媒介する場の粒子(ウィークボゾン)の発見を導いた 巨大プロジェクトへの貢献
1984年 カルロ・ルビア、シモン・ファンデメール
弱い相互作用を媒介する場の粒子(ウィークボゾン)の発見を導いた 巨大プロジェクトへの貢献
1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー
ニュートリノビーム法、およびミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証 1988年 レオン・レーダーマン、メルヴィン・シュワルツ、ジャック・シュタインバーガー
ニュートリノビーム法、およびミューニュートリノの発見によるレプトンの二重構造の実証
1995年
マーチン・パール レプトン物理学の先駆的実験(タウ粒子の発見) フレデリック・ライネス レプトン物理学の先駆的実験(ニュートリノの検出) 1995年
マーチン・パール レプトン物理学の先駆的実験(タウ粒子の発見) フレデリック・ライネス レプトン物理学の先駆的実験(ニュートリノの検出)
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1936年 ビクター・ヘス 宇宙線の発見
1936年 ビクター・ヘス 宇宙線の発見
1902年
ヘス達は気球を利用して、
高度と放射線強度の関係をしらべた 1902年
ヘス達は気球を利用して、
高度と放射線強度の関係をしらべた
放射線で放電が誘発 放射線で放電が誘発
Q
放射線−Q
高度と共に放射線強度も上昇→ 宇宙から降り注ぐ放射線
→ 宇宙線
宇宙線の発見
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霧箱霧箱
1927年 チャールズ・ウィルソン
蒸気の凝縮により荷電粒子の飛跡を 観察できるようにする方法(霧箱)の研究 1927年 チャールズ・ウィルソン
蒸気の凝縮により荷電粒子の飛跡を 観察できるようにする方法(霧箱)の研究
1936年 カール・デイヴィット・アンダーソン 陽電子の発見
1936年 カール・デイヴィット・アンダーソン 陽電子の発見
鉛の板鉛の板
宇宙線宇宙線
粒子は鉛の板で減速
→ 磁場で大きく曲げられる
→ 宇宙線の入射方向
→ 宇宙線の電荷が決まる
電子 陽電子 1932年 霧箱での宇宙線観測中に陽電子を発見
陽電子の発見
磁場磁場
磁場磁場
電子と同程度の質量で、
正電荷を持つ粒子 陽電子 電子と同程度の質量で、
正電荷を持つ粒子 陽電子
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粒子と反粒子: 電子と正孔
自由電子
正孔
+V
−V −V +V
電子と逆負号の電荷をもつ正孔が 電流方向に移動するように見える
電子を取り出す
電圧をかける 電圧をかける
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電子と正孔: 粒子と反粒子
正孔
光(電磁波)が
電子
電子と正孔を作り出す
正孔
電子
正孔と衝突 → 消滅 光(電磁波)を作る 電子と正孔の
対生成
電子と正孔の
対生成
電子と正孔の
対消滅
電子と正孔の
対消滅
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ディラックの海
1933年 エルヴィン・シュレディンガー、ポール・ディラック
新形式の原子理論の発見
1933年 エルヴィン・シュレディンガー、ポール・ディラック
新形式の原子理論の発見
すべての粒子には 『反粒子』が存在 電子 → 陽電子
陽子 → 反陽子
クォーク → 反クォーク E
0
E 粒子 0
反粒子
・ 負のエネルギーが存在
・ 負のエネルギーはすべて粒子で埋められている
1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン
反陽子の発見
1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン
反陽子の発見
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粒子と反粒子の生成・消滅
粒子が反粒子と出会うと消滅
粒子と反粒子のエネルギーが光となって放出 十分なエネルギーを持つ光は
粒子と反粒子の対を生成する
対生成
対消滅
粒子・反粒子の 対生成、対消滅 素粒子の特徴的な性質の1つ 粒
子 E
0
反粒子
粒 子 E
0
反粒子
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22
Naからの放射線
「コンセンサス 原子力2010」より
22Naはβ+線を放出
β線 = 電子 β線 = 電子
β線 = 陽電子 β線 = 陽電子
22Na
β+線
電子と衝突
光(ガンマ線)を
2個
放出→ 電子・陽電子が消 滅
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粒子と反粒子の『対消滅』
E = m c 2
エネルギー 質量 光速
質量とエネルギーの等価式
22Naはβ+線を放出
陽電子 + 電子 → 2×ガンマ線
どちらも同じ質量 (陽)電子質量と等価な エネルギー
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22
Naから放出されるガンマ線のエネルギー
(陽)電子の質量に対応する エネルギーピーク
(陽)電子の質量に対応する エネルギーピーク
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身の周りの反物質
PET: ポジトロン断層法
写真はWikipediaより
陽電子
ガンマ線検出器
ガンマ線発生場所 電子の場所を特定
電子
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シュレディンガーの猫
脇道にはずれているわけでもないけれど、ちょっと脇道にはずれて
ボーアの量子仮説 → 電子は原子軌道状で定在波を取る ボーアの量子仮説 → 電子は原子軌道状で定在波を取る
粒子は『波』の性質を持つ 粒子の運動を『波動関数』をつかって記述
波を粒子の『粗密波』と考える・・・
波の振幅の大きなところに、粒子が存在する『確率』が大きい 波の振幅の大きなところに、粒子が存在する『確率』が大きい
粒子は『粒子』
1つのものが同時に複数の場所には存在できない 1933年 エルヴィン・シュレディンガー、ポール・ディラック
新形式の原子理論の発見
1933年 エルヴィン・シュレディンガー、ポール・ディラック
新形式の原子理論の発見
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粒子の運動: シュレディンガー方程式
時間の流れ
位置
x , t
粒子の波動関数が従う、運動方程式を発見
シュレディンガー方程式
シュレディンガー方程式
i ℏ ∂
∂t ψ(⃗r , t)= ( −
ℏ
22 m Δ+V (⃗r ) ⃗ ) ψ(⃗r , t)
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シュレディンガーの猫
波動関数は 粒子がある『状態』をとる確率を決めるだけ。
→ もっとも起こり易い『状態』を予想できる 実際に 粒子がどういう『状態』にあるか?
→ 観測して初めて分かる 電子のスピン
外部磁場がない場合、上向き、下向きどちらも同じ確率で起き得る
or
50% 50%
測定
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シュレディンガーの猫
猫は
生きている 死んでいる
の2つの状態を取り得る 箱の中に入っている猫
どちらの状態をとっているか不明
箱を開ける
猫の生死は判明
量子論的には
『箱の中に入っている猫は 50% 生きていて、50%死んでいる 状態』 と考える。
観測時にすべての可能な『状態』から、ある1つの状態が選び出される
※ 波動関数に従う、確率論的な振る舞い
『神はサイコロを振らない』 (アインシュタイン・反量子論陣営)
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不確定性関係
1932年 ヴェルナー・ハイゼンベルク
量子力学の創始ならびにその応用、特に同素異形の水素の発見
1932年 ヴェルナー・ハイゼンベルク
量子力学の創始ならびにその応用、特に同素異形の水素の発見
Δ x Δ p≥ ℏ
2
物体の『位置』を知りたい場合
『光』を当てて反射を見る 同時に物体は『反跳』する
→ 『運動量』が変化する 位置を測定すると、運動量が変化する
二つの『量』を『同時』に『正確』に求める事は出来ない それらの『不確定性』の関係は
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素粒子年表
クォークの不思議
R・M・バーネット、H・ミューリー、H・R・クイン (守谷 昌代 訳)
20世紀は
『素粒子物理学』の世紀
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中間子の発見
1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見
1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見
1947年
アンデス山脈の高地で
宇宙線にさらされた写真乾板による発見
ノーベル物理学賞 受賞講演論文より抜粋
π
−π − → μ − + ̄ν μ
→ e − + ̄ν e +ν μ + ̄ν μ
パイ中間子の崩壊 パイ中間子の崩壊
1949年 湯川秀樹
核力の理論的研究による中間子の存在の予言
1949年 湯川秀樹
核力の理論的研究による中間子の存在の予言
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1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン 反陽子の発見
1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン 反陽子の発見
ベバトロン (Bevatron) @ローレンス・バークレー国立研究所 ベバトロン (Bevatron) @ローレンス・バークレー国立研究所
反陽子の発見
k →M →G →T →P →・・・ 103→106 →109 →1012 →1015 →・・・
B
BeV (ベブ) と呼ばれた時があった・・・・
109電子ボルトの加速器 → ベバトロン
http://www.wired.com/images_blogs/wiredscience/2009/07/bevatron_1a.jpg
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反陽子のとらえ方
磁石で負電荷の粒子を選択
→ 運動量(質量×速度: 運動の勢い)も選択 S1とS2の間を通り抜ける粒子を測定
→ 陽子の質量 → 反陽子の速度 → 51 ns
→ 他の中間子は約40nsで通り抜ける
他の粒子
反陽子
3万個の他の粒子に対して 1個の反陽子を同定
3万個の他の粒子に対して 1個の反陽子を同定
反陽子の発見
C2で速度が想定どおりかチェレンコフ検出器で確認
40 ns
51 ns
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1954年 ワルサー・ボルテ
コインシデンス法による原子核反応とガンマ線に関する研究 1954年 ワルサー・ボルテ
コインシデンス法による原子核反応とガンマ線に関する研究
同時計測による飛行時間測定
・ 51 ns 遅らせたS1の信号
・ S2の信号
1958年 パーヴェル・チェレンコフ、イリヤ・フランク、イゴール・タム
チェレンコフ効果の発見とその解釈
1958年 パーヴェル・チェレンコフ、イリヤ・フランク、イゴール・タム
チェレンコフ効果の発見とその解釈
チェレンコフ検出器による速度測定
反陽子の発見
1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン 反陽子の発見1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン 反陽子の発見
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1935年 ジェームス・チャドウィック 中性子の発見
1935年 ジェームス・チャドウィック 中性子の発見
素粒子は
電子(+陽電子)
陽子(+反陽子)・中性子 + 中間子 1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見 1950年 セシル・パウエル
写真による原子核崩壊過程の研究方法の開発および諸中間子の発見 1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン
反陽子の発見
1959年 エミリオ・セグレ、オーウェン・チェンバレン 反陽子の発見