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素粒子に関する発見 ②
https://sites.google.com/site/hakkennorekishibutsurigaku/
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G.D.Rochester and C.C.Butler, Nature 160, 855 (1947)
霧箱
鉛の板
『奇妙な粒子』の発見(1947年)
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1946年奇妙な粒子の発見 K中間子の発見につづき、 たくさんの
メソン(中間子)
バリオン(陽子の仲間) が発見された
反陽子の発見
ジェイ・プサイ粒子の発見
K
f
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ハドロン(族)の発見
発見された多数の素粒子を分類すると
ハドロン (強粒子)
p
, n
0
0
,
0,
−
0,
−・ バリオン数 1
・ スピン ½
・ 強い相互作用で崩壊しない
・ 質量が同程度
バリオン(重粒子) 8重項
,
0,
−
0K
, K
0K
0, K
−・ バリオン数 0
・ スピン 0
・ 強い相互作用で崩壊しない
・ 他のハドロンより軽い メソン (中間子) 8重項
バリオン(重粒子) 10重項 メソン (中間子) 9重項
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クォークの発見
1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見 1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見
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ハドロン (強粒子)
バリオン(重粒子) メソン(中間子)
q q
q
q q
クォーク3個 クォークと反クォーク 1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見 1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見
クォークとハドロン
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陽子 u u d 中性子 u d d
u u u
−
u u d u d d d d d
0 u d s
反陽子 u u d
0 u d s
− d d s
u u s
ハドロン (強粒子)
バリオン(重粒子) メソン(中間子) クォーク3個
クォーク3個 クォークと反クォーククォークと反クォーク
反バリオン(重粒子)
反クォーク3個 反クォーク3個
u d
− d u
0 u u d d
K− s u
K u s K0 d s K0 s d
0 u u d d s s
クォークの電荷 電荷 +2/3 電荷 -1/3
クォークとハドロン
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p=2.792847356±0.000000023 N n=−1.9130427±0.0000005 N
N= e 2m
p
=3.1524512326 45×10−14 MeV/T 核磁子(Nuclear magneton)
陽子のスピン
p= 4
3
u−
1
3
d
n=
4
3
d−
1
3
u
p
n=−
3
2
実験結果は
−1.46 ....
クォークと核子の磁気能率
u u d u u d d d u d d u
中性子のスピン
u ⇔ d
mu=md eu=−2 ed
u=−2
dスピンスピン
磁気モーメント
磁気モーメント クォークの電荷を考慮すると・・・
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Δバリオン
→ 同じスピンのアップクォークは禁止
→ 別の自由度が必要: 3成分必要
→ 同じスピンのアップクォークは禁止
→ 別の自由度が必要: 3成分必要
u
u u
Δ++バリオンは
アップクォーク3個で出来ている
パウリの排他原理 パウリの排他原理
Δバリオンのスピン Δバリオンのスピン
クォークはすべて上向き
3
2 =+
1
2 +
1
2 +
1
2
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クォークは 赤(R)、青(B)、緑(G) のカラー(色電荷)を一つ持つ 反クォークは補色(反色):反赤(R)、反青(B)、反緑(G) を持つ ハドロンは、白色となるようなカラーの組み合わせをとる
R B G
バリオンバリオン
R B G
反バリオン
反バリオン 中間子中間子
R R B B
G G
クォークのカラー自由度
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クォーク間の力: 強い力とグルーオン
電磁力電磁力 無限遠 核力核力
弱い力弱い力
重力重力
~ 10-15 m
~ 10-18 m
無限遠
光子
力の種類 到達距離 『中間子』 質量 0
パイ中間子 陽子の0.15倍
W・Z粒子
(重力子)
陽子の約90倍
0
1947年 発見
1948年 人工的に生成 1947年 発見
1948年 人工的に生成
強い力強い力 無限遠 グルーオン 0
クォークを結びつけ、陽子・中性子を作る力
ベータ崩壊を引き起こす力
『力を伝える粒子』
『力を伝える粒子』
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クォーク間の力: 強い力
強い力の性質
遠く離れれば離れるほど 力が強くなる
近づくほど弱くなる
→ 漸近的自由性
2004年 デヴィッド・グロス、H・デヴィッド・ポリツァー、フランク・ウィルチェック 強い相互作用の理論における漸近的自由性の発見
2004年 デヴィッド・グロス、H・デヴィッド・ポリツァー、フランク・ウィルチェック 強い相互作用の理論における漸近的自由性の発見
※ 電磁気力:遠距離では力は弱くなる、近づくほど強くなる
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高エネルギー粒子の『衝突』・『散乱』
だるま落としの特徴
・ 十分勢いをつけて
・ コマの1つだけを打ち抜くと
・ 他のコマはそのままで、打ち出される
・ 上のコマはだるまを倒さずに
・ 下にずれる
強くたたくと、コマはお互いに『自由』に振る舞う
?漸近的自由性?
?漸近的自由性?
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陽子の内部を探る:
電子とクォークの『衝突』と『散乱』散乱された電子を詳しく調べる事で、 陽子の中に
『何個のクォーク』
が入っているか分かる
散乱された電子を詳しく調べる事で、 陽子の中に
『何個のクォーク』
が入っているか分かる
『ビリヤード』+『だるま落とし』
『ビリヤード』+『だるま落とし』
陽子
散乱された粒子
当たらないと素通り 加速された粒子
例) 電子
陽子の中のクォーク
陽子の中を探る実験 陽子の中を探る実験
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陽子の中にあるクォークの数
『陽子の中に粒子が3個ある』
『陽子の中に粒子が3個ある』
1990年ジェローム・アイザック・フリードマン、ヘンリー・ケンドール、リチャード・E・テイラー
素粒子物理学におけるクォーク模型の決定的重要性をもった、
陽子および中性子標的による電子の深非弾性散乱に関する先駆的研究 1990年ジェローム・アイザック・フリードマン、ヘンリー・ケンドール、リチャード・E・テイラー
素粒子物理学におけるクォーク模型の決定的重要性をもった、
陽子および中性子標的による電子の深非弾性散乱に関する先駆的研究
1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見 1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見
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グルーオンとクォークの対生成
強い力= バネ(グルーオン: 膠粒子・のり粒子) 強い力= バネ(グルーオン: 膠粒子・のり粒子)
クォーク クォーク
グルーオン
クォークを引き離すと 引力がどんどん強くなる エネルギーがたまって
クォーク・反クォーク対が 沢山生成される。
クォーク
反クォーク
陽子の中でもクォーク・反クォーク対が沢山生成されている!!
陽子の中でもクォーク・反クォーク対が沢山生成されている!!
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陽子の内部では
u
u
グルーオン輻射によるクォーク対生成
クォーク・反クォーク(クォーク対) が対生成される
海クォークの生成
u
10 -15 fm
u
u u
d
クォーク同士が近い時はほとんど自由粒子として振る舞う。 遠くに離れると強く引き合い、陽子内に束縛される。
* 制動放射
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陽子はクォークスープのコップ?
陽子は大きさが 10-15 m のコップで、 中はクォーク・反クォーク・グルーオン で出来たスープで満たされている。 陽子は大きさが 10-15 m のコップで、 中はクォーク・反クォーク・グルーオン で出来たスープで満たされている。
陽子の物理的性質を決める 3つの『価クォーク』が
スープの上に浮かんでいる 陽子の物理的性質を決める 3つの『価クォーク』が
スープの上に浮かんでいる
1990年ジェローム・アイザック・フリードマン、ヘンリー・ケンドール、リチャード・E・テイラー
素粒子物理学におけるクォーク模型の決定的重要性をもった、
陽子および中性子標的による電子の深非弾性散乱に関する先駆的研究 1990年ジェローム・アイザック・フリードマン、ヘンリー・ケンドール、リチャード・E・テイラー
素粒子物理学におけるクォーク模型の決定的重要性をもった、
陽子および中性子標的による電子の深非弾性散乱に関する先駆的研究
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DESY-HERMES実験(1995 ~ 2007)
電子ビーム
電子ビーム 各種放射線検出器の組み合わせで
散乱された電子を検出 エネルギー
散乱方向 を調べる
各種放射線検出器の組み合わせで 散乱された電子を検出
エネルギー 散乱方向 を調べる
電子と陽子内のクォークとの衝突・散乱 電子と陽子内のクォークとの衝突・散乱
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HERMES実験検出器
陽子の内部を探る実験としては 小・中規模の実験です
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CERN-COMPASS実験
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クォークはいくつあるのか?
3世代-6種類の模型は
日本人によって予想されていた
3世代-6種類の模型は
日本人によって予想されていた
核子+『奇妙な粒子』
アップ、ダウン、ストレンジ の3個で十分
核子+『奇妙な粒子』
アップ、ダウン、ストレンジ の3個で十分
現在は6種類
“見つかっている” 現在は6種類
“見つかっている”
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2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見 2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見 1980年 ジェムス・クローニン、ヴァル・フィッチ
中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見 1980年 ジェムス・クローニン、ヴァル・フィッチ
中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見
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対称性
回転の元での対称性 回転の元での対称性
形が変化 → 非対称 形が変化 → 非対称
円ならば・・・
同じ → 対称 同じ → 対称
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物理学における対称性の意味
1963年 ユージン・ウィグナー
原子核および素粒子に関する理論への貢献、 特に対称性の基本原理の発見とその応用
1963年 ユージン・ウィグナー
原子核および素粒子に関する理論への貢献、 特に対称性の基本原理の発見とその応用
運動法則は 位置・時間
が違うと、変化するのか? 運動法則は
位置・時間
が違うと、変化するのか?
エミー・ネーター ネーターの定理 エミー・ネーター ネーターの定理
対称性⇔保存量
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対称性と保存量: 時間並進対称性
例えばボールを投げ上げる 今日の運動と
昨日の運動 一年前の運動 100年前の運動
そして、明日・・・・と続く未来での運動
ボールの動き方=『運動の法則』はいつでも同じ
ボールの動き方=『運動の法則』はいつでも同じ
『対称』 『対称』
いつでも同じ(=不変)である
→ なにか対応する『不変』な量 (保存量) の存在を意味している
時間並進対称性 → エネルギー保存
時間並進対称性 → エネルギー保存
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色々な対称性
C P
T
空間反転対称性
時間反転対称性 粒子・反粒子対称性
電磁相互作用・強い力 C・P・T
それぞれ変換をしても 物理法則は成り立つ
CPTの変換の変換の下、 物理法則は変化しない
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パリティ対称性の破れ
1957年 ヤン・チェンニン、リー・ツンダオ
「パリティ対称性の破れ」
1957年 ヤン・チェンニン、リー・ツンダオ
「パリティ対称性の破れ」
空間反転対称性 空間反転対称性
鏡の『外』と『中』で、運動法則が異なる場合がある
鏡
ボールを斜め上に投げる ボールを斜め上に投げる
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パリティ
鏡の世界で運動法則がちがっていると・・・
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呉(ウー)による実験 1957年
27
60
Co
6028Ni
∗e
−
e27
60 Co
e −
電子は
Coのスピンの向きと
逆方向に多く放出される
⃗ B
コバルトを磁場中に置く
⃗ S
磁場の向きにスピンが揃う
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27
60Co 6028Ni∗e− e 呉(ウー)による実験
27 60Co
S
e−
電子は
Coのスピンの向きと 逆方向に多く出る
P : r −r
27 60Co
P : S S
S
27 60Co
S
e−
ベータ崩壊におけるパリティの破れ
パリティ変換の下では
P : p −p
e−
電子の放出方向は 逆になる
パリティ変換の下で
『不変』であるには... e−
e−
電子は上下同等に 放出されるべき
ベータ崩壊では
パリティ保存則が破れている
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ブルックヘブン国立研究所 (BNL)
http://www.bnl.gov/bnlweb/history/images/AGS-5-141-57-sm.jpg
1980年 ジェムス・クローニン、ヴァル・フィッチ
中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見 1980年 ジェムス・クローニン、ヴァル・フィッチ
中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見
CP対称性の破れの発見
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KL0 −
K0Lall charged mode=2.0±0.4×10−8
1980年 ジェムス・クローニン、ヴァル・フィッチ
中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見 1980年 ジェムス・クローニン、ヴァル・フィッチ
中性K中間子崩壊におけるCP対称性の破れの発見
http://www.bnl.gov/bnlweb/history/images/AGS-5-141-57-sm.jpg
弱い相互作用でのCP変換での対称性の破れ
弱い相互作用でのCP変換での対称性の破れ
CPT変換では対称 CPT変換では対称
時間反転の対称性の破れ
時間反転の対称性の破れ
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時間反転対称性の破れと宇宙の進化
物質と反物質 が存在
物質と反物質 が存在
物質優勢の世界に 物質優勢の世界に
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クォークが3世代・6種類がある
2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見 2008年 南部陽一郎、小林誠、益川敏英
クォーク3世代を予言した、「対称性の破れ」の起源の発見 CP対称性の破れ
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1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見 1969年 マレー・ゲルマン
素粒子の分類およびその相互作用に関する発見
クォーク探し
陽子 u u d 中性子 u d d
u u u
−
u u d u d d d d d
0 u d s
反陽子 u u d
0 u d s
− d d s
u u s
クォークの電荷 電荷 +2/3 電荷 -1/3
ハドロン (強粒子)
バリオン(重粒子)クォーク3個 メソン(中間子)クォークと反クォーク
反バリオン(重粒子)反クォーク3個
u d
− d u
0 u u d d
K− s u
K u s K0 d s K0 s d
0 u u d d s s
残 りの3つのクォークは?
残 りの3つのクォークは?
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スタンフォード線形加速器センター (SLAC)
ブルックヘブン国立研究所 (BNL)
1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン ジェイプサイ中間子の発見
1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン ジェイプサイ中間子の発見
ジェイ・プサイ粒子の発見
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SLAC: バートン・リヒター BNL: サミュエル・ティン
e++e−→ J / ψ → hadrons pBe J / X ee− X
J. -E. Augustin et al.,
Phys. Rev. Lett. 33, 1406–1408
J. J. Auber et al,
Phys. Rev. Lett. 33, 1404–1406
1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン ジェイプサイ中間子の発見
1976年 バートン・リヒター、サミュエル・ティン ジェイプサイ中間子の発見
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SLAC: バートン・リヒター
e++e−→ J / ψ→ hadrons
電子電子
陽電子陽電子
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SLAC: バートン・リヒター e++e−→ J / ψ → hadrons
粒子の崩壊する様子から
Ψ 中間子
の名前がついたとかつかないとか
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ジェイ・プサイ粒子 (チャーモニウム)
c c e
e−
c
c J /
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フェルミ国立加速器研究所 (FNAL)
ボトムクォークとトップクォークの発見 フェルミ国立加速器研究所
ボトムクォークとトップクォークの発見 フェルミ国立加速器研究所
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ϒメソンの発見:ボトムクォーク・ボトニウム
(1977、レオン=レーダーマン@FNAL)
ϒメソンの発見:ボトムクォーク・ボトニウム
(1977、レオン=レーダーマン@FNAL)
p A X − X
S. W. Herb et al.,
Phys. Rev. Lett. 39, 252–255
e
e−
b
̄b Υ
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フェルミ国立加速器研究所 (FNAL)
テバトロン
トップクォークの発見: 1995年
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