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4~5までのPDF 広島高速道路公社〔企業・IR情報_二葉山自然環境保全対策検討委員会報告書〕 futaba p20 p43

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(1)

4.影響の予測

4.1 トンネル工事による植物への影響

ア . 植 物 の 生 育 環 境

植 物 の 生 育 環 境 と し て は ,光 ,温 度 ,水 , 空 気 ,土 壌 な ど が 重 要 な 要 因 で す が ,こ の う ち ,二 葉 山 の ト ン ネ ル 工 事 に よ っ て 影 響 が 生 じ る 可 能 性 が あ る の は ,主 と し て 地 下 水 位 の 変 化 に よ る も の で あ る と 考 え ら れ ま す 。

イ . 水 環 境 と 植 物

一 般 に 植 物 の 生 育 立 地 と 水 の 関 係 は , 図 に 示 す よ う に , 地 下 水 位 の 低 い 尾 根 筋 や 斜 面 で は , 雨 水 起 源 の 土 壌 水 を 利 用 し , 地 下 水 起 源 の 水 を 利 用 し て い ま せ ん 。 ま た , 谷 部 と 谷 部 に 近 い 斜 面 下 部 で は 雨 水 起 源 の 土 壌 水 の ほ か に 地 下 水 起 源 の 上 座 毛 管 水 層 の 水 を 利 用 し て い ま す 。

図 流 域 断 面 の 地 下 水 と 蒸 発 散 ( 大 政 正 隆 編 1 9 7 8 「 森 林 学 」 よ り )

A,B 地帯 C 地帯 D,E 地帯

( 1) 二葉山の植物の生育環境

(2)

ウ.二葉山における水環境と植物

二 葉 山( 海 抜 139m)の 水 収 支 は ,地 形 的 に 他 の 山 塊 か ら の 供 給 は 殆 ど な い た め , 雨 水 と 流 下 す る 表 流 水 , 雨 水 か ら 涵 養 さ れ る 地 下 水 か ら な り ま す 。

地 下 水 位 は 尾 根 筋 で 地 下 13∼ 18m( BW2地 点 ) , 斜 面 で 地 下 7∼ 9m( BW4地 点 ) で あ り , 上 図 のD, E 地 帯 に 属 し ま す 。 従 っ て 尾 根 筋 か ら 斜 面 に 生 育 す る 植 物 は 雨 水 起 源 の 水 の み を 利 用 し て い る と 考 え ら れ ま す 。そ の 結 果 ,尾 根 筋 か ら 斜 面 に 生 育 す る 種 お よ び 植 物 群 落 は , ト ン ネ ル 工 事 に よ り 地 下 水 位 に 影 響 を 生 じ る こ と が あ っ て も , 生 育 に 影 響 を 受 け る こ と は な い と 考 え ら れ ま す 。

谷 筋 の 地 下 水 位 は 地 下 0. 8∼ 2. 6m( BW3 地 点 )と 比 較 的 高 く 、こ の よ う な 環 境 に 生 育 し て い る 植 物 は 地 下 水 起 源 の 水 を 利 用 し て い る 可 能 性 が あ り ま す 。ト ン ネ ル 工 事 に よ っ て 生 じ る 可 能 性 の あ る 地 下 水 位 の 変 化 が 、二 葉 山 の 植 物 の う ち 、谷 筋 等 の 湿 潤 地 に 生 育 す る 種 と 群 落 に 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 に つ い て 、予 測 評 価 を 行 い ま す 。

トンネル掘削部は全体として硬質の花崗岩盤からなる不透水層であり、地下水はわ

ずかしかないと推定されます。次ページの図にトンネル工事と浅層地下水の関係を示 します。

なお、トンネルの掘削部分から浅層部につながる亀裂も部分的に存在する可能性を

考慮して、トンネルの湧水が間接的に浅層地下水の低下を引き起こした場合を想定し て、その低下範囲を、トンネルの施工位置と深度、推定された水理地質構造などから 検討しました。

その結果、安全側をみて低下の範囲を最大限に想定した場合、北側斜面のほぼ全域 の稜線部から麓部(住宅地との境界付近)まで、また南側斜面では,坑口が計画され ている西部から中部における稜線部から麓部(住宅地との境界付近)までと考えられ ます。

このように,トンネル工事の浅層地下水への影響について、部分的な亀裂の存在の 可能性を考慮し、地下水の低下の可能性を広範に想定して、そのような地下水の低下 が実際に発生した場合に、植物に影響を与え得る範囲について検討します。

( 2) トンネル工事が地下水に及ぼす影響

(3)
(4)

ア.地下水から土壌へ影響が及ぶ範囲

土 壌 水 分 は「 地 下 水 面 か ら の 高 さ 」と「 土 壌 を 構 成 す る 物 質 の 粒 径 」に 依 存 す る と さ れ て い ま す ( 「 雨 水 浸 透 ・ 地 下 水 涵 養 」 平 成 13 年 , 理 工 図 書 ) 。 地 下 水 か ら 地 表 面 ま で の 領 域 は 表 及 び 図 の よ う に 区 分 , 定 義 さ れ ま す 。 毛 管 水 帯 は 地 下 水 の 影 響 を 受 け る が ,そ の 上 に 位 置 す る 中 間 帯 は 地 下 水 の 影 響 を 受 け な い と 考 え ら れ て い ま す 。 ま た , 地 下 水 面 か ら の 高 さ が 3m 以 上 の 中 間 帯 の 土 壌 水 分 は , 土 壌 を 構 成 す る 物 質 の 粒 径 に 関 係 な く ほ ぼ 一 定 の 値 を 示 す と 考 え ら れ て い ま す 。 し た が っ て , 地 下 水 面 か ら の 高 さ が 3m 付 近 ま で は 地 下 水 の 影 響 を 受 け る 毛 管 水 帯 で あ る と 考 え ら れ ,そ れ よ り 上 部 に つ い て は 地 下 水 の 影 響 を 受 け な い 中 間 帯 で あ る と 考 え ら れ ま す 。

以 上 の こ と か ら ,土 壌 水 分 が 地 下 水 か ら 受 け る 影 響 の 範 囲 を 地 下 水 面 か ら の 高 さ 3 m と 設 定 し ま し た 。

表 不 飽 和 帯 ・ 飽 和 帯 の 区 分 と 定 義

区 分 定 義 根 群 域 地 表 植 物 の 根 が 存 在 し て い る 領 域

中 間 帯

( 懸 垂 水 帯 )

そ の 上 に 続 く 地 下 水 面 か ら の 高 さ に よ ら ず 水 分 量 が 一 定 な 領 域

不 飽 和 帯

毛 管 水 帯 地 下 水 面 か ら 離 れ る に 従 っ て 水 分 量 が 徐 々 に 減 少 す る 領 域 飽 和 帯 不 圧 帯 水 層 地 下 水 が 存 在 す る 領 域

図 . 不 飽 和 帯 の 水

資 料 : 「 雨 水 浸 透 ・ 地 下 水 涵 養 」 , 平 成 13 年 , 理 工 図 書

(3) 地下水の変動が二葉山の植物に及ぼす影響範囲

(5)

イ.根系の最大の深さ

根 は 大 き く 区 分 す る と ,吸 収 根 と 支 持 根 に わ か れ ま す 。吸 収 根 は 地 表 部 付 近 に 広 が り 水 や 養 分 を 吸 収 し ま す 。 ま た , 支 持 根 は 地 中 深 く ま で 伸 び , 植 物 体 を 維 持 す る 役 割 を は た し ま す 。 ト ン ネ ル ル ー ト 沿 い 大 径 木 の 根 系 よ り , 二 葉 山 に 生 育 す る 樹 木 の 根 系 は ,最 大 で 3m程 度 で あ る と 考 え ら れ ま す 。根 系 が 土 壌 水 分 の 影 響 を う け る 範 囲 は ,概 ね 吸 収 根 を 中 心 と し た 1m程 度 ま で と 考 え ら れ ま す が ,支 持 根 の 働 き も 考 慮 し て 最 大 3mと 設 定 し ま し た 。

ウ.植生への影響の範囲

以上の条件より,図に示すモデルが考えられます。

湧水

地下水面の低下

根系の最大 の深さ

不飽和帯の全体が、地下水の 毛管水帯にあり、地下水位の 低下によって、土壌水分への 影響が生じると考えられる ゾーン

根系の分布する不飽和帯

(GL- 3m) の一部が、地下 水位の低下の影響を受け ると考えられるゾーン

C地帯

B地帯

地下水面

地下水面の低下

根系の最大 の深さ 地下水位が低下しても根系の 深度では土壌水分への影響が ないと考えられるゾーン

地下水位が土壌 水分に影響を与 える範囲

3m

6m

図 二 葉 山 に お け る 植 物 − 土 壌 水 分 − 地 下 水 の 模 式 図

地下水位が低下した場合,その影響を受ける可能性がある範囲は,地下水位が浅く, 毛管水帯の上端が,根群域の下部より高い,つまり,毛管水帯が根群域にかかっている ところとなります。根の生育深度は最大でも地下 3m と考えられ,また,毛管水帯は粘 土質でも最大 3m と考えられます。その結果,地下水位の低下が植物の生育に影響を及

※ 10

(6)

蒸 発 散 が 起 こ る B 地 帯 と 地 下 水 層 お よ び 根 系 層 か ら 蒸 発 散 が 起 こ る C 地 帯 の 2 つ に 区 分 し ま し た 。 そ れ ぞ れ の 範 囲 に お け る 地 下 水 位 と 植 物 へ の 関 係 の 程 度 は 以 下 の よ う に 考 え ら れ ま す 。

表 範 囲 区 分

区 分 影 響 の 範 囲

B 地 帯

地 下 水 位 3m以 浅 の 範 囲

不 飽 和 帯 の 全 体 が 地 下 水 の 毛 管 水 帯 に あ り ,地 下 水 の 低 下 に よ っ て , 土 壌 水 分 へ の 影 響 が 生 じ る と 考 え ら れ る 範 囲

C 地 帯

地 下 水 位 3∼ 6mの 範 囲

根 系 の 分 布 す る 不 飽 和 帯 の 一 部 が 地 下 水 位 の 低 下 の 影 響 を 受 け る と 考 え ら れ る 範 囲

エ.二葉山における影響可能性

二 葉 山 の ト ン ネ ル 工 事 に よ っ て 植 物 の 生 育 に 影 響 を 受 け る 可 能 性 が あ る 地 下 水 位 の 浅 い 範 囲 を 下 図 に 示 し ま す 。そ し て こ の 範 囲 で , 地 下 水 位 の 変 化 が 二 葉 山 の 植 生 に 影 響 を 及 ぼ す 可 能 性 を 検 討 し ま し た 。

図 植 生 へ の 影 響 予 測 範 囲

(7)

地 下 水 位 の 低 下 が 植 物 の 生 育 に 影 響 を 生 じ る 可 能 性 の あ る 予 測 範 囲 内 の 植 生 及 び そ の 面 積 は 以 下 の と お り で す 。二 葉 山 の 約 9 7 % の 範 囲 で は 地 下 水 位 が 低 く ,ト ン ネ ル 工 事 に よ っ て 地 下 水 位 が 低 下 し て も 植 物 の 生 育 に 影 響 を 生 じ る 可 能 性 が な い と 考 え ら れ ま し た 。 影 響 を 生 じ る 可 能 性 の あ る 範 囲 は 全 面 積 の 約 3 % 程 度 で す 。 B 地 帯 , C 地 帯 を 合 わ せ た 面 積 が 最 も 大 き い 群 落 は , シ リ ブ カ ガ シ 群 落 で , 二 葉 山 に お け る シ リ ブ カ ガ シ 群 落 全 体 面 積 の 6. 7% を 占 め て い ま し た 。 次 い で , ア ラ カ シ − コ ナ ラ 群 落 で , 群 落 全 体 面 積 の 6. 4% を 占 め て い ま し た 。

表 影 響 を 生 じ る 可 能 性 が あ る 植 生 と そ の 面 積 の 割 合

B 地 帯 C 地 帯 B+C 群 落 名 全 体 面 積

割 合( %) 割 合( %) 割 合( %)

伐採跡群落 6, 308 m

2

6. 4% 3. 2% 9. 6%

アカマツ‐ シリブカガシ群落シリブカガシ型 10, 729 m

2

0. 9% 1. 3% 2. 2%

アラカシ‐ コナラ群落 59, 633 m

2

2. 8% 3. 7% 6. 4%

シリブカガシ‐ コナラ群落 24, 630 m

2

0. 4% 1. 0% 1. 4%

シリブカガシ群落 75, 095 m

2

2. 2% 4. 5% 6. 7%

コジイ群落 1, 302 m

2

0. 5% 0. 5%

ヒノキ植林シリブカガシ型 8, 768 m

2

1. 0% 0. 6% 1. 6%

竹林 10, 624 m

2

1. 8% 1. 2% 3. 0%

草地 14, 198 m

2

2. 1% 1. 0% 3. 2%

果樹・花木植栽 4, 348 m

2

0. 5% 0. 2% 0. 7%

宅地等 58, 286 m

2

0. 1% 0. 1% 0. 1%

その他 47, 237 m

2

合計 321, 158 m

2

1. 4% 2. 0% 3. 4%

※ 割合=影響範囲内の各植生の面積/二葉山における各植生の全面積×100

(8)

ア . 二 葉 山 の 主 要 な 林 冠 木

1 1

と シ リ ブ カ ガ シ へ の 影 響

二 葉 山 に お け る シ リ ブ カ ガ シ の 生 育 状 況 は ,地 下 水 位 が 低 く ,地 下 水 か ら の 影 響 を 受 け な い 尾 根 筋 や 斜 面 上 部 か ら 中 部 に も 広 く 生 育 し て い ま す 。 そ の た め 地 下 水 か ら の 水 分 条 件 に 依 存 し て い る 種 で は な い と 考 え ら れ ま す 。 し た が っ て , 地 下 水 位 が 低 下 し た 場 合 , 影 響 を 生 じ る 可 能 性 の あ る 予 測 範 囲 内 に 生 育 し て い る 個 体 は 一 時 的 に 影 響 を 受 け て 仮 に 一 部 の 枝 な ど に 欠 損 が 出 た と し て も , そ の 後 の 生 長 に よ り そ れ ら は 補 わ れ ,個 体 の 存 続 や 生 育 に は ほ と ん ど 影 響 が な い と 考 え ら れ ま す 。 そ の 他 の 主 要 な 林 冠 木 で あ る ア カ マ ツ ,ア ラ カ シ ,コ ジ イ ,コ ナ ラ ,ヤ マ ザ ク ラ , ヒ ノ キ ( 植 林 ) な ど も 同 様 の 環 境 に 生 育 し て い る の で , 地 下 水 位 が 低 下 し , 水 分 条 件 に 変 化 が 生 じ た と し て も , 個 体 の 存 続 や 生 長 に は ほ と ん ど 影 響 が な い と 考 え ら れ ま す 。

イ . そ の 他 の 構 成 種 へ の 影 響

二 葉 山 で 確 認 さ れ た 214 種 に つ い て ,地 下 水 位 が 低 下 し た 場 合 ,影 響 を 受 け る 可 能 性 に つ い て 検 討 を 行 い ま し た 。 そ の 結 果 , 影 響 を 受 け る 可 能 性 が あ る 種 と し て は 17 種 が リ ス ト ア ッ プ さ れ ,影 響 を 生 じ る 可 能 性 の あ る 予 測 範 囲 内 で 確 認 調 査 を 行 い ま し た 。

予 測 範 囲 内 で は 11 種 類 を 確 認 し ま し た 。そ の 内 5 種 は 二 葉 山 で は シ リ ブ カ ガ シ 群 落 に の み 生 育 し て い ま し た 。 選 考 過 程 を 以 下 に 示 し ま す 。

現 地 で 確 認 さ れ た 種 ( 214 種 )

文 献 に よ り 抽 出 さ れ た 種 ( 17 種 )

影 響 を 生 じ る 可 能 性 の あ る 予 測 範 囲 内 で 確 認 さ れ た 種 ( 11 種 )

↓ ↓

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の み に 確 認 さ れ た 種 ( 5 種 )

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 な ど い く つ か の 群 落 で 確 認 さ れ た 種 ( 6 種 )

↓ ↓

影 響 を 受 け る 可 能 性 が あ り 注 目 す べ き 種

影 響 を 受 け る 可 能 性 は あ る が , 注 目 す る 必 要 の な い 種

影 響 を 受 け る 可 能 性 が あ り ,二 葉 山 の 植 生 か ら 判 断 し て ,注 目 す べ き 種 と 考 え ら れ る 種 は 表 に 示 し た オ オ ハ ナ ワ ラ ビ な ど の 5 種 類 が 考 え ら れ ま す 。

確 認 地 点 は 次 図 に 示 し ま す 。 ( 4) 二葉山の植生とシリブカガシ群落への影響

(9)

表 影 響 を 生 じ る 可 能 性 の あ る 予 測 範 囲 内 で 確 認 さ れ た 注 目 す べ き 種 番

種 名 生 育 地 個体数 生 育 状 況

影響の 可能性 1 オオハナワラビ

北 側 の 谷 の 出 口 付近,1 地点

27 個体

根は地下 30c m 程度,限られた 地点に生育

2

ミ ヤ マ ノ コ ギ リ シ ダ

北側谷筋 19 株

根は地下 30c m 程度,限られた 地点に生育

3 センリョウ 谷筋に生育 8 株 根は地下 50c m程度 有

4 アリドオシ 北側の谷筋 5 個体 根は地下 50c m程度 有

5 ハエドクソウ 北側の谷筋 20 個体 根は地下 50c m程度 有

図 影響の可能性のある種の確認地点

(10)

ウ.構成種の生育状況の変化による群落への影響

文 献 に よ る 検 討 と 現 地 調 査 の 結 果 ,二 葉 山 で は 影 響 を 受 け る 可 能 性 が あ る 種 は 11 種 類 で あ り , そ の う ち シ リ ブ カ ガ シ 群 落 と の 関 連 が 強 い 種 と し て オ オ ハ ナ ワ ラ ビ , ミ ヤ マ ノ コ ギ リ シ ダ , セ ン リ ョ ウ , ア リ ド オ シ , ハ エ ド ク ソ ウ の 5 種 類 で し た 。 こ れ ら の 種 は 二 葉 山 の シ リ ブ カ ガ シ 群 落 内 で の 出 現 頻 度 は 低 く ,二 葉 山 の シ リ ブ カ ガ シ 群 落 を 含 む 植 生 を 構 成 す る 214 種 の う ち の わ ず か な 種 数 で す 。 そ の た め , 地 下 水 位 が 低 下 し た 場 合 で も ,二 葉 山 の 植 生 及 び シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 構 成 種 に 与 え る 影 響 は 小 さ い も の と 考 え ら れ ま す 。

エ.貴重種への影響

影 響 予 測 範 囲 内 に は 貴 重 種 の オ ガ タ マ ノ キ が 1 個 体 , B 地 帯 の 範 囲 で 確 認 さ れ ま し た 。

し か し 、二 葉 山 に お い て 、オ ガ タ マ ノ キ は 尾 根 部 に も 生 育 が 確 認 さ れ て お り 、地 下 水 に 依 存 す る 種 で は な い と い え ま す 。し た が っ て 、地 下 水 の 低 下 に よ る 影 響 は ほ と ん ど な い と 考 え ら れ ま す 。

表 影 響 予 測 範 囲 内 の オ ガ タ マ ノ キ

確 認 個 体 確 認 地 点 胸 高 直 径 樹 高 オ ガ タ マ ノ キ B 地 帯 0. 5c m 1. 5m

(11)

4 . 2 自 然 な 遷 移 で の 植 生 の 変 化

二 葉 山 の 植 生 は ,工 事 の 影 響 と は 別 に ,遷 移 に よ り 変 化 す る こ と が 考 え ら れ ま す 。 二 葉 山 の シ リ ブ カ ガ シ 群 落 は , 空 中 写 真 に よ る 昭 和10 年 代 か ら の 植 生 の 変 化 か ら み て ,現 在 遷 移 途 中 の 群 落 で あ る と 考 え ら れ ま す 。そ の た め ,二 葉 山 の 植 生 や シ リ ブ カ ガ シ 群 落 は , 遷 移 に と も な っ て 以 下 の よ う な 変 化 が 生 じ る と 予 想 さ れ ま す 。

二 葉 山 全 体 の 遷 移 に と も な う 植 生 の 変 化

● 明るい環境に多いネジキ,リョウブ,コナラ等の落葉樹は次第に減少する

● 暗い環境で生育可能な重力散布植物

※ 12

(シリブカガシ,アラカシ,コジイ等常 緑のブナ科)が増加する

● 斜面上部のアカマツ群落は,落葉広葉樹から常緑広葉樹が多い群落へと変化し, 長期間のあいだにアラカシ群落,シリブカガシ群落へと遷移する

そ の 結 果

□ シ リ ブ カ ガ シ な ど 常 緑 樹 か ら な る 群 落 が 拡 大 す る

□ た だ し , 自 然 攪 乱

13

に よ り ギ ャ ッ プ が 形 成 さ れ た 場 所 に お い て , 遷 移 段 階 の 異 な る 植 生 の パ ッ チ

14

が 形 成 さ れ , 種 多 様 性 が 維 持 さ れ る

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 発 達 に 伴 う 変 化

● 樹 冠 の 発 達 に 伴 い 林 内 が 暗 く な り , 林 床 の ウ ラ ジ ロ や コ シ ダ が 減 少 す る

● 胞 子 で 繁 殖 し ,暗 い 環 境 で も 生 育 可 能 な シ ダ 植 物 や 種 子 が 軽 い ラ ン 科 植 物 等 は 増 加 す る

● シ リ ブ カ ガ シ 群 落 内 に 点 在 す る ア カ マ ツ - シ リ ブ カ ガ シ 群 落 や シ リ ブ カ ガ シ

− コ ナ ラ 群 落 は , シ リ ブ カ ガ シ 群 落 へ 発 達 す る そ の 結 果

□ シ リ ブ カ ガ シ 群 落 内 の 種 類 組 成 は わ ず か な が ら 変 化 し ,種 多 様 性 は 少 し 低 下 す る

(12)

4.3 トンネル坑口部工事による植生への影響

予 測 は ,ト ン ネ ル 工 事 に 伴 う 土 地 の 改 変 な ど に よ り ,二 葉 山 の 植 生 へ 直 接 影 響 を 与 え る と 考 え ら れ る ト ン ネ ル 坑 口 部 お よ び 周 辺 域 を 対 象 と し ま し た 。計 画 平 面 図 と ト ン ネ ル 坑 口 部 に お け る 植 生 の 改 変 場 所 を 図 に 示 し ま す 。

図 計画平面図とトンネル坑口部における植生の改変場所 ( 1) トンネル坑口部の計画

(13)

ト ン ネ ル 坑 口 に お け る 植 生 の 改 変 の 内 容 を 表 に 示 し ま す 。

改 変 さ れ る 可 能 性 の あ る 二 葉 山 の 森 林 植 生 は , シ リ ブ カ ガ シ 群 落 が 820m

2

あ る こ と が わ か り ま し た 。ま た ,そ の 他 に 人 家 付 近 の 果 樹・花 木 植 栽 が 89 m

2

と 予 測 さ れ ま し た 。

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 改 変 予 測 場 所 は 2ヶ 所 あ り , ト ン ネ ル 坑 口 の 北 東 部 に 位 置 す る 796m

2

の 範 囲 が 法 面 及 び 道 路 に 改 変 さ れ ま す 。ま た ,ト ン ネ ル 坑 口 南 西 部 に 位 置 す る 24m

2

の 範 囲 が 法 面 に 改 変 さ れ ま す 。 二 葉 山 に お け る シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 総 面 積( 75, 095m

2

)に 対 す る 改 変 面 積 の 割 合 は 約 1. 1% で あ り 、群 落 に 与 え る 影 響 は 軽 微 で あ る と 考 え ら れ ま す が 、 改 変 後 新 た に で き る 法 面 に は 、 シ リ ブ カ ガ シ の 群 落 を 形 成 す る よ う な 植 栽 を 施 す の が 望 ま し い と 考 え ら れ ま す 。

ま た 、 坑 口 部 の 南 部 に 位 置 す る 果 樹 ・ 花 木 植 栽 は 主 に ツ ツ ジ 類 が 植 え ら れ て い ま す が 、 シ リ ブ カ ガ シ や ク ス ノ キ 等 の 樹 木 が 数 本 生 育 し て い ま す 。 こ れ は 住 宅 地 造 成 の 際 に こ れ ら の 樹 木 を 数 本 残 し 、 公 園 利 用 を 目 的 と し て 造 成 さ れ た 場 所 で あ る と 考 え ら れ ま す 。

表 二 葉 山 の 植 生 の 改 変 内 容 群 落 名 改 変 面 積

二 葉 山 の 植 生 面 積

二 葉 山 の 植 生 面 積 に 対 す る 割 合

改 変 後 ( 面 積 ) 法 面( 570m

2

) 796m

2

1. 06% 道 路 ( 226m

2

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 )

24m

2

75, 095 m

2

0. 03% 法 面 ( 24m

2

ま た 、ト ン ネ ル 坑 口 及 び 周 辺 に お い て オ ガ タ マ ノ キ の 生 育 は 確 認 さ れ て い ま せ ん 。し た が っ て 、坑 口 部 の 改 変 に よ る 貴 重 種 へ の 影 響 は な い と 考 え ら れ ま す 。 ( 2) 植生の改変とその影響

(14)

4.4 生態系への影響

生 態 系 の 予 測 に つ い て は 、基 盤 と な る 二 葉 山 の 植 生( 植 物 群 落 )の 予 測 結 果 に 基 づ き 、 動 物 相 の 変 化 の 程 度 を 定 性 的 に 行 い ま し た 。

植 生 の 予 測 結 果 は ,地 下 水 と の 関 連 性 が 高 い と 考 え ら れ る 谷 部 の い く つ か の 地 点 に お い て 、斜 面 と 同 程 度 の 乾 燥 条 件 下 に お か れ る 可 能 性 が あ る と 予 測 さ れ て い ま す 。 し か し , 構 成 種 の 生 育 状 況 の 変 化 は 小 さ い と 予 測 さ れ て い ま す 。

影 響 予 測 範 囲 で 広 い 面 積 を 占 め る 群 落 は ,シ リ ブ カ ガ シ 群 落 と ア ラ カ シ − コ ナ ラ 群 落 で す 。 こ れ ら の 群 落 は 二 葉 山 で は 尾 根 筋 か ら 谷 部 ま で の 広 い 範 囲 に 分 布 し て い る 群 落 で 、 地 形 に 限 定 さ れ る こ と な く 分 布 し て い る こ と か ら 、 谷 部 の こ れ ら の 植 物 群 落 も 大 き な 変 化 は な い と 考 え ら れ ま す 。

よ っ て 、生 態 系 の 基 盤 と な る 植 生 に 大 き な 変 化 が な い と 考 え ら れ る こ と か ら 、地 下 水 位 の 変 化 に よ る 動 物 相 の 生 息 環 境 は 大 き な 変 化 は な く 、生 態 系 の 基 盤 と な る 植 生 の 変 化 に よ る 動 物 相 の 変 化 は 小 さ く ,ほ ぼ 現 状 の 生 態 系 が 維 持 さ れ る と 考 え ら れ ま す 。 な お 、 将 来 的 に は 植 生 の 遷 移 に 伴 う 変 化 が 時 間 と と も に 生 じ る と 予 測 さ れ ま す 。

(15)

4.5 景観への影響

事 業 計 画 内 容 に 基 づ き ,現 況 写 真 に 書 き 込 ん だ フ ォ ト モ ン タ ー ジ ュ を 作 成 し ま し た 。 予 測 調 査 地 点 は , J R 広 島 駅 新 幹 線 屋 上 駐 車 場 を 設 定 し ま し た 。

自然景観である森林を背景とし、都市景観であるビルなどの建物が存在する景観か ら、自然景観を背景としてトンネル坑口と高架,それに伴う法面,既存法面により構 成された道路景観が現れます。

全体的にすっきりとした景観となるものの、無機質な道路構造物と周囲とに違和感 が生じるため、植栽を施すことにより調和を図ることが必要と考えられます。

現況

将来

(16)

4.6 影響の予測結果のまとめ

各 項 目 に つ い て 影 響 を 予 測 し た 結 果 に つ い て ま と め た も の を 、 図 に 示 し ま す 。

◎ 植生(トンネル部)

◎ 植生(坑口部)

◎ 生態系

◎ 景観

二葉山の植生の大部分は雨水起源 の土壌水を利用

トンネル工事により地下水位低下 の可能性

地下水位が変動した場合、根系層の土壌 に影響を及ぼす範囲の抽出

根系層と地下水層・毛管水層の間に中間 層あり(全面積の約 97%)

根系層と地下水層・毛管水層とが重複

(全面積の約 3%)

植生の環境に変化なし

○ シリブカガシをはじめとした林冠木

一時的に影響を受ける可能性はあるが、そ の後の生長により十分補われるため、影響 は軽微

○ シリブカガシ群落のその他の構成種

群落構成種のうち、わずかな種の減少が考 えられるが群落への影響は軽微

○ 貴重種(オガタマノキ1本)

影響はほとんどないと思われる。

坑口部工事により 820 ㎡のシリ ブカガシ群落が消失

シリブカガシ群落全面積の約 1%

群落への影響は軽微

(植栽による復元が望ましい)

植生の変化が軽微なため、影響はほとんどないと思われる。

周囲との調和を図るため植栽が必要 無機質な道路構造物が出現

(17)

5.保全対策とモニタリング

5.1 保全対策

以下に示す基本方針を設定し,保全対策を行います。

[基本方針①]

シリブカガシ群落を中心とした二葉山の、 自然な植生遷移を妨げないようにする

[基本方針②]

トンネル工事による影響をできる限り 低減させる

ト ン ネ ル 部

● 地 下 水 位 の 低 下 に よ り 影 響 が 予 測 さ れ る 箇 所 に つ い て 、 基 本 方 針 ① に 基 づ き 、 モ ニ タ リ ン グ を 行 い ま す 。

坑 口 部

● 消 失 す る シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 代 償 ( 生 態 系 面 ) 、 お よ び 二 葉 山 の 植 生 と の 調 和 ( 景 観 面 ) の 観 点 か ら 、 シ リ ブ カ ガ シ 群 落 を 目 標 植 生 と し た 法 面 緑 化 に よ り 環 境 修 復 を 行 い ま す 。

ア.シリブカガシ群落造成範囲の検討

新 た に 発 生 す る 法 面 に つ い て 、工 法 の 違 い や 勾 配 、道 路・ト ン ネ ル な ど の 構 造 物 と の 位 置 関 係 等 を 考 慮 し て 、シ リ ブ カ ガ シ 群 落 が 造 成 可 能 な 範 囲 を 検 討 し ま し た( 図 5. 1- 1)。

そ の 結 果 、 工 事 に よ る シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 消 失 面 積820m

2

に 対 し 、 最 大 1, 321. 4m

2

を 新 た な シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 造 成 可 能 範 囲 と し ま し た 。

法 面 の 条 件 と そ の 面 積

法 面 種 類 勾 配 斜 面 向 き 面 積

盛 土 法 面 0∼ 1: 2. 0 程 度 南 向 き 1321. 4m

2

イ.表土の保全

二 葉 山 で は 、仮 置 場 を 確 保 し て 坑 口 部 の 造 成 に よ り 消 失 す る シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 表 土 を 保 存 し 、 盛 土 法 面 造 成 の 際 に 、 盛 土 や 覆 土 と し て 活 用 す る 予 定 で す 。

表 土 を 移 植 す る こ と で 、表 土 中 の 埋 土 種 子 が 発 芽 し 、二 葉 山 の シ リ ブ カ ガ シ 群 落 本 来 の 種 お よ び 二 葉 山 に 生 育 す る 種 の 遺 伝 子 群 の 存 続 が 期 待 で き 、ま た 、植 栽 基 盤 の 整 備 の 面 で も 有 効 で あ る と 考 え ら れ ま す 。

( 1) 基本方針と対策

( 2) 法面緑化の方針

(18)

図 シ リ ブ カ ガ シ 群 落 造 成 法 面

(19)

ウ . 緑 化 樹 種

森 林 の 復 元 が 可 能 な 場 所 で は 、緑 化 に あ た っ て 二 葉 山 の 森 林 群 落 の 構 成 種 を 基 本 と し 、以 下 の よ う な 種 を 用 い ま す 。ま た 、そ の 他 の 場 所 で は 在 来 種 の 草 本 に よ る 緑 化 や シ バ 等 の 植 生 マ ッ ト を 用 い た 緑 化 を 行 い ま す 。

表 導 入 す る 植 物 導 入 植 物

高 木 樹 種

シ リ ブ カ ガ シ , モ チ ノ キ , ク ロ ガ ネ モ チ

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 構 成 種

低 木 樹 種 ヤ ブ ツ バ キ , ヒ サ カ キ 高 木 樹 種 ア カ マ ツ , ア ベ マ キ , コ ナ ラ 遷 移 途 中 種

低 木 樹 種 ヤ マ ツ ツ ジ , コ バ ノ ミ ツ バ ツ ツ ジ

肥 料 木 ヤ マ ハ ン ノ キ , ヤ マ モ モ

エ.植生イメージ像の設定

長 期 的 な 観 点 か ら , 段 階 的 に 植 生 の イ メ ー ジ 像 を 設 定 し ま し た 。

短期(約35年後)

< イ メ ー ジ 像 >

z ヤ マ ハ ン ノ キ , ヤ マ モ モ ( 肥 料 木 ) , ア カ マ ツ 優 勢 z ア ベ マ キ , コ ナ ラ 成 長 良 好

(20)

中期(約20年後)

< イ メ ー ジ 像 >

z ア ベ マ キ , コ ナ ラ 優 占

z 下 層 に シ リ ブ カ ガ シ や 低 木 樹 種

長期(約50年後) < イ メ ー ジ 像 >

z シ リ ブ カ ガ シ 優 占

z 下 層 に シ リ ブ カ ガ シ ( 実 生 個 体 ) や 低 木 樹 種

(21)

5.2 モニタリング

※ 15

以下の項目について,モニタリングを行い,工事による影響を検討し,必要に応じて対 策を行います。

ア.降水量

当 該 地 域 の 地 下 水 位 に 対 す る 影 響 要 因 と し て , 以 下 の モ ニ タ リ ン グ を 行 い ま す 。

降 水 量 の モ ニ タ リ ン グ 項 目

項 目 内 容 期 間

降 水 量

二 葉 山 内 に 雨 量 計 を 設 置 し て 、 降 水 量 を 連 続 観 測 し ま す

工 事 後 ま で

イ.地下水

工 事 に よ る 地 下 水 位 へ の 影 響 を 把 握 す る た め ,以 下 の モ ニ タ リ ン グ を 行 い ま す 。

地 下 水 の モ ニ タ リ ン グ 項 目

項 目 内 容 期 間

水 位 測 定 ( 浅 井 戸 )

水 位 計 を 設 置 し 、定 期 的 に 地 下 水 位 を 測 定 し ま す

工 事 後 ま で

ウ.土壌水分

地 下 水 位 の 変 化 に よ る 土 壌 水 分 へ の 影 響 を 把 握 す る た め , 以 下 の モ ニ タ リ ン グ を 行 い ま す 。

土 壌 水 分 の モ ニ タ リ ン グ 項 目

項 目 内 容 期 間

土 壌 水 分

影 響 予 測 範 囲 内 の シ リ ブ カ ガ シ 群 落 に 測 定 点 を 設 定 し ,渇 水 期 に お い て 土 壌 水 分 を 測 定 し , 影 響 を 検 討 し ま す

工 事 直 前

工 事 中 ( 同 時 期 ) 工 事 後

( 1) トンネル部の影響予測箇所におけるモニタリング

(22)

エ.シリブカガシ群落

地 下 水 位 の 変 化 に よ る シ リ ブ カ ガ シ 群 落 へ の 影 響 を 把 握 す る た め , 以 下 の モ ニ タ リ ン グ を 行 い ま す 。

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の モ ニ タ リ ン グ 調 査

項 目 内 容 時 期

影 響 予 測 種 の 生 育

・ オ オ ハ ナ ワ ラ ビ

・ ミ ヤ マ ノ コ ギ リ シ ダ

・ セ ン リ ョ ウ

・ ア リ ド オ シ

・ ハ エ ド ク ソ ウ

影 響 予 測 範 囲 に 生 育 し , 工 事 に よ り 影 響 を う け る 可 能 性 の あ る 群 落 構 成 種 5 種 の 生 育 状 況 に つ い て モ ニ タ リ ン グ を 行 い , 影 響 を 検 討 し ま す

指標植物調査

大 径 木 ( ス ギ )

( オ ガ タ マ ノ キ )

影 響 予 測 範 囲 内 に 生 育 す る 大 径 木 の ス ギ の 生 育 状 況 に つ い て モ ニ タ リ ン グ を 行 い , 影 響 を 検 討 し ま す 。 オ ガ タ マ ノ キ は 個 体 が 小 さ く , 日 陰 に よ り 消 失 す る 可 能 性 が あ る た め , モ ニ タ リ ン グ の 対 象 と し ま せ ん 。 な お , 大 径 木 の ス ギ に 近 接 し て 直 径 89. 6c mの ス ギ が 1 個 体 あ る の で , こ の 個 体 も モ ニ タ リ ン グ を 行 い ま す 。

工 事 直 前

工 事 中 ( 同 時 期 ) 工 事 後

毎 木 調 査 植 生 調 査

影 響 予 測 範 囲 内 に 20m× 20m の プ ロ ッ ト を 設 定 し , 毎 木 調 査 を 行 い , 構 成 種 へ の 影 響 を モ ニ タ リ ン グ し ま す 。 同 時 に 植 生 調 査 を 行 い , 低 木 層 や 草 本 層 の 植 被 率 の 変 化 , 種 の 消 長 を 調 べ , 影 響 を 検 討 し ま す 。

工 事 直 前

工 事 中 ( 同 時 期 ) 工 事 後

樹 冠 調 査

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 の 樹 冠 の 変 化 を 調 べ る た め , 魚 眼 レ ン ズ を 用 い て 林 内 に 設 置 し た 定 点 か ら 継 続 的 に 撮 影 を 行 い , 変 化 を 調 査 し ま す

工 事 直 前

工 事 中 ( 同 時 期 ) 工 事 後

(23)

ア . 植 生 調 査

シ リ ブ カ ガ シ 群 落 造 成 法 面 及 び そ の 他 の 法 面 に つ い て ,緑 化 対 策 後 の 状 況 の 把 握 お よ び 群 落 造 成 の た め の 適 切 な 管 理 が 実 施 で き る よ う , 以 下 の モ ニ タ リ ン グ を 行 い ま す 。

緑 化 対 策 法 面 に お け る モ ニ タ リ ン グ 調 査

項 目 内 容 時 期

植 栽 木 の 生 育 状 況

植 栽 木 の 生 存 の 有 無 、サ イ ズ 測 定 を 行 い , 定 着 状 況 を 調 査 し ま す

群 落 形 成 状 況

任 意 に 設 定 し た コ ド ラ ー ト 内 に お い て 植 生 調 査 お よ び 定 点 写 真 撮 影 を 行 い , 植 生 の 変 化 を 調 査 し ま す

植 栽 後 1 年 植 栽 後 2 年 植 栽 後 5 年 植 栽 後 10 年

植 物 の 定 着 状 況

切 土 法 面 に お い て 植 物 の 定 着 状 況 を 調 査 し ま す

播 種 後 1 年 播 種 後 2 年 ( 2) トンネル坑口部におけるモニタリング

(24)

■ 用語解説(本文中に※ 1∼※ 15 と記された用語について)

1.植生:ある地域に成立している植物の集団。人間の影響の有無により,自然植生 と代償植生に区分される。

2.群落:いろいろな種が,同一場所に集まっていっしょに生活をしている集団を群 落という。

3.コドラート(法):方形区(法)ともいう。植生を調査するときに使用する各種の 調査区のこと。植生調査では,方形区の中に生育する全ての種をリストアップし, 量的な評価を行う。森林植生では15× 15m程度の広さで行い,高木層,亜高木層, 低木層,草本層毎に生育する種をリストアップし,量的な評価を行う。

4.植生遷移:植物群落が時間の経過にともなって別の群落に変化していく現象のこ と。変化の要因としては,環境条件の変化や種の侵入,群落を構成する種の相互作 用,人間の持続的な影響などがある。

5.根系:植物の地下における根の形態や広がり,地下部全体の形態,それらの水平, 垂直分布のこと。

6.大径木:巨樹(環境省の調査対象基準では地上から130cmの位置での幹周(囲) が 300cm 以上の樹木)あるいは,それほど大きくなくても,地域において大きい と考えられる樹木のこと。

7.相観植生:植物群落の外観を全体的にとらえ,主にその群落の優占種によって区 分した植生のこと。

8.崖錐堆積物:山地部で,上位から崩落して,斜面の麓部や谷部に集まり積もった 岩屑を主とする堆積物。

9.破砕帯:主に断層運動に伴い岩石が機械的に破壊され,不規則な割れ目をなすと ころ。

10.ゼロフラックス面:一般に地表面からは蒸発散が生じ,土壌断面の表面付近では 上向きの水分移動が生じている。しかし,その下では降下浸透が生じている。上下 の水分移動の境界が(発散)ゼロフラックス面と呼ばれる境界である。

11.林冠木:森林で枝葉の茂っている上部の層(林冠)を構成する樹木のこと。 12.重力散布植物:種子や果実の散布体が自身の重さで落下し,散布する植物。ツバ

キ,トチノキ,クリなどが代表的な種。

13.自然攪乱:台風,水害,旱魃などの自然環境要因によって生物の生育環境が乱さ れること。

14.パッチ:生物は一様な密度で分布しているのではなく,いろいろな規模で局所的 に発達段階の異なる集団をつくる。この塊をパッチという。

15.モニタリング:自然環境等の状態について,地点・項目・内容等を定めて定期的, 継続的に行う調査のこと。

表   影 響 を 生 じ る 可 能 性 の あ る 予 測 範 囲 内 で 確 認 さ れ た 注 目 す べ き 種   番 号  種  名  生  育  地  個体数  生  育  状  況  影響の可能性 1  オオハナワラビ  北 側 の 谷 の 出 口 付近,1 地点  27 個体  根は地下 30c m 程度,限られた地点に生育  有  2  ミ ヤ マ ノ コ ギ リ シ ダ  北側谷筋  19 株  根は地下 30c m 程度,限られた地点に生育  有  3  センリョウ  谷筋に生育
図   シ リ ブ カ ガ シ 群 落 造 成 法 面

参照

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