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室蘭工業大学学術資源アーカイブ

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(1)

スクッテルダイト化合物の高温高圧下における結晶

その他(別言語等)

のタイトル

Exper i m

ent al Tec hni que of I n Si t u O

bs er vat i on

f or Cr ys t al l i z at i on of Skut t er udi t e Com

pounds

under H

i gh Tem

per at ur e and H

i gh Pr es s ur e

著者

関根 ちひろ, 木方 邦宏, 荒関 信人, 並木 孝

洋, 佐藤 慎吾, 中田 隆介, 城谷 一民

雑誌名

室蘭工業大学紀要

55

ページ

15- 24

発行年

2005- 11

(2)

その他(別言語等)

のタイトル

Exper i m

ent al Tec hni que of I n Si t u O

bs er vat i on

f or Cr ys t al l i z at i on of Skut t er udi t e Com

pounds

under H

i gh Tem

per at ur e and H

i gh Pr es s ur e

著者

関根 ちひろ, 木方 邦宏, 荒関 信人, 並木 孝

洋, 佐藤 慎吾, 中田 隆介, 城谷 一民

雑誌名

室蘭工業大学紀要

55

ページ

15- 24

発行年

2005- 11

(3)

スクッテルダイト化合物の

ݗ

ݗ

圧下における結晶化

その場観察技術の開発

関根ちひろ

*1

、木方

඿

*1

、荒関信人

*1

、並木孝洋

*1

、佐藤慎吾

*1

、中田隆介

*1

、城

一民

*1

Experimental Technique of

In Situ

Observation for Crystallization of

Skutterudite Compounds under High Temperature and High Pressure

Chihiro Sekine, Kunihiro Kiho, Nobuto Araseki, Takahiro Namiki, Shingo Sato, Ryusuke Nakata

and Ichimin Shirotani

(原稿受付日 平成

17

5

23

日 論文受理日 平成

17

9

2

日)

Abstract

We have developed the experimental technique of in situ observation for crystallization under high

temperature and high pressures using synchrotron radiation. Using the technique for in situ X-ray

diffraction, we determined the melting points of binary skutterudite compounds CoP3 and CoSb3,

filled skutterudite compounds CeFe4Sb12 and PrRu4P12 under high pressure. The melting temperatures

of CoP3 and CoSb3 are 1350 1400℃ at 3.8GPa and 820~840℃ at 2.5GPa, respectively. The

melting temperatures of CeFe4Sb12 and PrRu4P12 are 690 700℃ at 2.3GPa and 1600 1650℃ at

3.4GPa, respectively.

Keywords : skutterudite, high prssure synthesis, synchrotron radiation

1 .はじめに

 産業 利用材 料や基 礎研 究の対 象とし てこれ まで

多く の化合物 が合成 されてき た。そ れに伴いࠟ料

作成 技術も飛๥的に 進歩し、 これま で合成が 困難

であ った物ࡐも合成 できるよ うにな ってきた 。ݗ

圧合 成法は常 圧下で は得られ ない物ࡐを合成 でき

る強 力なࠟ料 作成手 段の一つ である 。スクッ テル

ダイ ト化合物 は次世 代のݗ効 率熱஢材料への 応用

が 期 待 さ れ て い る 物ࡐで あ る が 、 さ ら にؼ年 、  

೪BCSଵ伝導、多極子転移、重い஢子系的振舞、

金属 −絶縁体 転移な どの強相 関஢子 系物ࡐに 特有

の異 常物性を 示すこ とが明ら かとな り、固体 物理

学研究者の注目を集めている物ࡐでもある

(1)(2)(3) 。

 スクッテルダイト化合物は CoAs3など天然に産 出さ れるコバ ルトݐ石の中に 発見さ れた化合 物で

あ る 。 ス ク ッ テ ル ダ イ ト (skutterudite) と い う 名

称は このコバ ルトݐ石を産す るノル ウエーの 地名

(Skutterud)に 由 来 して い る 。 スク ッ テ ルダ イ ト

化合物には CoAs3等の二元系のスクッテルダイト 化合物と PrRu4P12等の三元系の充填スクッテルダ イ ト 化 合物 が 存 在 す る

(4)

。 二 元 系 の ス クッ テ ル ダ

イト化合物の一般形はTX3 (T=Co, Rh, Ir等の遷移 室工大紀要第55号(2005)15 24

(4)

金属元素、X=P, As, Sb のプニクトゲン元素)と表

され、充填スクッテルダイト化合物は RT4X12 (R= 希土་元素,アクチノイド元素、T=Fe, Ru, Os、X=

プ ニ ク ト ゲ ン 元 素)と 表 さ れ る 。 構 成 元 素 の 置 換

によっても同一の結晶構造をとり、R, T, Xの各元

素の 組み合 わせに よっ て、100 種་以 上のス クッ

テル ダイト化 合物が 考えられ 、実際 、多くの 化合

物の 合成が報 告され ている。 結晶構 造は体心 立方

晶系で、空間群は Im-3(No. 204)である。図 1(a)に

スクッテルダ イト化合物の結晶構造 を示す。T 原

子は 8 つの単純立方の副格子を組み、その 8 つの

副格子の内、6 個の副格子に X4リングがそれぞれ

向きを変えて入っている。X4リングが入っていな

い2 個の 空き൉屋 に R原子が充填されること

によ り、充填 スクッ テルダイ ト構造 になる( 図 1

(b))。

 スクッ テルダイ ト化合物 の合成は 、これま で P

(リン)を含 む化合物は Sn(スズ)、Sb(アンチ

モン )を含 む化合物 は Sb 自 身をフ ラックス 剤と

する フラッ クス法 で 1mm 程度 の大き さの単 結晶

を育 成する方 法が一 般的であ った。 しかし、 この

方法 では大形 単結晶ࠟ料を得 るのは 極めて困 難で

あ る 。 ま た 、 熱஢材 料 と し て の 物ࡐ開 発 で は Sb

化合 物を中心 に、粉 末を常圧 下にお いて合成 し、

ホッ トプレス によっ て焼結体 とする 方法が用 いら

れて いる。し かし、 この方法 では、 純良な単 一相

ࠟ料を得ることは困難であった。

 我々 はݗ温ݗ圧合 成法 がスク ッテル ダイト 化合

物の 合成に有 効であ ることを 見出し 、これま でに

新物ࡐを含む 多くの スクッテ ルダイ ト化合物 の単

一相多結晶ࠟ料の合成に成功している

(5)

。しかし、

精密 な物性測 定を行 うために は単結 晶ࠟ料が 不可

欠で あり、さ らに中 性子散乱 実験、ଵ音波測 定な

どで は大形の 単結晶ࠟ料が必 要とさ れる。こ のよ

うに スクッテ ルダイ ト化合物 の大形 単結晶育 成技

術の 確立は、 この分 野の発展 には欠 かせない೪常

に重 要なӀ題 である 。そこで 、我々 はݗ圧力 下で

のス クッテル ダイト 化合物の 単結晶 育成技術 の確

立を 目指し、ݗ温ݗ圧力下に おける 結晶化過 程を X 線でそ

. の

. 場

観察する技術を開発した。本論文で

はその技術といくつかの測定例を報告する。

2 . 実 験

2 .1  軌道放射光

 ݗ温ݗ圧合 成中のࠟ料 の状態 を知る 方法と して

X 線回折が考えられるが、研究室にある従来の X

線回折実験装置では X 線強度が弱く、データをと

るの に೪常にସ時間 を要する ため、 実ࡐ的に 実験

は不可能である。そこで、従来の X 線回折装置に

比Ԕし、桁違 いに強 度の強い 軌道放 射光(ݗエネ

ルギ ーの஢子 が磁場 の中を運 動する とき、円 運動

の中 心に向か って力 を受け、 軌道が 曲げられ る際

に円軌道の接線方向に放射される஢磁波)の X 線

を利 用する。 放射光 の利用に より数 日かかっ てい

た1 つの温度 点の測 定が数分 で可能 となる。 実験

はݗエネルギ ー加速 器研究機 構物ࡐ構造科学 研究

所の 放射光科 学研究 施০(フ ォトン ・ファク トリ

ー、PF)で行 なった 。PF には 3GeV のエネ ルギ

ーまで加速された஢子を 蓄積する PF リングと大

強 度 パ ル ス 放 射 光 が 利 用 で き る PF-AR リ ン グ (6.5GeV)の二つのリングがあり、紫外線から X 線

ま で の೪常 に 幅 広 い 波ସの 放 射 光 を 発 生 す る 。

我 々 の 実 験 は PF-AR の 実 験 ス テ ー シ ヨ ン ( AR-NE5C)を利用した(図2)。

TX

3

X

T

       

(a)

RT

4

X

12

R

      

(b)

(5)

2 .2  ݗ圧発生装置

 AR-NE5C に は キ ュ ー ビ ッ ク ア ン ビ ル 型ݗ圧 発

生 装置 (MAX80)が০置 され て い る( 図 3)。 こ

れは 500 トンݗ精度油圧制御装置と DIA-10 型キ

ュー ビックア ンビル 装置を組 み合わ せたもの であ

る。 作業性を 良くす るため上൉ブロ ックは大 きく

上に開放できる構造になっている。また、X 線ビ

ーム 位置 との微 調整 を行う ため 、自重 が 10 トン

ؼく ある重い 装置を ミクロン 精度で 移動させ る必

要が ある。こ のため 、全体を ステン レス磨き 板の

上に 置い た 24 個 のパ ッドで 支え 、パッ ドの 底面

から 圧縮空気 を吹き 出させて 数ミク ロン浮上 させ

平面内を移動できるようになっている。

 キュ ービッ クアン ビル 装置に は、図 4のよ うな

ଵ硬 合金アン ビルが 上下に一 つずつ 、側面に 4つ

配置 されてい る。加 圧は下側 のラム を油圧に よっ

て上 昇させ、 それに 連動し、 側面の 4つのア ンビ

ルが ガイドブ ロック をスライ ドし、 6方向か らキ

ュー ブを押す ことに よって行 う。図 5にアン ビル

が取 り付けら れた様 子を示す 。側面 の4つの アン

ビルと下側アンビルが見える。X 線はアンビルの

隙間 から入射 し、や はり、ア ンビル の隙間か ら取  図 2 PF-ARの実験ステーション(NE5C)

 での実験の様子

 図 3 キュービックアンビル型ݗ圧発生装置

 (MAX80)

図5 ガイドロックにアンビルが取り付けら

れた様子

図 4  ଵ硬合金(タン グステンカーバイド)

製アンビル

(6)

り出す。手前の二つのアンビルの隙間に X 線取り

出し 用のコリ メータ ーが挿入 してあ る。各ア ンビ

ルが 均等にキ ューブを 押せる ことを確 認するた め、

௷ブ ロックを ダミー キューブ として 加圧を行 う。

図6 に加圧前 (左) と加圧後 (右) の௷ブロ ック

を示 す。加圧 後は、 アンビル の隙間 からひ .

れ .

が形

成さ れる。௷ブロッ クの面間 隔やひ .

れ .

の厚さ を測

り、 必要であ ればス ペーサー を入れ る等によ りア

ンビ ルを微調 整する 。発生圧 力はア ンビルの 先端

のサイズによって異なるが、10GPa 程度まで加圧

可能である。

2 .3  セルアセンブリ

 先端 6mm Ԓのଵ硬合 金(タ ング ステ ンカ ーバ

イ ド 製 ) ア ン ビ ル を 用 い 、9mm Ԓの キ ュ ー ブ を

使用 する場合 のセルア センブ リの例を 図7に示 す。

通常 、ݗ温ݗ圧合成 には圧力 媒体と してパイ ロフ

ィライト( Al2Si4O10(OH)2 )を用いるが、X 線を 通す ことを考 え、圧 力媒体に はアモ ルファス ボロ

ンを エポキシ 系接着 剤で固め たもの を用いる 。加

熱用 のヒータ ーには グラファ イトを 円筒状に 加工

したもの、ࠟ料カプセルには BN を用いた。この

アセンブリは 1000℃以下の実験には問題ないが、

これ よりݗ温 になる とボロン エポキ シの断熱 効果

と機 械的強度 の低下 が֬こり ブロウ アウトの 可能

性がݗまる。文献 (6) によるとボロンエポキシは

優 れ た 断 熱 性 を 有 し て い る が 、800℃ 付ؼか ら エ

ポキ シ樹脂の 分ӕが 顕著にな り、そ れにとも なっ

て、 断熱効果 が下が り、物理 的性ࡐも変化す るの

で、1300℃以 上の実 験は かなり の困難 をとも なう

よう である 。そこ で、1000℃以 上のݗ温での 使用

を可 能にする ため図 8のよう なセル アセンブ リを

ࠟみた 。BN の スリ ーブ の 代わ りに パ イロ フィ ラ

イト のスリー ブを用 い、さら にスリ ーブの外 径を

大き くしてݗ温での 断熱効果 をݗめ た。また 、ࠟ

料が 溶融する 際にブロ ウアウ トの危ۈがあるた め、

ࠟ料 容積は小 さくし てある。 このセ ルアセン ブリ

で 1650℃までのݗ温で安定して使用できることを

確認 している 。ただ 、パイロ フィラ イトを使 うこ

とで、低エネルギー側の X 線の吸収が大きくなり

図 6  アン ビ ル調 整 用の௷ブ ロ ック 加 圧前 (左 )

と加圧後(右)

図7 9mmԒキューブのセルアセンブリ

①圧 力媒 体( ボロ ンエ ポキシ )② エン ドプ ラグ

(パイロフィライト)③BN スリーブ ④グラフ

ァイ トヒー ター ⑤ࠟ料 ⑥圧 力マー カー⑦ 熱஢

対 ⑧ ガ イ シ ⑨BN ࠟ料 カ プ セ ル ⑩஢極 ( 金

箔)

図8 ݗ温用セルアセンブリ

①圧 力媒 体( ボロ ンエ ポキシ )② エン ドプ ラグ

(パ イロ フィ ライ ト) ③スリ ーブ (パ イロ フィ

ラ イ ト ) ④ グ ラ フ ァ イ ト ヒ ー タ ー ⑤ࠟ料 ⑥ BNࠟ料カプセル⑦熱஢対 ⑧ガイシ ⑨஢極(金

箔) 10 mm

(7)

逆格 子空間( 結晶の 対称性を 反映し ている空 間)

の観 測可能範 囲が狭 まること から測 定ࠟ料に よっ

ては 使用でき ない場 合もある 。パイ ロフィラ イト

よ り 断熱 効 果 がݗい LaCrO3を スリ ー ブ に使 う こ

とも可能であるが、この場合、X 線の吸収が大き

すぎて放射光も透過できないので、X 線観測用の

窓が必要となる。

2 .4  X線その場観察

 実 験 ハ ッ チ 内 に 導 か れ た 最 大 60mmW 5mmH

程度のݗエネルギー白色 X 線を4次元スリットに

よっ て細束化 して使 用する。 アンビ ルの隙間 から

X 線を入射し、回折線もやはりアンビルの隙間か

ら取 り出し、 検出に は半導体 検出器 を用いる 。粉

末結 晶の回折 図形は ふつう、Ԓ度の 関数とし て測

定さ れる(Ԓ度分散 法)が、 半導体 検出器を 用い

れば 、ࠟ料と 検出器 を固定し たまま 、回折図 形を

X 線のエネルギーの関数として測定することがで

き る ( エ ネ ル ギ ー 分 散 法 )。 エ ネ ル ギ ー 分 散 法 に

は前述のように白色 X 線(連続 X 線)が利用さ

れ、一定方向から入射した X 線が一定方向に回折

されるときの X 線のエネルギーを分析する。ブラ

ッグ の式より 、各ピ ークのエ ネルギ ー値から 、そ

れに 対応する 結晶格 子面がた だちに わかる。 散乱

Ԓが一定であるため、ݗ圧実験のように X 線をと

りだ す方向が 限られ る場合に は適し ている。 測定

エ ネ ル ギ ー 領 域 は 20keV~140keV、 エ ネ ル ギ ー 分

ӕ能はDE/E=5 10 -4

で ある 。 エネ ルギ ー分 散法 で

は広 い逆格子 空間の 回折図形 (Ԓ度 分散法で は広

いԒ度範囲に相当)を短時間(5~10 分)にリアル

タイ ムで測定 できる ためݗ温ݗ圧力 下でのࠟ料状

態の同定を短時間に行うことができる。

2 .5圧力測定

 発生 圧力は NaCl などの 圧力マー カーの格 子定

数を 測定して 決定す る。圧力 を正確 に決定す る場

合は図 7 のようにࠟ料と同時に NaCl を入れて測

定す る。ࠟ料 容積を 多くとり たい場 合は、あ らか

じめ 、プレス の荷重 (油圧) と発生 圧力の関 係を

求め ておき、 油圧に よって発 生圧力 を見積も る。

図 9 に先端 6mm Ԓのଵ硬合金アンビルを用い、 9mm Ԓの キ ュ ー ブ を 使 用 し た 場 合 の 油 圧 と 発 生

圧力の関係を示す。

2 .6ࠟ料の加熱

 ࠟ料 の加熱 は上下 のア ンビル を஢極 とし、 パイ

ロフ ィライト のエン ドプラグ に巻き 付けた金 箔を

介し てグラフ ァイト ヒーター に通஢すること によ

り 行 う ( 図 7 、 8 参 照 )。 加 熱஢源 はݗ砂 製 作 所

の交流஢源 AA2000F を使用し、これに 10:1 の

ステ ップダウ ントラ ンスを組 み合わ せ、ヒー ター

に大஢流を流す。温度測定にはR熱஢対(Pt/PtRh)

を用いた。熱஢対はガイシに通しキューブの中央、

ࠟ料 にؼい位 置に配 置する。 キュー ブの外に 取り

出し た熱஢対 は側面 の対向す るアン ビルを஢極と

して用いる。

3 .測定例

 多結 晶ࠟ料 のݗ圧 合成 では、 各構成 元素の 固相

反応 によって 合成で きた。し かし、 単結晶育 成に

はࠟ料を溶融 させ、 その後徐 冷する 必要があ る。

そこ で、我々 は、第 一ステッ プとし てݗ圧合 成で

得られた多結晶ࠟ料を出発物ࡐとして用い、X 線

その 場観察に より、 その融点 を調べ る実験を 行っ

た。二元系のスクッテルダイト化合物CoP3、CoSb3 及 び 三 元 系 の 充 填 ス ク ッ テ ル ダ イ ト 化 合 物 CeFe4Sb12、PrRu4P12の測定例を紹介する。

3.1 CoP3

 CoP3は 3.5GPa、1100℃、60 分保持で多結晶ࠟ

料を合成し、その後 1500℃まで昇温し、徐冷する

こ と で 、単 結 晶 が 得 ら れて い る (7)

。 ま ず、 こ の 物

ࡐのݗ圧下の 融点を 調べる実 験を行 なった。 出発

物ࡐは東京大 学物性 研究所の 斜面駆 動式キュ ービ

ックアンビル型ݗ圧発生装置を用い、圧力4GPa、

温度1100℃、保持時間30分で合成したCoP3を粉 図 9  油 圧と発生圧力 (先端 6mm Ԓのଵ硬合金

ア ン ビ ル 、9mm Ԓの ボ ロ ン エ ポ キ シ キ ュ ー ブ を

使用した場合)

0 1 2 3 4 5

0 10 20 30 40 50 60

P(

G

Pa

)

(8)

末にしたものを用いた。

 実 験手 順 は 室温 で 昇圧 を 3.8GPa ま で 行 い、 こ

の圧力を保持したまま室温から 1400℃まで上昇さ

せ、ࠟ料の溶 融する 温度前後 の回折 パターン を観

察した。図10にCoP3の室温、1気圧のX線回折 パターン及び 3.8GPa における 1350℃、1400℃の

X線回折パターンを示す。測定時間は5分である。

室温、1気圧で観測されたピークはほとんどがCoP3 のも のであり 、スク ッテルダ イト構 造の面指 数を

付け ることが できる 。数字は スクッ テルダイ ト構

造 の面 指数 を 表し てい る 。● 印はࠟ料以 外の BN

等 のピ ーク であ る。3.8GPa、1350℃で は結 晶粒 の

配向 などによ り、ࠟ料ピーク の強度 比は変化 して

いる が、回折 線の位 置のパタ ーンは 変化して いな

いこ とから、 この温 度ではス クッテ ルダイト 構造

を保っていると考えられる。1400℃になると X 線

回折 パター ンが劇 的に 変化し 、1350℃ で観測 され

たࠟ料ピーク は完全 に消失し ている 。これは 、こ

の温 度でࠟ料 が溶融 したこと を示し ている。 本実

験によりCoP3の3.8GPa での融点は1350 1400℃ であ ると考え られる 。溶融状 態から 徐冷する と再

びࠟ料ピークが観測され、CoP3はこの圧力でコン グルエント溶融状態になることが分った。

3.2 CoSb3

 CoSb3は 元 素 置換 を 行 な う こ と で 、ݗ性 能 熱஢ 材料 としての 応用が 期待され ている 物ࡐであ る。 CoSb3に関しても CoP3と同様の実験を行なった。

出発 物ࡐは東 京大学 物性研究 所の斜 面駆動式 キュ

ー ビ ッ ク ア ン ビ ル 型ݗ圧 発 生 装 置 を 用 い 、 圧 力 4GPa、温度550℃、保持時間120分で合成したCoSb3

を粉末にしたものを用いた。

 実験手順は室温で 2.5GPa まで加圧し、この圧

力を保持したまま昇温し、X 線その場観察を行っ

た。図11に室温、1気圧及び2.5GPaのX線回折

パ タ ー ン を 示 す 。 ● 印 を つ け た 30keV 付ؼの 強

いピークは Sb の特性 X 線である。その他のピー

クは スクッテ ルダイト 構造の ピークに 帰属でき る。

CoP3と同様、すべてのピークに面指数を付けるこ

とができる。図11では面指数の表記は省略した。

 室温のࠟ料ピークに比べ、2.5GPa のࠟ料ピーク

は線 幅が広が ってお り、加圧 によりࠟ料に歪 が入

った ものと考 えられ る。温度 を上げ ていくと アニ

ール 効果に より 300℃で はピー クがか なりљくな

っている(図12)。820℃で見られるࠟ料ピークは、 840℃ (図省 略)で大൉分が 消失し 、860℃で はハ

ロー パターン が見ら れるだけ で完全 に消失し てい

る。 この温度 でࠟ料 は溶融状 態にあ ると考え られ

る。 この状 態から 温度 を徐々 に下げ ると 700℃以

下で 再びࠟ料 ピーク が観測さ れた。 このこと から CoSb3 の 2.5GPa で の 融 点は 820~840℃ で あ る と

考え られ、こ の圧力 下でコン グルエ ント溶融 する

ことが分った。CoSb3は 2.5GPa で融点(840℃) 以上 に昇温し 、徐冷 すること で単結 晶化が可 能で 図 10 CoP3の 3.8GPa、各温度での X 線回折パ タ ー ン 。 1400 ℃ で は 完 全 にࠟ料 ピ ー ク は 消 失 し

て い る 。 温 度 を 下 げ て い く と 、 再 びࠟ料 ピ ー ク

が観測される。

In

te

n

si

ty

1 3 0 4 2 0 2 2 0 2 1 1 2 0 0 4 2 2 2 2

2 321

4 0 0 4 1 1 4 3 1

CoP

3 1atm RT

In

te

n

si

ty

1 3 0 4 2 0 2 2 0 2 0 0 4 2 2 2 2 2 3 2 1 4 0 0 4 3 1

CoP

3 3.8GPa 1350 oC

30 40 50 60 70 80

In

te

n

si

ty

E (KeV)

CoP

3 3.8GPa

(9)

あると考えられる。

3.3 CeFe4Sb12

 充 填 ス ク ッ テ ル ダ イ ト 化 合 物 CeFe4Sb12に 関 し

ても X 線その場観察実験を行なった。この物ࡐも

CoSb3と 同様 、 優 れ た熱஢特 性を 有 す る 物ࡐと し

て注目されている。出発物ࡐは圧力4GPa、600℃、

保持時間 120 分で合成したࠟ料を粉末にして使用

した。

 室 温で 2.3GPa まで 加 圧し 、こ の 圧力 を 保持 し

た ま ま 昇 温 し 、X 線 そ の 場 観 察 を 行 っ た 。 図         13 に室温、1気圧及び2.3GPa のX 線回折パター

ン を 示 す 。 ● 印 を つ け た 30keV 付ؼの 強 い ピ ー

クは CoSb3 と同様、Sb の特性 X 線である。その 他の ピークは スクッ テルダイ ト構造 のピーク に帰

属でき る(面指 数は省略 )。600℃ で見られ るࠟ料

ピ ー ク は 、700℃ で は ハ ロ ー パ タ ー ン が 見 ら れ る

だけ で完全に 消失し ている。 この温 度でࠟ料 は溶

融状態にあると考えられる。しかし、CeFe4Sb12は CoSb3や CoP3と異なり、この状態から温度を徐々

In

te

n

si

ty

CoSb 3 1atm RT

20 40 60 80 100 120 140

In

te

n

si

ty

E(keV)

CoSb 3

2.5GPa

RT

In

te

n

si

ty

CoSb

3

2.5GPa

300oC

In

te

n

si

ty

CoSb 3 2.5GPa

820oC

In

te

n

si

ty

CoSb 3

2.5GPa

860oC

20 40 60 80 100 120 140

In

te

n

si

ty

E(keV)

CoSb

3

2.5GPa

700oC

図11 CoSb3の室温、1気圧及び 2.5GPa のX 線回折パターン。30keV 付ؼのピークは Sb の

特性 X線である。

図12 CoSb3の2.5GPa、各温度での X 線回折 パタ ーン。860℃では完 全にࠟ料 ピークは 消失

し て い る 。 温 度 を 下 げ て い く と 再 びࠟ料 ピ ー

クが観測される。

スクッテルダイト化合物のݗ温ݗ圧下における結晶化その場観察技術の開発

(10)

に下 げるとス クッテ ルダイト 構造の ピークは 消失

し、FeSb2と Sb のピークが観測された。従って、 CeFe4Sb12は 2.3GPa ではコングルエント溶融状態

にはなく、融ӕ後は分ӕしてしまうことが分った。

こ れ は 、 これ ま でݗ圧 合 成 で CeFe4Sb12を 合 成 し た場 合、700 750℃で 合成し たࠟ料 にはスク ッテ

ルダ イト構造 のピー クは見ら れるも のの、不 純物

相として FeSb2や Sb が多く含まれ、600℃でସ時 間 保 持 し た場 合 に CeFe4Sb12の 単 一 相が 得 ら れ る ことを裏付ける結果となった。ݗ圧下でCeFe4Sb12

In

te

n

si

ty

CeFe4Sb12

2.3GPa, 600oC

In te n si ty CeFe 4Sb12 0GPa, RT

20 40 60 80 100 120

In te n si ty E (keV) CeFe 4Sb12 2.3 GPa, 700oC

40 50 60 70 80 90 100 110

In te n si ty E (keV) PrRu 4P12 3.4 GPa, 1650oC

In te n s it y PrRu 4P12 3.4 GPa, 1500oC

1350 oC

In te n si ty PrRu 4P12 3.4 GPa, 1350oC

In te n s it y PrRu 4P12 0GPa, RT 2 2 0 1 3 0 2 2 2 2 3 1 4 0 0 4 1 1 2 4 0 4 2 2 4 3 1 2 5 1 4 4 0 6 2 0 4 4 4 5 3 0 6 0 0 3 5 2 4 5 1 6 2 2 3 6 1 5 4 3 4 6 0

図 13 CeFe4Sb12の 2.3GPa、各温度での X 線回 折パターン 。700℃では完全にࠟ料 ピークは消失

している。

図 14 PrRu4P12の 1 気圧及び 3.4GPa、各温度で の X 線回折パターン。1500℃ではスクッテルダ

イトピークがほとんど消失し RuP2のピークが見 ら れ る 。1650℃ で は 完 全 にࠟ料 ピ ー ク は 消 失 し

ている。

(11)

を合 成する 場合、融 点(690 700℃ )以下で 固相

反応させる必要があることが確認できた。

3.4 PrRu4P12

 PrRu4P12は 60K 付ؼで金属̶絶縁体転移を示す 化合物である

(2)

。出発物ࡐは圧力 4GPa、1100℃、

保持 時間 30 分で 合成 したࠟ料を 粉末に して 使用

した。PrRu4P12の融点は 1300℃以上のݗ温である こと が予想さ れるた め、ݗ温 型のセ ルアセン ブリ

(図8)を用いた。実験手順は室温で昇圧を3.4GPa

ま で 行い 、 こ の 圧力 を 保 持 し たま ま 昇 温 させ 、X

線回折パターンを観察した。図 14 に PrRu4P12の 室温、1気圧及び3.4GPaにおける1350℃、1500℃

及び1650℃のX線回折パターンを示す。1気圧、

室 温 で 観 測 さ れ た ピ ー ク は ほ と ん ど がࠟ料 PrRu4P12の ピ ー クで あ る 。 数 字 は ス クッ テ ル ダ イ

ト構 造の面指 数を示 している 。●印 のピーク はࠟ

料 以 外 の セ ル 構 成 物ࡐ(BN、 パ イ ロ フ ィ ラ イ ト

等) による ものと 考え られる 。1350℃ までは スク

ッテ ルダイト 構造を 保ってい るが、 この温度 以上

で RuP2と考えられるピークが現れる。1500℃で はス クッテル ダイト 構造のピ ークは ほとんど 消失

し、RuP2のピークが多く観測される。比Ԕのため に 1500℃ の回 折パ ター ン に重 ねて 1350℃ のピ ー

クを示す。1650℃ではࠟ料ピークは完全に消失し、

ࠟ料 が溶融 したこ とを 示して いる。1650℃で 見ら

れ るピ ーク はࠟ料 以外 の パイ ロフ ィ ライ トや BN

等 の ピ ー ク で あ る 。 本 実 験 に よ り PrRu4P12 の 3.4GPa で の融 点 は 1600 1650℃ で あ る と考 え ら

れ る 。溶 融 状 態 から 徐 冷 する と RuP2の ピー ク が 多く 現れ、ス クッテ ルダイト 構造の ピークは 観測

されなかった。従って、CeFe4Sb12と同様、PrRu4P12 も 3.4GPa で コン グ ルエ ン ト溶 融状 態 には ない こ

と が 分 っ た。 ま た 、1350℃ 以 上 で RuP2の ピ ー ク が成ସすることから、ݗ圧下で PrRu4P12を合成す

るには 1350℃以下で固相反応させる必要があるこ

とが確認できた。

4 .まとめ

 ݗ圧下における単結晶育成を目指し、放射光 X

線に よるその 場観察 技術の開 発を行 なった。 この

実験 技術を用 いるこ とで、ࠟ料のݗ圧下にお ける

融点 を知るこ とが可 能となっ た。ス クッテル ダイ

ト化合物 CoP3、CoSb3、CeFe4Sb12及び PrRu4P12の 融点を表1にまとめる。

 表 1 スクッテルダイト化合物のݗ圧下に

 おける融点

化合物 圧力(GPa) 融点(℃)

CoP3 3.8 1350 1400

CoSb3 2.5 820 840 CeFe4Sb12 2.3 690 700 PrRu4P12 3.4 1600 1650

 スクッテルダイト化合物は 1 気圧の下ではイン

コン グルエン トであ り、ࠟ料 作成に は適切な 組成

のフラックスを選択し、添加しなければならない。

しかし、少なくとも二元系の CoP3、CoSb3はݗ圧 下で コングル エント 溶融状態 にあり 単結晶化 が可

能で あること が分っ た。今後 は融点 の圧力依 存性

や徐 冷のスピ ードに よる結晶 成ସの 違い、ク エン

チす る温度な どを決 定する必 要があ る。三元 系の

充填 スク ッテ ルダ イト 化合 物 CeFe4Sb12、PrRu4P12 はݗ圧下でコ ングル エント溶 融状態 にはなく 、溶

融状 態から徐 冷して も単結晶 育成は 望めない 。今

後は フラック ス剤の使 用をࠟみたいと 考えてい る。

ま た 、CeFe4Sb12、PrRu4P12の 実 験 か ら 明 ら か な よ うに 、この観 測技術 はݗ圧下 の固相 反応によ る合

成に 関しては 、不純 物相の成ସを抑 え、目的 物ࡐ

だけ を合成す る条件 を決定す るには 最適な方 法と

いえる。

ࡤ辞

 本研 究はݗエネル ギー 加速器 研究機 構 物ࡐ構

造科学研究所 放射光共同利用実験Ӏ題

(2003G038 )と して 行な われ た。 ビー ムラ イン 担

当者 である物ࡐ構造 科学研究 所の亀 卦川卓美 先生

にお 世話にな りまし た。ここ に感ࡤの意を表 しま

す。 また、本 研究の 一൉は文൉科学 省科学研 究費

補 助 金 特 定 領 域 研 究 「 ス ク ッ テ ル ダ イ ト 」(No.

15072201)を受けて行なわれた。

参考文献

(1) E.B. Bauer, N.A. Frederic, P.-C. Ho, V.S. Zapf and

M.B. Maple , Phys. Rev. B65 (2002) 100506(R).

(2) C. Sekine, T. Uchiumi, I. Shirotani, and T. Yagi,

Phys. Rev. Lett. 79 (1997) 3218.

(3) H. Sato, Y. Abe, H. Okada, T.D. Matsuda, K.Abe, H.

(12)

(4) W. Jeitschko, D. Braun: Acta Crystallogr., Sect. B:

Struct. Crystallogr. Chem., 33, 3401(1977).

(5) 関根ちひろ、城ૌ一民、ݗ圧力の科学と技術

第13巻、第2号 (2003) 176.

(6) 内海渉、ݗ圧力の科学と技術 第 14 巻、第

4号 (2004) 346.

(7) C. H. Lee, H. Kito, H. Ihara, K. Akita, N. Yanase, C.

Sekine and I. Shirotani, J. Crystal Growth 263, Issues

参照

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