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経営戦略プログラム(素案)

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(1)

経営戦略プログラム

( 素 案 )

― 第1章~4章 ―

平成○○年○月

(2)

第1章

経営戦略プログラムとは ………

経営戦略プログラム策定の目的 ………

プログラムの位置付け ………

プログラムの構成 ………

集中改革期間 ………

第2章

三条市の現状~三条市が置かれている座標軸の明確化~ ………

旧三市町村における改革への取組 ………

数値で見る現在の三条市 ………

10

三条市を取り巻く諸要因 ………

16

三条市が置かれている座標軸をどう捉えるか ………

22

(P)何も対策を講じない場合の財政シミュレーション ………

23

第3章

目標の「再」設定~三条市は何を目指すのか~ ………

24

地方主権時代、自治体間競争時代における三条市のあるべき姿 …

24

(P)三条市の経営理念の設定 ………

24

経営理念の実現のための視点 ………

24

行政と市民との新しい関係 ………

25

5-1あるべき三条市の数値指標 ………

26

5-2集中改革期間における主要数値目標の設定 ………

29

第4章

目標達成のための3つの経営戦略~三条市は何をなすべきか~ …

31

構造改革~小さな政府を目指して~ ………

31

歳出入改革~健全で安心できるバランス経営を目指して~ ………

33

意識改革~全国一のサービス提供者を目指して~ ………

33

第5章

目的達成のための14の経営戦術~具体的に行動する三条市~ …

構造改革関連 ………

1-1 事務事業の外部委託計画の策定・実施

………

1-2 公共施設運営計画の策定・実施

………

1-3 地域コミュニティの在り方の策定

………

1-4 電子市役所の構築

………

歳出入改革関連 ………

2-1 歳入確保に向けた諸方策

………

2-2 歳出抑制に向けた諸方策

………

(3)

意識改革関連 ………

3-1 市民サービス向上の諸方策

………

3-2 人事・給与・研修制度改革計画の策定・実施

………

3-3 組織活性化の諸方策

………

3-4 行政評価制度の再構築

………

3-5 目標管理制度の導入

………

(参考1)

14の経営戦術実施スケジュール(予定)

(4)

進行、長引く景気低迷や財政状況の悪化など、著しい環境の変化に直面している。

このような社会経済情勢の変化と厳しい財政状況の中で、旧三条市、旧栄町及び旧下田

村は、究極の行財政改革ともいえる市町村合併の道を選択し、平成17年5月1日、新生

三条市が誕生した。

しかしながら、言うまでもなく、この市町村合併は決してゴールではなく、新しい時代

に対応した地方自治体としてのスタートを切ったに過ぎない。

県内においても、市町村合併の進展により市町村数が激減し、平成18年3月には35

市町村、そのうち市が20となり、これからは、それぞれの市が独自に施策を打ち出し、

住民が住みやすい市を選ぶといった、真の意味での「自治体間競争時代」を迎えることと

なる。

こうした中、合併効果を最大限に活かしつつ、市民の方々に十分満足していただけるよ

うな生活を過ごしていただくため、より一層の行財政改革を断行し、持続的・安定的な行

政サービスを提供できる「小さな政府」を目指す行政システムづくりを進めていくことが

必要となっている。

他方、NPO活動等の活発化などにより、公共的サービスの一部は住民自らが担うとい

う認識も広がりつつある。今後は、限られた行政資源の中、地方自治体自らが担う役割を

重点化するため、こうした認識の広がりを引き続き後押しするとともに、自らは地域の様々

な力を結集し「新しい公共空間」を形成するための戦略本部として機能することにより、

これまで行政が主として提供してきた公共的サービスについても、地域住民、NPOを始

めとする各種団体や民間企業等の多様な社会主体が提供可能な環境を整えていく必要があ

る。

また、本市の経営状況を振り返っても、合併後も引き続き非常に厳しい財政運営を余儀

なくされることが予想されることから、また、団塊の世代を中心とする世代が一斉に退職

し、行政における人的資源が極端に変動することから、このままでは行財政運営が立ち行

かなくなる可能性さえあり、こうした面からも一層の行財政改革を断行することが必要と

なっている。

こうした必要性を深く認識し、こうした現状に積極的かつ果敢に対応するため、本市は、

限られた資源の中でより質の高いサービスを提供することのできる行政システム、多様

化・高度化する市民ニーズに迅速に対応できる行政システムへの転換を断行しなければな

らない。

「経営戦略プログラム」は、こうした行政システムへの転換を図るための具体的な改革

の道筋を示す第一歩である。

今後、本プログラムの指針の下、市民の方々の理解と協力を得ながら、全職員が一丸と

なって改革に取り組み、結果として、全国に誇れるまち「さんじょう」を実現することに

寄与することを願ってやまない。

(5)
(6)

第1章 経営戦略プログラムとは

1 経営戦略プログラム策定の目的

バブル崩壊後、景気の長期的低迷や地方分権の推進などを背景として、旧3市町村では、

行財政改革に積極的に取り組み、一定の効果を上げてきたところであるが、税収の減少、少

子高齢化の更なる進展やいわゆる「三位一体の改革」の影響等により、財政的効果額は飲み

込まれてしまい、経常収支比率が平成16年度は 90.7%となるなど、依然として本市の財政

状況は危機的な状態が続いている。

また、目前に団塊の世代の市職員の退職期間を控え、一面では人件費削減の好機と捉える

ことができるが、反面、現在、役所の中枢を担っている幹部職員を始めとする職員が大量に

退職していくこととなり、今抱えている事務事業を組織として持ち続けることが可能である

かなどの問題も抱えている。

さらには、市町村合併が急速に進み、それぞれの市が独自に施策を打ち出し、住民が住み

やすい市を選ぶといった、真の意味での「自治体間競争時代」を迎えることとなる。とりわ

け、本市は、新潟市、長岡市といった大規模自治体をはじめ、燕市、見附市、加茂市など、

7つもの市と境界を接することとなり、その実感たるや、今は現実のものとなっている。

このように、本市が置かれている状況は、決して楽観視できるものではない。

しかしながら、我々は、この現状を単に「逆風」と受け止めるのではなく、逆に変革のチ

ャンスと捉え、これらの状況に果敢に対応し、市民の方々から「三条市に住んでいて良かっ

た。」、また、全国の方々から「三条市のようなところで生活したい。」と思っていただける

ようなまちとしなければならない。

そのためには、まず、魅力ある行政サービスを将来にわたり安定的に提供できる行政シス

テムへの転換を図らなければならず、その具体的な手法としては、「民間にできることは民

間に」「地域でできるものは地域に」「小さな政府」を具現化するための改革を行うことが必

要である。

本プログラムは、この必要性に対する強い認識の下、自治体経営の視点に立った具体的な

改革の道筋を示すために策定するものである。

2 プログラムの位置付け

本プログラムは、上記目的のとおり、魅力ある行政サービスを将来にわたり安定的に提供

できる行政システムへの転換を図るため、「民間にできることは民間に」「地域でできるもの

は地域に」「小さな政府」を志向する中、自治体経営の視点に立った具体的な改革の道筋を

示すものであり、行政資源や行政プロセスといった行政内部の改革の側面が非常に強いもの

である。

(7)

成18年度策定予定)は、提供される「魅力ある行政サービス」そのものを中心に記載して

いる(又は記載する)ものである。

したがって、本プログラムと両計画との関係については、「新市建設計画」及び「総合計

画」で記載している「魅力ある行政サービス」を提供することを可能とするために必要とな

る行政サイドの改革の道筋を示したものが本プログラムであるとも換言することができる。

なお、本プログラムは、旧3市町村において策定していた行政改革大綱から、平成17年

3月に総務省より示された「地方公共団体における行政改革の推進のための新たな指針」に

よる行政改革大綱の見直し及びその具体的な取組目標を示し策定する「集中改革プラン」の

内容を代替・包括するものでもある。

3 プログラムの構成

本プログラムは、当面の本市の改革項目を網羅的に示すことを目的としており、次の項目

で構成している。

「第2章 三条市の現状」においては、過去の行政改革の取組などを総括した上で、財政

状況や職員構造など現在の本市の状況を分析し、加えて、本市に影響を与えている、又は与

えるであろう経済的・社会的要因を検証することにより、本市が今置かれている座標軸を明

らかにする。

「第3章 目標の「再」設定」においては、第2章を踏まえ、改革によって実現しようと

する本市のあるべき姿とそこに至るための当面の目標値を具体的に示すとともに、改革の理

念を示す。

「第4章 目標達成のための3つの経営戦略」においては、目標達成のために本市は何を

なすべきかについて、その方向性を構造改革、歳出入改革及び意識改革という3つの観点(経

営戦略)から明らかにする。

「第5章 目標達成のための14の経営戦術」においては、第4章で示した3つの経営戦

略を実現するための具体的アプローチについて、それぞれの目標年次とともに示す。

なお、取組の詳細については、「外部委託計画(仮称)」、「定員適正化計画」等の個別計画

により示すものもある。

4 集中改革期間

本プログラムに基づく改革の取組期間は、「総合計画」前期実施計画の終期と合わせ、平

成18年度から平成22年度までの5年間とする。

ただし、平成18年度から平成21年度までの4年間は、国からの通知である「地方公共

団体における行政改革の推進のための新たな指針」に基づく「集中改革プラン」の計画期間

(8)

源)の改善、安定化に留意しながら実施する。

第2章 三条市の現状 ~三条市が置かれている座標軸の明確化~

1 旧3市町村における改革への取組

(1) 行政改革

① 旧3市町村における行政改革大綱等の策定の背景・経緯

バブル崩壊後、長期にわたる経済の低迷が続き、税収が減少を続ける中で、平成

6年10月に自治省より示された「地方公共団体の行政改革推進のための指針」に基

づき、また、平成7年5月に地方分権推進法が公布されたことによる地方分権の拡充・

強化を図るため、さらには、高齢化社会の到来を目前に控えた状況を背景として、平

成8年2月に旧三条市で「新行政改革大綱」を、同年3月に旧栄町で「行政改革大綱」

を、旧下田村で「行政改革に関する大綱」を策定した。これらの大綱では、従来の事

務事業の改善を中心とした改革から、真の地方自治の確立に向けて、地方分権時代に

ふさわしい主体的な行政システムを確立するための改革を掲げ、これらの大綱等に基

づき、その推進をしてきた。

その後、旧三条市では、平成12年4月の地方分権一括法の施行による本格的な「地

方の時代」の到来と依然として厳しい財政状況を受け、新行政改革大綱の見直しを行

い、平成13年3月に「第2次新行政改革大綱」を策定し、行政の組織機構や行政と

市民の役割分担などのあり方を見直し、まちづくり総合計画を推進していくための行

財政基盤づくりを行うための取組を進めてきた。

さらに、平成16年4月には、三位一体改革の影響や税収の低迷により益々厳しさ

を増す財政状況を踏まえ、行政改革から自治体経営という視点に立ち、より徹底した

改革を行うための内部組織として市長を本部長とする経営改革本部を設置し検討を行

ってきた。

② 旧3市町村における取組の効果

【旧三条市】

旧三条市では、「新行政改革大綱(平成8~12年度)」の中で62の改革項目、「第

2次新行政改革大綱(平成13~17年度)」の中で27の改革項目を掲げ、それぞれ

の取組を進めてきた。

これらの改革項目を実施してきたことによる経費削減の効果額は、民間委託等によ

る効果として、平成16年度末までの累計で約9億1千万円に達するものとなってい

(9)

【旧栄町】

旧栄町では、「行政改革大綱(平成8~10年度)」の中で19の改革項目、平成

11年度以降は行財政改革の具体的取組事項として14の改革項目を掲げ、それぞれ

の取組を進めてきた。

【旧下田村】

旧下田村では、「行政改革大綱(平成8~10年度)」の中で21の改革項目を掲げ、

それぞれの取組を進めてきた。

【主な取組と効果額】 (単位:千円)

主な取組 効果額

【旧三条市】

 定員適正化計画(H10~H17) 1,537,750

 ごみ収集運搬業務(H13~H16) 124,424

 学校給食共同調理業務(H13~H16) 176,000

【旧栄町】

 定員適正化計画(H13~H17) 172,500

 事務事業の見直し(補助金等整理合理化)(H11~H12) 18,000※未確認額

自動車運転業務の民間委託(H15~H17) - ※未検証

【旧下田村】

 定員適正化計画(H10~H17) 153,400

 事務事業の見直し(H8~H17) - ※未検証

 ごみ収集業務(H11~H17) - ※未検証

以上のように、旧3市町村とも数多くの改革項目を実施する中で、各団体における

内容に相違はあるものの、ごみ収集運搬業務、し尿収集運搬業務、保育業務、公用車

運転業務等や観光施設、デイサービスセンター等の管理運営業務について民間委託を

推進してきたことは、行政と民間との役割分担の見直し、小さな政府への転換という、

本市が目指しているこれからの地方自治体のあり方につながる重要な改革であり、成

果であったと評価できる。

しかしながら、改革項目を子細に検討してみると、各部局等にわたり万遍なく改革

の取組が行われているものの、内容について軽重のばらつきがあり、実行の容易な項

目もあるが、一方では、本気で取り組もうとした場合には困難を要するものとなるた

め抽象的な表現にとどまり具体的な目標が明示できていない項目もある。

また、社会経済状況の変化により、目標数値を精査し現状にあったものに改めるべ

(10)

(2) 財政改革

① 旧3市町村における財政健全化への取組

【旧三条市】

旧三条市においては、平成12年2月に「財政健全化方針」を策定し、この方針に

基づき、平成13年3月に「財政健全化計画(平成13~16年度)」を策定し、健全

化の目標を次のように定め、取組を行ってきた。

【財政健全化の目標】

1 財政調整基金繰入金1を計上しない予算編成を行う。

2 経常収支比率2は90%以内を確保する。

3 財政調整基金3を10億円以上確保する。

この3点の目標達成を目指し、内部革新の徹底、事務事業の抜本的な見直し、歳入の

確保に取り組んできたところである。

この取組の結果、退職者完全不補充等による人件費の削減や補助金・負担金の整理合

理化などによる歳出の抑制、家庭ごみの有料化などによる歳入の確保など一定の成果は

あったと言える。

しかしながら、計画期間内における予算編成での財政調整基金繰入金の計上について

は、市税収入が低迷する中、扶助費 4

や公債費 5

が増加し続け、当初予算ベースでは6~

10億円、現計予算ベースでは10~12億円ほどを計上せざるを得ない状況であった。

また、経常収支比率は、市税収入が低迷することに加え、扶助費や公債費の増加とい

わゆる「三位一体の改革」による地方交付税改革の影響により上昇を続け、平成16年

度は 91.4%(対前年比 1.2 ポイント増)という結果となった。

なお、財政調整基金10億円の確保については、かろうじて10億円前後を確保して

きたが、各年度の予算編成では同基金を計上しなければ予算編成ができなかったという

状況であり、また、団塊の世代の職員が退職することになり多額の退職金を必要とする

ことからも、平成22年度以降の財政運営を考えた場合、決して安心できる状態にある

1 財政調整基金繰入金:地方公共団体における年度間の財源の不均衡を調整し、突発的な財政需要

等に対応するため、財政調整基金を取り崩し、一般会計の歳入に財源として組入れることを指す。

2 経常収支比率:市税収入など毎年度経常的にある歳入に対する、人件費や扶助費など経常的な歳

出の割合を指す。(一般に、都市にあっては75%程度が適正であるとされている。)

3 財政調整基金:地方公共団体における年度間の財源の不均衡を調整したり、突発的な財政需要に

対応するなど安定的な財政運営をするための積立金を指す。

4 扶助費:生活保護法、児童福祉法及び老人福祉法等に基づき、被扶助者に対してその生活を維持

するために支出される経費を指す。

(11)

とは言えない。

旧三条市-財政調整基金繰入金の推移

5 3 2 9 5 7 5 1 6 1 1 0 5 10 15 20 25 30

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 (億円)

旧三条市-経常収支比率の推移

9 1. 4 90 .2 90 .1

8 6. 6

7 5. 5

77 .3

87 .0 86 .6

8 7. 2 8 5. 6

70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 95.0 100.0

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 (%)

旧三条市-財政調整基金残高の推移

5. 8 5. 1 6 .8 12 .7 8. 1 8. 5 11 .9 9. 9 8. 4 1 0. 3

0 2 4 6 8 10 12 14

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 (億円)

【旧栄町】

旧栄町においては、策定された計画はないものの、財政健全化に積極的に取り組ん

できた。

この取組の結果、退職者の不補充等による人件費の削減や補助金・負担金の整理合

理化などによる歳出の抑制、家庭ごみの有料化などによる歳入の確保など一定の成果

はあったと言える。

しかしながら、経常収支比率は、町税収入が低迷することに加え、扶助費や公債費

の増加といわゆる「三位一体の改革」による地方交付税改革の影響により上昇を続け、

(12)

旧栄町-経常収支比率の推移

7 7. 6

8 1. 0

81 .1

8 3. 7

7 1. 5 7 5. 4

8 4. 7

8 9. 2

8 6. 9 90 .4 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 95.0

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 (%)

【旧下田村】

旧下田村においては旧栄町と同様に、策定された計画はないものの、財政健全化に

積極的に取り組んできた。

この取組の結果、退職者の不補充等による人件費の削減や補助金・負担金の整理合理

化などによる歳出の抑制、家庭ごみの有料化などによる歳入の確保など一定の成果は

あったと言える。

しかしながら、経常収支比率は、村税収入が低迷することに加え、扶助費や公債費の

増加といわゆる「三位一体の改革」による地方交付税改革の影響により上昇を続け、

平成16年度は 87.7%(対前年比 4.4 ポイント増)となった。

旧下田村-経常収支比率の推移

7 9. 1

7 9. 2

79 .5 7 9. 5 79 .9

7 6. 5 8 0. 3

8 3. 6 83 .3 8 7. 7

70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 95.0 100.0

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 (%)

経 常 収 支 比 率 の 推 移

70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 95.0 100.0 105.0 110.0 (

)

合計 三条 栄 下田

(13)

このように、旧3市町村とも退職者の不補充等や補助金・負担金の整理合理化、受益

者負担の適正化に取り組み財政健全化に努め一定の成果を上げたにもかかわらず、市

(町村)税収入が低迷することに加え、扶助費や公債費の増加といわゆる「三位一体

の改革」による補助金・負担金の削減と地方交付税改革の影響により効果額が飲み込

まれてしまっている。

今後、新市においても、引き続き非常に厳しい財政運営を余儀なくされるものとなる

中、新市建設計画登載事業の実施にあたり発行する合併特例債及び水害等の復興に要

した経費として借り入れた市債の後年度にわたる償還金や団塊の世代が退職すること

による多額の退職金の必要性を考えた場合、決して安心できる状態にあるとは言えず、

更なる財政健全化の取組が必要である。

【旧3市町村における三位一体改革の影響額】 (単位:百万円)

補助金負担金 地方交付税制度

削減額 見直し削減額

三条市 △ 331 △ 707 140 △ 898

栄 町 △57 △169 19 △207

下田村 △128 △304 19 △413

合 計 △516 △1,180 178 △1,518

税源移譲額 差引影響額

 

      区 分

 旧市町村

三位一体改革の影響額(平成16年度)

【旧3市町村 市(町・村)税及び扶助費・公債費の推移】 (単位:百万円)

H10年度 H11年 度 H12年 度 H13年 度 H14年度 H15年度 H16年 度

三条市 11,400 11,174 10,858 10,882 10,870 10,280 10,224

栄町 1,661 1,634 1,562 1,573 1,603 1,538 1,583

下田村 886 927 910 959 930 897 869

三条市 6,609 7,029 6,092 6,279 6,580 6,818 6,812

栄町 741 849 734 763 769 780 814

下田村 953 1,055 866 941 1,097 1,079 1,124

旧市 町村 名・ 区分

市 (町 村) 税

扶助 費・公 債費

② 旧3市町村における定員適正化への取組

【旧三条市】

旧三条市においては、平成10年1月に「第5次定員適正化計画(平成10~15

年度)」を策定し(平成13年3月に平成17年度まで2年間の期間延長)、定員適正

化の目標を次のとおり定め、取組を行ってきた。

【定員適正化目標】

(14)

この取組の成果としては、退職者完全不補充の実施により、平成17年度までの

8年間で192人の削減を実現し、計画目標を大幅に上回る成果を挙げた。

【旧栄町】

旧栄町においては、平成12年度に「定員適正化計画(平成13~17年度)」を策

定し、定員適正化の目標を次のとおり定め、取組を行ってきた。

【定員適正化目標】

・平成17年度までの5年間で10人削減(対平成12年度比:6.5%削減)

この取組の成果としては、退職者の不補充の実施により、平成17年度までの5年

間で21人の削減を実現し、計画目標を上回る成果を挙げた。

【旧下田村】

旧下田村においては、平成6年度に「第2次定員適正化計画(平成6~10年度)」、

平成11年度に「第3次定員適正化計画(平成11~15年度)」、平成15年度に「第

4次定員適正化計画(平成16~20年度)」を策定し、定員適正化の目標を次のとお

り定め、取組を行ってきた。

【定員適正化目標】

・平成20年度までの15年間で36人削減(対平成6年度比:18.6%削減)

この取組の成果としては、退職者の不補充の実施により、平成17年度までの12

年間で26人の削減を実現し、ほぼ計画目標どおりの成果を挙げた。

【旧3市町村における定員適正化の状況】

旧 市 町 村 名 三 条 市 栄 町 下 田 村

基 準 年 月 日 H 9 年 4 月 1 日 現 在 H 1 2 年 4 月 1 日 現 在 H 9 年 4 月 1 日 現 在

削 減 前 職 員 数 8 5 7人 1 5 4 人 1 8 7 人

削 減 後 職 員 数

( H 1 7 年 4 月 1 日 現 在 )

削 減 実 績 人 数 ( 累 計 ) 1 9 2人 2 1 人 1 9 人

( 削 減 目 標 人 数 累 計 ) ( 1 3 3人 ) ( 1 0 人 ) ( 1 9 人 )

削 減 率 2 2 . 4 0 % 1 3 . 6 0 % 1 0 . 2 0 %

( 削 減 目 標 率 ) ( 1 5 . 5 0 % ) ( 6 . 5 0 % ) ( 1 0 . 2 0 % )

削 減 効 果 額 約 1 5 億 4 千 万 円 約 1 億 7 千 万 円 約 1 億 5 千 万 円

6 6 5人 1 3 3 人 1 6 8 人

このように、旧三条市と旧栄町においては計画目標以上の削減を実施し、また、旧下

田村においては計画目標と同様の削減を実施し、事務の効率化及び財政効果の面で大

きな成果があったと言える。

しかしながら、職員数の削減で捻出した財政効果額も、経常収支比率の悪化を見ると

市(町・村)税収入の低迷、上述の扶助費や公債費の増加といわゆる「三位一体の改

(15)

また、合併時ということもあり、全職員数が1,154人(平成17年5月1日現在。

旧広域事務組合職員を含む。)と多くなっており、類似団体

6

と比較した場合、本市の普

通会計部門職員数1,063人に対して、類似団体では824人となっており239人

の超過となっている。一方では、団塊の世代の職員の多数の退職(平成26年度の

ピーク時で退職者67人:退職金約15億円の見込み)を控えている。

今後も、職員数の削減を進め財政の健全化を図るとともに、持続的・安定的な行政

サービスの提供を行うためにも、今まで以上に計画的な定員管理が必要となっている。

2 数値で見る現在の三条市

(1) 財政状況

7

① 経常収支比率

経常収支比率は、都市においては 75%程度が適正とされている。

三条市では平成7年度の 75.6%以降、徐々に高くなり、平成16年度においては、

三位一体改革の影響もあり90.7%となっている。平成16年度における県内20市の

経常収支比率の平均は 90.1%であり適正ラインの 75%にはほど遠い状況にあるが、そ

れに比べても 0.9 ポイント高い状況にある。いずれにしても、経常収支比率が高いと

いうことは、財政の弾力性が低いということであり、時代とともに変化する市民ニー

ズに即時に対応することが難しいということができる。

なお、市民ニーズに対応した政策に充当可能な経常一般財源額についても、経常収

支比率の推移に連動する形で、減少の一途をたどっている。

経 常 収 支 比 率 の 推 移 ( 三 条 市 - 県 内 2 0 市 と の 比 較 )

8 5 . 6

7 5 . 6 7 6 . 9

8 3 . 5

9 0 . 7 8 8 . 7 8 9 . 0

8 5 . 3 8 5 . 6 8 4 . 8

8 4 . 9

7 7 . 5

8 2 . 0 8 1 . 1 8 1 . 1 8 1 . 3

8 3 . 3 8 5 . 2

9 0 . 1

7 6 . 4 70.0 75.0 80.0 85.0 90.0 95.0 100.0 105.0 110.0

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 (%)

合計 20市 適性ライン

〔臨時的(政策的)経費に充てることができる経常一般財源額の推移〕

(「経常一般財源歳入総額」-「経常経費充当一般財源額」) (単位:億円)

H12 H13 H14 H15 H16

35.2 36.0 26.4 26.9 21.6

6 類似団体:全国の市町村を人口規模と産業構造を基準に分類したもの。

7 財政状況:各項目については、合併前の旧三条市、旧栄町及び旧下田村を1団体であったものとして

(16)

② 起債制限比率

起債制限比率とは、地方債元利償還金に充てられた一般財源の標準財政規模(地方

公共団体の一般財源の標準的な規模)に占める割合であり、通常3か年平均で計算す

るが、20%以上の団体は新規の借入れが制限され、14%以上の団体は国の指導により

適正化に努めなければならないとされている。

旧三条市においては、「公債費負担適正化計画

8

(平成8~12年度)」に基づき、各

年度の市債発行額の限度を特別なものを除き15億円台に設定し、また、平成13年

度からは財政健全化方針に基づき、市債発行額の上限を13億円台に設定して公債費

の抑制を行い、併せて、高率縁故債等の低利借換えにより利子償還額の軽減を図りな

がら起債制限比率の低下に努めてきた。

しかし、今後は新市建設計画登載事業 を実施していくことから、10年間で約

270億円もの合併特例債を発行していくことになっている。合併特例債の償還費に

ついては、その 70%は普通交付税で措置されるが、残余の 30%については市税等の自

主財源で償還していくことになる。この部分が今後の起債制限比率に影響を与えるこ

とは確実である。

起債 制限比率の推移

13 .5 14 .1 14 .2

12 .8

1 2. 3 1 2. 2 12 .3 1 2. 6

12 .912 .9 1 1. 9 1 1. 9 12 .0 12 .1 1 2. 1 1 2. 0 11 .8 1 1. 7 11 .7

1 2. 0

8.0 9.0 10.0 11.0 12.0 13.0 14.0 15.0 16.0

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 (%)

合計 20市 警戒ライン

③ 財政調整基金残高

財政調整基金は、自治体における年度間の財源不足の不均衡の調整や、突発的な財

政需要に対応するなど、安定的な財政運営をするための積立金であるが、財政調整基

金比率(基金残高の標準財政規模に対する割合)は 5%程度が望ましいとされている。

年度末残高については約15~25億円で、財政調整基金比率については約 7~10%

で推移しており、平成17年9月末現在では、それぞれ、約30億円、約14%となっ

ている。

8 公債費負担適正化計画:公債費負担の重い地方自治体が、自主的に公債費負担の適正化を推進す

(17)

しかし、本プログラムを通して明らかとなり、引き続き非常に厳しい財政運営を余

儀なくされる中で、団塊の世代が退職することによる多額の退職金の必要性を考えた

場合、決して安心できる状態にあるとは言えない。

財 政 調 整 基 金 残 高 と残 高 比 率

1 7 . 0 2 1 . 0 2 3 . 0 2 4 . 0 2 4 . 4

1 6 . 3 1 6 . 4

1 7 . 0 1 7 . 3

1 8 . 7

9 . 9

8 . 0 8 . 6

1 0 . 0 1 0 . 2

1 0 . 1

6 . 8 7 . 7

7 . 0 6 . 6

0.0 5.0 10.0 15.0 20.0 25.0 30.0

H7 H8 H9 H10 H11 H1 2 H13 H14 H1 5 H16 ( 億円)

1 .0 3 .0 5 .0 7 .0 9 .0 1 1.0 (比率%)

財政調整基金残高 財政調整基金残高比率

④ 歳入歳出決算額の推移

【歳 入】

歳入については、市税収入が伸び悩むことに加え、地方交付税は下降の一途であ

る(平成16年度に関しては、災害や合併に伴う分の特別交付税が措置されたため

増となっているが、災害分31億円、合併分3億円を除いた交付税の額は、約79

億円となっており、平成15年度とほぼ同額となっている。)。

市債については、減税補てん債 9

や臨時財政対策債 10

などを除いた投資的経費分の

借入額は、平成16年度若干増加したものの年々減少傾向にある。(平成16年度の

市債に関しては、災害や合併により大幅に増額となっているが、それらの要因を除

くと平成15年度に比べ微増にとどまっている。)これは旧三条市において、公債費

負担適正化計画や財政健全化方針に基づいて、発行額の抑制を図ったことが原因で

ある。

以上のような歳入の状況から、歳入不足を補てんするため、毎年度財政調整基金

を取崩し、繰入れを行っていかなければいけない状況であった。

9 減税補てん債:地方税の特別減税、制度減税による地方自治体の減収額を埋めるために発行する

地方債を指す。

10 臨時財政対策債:地方交付税を補い、地方自治体の一般財源の不足に対処するために発行する地

(18)

歳入 の内訳と推移 14 0 14 3 14 9 13 9 13 7

13 3 13 4 13 4

12 7 12 7

7 2

7 6 7 7 8 5 95 9 8 9 2 8 6 7 7 11 3 3 8 4 6 3 3 4 6 5 9 3 2 3 5 2 7 2 1 4 1 1 1

6 5 3 2 1

5 7 5

9 0 20 40 60 80 100 120 140 160

H7 H8 H9 H10 H11 H12 H13 H14 H15 H16 (年度) (億円)

市税 交付税 市債 基金繰入金

【歳 出】

歳出については、旧三条市において市債発行額の抑制を図ったことから、投資的経

費などの臨時的経費は減少傾向にある。(平成16年度の臨時的経費に関しては、災

害や合併に伴い増額(約92億円)となっているが、それらの要因を除くと平成

15年度とほぼ同額となっている。)また、経常的経費については、公債費や扶助費

の伸びにより増加傾向にある。

歳 出 決 算 額 の 推 移

2 1 0 2 1 7

2 3 5 2 4 3

2 5 1 2 4 4

2 5 3 2 5 3 2 5 6 2 5 5

1 7 4 1 9 2

1 5 3 1 7 7

2 1 0

1 6 0 1 4 9

1 3 8 1 1 0

2 1 1

0 50 1 00 1 50 2 00 2 50 3 00

H7 H8 H9 H1 0 H1 1 H1 2 H1 3 H1 4 H15 H16 (年度) ( 億円)

経常的経費 臨時的経費

(2) 職員構造

前述のように、合併前の各市町村においてそれぞれが定員適正化計画等に基づき職員

(19)

となった。これは、合併直後で当然のことではあるが、前述のとおり、人口同規模の市

と比較すると非常に多い職員数となっている。

職員を年齢別でみると、団塊の世代を含む47歳から54歳までが446人と極めて

多く全体の4割近くを占め、逆に、20歳代以下の職員は118人で僅か1割に過ぎな

いという非常にいびつな職員構成になっている。団塊の世代が多いことは三条市に限っ

たものではないが、若年層の職員が少ないことは旧3市町村が行財政改革を推進する中

で退職者の不補充等により職員削減を進めてきたことが大きな要因である。

また、今後の定年退職者数をみると、国の集中改革プランの期間である平成22年

4月1日までが136人(対職員数比 11.8%)、その後の5年間は299人(同 25.9%)

となっており、この10年間に合計435人、全体の4割に近い職員が退職することと

なる。

内訳は、一般行政職359人、技能労務職78人、消防職48人であり、また、現在

の管理職のうち 87%にあたる135人がこの間に退職することになる。このような幹部

職員をはじめとする団塊世代の大量退職が行政サービスの低下を招くことのないよう、

民間活力の活用はもちろんのこと、事務権限の委譲や責任の付与などを行い、早急に次

の世代の職員の育成を図らなければならない。

新市における年齢別職員数

1 1 2 4 1 3 7 14 20 18 20 17 18 17 17 13 12 26 13 17 11 12 20 21 17 23 18 25 27 32 32 38 33 43 37 22 19 23 15 8 1 3 5 9 3 6 7 5 8 14 10 11 8 11 14 10 5 8 12 4 2 5 7 15 11 20 23 22 18 35 23 21 22 15 18 10 7 14 2 1 1 1 5 9 10 6 13 21 25 26 34 27 29 25 28 27 22 31 21 29 15 14 25 28 32 34 38 48 49 50 67 61 54 65 52 40 29 30 29 10

0 10 20 30 40 50 60 70 80 18歳(平成58年度)

19歳(平成57年度) 20歳(平成56年度) 21歳(平成55年度) 22歳(平成54年度) 23歳(平成53年度) 24歳(平成52年度) 25歳(平成51年度) 26歳(平成50年度) 27歳(平成49年度) 28歳(平成48年度) 29歳(平成47年度) 30歳(平成46年度) 31歳(平成45年度) 32歳(平成44年度) 33歳(平成43年度) 34歳(平成42年度) 35歳(平成41年度) 36歳(平成40年度) 37歳(平成39年度) 38歳(平成38年度) 39歳(平成37年度) 40歳(平成36年度) 41歳(平成35年度) 42歳(平成34年度) 43歳(平成33年度) 44歳(平成32年度) 45歳(平成31年度) 46歳(平成30年度) 47歳(平成29年度) 48歳(平成28年度) 49歳(平成27年度) 50歳(平成26年度) 51歳(平成25年度) 52歳(平成24年度) 53歳(平成23年度) 54歳(平成22年度) 55歳(平成21年度) 56歳(平成20年度) 57歳(平成19年度) 58歳(平成18年度) 59歳(平成17年度)

H17. 4.1現 在年 齢(退職年 度)

(20)

(3) サービス指標

旧三条市においては「市民に身近な行政」の実現という観点から、嵐南サービスコー

ナーの設置(平成4年7月)、市民課時間外サービスの実施(平成9年4月)、公共施

設開館時間の拡大(平成12年4月)、日曜窓口の開設(平成12年5月)など、市民

サービスの向上を目指し、様々な取組を行ってきた。

また、平成10年10月に窓口サービスや庁内環境について、市民がどのように感じ

ているのかを把握するため、窓口などへの来庁者を対象にアンケート調査を実施した。

結果として、職員の応対については、言葉づかいが「よい」と回答したのは 36.7%、

態度が「よい」は 30.0%、説明が「よい」は 27.4%、用件の処理時間が「よい」は 17.3%

となるなど、市民にとって満足のいく行政サービスを提供できていなかったということ

が分かった。

このアンケート結果を受けて、接遇などの基本姿勢を具体的に示した接遇マニュアル

「さわやか接遇」を作成し、それに基づいた職員研修を実施するなど接遇マナーの向上

を図った。

新三条市になって平成17年10月、市民に身近な窓口などの行政サービスの質をよ

り向上させるため、市民が市の職員に対し感じていることや窓口での応対状況などを把

握することなどのためにアンケート調査を実施した。

その結果、職員の接客態度が「よい」と回答したのは 68.6%、用件の処理時間が「よい」

は 76.5%、対応が「よい」は 63.4%となるなど、旧三条市の平成10年アンケート結果と

比較すると満足度は向上しているものの、まだまだ十分とは言えないことが分かった。

今後も、行政が市民と直接対応する各課等のいわゆる窓口における職員の接遇や開設

時間などに対する市民の満足度を行政サービスの質を表す指標の1つとして、定期的に

調査しながらその向上に努める必要がある。

アンケート調査結果

30.0

17.3

68.6

76.5 0 10 20 30 40 50 60 70 80 90

態度がよい

用件の処理時間に満足

(21)

3 三条市を取り巻く諸要因

(1) 経済的要因

① いわゆる「三位一体の改革」( 国から地方への財源移転機能の変化 )

いわゆる「三位一体の改革」とは、補助金の縮減、税源移譲、地方交付税改革を一

体で行い、国と地方の税財政関係を抜本的に改革することであり、平成15年6月に

閣議決定された「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2003」において具体

的な改革工程が示されたが、その骨子は次のとおりである。

これを受けた平成16年度政府予算においては、補助金1兆円の削減、所得譲与税

の創設による税源移譲、地方交付税の1兆円削減が盛り込まれた。

また、「経済財政運営と構造改革に関する基本方針2004」に基づき平成16年

11月には政府・与党による改革の全体像がまとめられたが、平成17、18年度に

おける補助金改革は総額2兆8,380億円、税源移譲額は16年度分も含めて2兆

4,160億円となった。

この影響により、平成16年度では旧3市町村の合算額で約15億円、平成17年

度では約4億円の歳入減となったが、市税が伸び悩んでいる中での地方交付税の減額

により財源の確保が益々厳しいものとなり、平成16年度決算においては経常収支比

率を引き上げる要因にもなった。

(表挿入⇒準備中)

② 新市建設計画登載事業の見通し(P)

新市建設計画においては、10年間で約270億円の合併特例債の発行を予定して

いる。合併特例債については、その償還費の70%が地方交付税により措置されるもの

の、残余の 30%については一般財源での償還となる。また、合併特例債充当率 95%の

充当残部分には県地域づくり資金約15億円が充当されるが、これは無利子とはいえ

財源措置のない中で償還していくことになる。

合併特例債を活用する事業については、県地域づくり資金もあわせて 100%の市債が

発行でき当該年度の財源としては問題ないが、その後の償還費が財政を圧迫していく 【いわゆる「三位一体の改革」骨子像】

・補助金改革:平成18年度までに概ね4兆円を目途に廃止・縮減等を行う。

・税源 移譲:基幹税の充実を基本に、補助金の性格等を勘案し8割程度を目安と

して移譲し、義務的な事業については徹底的な効率化を図った上で

全額を移譲

・地方交付税:地方歳出を徹底的に見直し交付税総額を抑制し、財源保障機能も見

(22)

おそれがある。

しかし、新市建設計画に登載された事業については、新市の均衡ある発展のため必

要な事業であり、その意に沿う方向で実施していかなければならない。しっかりとし

た財政見通しを立てた中で、償還費の状況を考慮しながら進行管理をしていく必要が

ある。

合併特例債が起債制限比率に与える影響 ⇒ (内容は次回記載)

合併特例債の発行予定額及び償還費の推計

12 .1 3 3.1 5 7.7 26 .7 4 8.5 4 3 26 .2 4.7 5 .9 7 .8 0 .3 1.1 3.2 5 .7 10 1 2.4 1 5.6 17 .8 1 6.7 17 .1 17 .5 17 .8 18 .2 1 8.6 1 8.9 19 .3 19 .2 1 9.2 19 .1 0 10 20 30 40 50 60

17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 0 10 20 30 40 50 60

発行額

償還額

年度 億円

③ 2010年問題(退職者の急増)

本市では、平成22年度(2010年度)以降、職員が多数退職することになり、

各年度の退職金については、全て一般財源で賄っていくことになる。

定年退職者数については、平成18年度以降には毎年度約30~70人が退職する

ことになり、その結果、ピーク時では単年度で約15億円の退職金を措置する必要が

ある。

この財源を確保していくためにも、本プログラムに沿った経営改革を着実に実行し

て、財政調整基金残高を確保していかなければならない。

年 度 H18~H36 H37~H46 償還総額

(23)

退職者数と退職手当の推計 6 7 61 5 4 65 52 3 7 2 9 3 0 2 9 1 3 15 1 2 3 1 5 1 2 12 9 7 7 7 0 1 0 2 0 3 0 4 0 5 0 6 0 7 0 8 0

H17 H18 H19 H20 H21 H22 H23 H24 H25 H26

(人)

0 2 4 6 8 1 0 1 2 1 4 1 6

(億円)

退職者数

退職手当

④ 少子高齢時代の到来

少子高齢時代の現状を、全国と新潟県とで比較すると、平成16年の全国平均は、高

齢化率 11

19.5%、出生率

12

8.8‰、新潟県では高齢化率 23.4%、出生率 8.0‰となってお

り、全国と比べ少子高齢化が進んでいると言える。

三条市は県平均よりも若干数値が良いものの少子高齢化は着実に進んでいる。

今後、少子高齢化が更に進展していくと、福祉や介護等にかかる扶助費等の支出増や、

労働者人口の急激な減少による生産性の減退といった地域経済への影響がもたらす市

税収入の低下など、歳入歳出の両面から市に与える影響は大きいと考えられる。

【高齢化の状況】 (単位:%)

年   度 H 1 1 H 1 2 H 1 3 H 1 4 H 1 5 H 1 6

高 齢 化 率 1 9 . 1 1 9 . 6 2 0 . 4 2 1 . 0 2 1 . 6 2 2 . 1

(参考) H16 H37

新潟県 23.4 31.4

(平成 37 年度は推計)

【少子化の状況】 (単位:人、‰)

年   度 H 1 1

H 12 H1 3 H 1 4 H1 5 H 1 6

出 生 数 1 ,0 2 5 9 55 97 8 8 9 6 85 9 8 9 4

出 生 率 9 . 3 8 .7 8. 9 8 . 2 8. 0 8 . 3

11

高齢化率:人口全体に占める65歳以上の人口割合

12

出生率:人口 1,000 人当りの出生数の割合

退職者数合計(H17~H26) 437

(24)

⑤ 地域経済の低空飛行

低迷する景気の中、三条市を取り巻く経済情勢は依然として厳しい状況にあり、工

業出荷額や事業所数等も軒並み減少傾向である。それに加え、平成16年度は7.13

新潟豪雨災害や中越大震災、原材料価格の高騰等があり、中小製造業者が多い三条市

はこれらの影響をまともに受けている。

少子高齢化の進行による市場全体の縮小や、団塊の世代の高い技術を保持する技能

者の大量退職、海外との価格競争等、今後懸念される材料も多くある。

現在、回復基調にあるとはいえ、依然として地元企業は厳しい状況下にあり、これ

らが地域経済や市税等に与える影響も大きい。

三 条 市 事 業 所 ・ 従 業 員 数 の 推 移

1 , 6 7 9 1 , 8 4 1

1 , 9 0 8 2 , 1 3 3 2 , 0 6 4

1 , 9 5 9 2 , 0 2 6

2 , 1 7 4

1 6 , 4 1 7 1 7 , 4 1 7

1 7 , 8 5 2 1 8 , 1 9 0

1 8 , 3 9 6 1 9 , 3 6 0

2 0 , 0 0 1 1 9 , 8 1 4

0 50 0 1 ,00 0 1 ,50 0 2 ,00 0 2 ,50 0 3 ,00 0 3 ,50 0 4 ,00 0

H 7 H8 H 9 H1 0 H1 1 H1 2 H1 3 H1 5 (事業所数)

0 5 ,0 0 0 1 0,0 00 1 5,0 00 2 0,0 00 2 5,0 00 ( 従業員数) 事業所数 従業員数

三 条 市 製 品 出 荷 額 等

3 , 3 0 3

3 , 5 0 7

3 , 4 3 7

3 , 0 4 3

2 , 8 1 2 2 , 8 8 3 2 , 8 2 2

2 , 6 5 9

0 5 0 0 1 ,0 0 0 1 ,5 0 0 2 ,0 0 0 2 ,5 0 0 3 ,0 0 0 3 ,5 0 0 4 ,0 0 0

H7 H8 H9 H1 0 H1 1 H1 2 H1 3 H1 5 ( 億円)

⑥ 7・13水害の爪痕

平成16年度に発生した水害や地震による今後の影響としては、まず、所得税の雑

損控除による個人市民税の減収が平成17年度から20年度までの4年間続く(平成

17年度は約3億2千万円の減収)。

(25)

理及び市営住宅の建設等の災害からの復興のための事業に係る市債、建設事業以外の

災害関連経費の財源を確保するために発行した財政健全化債並びに地域再生事業債等

の償還費は総額で約37億円となっている。このうち、交付税措置や特定財源の約

10億円を差し引いた27億円ほどが実質的な市の負担額となっており、この償還費

が今後の財政運営に確実に影響を与えるものと考えられる。

【災害関連債務の償還費】 (単位:億円)

年   度 H 1 7 H 1 8 H 1 9 H 2 0 H 2 1 H 2 2

償 還 費 ( A ) 0 . 2 1 . 8 3 . 6 4 3 . 8 3 . 5

交 付 税 等 ( B ) 0 . 9 1 . 1 1 . 8 1 . 1 0 . 8

実 負 担 額 ( A ) -( B ) 0 . 2 0 . 9 2 . 5 2 . 2 2 . 7 2 . 7

年   度 H 2 3 H 2 4 H 2 5 H 2 6 H 2 7 ~ 合 計

償 還 費 ( A ) 3 . 5 3 . 5 3 . 4 3 . 4 6 . 4 3 7 . 1

交 付 税 等 ( B ) 0 . 8 0 . 8 0 . 8 0 . 8 0 . 8 9 . 7

実 負 担 額 ( A ) -( B ) 2 . 7 2 . 7 2 . 6 2 . 6 5 . 6 2 7 . 4

(2) 社会的要因

① 自治体間競争時代の到来

市町村合併は、究極の行財政改革であるとともに、個性ある多様な行政施策を展開

するための一定の規模・能力(権限、財源、人材)を入手する手段でもある。

この市町村合併により、新潟県においても、平成15年4月に111あった市町村が

平成18年3月には35市町村(うち市の数は20)に減少するなど、県内の行政地図

も大きく様変わりし、本市においても、新潟市、長岡市といった大規模自治体をはじめ、

燕市、見附市、加茂市など、7つもの市と境界を接することとなる。

これは即ち、前述の個性ある多様な行政施策を展開するための一定の規模・能力を持

った自治体と競合することを意味する。

こうした状況を踏まえ、本市は、今後、可及的速やかに、魅力ある行政サービスを将

来にわたり安定的に提供できる行政システムを構築した上で、独自の政策を打ち出し、

市民の方々から「三条市に住んでいた良かった。」、また、全国の方々から「三条市のよ

うなところで生活したい。」と思っていただけるようなまちとしなければならない。

なお、このことは、併せて、新潟、長岡両地域に挟まれた本市を含む県央地域の持続

的・安定的な発展にも寄与することでもあることを忘れてはならない。

② 地方主権の本格化

地方分権とは、国の権限や財源を地方自治体に移すことであるが、地方自治体側か

ら見れば、国から権限を勝ち取り、自ら主体的に行うという意味では「地方主権」で

(26)

地方主権の時代を迎えようとしている今、地方自治体には、自己決定・自己責任の

行財政運営が強く求められている。

実際、地方行政を取り巻く状況を見ても、価値観の変化や個人、家庭、地域社会の

役割が変化する中で行政に求められるニーズは地域社会ごとに異なってきている。

また、かつての国主導による画一的な政策ではなく、それぞれの地域に必要なサー

ビスをより住民に近い地方自治体が主体的に判断・選択していく方向にもある。併せ

て、いわゆる「三位一体の改革」の推進によって、財源的にも地方自治体の自立性が

高まることとなり、住民の受益と負担の関係がより明確となる。

これらの事情を意識改革の観点からみると、自己決定のためには組織の政策能力を

高め判断力を磨く必要があり、そのためには職員一人ひとりの智恵と工夫を引き出す

努力が必要となる。

また、行財政・構造改革の観点から見ると、自己責任を果たすためには、質の高い

サービスを継続的かつ安定的に提供できるような、強固な財政基盤を確立・維持する

ことが必要である。

一方、住民は、一方的かつ画一的に行政サービスを与えられコストを押しつけられ

るのではなく、求めるサービスを自らの手で選び取り、それに伴うコストを自ら負担

することが必要になってくる。こうした意識の下、厳しい目で行政をチェックすると

いった地域社会での自己責任意識を確立していくことが「地方主権」社会である。

③ もう1つの2010年問題

地域においては、行財政システムが集権型から分権型に転換することを求められる

中、市民活動、NPO活動の活発化など公共的サービスの提供に関して、住民自らが

担っていこうという認識が広がりつつある。

また、経済成長による物質的な豊かさよりも、個性や多様性、心の豊かさを求める

価値観が広がり、自らが暮らす地域のために活動することに生きがいを見出す人々も

増加している。

これまでも、主として「官」 13

により提供されてきた「公共サービス」 14

及び「公共

的サービス」 15

について、例えば電気、ガス、公共交通やボランティア、PTA活動の

ように「民」 16

により担われるものは存在していた。

13 「官」:行政(国及び地方自治体)を指す。

14 「公共サービス」: 生活する上で必ず必要であるが、個人では解決・調達できないサービスを指

す。

15「公共的サービス」: 厳密な意味での「公共サービス」とまでは言い切れないが、個人での解決・

調達に委ねることも困難であるサービスを指す。

(27)

一方で、子育てや介護のように、以前は家庭内で完結していたサービスが、家族構

成の変化等により家庭で完結することが難しくなり、それに代わって「官」が関与す

る形で提供されるようになったように、社会情勢の変化に伴い、私的活動であったも

のが「公共的サービス」などに変わることによって「公共」 17

の守備範囲が拡大してい

る。

このような状況の中で、公共的サービスの提供主体となり得る意欲と能力を備えた

多様な主体(住民団体、NPO、企業等)が、先進的、開拓的、創造的に「公共」を

担う仕組みの萌芽がみられる。これからの「公共的サービス」のあり方を考えると、

この多元的な主体により担われる「公共」、いわば「新しい公共空間」をいかに豊かな

ものにしていくかが重要となってきている。

また、今後、定年退職し職場から地域に戻ってくる団塊の世代のサラリーマンは、

社会で様々なスキルを身につけた新たな公共の担い手として期待しうる「地域力」向

上のための貴重な資源と捉えることができる。高齢社会を社会全体で元気な高齢者が

増える社会であると前向きに捉えることが可能であり、今のうちから元気な高齢者が

地域社会において積極的に活躍しうる体制を準備しておく必要がある。

よって、「新しい公共空間」において行政が担う役割は、戦略的な地域経営のための

企画立案や条例制定など「行政」でなければ対応しえない核となる部分であり、地域

経営の戦略本部としての機能を十分に発揮するため、地方自治体の行政組織運営を刷

新していくことが必要である。

4 三条市が置かれている座標軸をどう捉えるか

以上のように、行財政改革を目指して複数の計画を策定し改革を行ってきたにもかかわら

ず、社会経済情勢の急激な変化により、低迷を続ける市税収入(ピーク時の平成9年度

149億円が平成16年度127億円と22億円の減収)、いわゆる「三位一体改革」によ

る補助金・負担金の削減と地方交付税改革の影響等(平成16年度は15億円の削減)を受

け、特に、財政面では経常収支比率の上昇(平成9年度 83.5%と 80%台に突入し平成16

年度では 90.7%と 7.2 ポイントの悪化)が一層深刻な状況となっている。

このような状況を踏まえると、これまでの改革の成果はあったにせよ、経常的経費にかか

る歳出の抑制と歳入の確保をなお一層図っていく必要がある。

さらには、2010年(平成22年)以降、団塊の世代を始めとする職員の退職によりピ

ーク時の平成26年度で、67人が退職し約15億円の退職金が必要となる。

また、平成16年度に発生した水害などの影響により、市税収入(個人住民税)の減収が

(28)

平成17年度から平成20年度の4年間(平成17年度で約3億2千万円の減収)続くもの

となるほか、復興に要した経費として借り入れた市債(実質的な三条市の負担額約28億円)

及び合併特例債等の償還が今後発生するものとなり、合併後の新市においても財政状況は予

断を許さない状況である。

なお、この職員の大量退職については、行政分野における人的資源の急激な低下を意味し、

このまま放置すれば、行政サービスの低下を招く危険性を有している。

このような厳しい財政的社会的状況の中、地方公共団体が自己決定・自己責任において質

の高い行政サービスを市民に提供していかなければならないことを考えると、この環境を逆

にチャンスと捉え、限られた時間の中で従来の行政システムを抜本的に改革し、身の丈に合

った新しい体制を早急に作り上げる必要がある。

(29)

第3章 目標の「再」設定 ~三条市は何を目指すのか~

1 地方主権時代、自治体間競争時代における三条市のあるべき姿

これまでのように、全国統一のサービス水準を確保するという考え方の下で行政が運営さ

れていた時代には、どちらかと言えば、市自らが社会や経済といった世の中の動向を見据え

て政策を立案することよりも、国が決めた方針に忠実に仕事をすることに重きが置かれ、本

市もその例外ではなかった。

しかし、「縦割り行政」に象徴される中央省庁主導の行政システムの弊害に対する反省か

ら、地方分権が推し進められている今日においては、各地方自治体がそれぞれの責任で考え

最適なものを選択し実行していくと同時に、その結果に対する責任も地方自治体が負うこと

が求められる。

こうした「自己決定・自己責任」を原則とする地方主権時代の到来は、これまで権限を持

たない代わりに責任も問われることのない環境で仕事をしてきた自治体にとって厳しい一

面をもっていることは確かである。だが、反面、これを好機と捉えて、市自らの権限と責任

において積極果敢な施策の展開を図ることができるならば、地方自治の本旨である住民自治、

団体自治の真の実現が可能となる。つまり、地方行政の醍醐味を、行政サービスに対する市

民満足度の向上という形で感じることができるはずである。

この気概を持って、平成の大合併とともに激化する自治体間競争に勝ち残り、来るべき人

口減少の時代においても、豊かな自然に恵まれた伝統文化の息づくものづくりのまちとして、

持続的に発展してくことを目指す。

2 三条市の経営理念の設定 ⇒ (内容は次回(来年)以降表記)

3 経営理念の実現のための視点(P)

こうして設定した経営理念を、より実践的な段階で意識して改革に取り組んでいくことが、

理念実現のために不可欠である。

そこで、経営理念を実現するための視点として、次の3点を常に意識することとする。

・市民とともに歩む市役所 ( collaborate )

政策・施策などの価値は、市民や社会が決定する。

・変化する市役所 ( change )

変化に対応したシステムの構築と、継続的な改革を行う。

・創造する市役所 ( create )

(30)

(1) 市民とともに歩む市役所

市民に行政サービスを提供する立場として、サービスの利用者である市民を市の顧客

と考え、市民の視点に立ったサービスを提供することは、市役所の基本である。

こうした顧客志向を常に意識するとともに、民間にできることは民間に、地域にでき

ることは地域に委ねることで、市民が住み良いと感じる三条市を協働で作りあげていく。

(2) 変化する市役所

社会の情勢がめまぐるしく変化する中で、市役所も変化に柔軟に対応していく必要が

ある。そのためには、職員自らが常に変革する意識を持ち、社会情勢とともに変化する

市民のニーズを的確に捉えて、迅速に対応できるシステムを構築していくことが不可欠

である。

(3) 創造する市役所

自治体間の競争は、政策の立案とその実行を通じて、顧客である市民の満足度をどこ

まで高められるかを競うものである。そのため、市役所全体が高いレベルで政策立案や

業務を実施するために、組織の再構築や職員の能力向上を図り、既成概念にとらわれず

常に新しい事に挑戦し三条市の未来を切り拓いていく創造力が求められる。

以上の3つを基本的な視点として、後に本章の後半で経営改革の取組における具体的

な数値目標を示していく。そこでは、経費の削減や事業の効率化の追求といったことが

当然重要な命題となるが、それらは市民のためになるかどうか、という視点で行われる

べきものである。したがって、実際の取組においては目標とする数値を意識することは

もちろん大切であるが、それと同時に、その数値が目標として設定された理由、すなわ

ち、数値目標の達成が顧客である市民の満足度向上にどのようにつながるのか、という

ことも常に意識する必要がある。

4 行政と市民との新しい関係

地域活動の活性化は、最終的には、第2章でも述べたとおり、「新たな公共の担い手」と

しての社会主体を創出することにつながり、行政と市民との新しい関係を築くことに資する

こととなる。特に、この「新たな公共の担い手」という視点に特化した形で捉えれば、あら

ゆる地域活動の中でも、旧三条市においてこれまで進めてきた小学校区単位を原則とする

「地域コミュニティ」こそが、その担い手として最もふさわしい。

こうした意味において、「地域コミュニティ」の構築がこの分野における最終的な目標で

(31)

まとめるリーダーの不在(自治会の維持だけで手一杯)、②自治会の地区協議会と小学校区

との区割りの不一致、③財政力・資金力の不足等により組織化が難しい、④自治会単位で既

に取り組んでおり、より広域的な組織づくりに取り組む意義が見出せない、といった意見が

あることも事実である。

また、「地域コミュニティ」の構築に至らない過程においても、あらゆる地域活動の活性

化そのものが、例えば、防災活動における共助、つまり、「自分たちの地域は自分たちで守

る」という領域をより強固なものとするといったことに資する側面もある。

そこで、当面の目標としては、地域において芽生え始めているあらゆる地域活動について、

インセンティブを付与する形で支援し、併せて、段階的に「地域コミュニティ」に移行して

いただけるような環境作りを行うことが望ましい。(もちろん、現在、既に構築されている

「地域コミュニティ」については、引き続き活動しやすい環境作りを行う必要がある。)

なお、当然のことながら、地域活動においては、地域が主体的に活動を行うことが絶対的

な前提条件であり、行政は、財政面等におけるサポート役に徹することは言うまでもないこ

とである。

5-1 あるべき三条市の数値指標

(1) 財政指標(経常収支比率、起債制限比率、財政調整基金残高)

① 経常収支比率

第2章でも述べたとおり、経常収支比率が高いということは、財政運営の弾力性が

低く、時代に即した施策を臨機応変に実施していくことが困難な状況にあるというこ

とであるが、平成16年度決算における合併後の三条市の状況としては、県内他市と

比較しても経常収支比率が高くなっており、特に人件費の経常収支比率は県内市平均

と比較して、9.6 ポイントも高い状況にある。

平成15年度決算における類似団体の平均値が 85.8%となっていることから、目標

を85%以内に設定し、経常経費の抑制、市税等の経常一般財源の確保に努める必要が

ある。

特に、人件費の経常収支比率については、政策的経費を含む臨時的経費を少しでも

多く捻出するためにも、一層の低下を目指すことが至上命題である。

【あるべき財政目標】

○ 経常収支比率: 85%以内

(うち人件費分 : ○%)

○ 起債制限比率: 13%未満

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