2017/12/21 入門物理学 B
入門物理学 B
第 13 回 (12/21) 原子模型・光と粒子の二重性
6. 原子模型
7. 光の粒子性
8. ボーアの原子模型
9. 電子の波動性
第 14 回 (1/11)
10. 電子軌道と周期表
11. 放射線
(時間が余れば)
法政大学 市ヶ谷リベラルアーツセンター兼任講師 福川 賢治
(https://sites.google.com/site/kfukukawa00/hosei2017)
2017/12/21 入門物理学 B
ミリカンの油滴実験
(1909年、1923 年ノーベル物理学賞)
電子の電気量 (
電気素量
) e を測定した実験
Wikipedia ``Oil drop experiment より引用、Photo by Theresa Knott
(13th August, 2004), CC-BY-SA 3.0 ライセンス
F = ma から、油滴にかかる力の合計 F が 0 ならば、加速度 a も 0 なので、
油滴は等速度運動を始めるはずである。高電圧電源を左につなぐ。
1.
電源 OFF の場合
(重力 W) = (空気抵抗 kv
0) となり、すぐに
終端速度と呼ばれる、一定の速度 v
0で油滴が運動する。
(※)ここで、k は流体力学から知られる既知の量である。
2.
電源 ON の場合
高電圧をかけ電子を上向きに速さ v
1で引っ張る。
電気力 F
e, 重力 W = kv
0, 空気抵抗 kv
1が釣り合って、
粒子が等速度運動する。したがって、F
e= kv
0+kv
1が電気力。
重力 W (=kv0)
空気抵抗 kv0
重力 W (=kv0)
空気抵抗 kv1
極
+極
極
+極
2
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ミリカンの油滴実験
(1909年、1923 年ノーベル物理学賞)
続き
電磁気学によると、F
eは極板間距離 d [m], 油滴の電気量 Q [C], 電池の電圧 V [V] から
F
e= QV/d と求められる。したがって、QV/d =
kv
0+kv
1である。
v
0, v
1, V, d の測定に
よって、Q を求めることができる。
結論
油滴の電気量 Q はいつもある電気量 e (電気素量) の整数倍になる
e = 1.593 ( 0.030) 10
-19[C] (現在の値は e=1.602… 10
-19[C])
3
Robert Andrews Millikan
(米、シカゴ大→カリフォルニア 工科大 1868 -1953)
電気素量の発見、光電効果 (次 回)の実験的検証、宇宙線物理学
教科書執筆でも有名 Sir John Joseph Thomson
(英ケンブリッジ大、1856 -1940)
電子の発見、e/me の測定、同位体の発見
著名な弟子: ラザフォード、ランジュバン、 オッペンハイマー、マックス・ボルン、 ジョージ・パジェット・トムソン (息子)
画像はともに
Wikipedia より引用 Micheal Faraday
(英王立研究所、1791 -1867) 化学者、物理学者
電磁気学・電気化学に貢献
電気力線・磁力線の概念
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6. 原子模型
原子は電気的に
中性
(電気力は実は非常に強いので、通常の状態では
+の電気と
➖
の電気が打ち消し合っている必要がある)
6-1. ブドウパン模型 (プラムプディングモデル)
J. J. トムソン
により、1904 年に考案
(Philosophical Magazine, 7, 237 (1904))
We suppose that the atom consists of
a number of corpuscles moving about in
a sphere of uniform positive electrification:
「一様な正の電気を持った球であちこち
動いている corpuscle (微粒子、電子)達
から原子がなっているとしよう」
各電子が同じ中心を持つ円軌道を描くとして
安定な軌道になる条件を計算 (自然と+の中に
➖
が散らばろうとする)
(当時電子は非常に軽いため数百個から数万個、原子の中にあると思われていた)
画像は Wikipedia より
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6-2. 土星型原子モデル
(1904 年、
Philosophical Magazine, 7, 445 (1904))
長岡半太郎が提唱し、不完全ながら「原子核」の概念を提唱
1856 年 マックスウェルが土星の環が無数の粒子でなけ
れば不安定であることを理論的に予測
(1895年 ジェームズ・エドワード・キーラー により実証)
ただし、あまり国際的には注目されず
(他の模型もいくつかあったが、当時はトムソンの模型が主流派であった)
長岡半太郎
(1865-1950, 東大教授、のちに大阪帝国大学初代総長)
弟子に仁科芳雄(湯川秀樹、朝永振一郎の師匠)、寺田寅彦ら 1939 年ノーベル賞委員会に湯川を推薦
(湯川は 1949 年ノーベル物理学賞受賞)
5 Sir Ernest Rutherford (1871-1937) 1908年 ノーベル化学賞
業績「元素の崩壊、放射性物質の化学に関する研究」
α線及びβ線の発見、放射線計数機の開発 (ガイガーとの共同研究)
「半減期」の概念、原子核の発見、中性子と重水素の予言
原子核の人工的な変換 (陽子の発見) 14N+4He→17O+1H
J.J. トムソンの弟子、自らもニールス・ボーア、チャドウィック、 ガイガー、ハーン、ハートリー等を指導 「原子核物理学の父」
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6-3. ラザフォードの (太陽系型) 原子模型 (原子核の発見)
ラザフォードの指導のもとハンス・ガイガー (独、1892 - 1945)と
アーネスト・マースデン (英系ニュージーランド、1889-1970)
により実験が行われた
ポロニウムから出る高速のα粒子(
4Heの原子核, +2e の電気を持つ)を
薄い金箔にぶつけてどの方向に跳ね返るかを観測 (1909年)
画像は Wikipedia 「ラザフォード散乱」
より引用, Photo by Kurzon, (27th April 2014), CC-BY-SA 3.0 ライセンス
ブドウパン模型 (左図) による計算では、
α粒子はほとんど方向を変えず通過
実験結果
8000個に 1 個の割合で後ろに跳ね返った
報告を受けたラザフォードの驚愕
「
ピストルで紙切れを撃ったら弾丸が
跳ね返ってきた
」
1911 年その を説明
原子の中心に+電気が集まる小さい場所がある
(E. Rutherford, Philosophical Magazine, 21, 669(1911))
(原子核の発見)
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7. 光の粒子性
7-1. プランクによるエネルギー量子の発見 (1900年)
産業革命
18世紀後半にイギリスで起こる
1825年 イギリスが機械輸出を解禁 → 他国への産業革命の波及
(ベルギー、フランス、ドイツ、アメリカ等) 製鉄業が盛んになる。
鉄の品質追求には炉の中の温度 (通常の温度計では測定できない) を知る必要。
炉の中の炎の色を見て温度を判断できないか?
温度 T の時, 振動数 ν の電磁波(光)の放射エネルギー密度 U(ν,T) の式を導く。
この問題を理想化した問題が
黒体放射
の問題。
黒体
… あらゆる電磁波を吸収してしまう物体。
ヴィーンの公式
(1896年、熱力学による導出)
(ヴィルヘルム・ヴィーン(独、1864 -1928))
(a,b は実験で決める。
e = 2.7182818…)
ν が大きい場合は OK だが、
ν が小さい場合は実験結果とずれてくる。
(※) ν(nu) は英語の n に対応するギリシャ文字
7
Max Planck
(独、1858-1947)
「量子論の父」
1918 年ノーベル物理学賞 (エネルギー量子の発見) ドイツにいながら、
反ナチズムを貫く。 ドイツの大学教授、研究所長、
学会の要職を歴任
著名な弟子: マイスナー、ラウエ、ボーテ等 画像は Wikipedia より引用
U
(
ν, T
) =
aν
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プランクによるエネルギー量子の発見
(続き)
プランクは電磁波の放射の分布が、 の形であれば、
実験を完全に説明できることに気づいた。
彼は、当時新しい学問であった統計力学を使って、光のエネルギー E が
E = nhν
(n = 1,2 …) と表せるならば、上の形を取ることを示し、
と上の a, b の値も決定できることを示した。
h: プランク定数
6.626070040 10
-34J・s (プランクが得た値、6.55 10
-34J・s)
(振動数の単位 [Hz]=[1/s] をかけると、エネルギーの単位 [J]になる)
k: ボルツマン定数
1.38064852 10
-23J・K
-1(プランクが得た値 1.346 10
-23J・K
-1)
c :光速
青破線: ヴィーンの公式
黒実線: プランクの公式
画像は九州大学実験核物理研究室 インターネットセミナー第3部4頁 「プランクの公式」より
エネルギーは飛び飛びの値を取る !
→エネルギーの最小単位としてのエネルギー量子の発見
8
U
(
ν, T
) =
8
πh
c
3ν
3e
hν/kT−
1
U
(
ν, T
) =
aν
3
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画像は Wikipedia 「黒体放射 (英語 版)」より引用, Photo by Poke2001, (11th October 2015),
CC-BY-SA 4.0 ライセンス
星の色は近似的に黒体放射として
理解できる。
9
7-2. 光電効果
物質に光をあてると、電子 (光電子) が飛び出してくる現象
1839 年 アレクサンドル・エドモン・ベクレル(仏、1820 - 1891)が
光を電極にあてると電流が流れることを報告
1900年代の初め レーナルトによる実験
(独、1862-1947)
0. 光電子の正体は陰極線中の電子と同じものである
1. 金属表面から出てくる電子の持つエネルギーの最大値は強さではなく、
光の振動数νによって決まる。
2. 振動数がある決まった振動数ν
0以下になると光を強めても、光電子は出てこない
3. 光の強さ(明るさ)を増やすと、光電子の数が増える
古典論 (光の波動論) では、光の強さが強くなれば光のエネルギーが増すので、
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