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45 最近の更新履歴 北海道都市地域学会

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(1)

北 海 道 都 市 45

北海道都市地域学会 2008 年報

ネオ北海道の創出

小林 英嗣(会長・北海道大学) 1

西尾正範函館市長へインタビュー

前田 瞬(学生会員・札幌大学大学院) 3

地域資源を活かした都市・地域の再生ニーズの調査・検討について

山下 昌彦(日本データーサービス株式会社) 7

農村都市を対象とした物流機能を持ったバスシステムの開発について

千 葉 博 正 (財団法人北海道運輸交通研究センター) 9

新 入 会 員 の 紹 介

品 田 早 苗 ( 学 生 会 員 ・ 北海道大学大学院) 11 黄 仕 豪 ( 学 生 会 員 ・ 札幌国際大学大学院) 11 前田 瞬(学生会員・札幌大学大学院) 12 堀江 育也(札幌大学) 12

事務局記録

(1)会員動静 13

(2)2008年次運営体制 13

(3)2008年次事業報告 13

(4)2008年次役員 14

(5)2008年次決算報告 15

(6)2009年次予算 16

北海道都市地域学会2009年次役員 17

北海道都市地域学会2009年次委員会構成 18

「北海道都市」編集規程 19

北海道都市地域学会論文委員会規程 19

北海道都市地域学会ホームページ作成規程 21

北海道都市地域学会会則 21

北海道都市地域学会会員名簿 25

編集後記

(2)

- 1 -

ネ オ 北 海 道 の 創 出

小 林 英 嗣

(会長・北海道大学大学院工学研究科教授)

起:地方分権の進捗に伴って、自治体と市民の 力量が問われるようになってきました。国(=中 央 )の 価値観 と統一的 な目 標に従 って各 種の 政 策と計画・事業を遂行していればよいという時 代は終わりました。しかし、この分権化社会を 実効あるものにし、成熟社会への移行を進行さ せるためには、各自治体と住民が相応の覚悟で 自 ら の 改 革 と 実 効 性 の あ る シ ス テ ム を 地 域 に つくりあげることに邁進することが必要です。

承:新しい体制のもとでの北海道都市地域学会 の こ れ か ら の あ り 方 を 何 人 か の 理 事 の 方 々 と 議論してきた過程で「共益的な学会活動」と「公 益的な学会活動」なる概念で学会活動の内容や 方向性を議論したことがありました。その折、 新会長としての所信を含めながら、「会員相互 の 交 流 に も と づ く 共 益 的 な 学 会 活 動 を 基 盤 と しつつ、学生を含む若手研究者や都市地域づく り の 支 援 や 実 行 で 奔 走 さ れ て い る コ ン サ ル タ ントや自治体まちづくり家と連携をとり、公益 的な学会活動を基本目的として含めて拡充・多 様化してゆくことが、分権型社会、とくに地方 に 根 ざ し た こ の 学 会 の 目 指 す べ き 方 向 で は な いだろうか?」と提案を致しました。行動する 社 会 派 の 学 会 へ の 衣 替 え へ の メ ッ セ ー ジ と も 理解していただきたい。

転:人口減少下の 地方圏で、地方分 権 の 現 実 化 を 模 索する中、北海道 の 各 自 治 体 で は 、 総合計画、諸基本 構想、あるいは中 心 市 街 地 活 性 化 計画、種々のまち づくり計画屋、ま

ちづくり条例、そして参加型まちづくりシステ ム の 確 立 な ど 、 分 権 型 地 域 社 会 に 求 め ら れ る

「目標」「主体」「手法」の広範囲にわたりにわ たり「試される場」としてめじろ押しです。し かし、従来から地域の夢や将来の目標を描いて はいるものの、その実効性や実現性が問われ、 市 民 や 議 会 を 交 え た 議 論 の 対 象 と な る こ と も 多くあります。自治体の長期的な構想が抱える このような問題は、計画の企画・立案のプロセ ス や 仕 組 み の 持 つ 閉 鎖 性 と 受 託 し た コ ン サ ル タ ン ト の 経 営 優 先 性 や 地 域 へ の 責 任 感 の 有 無 に起因していることが多いようです。また事業 計画も、他者の協議が必要な場合が多く、その 実現化への条件を整えがたく、先送りされるも のも多くなってきています。公益的な視点と社 会的な行動を担いうる「新たな公」が希求され る局面も多くなっています。

(3)

- 2 - 結:以下のメッセージを北海道都市地域学会総

会や北海道都市問題会議(帯広)でお話をさせ ていただきました。「北海道の諸都市・諸地域 には独自の風景風土と生活、ライフスタイルが あり、農山漁村には農山漁村の風土と生活、そ し て ラ イ フ ス タ イ ル が 存 在 し て 然 る べ き で あ り、‘生活文化’にもとづく地域づくりへの考 え方が重要となります。都市と農村の生活や風 土、文化、地域コミュニティの再生、そして環 境共生型社会への移行など、多様な領域・課題 を通奏した‘生成りの地域づくり’が必要です。

‘生成り散居型コンパクト都市’への条件を整 え う る 可 能 性 を 北 海 道 の 市 町 村 の み が 保 有 し ています。第1は‘第3の自然(的存在)とし て回復され、かつ連続性と質が担保された共用 空間’、第2は‘都市的生活支援施設の高度な 複合化と混成による拠点配備’、第3は‘ヒュ ーマンスケールの交通網’の可能性があるから

です。都市地域は大きな惰性態で、抜本的で急 激な変革(チェンジ)はあり得ないと思われま すが、日々新たに都市や地域そして農村や自然 が更新され、施設が改築新設されている現実が あります。「離散性のある環境共生型コンパク ト都市」を目指し、22世紀型の‘環境と対話 する都市’への新しい視野を開きたい。」

北海道2世紀の地域再生・都市再生を担おう と さ れ て い る 北 海 道 都 市 地 域 学 会 の 会 員 諸 氏 は、「ポリシー・プランニング」「ランド・プラ ンニング」そして「コミュニティ・デザイン」 への同時的な思考と着実な展開、そして新たな 活 動 の 地 平 を 開 き つ つ あ り と 理 解 し て お り ま す。北海道の中で地域観やまちづくり観を共有 化 し つ つ あ る 学 会 活 動 の 進 展 と 若 手 会 員 を 含 み、アクティブな活動の成果を着実に蓄積し、 次 世 代 の 子 ど も た ち へ の 贈 り 物 ― ネ オ 北 海 道

―を創出しましょう。

(4)

- 3 -

== 函館港開港150周年を記念して ==

西尾正範函館市長へインタビュー

2009年5月26日 16:30~ 函館市役所6階 市長室

前 田 : 今 回 は 、 市 長 に 函 館 市 の 観 光 戦 略 に つ い て 、 ま た 、 観 光 戦 略 も 含 め た 市 電 の 在 り 方 に つ い て 、 そ し て 、 北 海 道 新 幹 線 の 開 業 と い う 大 き な 3 テ ー マ に つ い て お伺いしたいと思っております。

前田:まず 、函館市観光情報サイトを活用して、 若年層を対象とした「イカール星人」をひとつ の観光PR戦略の軸として、推し進めているこ とについてお伺いします。

市長:インターネットでのPRを担当部局に指 示したところ、この事業を受託した市内の映像 編集会社から提案があり、実現しました。イカ ー ル 星 人 が 函 館 市 役 所 を 破 壊 す る と い う よ う な映像もありましたが、ユニークで良いのでは ないかということで採用しました。若い人の感 覚を見て、楽しいことをやっていく、イカール 星 人 で 1 回 成 功 し た か ら と い う 成 功 体 験 で は なく、地域の人たちがいろいろ提案を行い、楽 しいことをやっていけば良いと思います。

前田:今お話を伺っていると、「地元で作り上 げる」という感じですよね。地元と一体になっ ているという印象を受けます。それが、以前か ら“函館のラッキ-ピエロ”だとか“函館の~” という、常に函館という言葉が先頭に付されて いることが多いということが、他の観光都市と は違うのかなという印象を受けるのですが、そ の点についてはいかがお考えでしょうか?

市長:函館という名前自体がブランドで、好ま しいイメージがあって、その総和だと思います。 その中のひとつとして、商品が散りばめられて いるということだと思います。

函館市はある意味得していると思います。北海 道で最初に開拓された街であるし、歴史的に古 いし、その中で外国との交流が始まったことで 領事館も置かれ、貿易も始まり、歴史的な建物 が現在も残っている。また、地形も変わってい て、こういう地形の街というのはめずらしい。 全国的にも美しい景観、自然環境、気象、文化、 あ り と あ ら ゆ る も の が 函 館 の 人 格 に な る ん で すよね。

前田:確かにそうなのかも知れませんね。 今、市長から地形というお話がありましたが、 次に市電についてお伺いしたいと思います。映 画やCMに使われている市電は、青柳町からの 風景が多いということなのですが、函館市外に 住んでいる私のイメージだと、どつく前方面に 観光客が流れていて、谷地頭方面はどちらかと い う と 市 民 の 足 と い う イ メ ー ジ が あ る の で す が、まず捉え方としてはそれでよろしいでしょ うか?

市長:観光は、駅からウォーターフロント、さ らに元町方面にかけて、伝統的建造物が多く残 る景観形成地域があるので、どうしてもそちら 側が主になります。ただ、谷地頭方面にも隠れ た観光スポットがあります。例えば、立待岬や 護国神社、函館八幡宮などです。函館というの は大人数で来る大規模な観光もありますが、そ の よ う な 歴 史 的 な と こ ろ を 歩 い て 巡 る に は 良 い観光地です。函館山山麓一帯の景色というの

(5)

- 4 - は 全 体 が ミ ュ ー ジ ア ム の よ う な 空 間 に な っ て

いると思います。

函館は、地理的・歴史的・文化的にも独特な雰 囲気を持っていて、それを壊さないようにして いきたい。特に大きく発展する必要もないし、 良い佇まいを持って行きながら、街を守ってい きたいと考えています。

前田:市電は、全長10km超ということで路 線距離が長いと思うのですが、先ほども市電に 乗って市役所まで伺うと、市民にとって欠かせ ない存在だなと改めて感じました。

市長:昔、市電を廃止するという議論も出たよ うですが、市電は残しました。

先ほどお話しした谷地頭方面には、観光と関連 しますが、明治12年に完成した函館公園があ ります。この公園は、その当時の開拓使の役人 をはじめ、市民自ら公園造成に参加した、日本 最初の市民手作りの公園で、今でも良い佇まい を持っています。そこに「こどものくに」とい うものがあり、ブリキの「遊び道具」がありま す。それがすごく評判が良くて、アナログ的な 遊び道具を残しています。このような遊園地は 日本には存在していないと思います。幼児がと ても喜ぶ公園で、その「こどものくに」を大事 にした方が良いという声があります。

前田:市長のお話を伺っていると、ウォーター フロントよりは注目を浴びないですが、谷地頭 方面にも観光スポットは結構多いですね。 路面電車についてのお話になりますが、現在、 函 館 市 も 含 め て 全 国 で 1 7 都 市 し か 路 面 電 車 は走っていませんが、環境ということがあり見 直されています。函館としては今後も残してい く方向でしょうか?

市長:必ず市電は残します。昔は循環路線など かなり多くの路線があり、それが大幅に減らさ れたのは少し残念ですが、今の路線は残します。 逆に増やした方が良い、路線延長した方が良い という声もあるくらいです。

前田:「ちんちん電車」として、明治時代に製 造され、ササラ電車として使用していた市電を 復元していますが、観光シンボルとしての市電、 また、市民の足としての市電として、市電は残 していくということですね。

市長:そうですね。西部地区、五稜郭、湯の川 を拠点として、観光客も結構乗っています。修 学旅行生も、函館は見るところや調べるものが 多いので、自由学習ということで結構、利用し てくれています。函館は安全で、自由課題がや りやすい街だと思います。市民でも知らないこ とがたくさんあるくらいです。

前田:ありがとうございます。次に、大きな 3 テーマからは少し離れますが、市長から見て、 函館市の観光・経済などについて、良い部分は もちろんあると思いますが、なにか寂しくなっ たなと感じる部分はありますか?

市長:一貫して斜陽都市だと言われているのが 現状です。色々な時代の流れの中で昭和63年 に青函トンネルが開通し、平成3年に地方へバ ブルの崩壊が来ました。平成3年~平成13年 まで観光客が減り続けていて、最高で530万

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- 5 - 人まで行きましたが、今は480万人くらいで、 一貫して微減しています。

それを考えてみると、おそらく交通体系が担っ ている部分が大きいと思います。平成13年く ら い ま で は 航 空 路 線 の 函 館 ~ 東 京 が ジ ャ ン ボ 機で10便飛んでいました。一気に4000人 を運べる大規模交通手段です。ただ、今は7路 線で小型化しているので、2000人ちょっと しか運べない。この12年近くは、全体的なパ イはずっと落ち続けています。これはひとつの 要因として大きいと思います。

ただ、北海道に新幹線が延伸すれば、それはか なり動態が変わるような気がします。その中で、 昔のように添乗員がいて、団体客が来るような 形式は減ってきていて、個人型の観光になって きているのかなと思います。そういう意味では 観光に落ち着きが出てきているのかなと。その よ う な 個 人 型 観 光 に 対 応 で き る よ う な サ ー ビ ス や 施 設 に つ い て 力 を 入 れ て い か な け れ ば な らないような気がします。野鳥観察や植物の群 生 地 が あ る 函 館 山 の ハ イ キ ン グ コ ー ス を 整 備 するのもひとつの方法なのかなと思います。癒 しを求める時代に対応した、ゆったりする観光 というものが必要だと感じますね。

前田:個人型観光に対応できるサービスや施設 を重視するという点で、湯の川など今まで大量 の 観 光 客 を 受 け 入 れ て き た 施 設 も 変 え て 行 く など、新たな方策も視野に入れているのでしょ うか?

市長:大量の観光客を受け入れる施設はもちろ ん必要です。ただ、個人向けの旅館なども整備 し、両方に対応できるような施設が必要になっ てくるのではないかと感じています。函館は比 較的リピーターが多い街です。2回目、3回目 という人が結構いて、「一度見たからいい」と いうことではなく、何か別の新しいものを求め てやってくる人が多いということですよね。

前田:函館で完結で きるというイメージ でしょうか。先ほど 市長のお話にもあっ たように観光資源が たくさんあり、通り 過ぎる観光地ではなく、函館で完結して楽しめ るということが魅力なのかなと感じますが。

市長:ただ、最近は広域観光やドライブ&イー トというものがあります。函館でチケットを買 い、レンタカーを借りて、函館と合併した漁村 地域や松前方面などを食べ歩きし、ドライブを 楽 し む と い う よ う な 多 様 な 観 光 に な っ て き て いると思います。特に 道外からの観光客が多く て、大阪の人は癒しの街だと言っていました。 疲れている人が来なさいということですかね。

前田:ありがとうございます。

次 に 北 海 道 新 幹 線 に つ い て お 伺 い し た い と 思 います。北海道の玄関口として、また、道南の 中 心 都 市 と し て 函 館 市 が 担 う 役 割 は 大 き い と 思いますが、それについて市長はいかがお考え でしょうか?

市長:新幹線は高速大量安定輸送を実現できま す。そのような体系ができるので、北関東から 東北という大きな流れができると思います。今 までは、北海道というと札幌との関係、あるい は道内他都市との関係であったのが、青森や盛 岡、仙台、福島などとの交流を、商売なども含 めて、必然的に動態が変わっていくだろうと思 います。

もう少し広く考えるとロシア、韓国、中国の東 北部などの極東地域を含めて、近隣エリアでの 経 済 圏 を ど の よ う に 作 っ て い く の か も 視 野 に 入れなければならないと思います。交通体系は あくまでも手段ということになりますが、北海 道 新 幹 線 は 間 違 い な く チ ャ ン ス に は な っ て い きますね。

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- 6 - 前田:今までは道外とのつながりとなると、札

幌 か ら 各 地 方 都 市 へ と い う よ う に 流 れ が あ っ たと思いますが、その点についてはどのように お考えでしょうか。

市長:北海道と考えると、千歳~羽田というこ とでしか動いていないと思います。函館も東京 を注目しているように、すべて対東京という直 線 の つ な が り に な っ て し ま っ て い る と 思 い ま す。つまり、途中の地方都市間でのネットワー クが弱い。そのような都市同士のつながりと交 流 を 生 み 出 す 大 き な 契 機 に 北 海 道 新 幹 線 は な ると思います。そして、先ほども言ったように、 海 外 も 注 目 し て い く よ う な 産 業 を 推 進 し て い くことになってくると思います。

前田:最後に全体的なまとめとして、函館市の 産業、また北海道の産業について市長の考えを お伺いしたいのですが。

市長:北海道は第一次産業が豊富にあるという のは非常に強いと思います。この第一次産業に ついて、もっと自信を持っていくべきだと思い ます。お菓子をはじめ、色々な名産品はそんな に爆発的に売れる必要はなくて、良いものを提 供し、信用されるようになる。それができれば 海外へ少しずつ広がっていくと思います。それ だけの素材を北海道は十二分に持っています。 このような努力をしていける人材育成を、役所 や経済界が行うことです。それがすべてだと思 います。必ず時代は変化していくので、そのよ うな力を持つ人材がいれば、街は伸びます。た だし、そんなに爆発的に発展していく必要はな いと思いますね。

前田:なるほど、地道にやっていくということ と、マンパワーが必要だということですね。最 近、商業高校など、職業教育の中で実学が重視 されているということ、また、地元の商店街等 が 若 い 力 を 活 か し て 商 店 街 活 性 化 を 図 っ て い

こ う と い う 両 者 の 思 い が マ ッ チ し て 様 々 な 取 り組みが進められるという動きがありますが、 市長はその点についてどうお考えでしょうか。

市長:函館には函館商業高校があります。また、 大 野 農 業 高 校 で は 色 々 な 商 品 開 発 を 行 っ て い たり、函館水産高校もあります。そのような高 校 で コ ラ ボ レ ー シ ョ ン を し て 何 か を 取 り 組 ん でいくということは面白そうですね。

前田:第一次産業の教育の場、また、第三次産 業 の 教 育 の 場 の そ れ ぞ れ の 特 徴 を 活 か せ る よ うな取り組みができそうですよね。

市長:役所や経済界がそのような部分に力を注 いで、実際にものを作るということがすごく価 値 の あ る こ と な ん だ と い う 考 え 方 を 根 付 か せ ていくことは良いことです。偏差値を重視する ような、進学校が注目を集めていますが、必ず しもそうではなく、専門教育を受けた上で、進 学をするも良し、就職をするも良しというよう な仕掛けは必要かも知れません。

前田:市長のお話を伺っていると、職業教育は 原点なのではないかと感じます。そうい う意味 では、素材を活かすというようなマンパワー、 人材育成が重要だと改めて感じます。

市長:そう思いますね。みんな自分の街にこだ わって、ものを作る価値を再認識していくとい うような人材育成をして、マンパワーを発揮し て い く こ と が こ れ か ら 重 要 な の で は な い か と 思います。

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- 7 -

はじめに

近年、道内各地で都市再生・観光振興・地域 ブランド化の取り組みが展開されていますが、 これ らの取り組み には地域資 源の活用が欠 か せなくなっています。そして、地域資源として 扱う対象も、建造物など社会資本ストックから 地域の産物、遺跡・遺構、コミュニティ・人材 まで多岐にわたっており、地域資源の活用に結 びつけるには、多様な視点からの調査・検討が 必要です。

これらのことから、業務等の調査・検討事例 を通じて考察したいと思います。

1.都市再生と地域資源の活用

(道内まちづくり交付金事例より) 平成17年~20年度に「まちづくり交付金」 採択された事例(47 事例)を見てみます。こ れら は中心市街地 及びそれに 準ずるエリア の 活性 化を目的に事 業が設定さ れていること が 多いです。地域資源活用の観点からみると、こ れら計画の中に「既存建造物活用事業」を盛り 込んでいる例は、47地区中15地区となってい ます。またこれを、「目標を定量化する指標」 の特性でみると、

→居住人口など地元住民利用:24事例

→観光入込客数など来外者利用:23事例 となっています。(表1参照)

都 市部に おいて も人口 減が 顕著に なって き ているなか、地域資源を効果的に活用した、ス トッ ク活用型の都 市再生の取 り組みが増え て いくことが今後も期待されます。

2.地域資源の活用調査・検討

近年のまちづくり、地域づくりの計画はア ウトカム的な指標を掲げ、実施の効果を検証す ることが求められています。これに関連し現況 調査は、地域資源そのものの調査ばかりでなく、 活用のイメージや効果(誰をターゲットに、ど んな利用をするか、それを通じてどんなまちづ くりを進めるか)を念頭に置き、活用のシナリ オ を描くと ともにそ れらの 可能性を 裏付け る ための調査も必要と考えます。

(1)活用可能性についての現地調査、ヒアリング等 生活利便施設、空き家の状況は勿論、高齢化 状況や交通、土地の権利関係やコミュニティ、 福祉サービスの状況などを把握(図1、2参照)

地域資源を活かした都市・地域の再生ニーズの調査・検討について

日本データーサービス株式会社 山下 昌彦

表1 地域特性に応じた都市再生計画の分類

地元住民 来訪者・交流人口

活用している

タイプ1

(10地区)

タイプ2

(5地区)

活用していない

タイプ3

(14地区)

タイプ4

(18地区)

主要な指標の対象が

地域の資 源(既存 ストック)

図1 生活機能からみた地区区分

(函館市西部地区)

地 区 の 詳 細 調 査 に よ り 対 象 エリアの絞り込み

図2 住生活地区の課題分析(函館市西部地区)

(9)

- 8 - (2)事例等調査からの、活用のシナリオの検討

対象地区の居住者層・利用者層から、ターゲ ットを抽出し、各々のまちづくりニーズに合っ た地域資源の活用方策を研究(表2参照)。

3.地域資源活用方策の検証

あ らかじ め構築 した活 用の モデル ケース を 試行的に実施することで、実施による効果の検 証、課題の洗い出しを行う。

例)・地域資源となる建築物内でのイベント や店舗・施設等の短期的な営業・運営

・地域資源群をネットワークする周遊ル ートの構築→モニターツアーの試行・評 価(図3、4参照)

おわりに

地域資源の評価・活用方策の検討は一通 りの方法で片づけられるものではなく、こ れ ま で 紹 介 し た よ う な さ ま ざ ま な 視 点 か らの調 査・検討が加えられなければならな いと感じています。

また、地域資源の活用の裏には、地域住 民の強い想いが込められており、その想い や願いを形にするために、必要なことをひ もといて、一つひとつ明らかにし知恵を絞 る こ と が 私 た ち コ ン サ ル タ ン ト に よ り 一 層求められてくると感じております。今後 も 様 々 な 実 務 を 通 じ て さ ら に 研 鑽 を し て いきたいと思います。

【引用文献等】 表1:まち交ネット

図1、図2、表2:北海道開発局「住宅ビジョンの推進 に関する検討業務」調査

図3、図4:遠軽町「白滝ジオパーク基本計画」調査 高齢者

飲 食 で き る 地 域のたまり場

食事サロン バジクル

(札幌市) 食品・日用品の

買い物・交流

高齢者コンビニば・じ・る

(美幌町)

デイサービス デ イ サ ー ビ ス セ ン タ ー NOAH(横浜市) 出張診療所 メディコポリス観音寺

(香川県観音寺市) 子育て世帯

地 域 の 子 育 て サロン

子育て交流サロンわらべ

(茨城県土浦市) 観光客・来訪者

地域交流したい 人向けの滞在

京町家ステイ庵(京都市)

地域の大学生等

学 生 や 若 い 世 帯 が 入 居 で き る住宅

北沢ハウス(東京都世田谷 区)

その他

地 域 参 加 の 展 示 イ ベ ン ト や 文化施設

Ho-(大阪市) ターゲッ 活用手法 具体事例

図4 白滝ジオパークモニターツアーのチラシ

図3 白滝ジオパークモニターツアーの様子

(黒曜石の露頭を見学) 表2 各ターゲットごとのまちづくり方策の事例(主に空き家活用)

(10)

- 9 - 1 はじめに

栗山町町営バスは、平成2年及び平成11年に 町内を運行していた「中央バス株式会社」及び

「夕張鉄道株式会社」が一部撤退し、町民の交 通が維持できなくなるのを期に運行を開始し た。しかし、少子高齢化の進展、モータリゼー ションの進展等々により乗客数は伸び悩みを 続けている。

当町内にバス事業者は無く、町がバス7台(ス クールを含む)を保有し、スクールバスを含め、 バスの整備・運行を町内のハイヤー会社3社に 委託してきた。しかし、乗客数の伸び悩みもあ って収支の均衡は大きくバランスを崩してい る状態であった。この為栗山町は交通弱者の交 通手段の確保を行いながら収支のバランス改 善を検討する「町営バス検討委員会」を立ち上 げ、「農村都市を対象とした物流機能を持った バスシステムの開発」(2007 年「全国都市再生 モデル調査」)を目的とした実証実験を行った。 本稿はその結果の概要である。

2 町営バスの経営状況

町営バスの運行は、町内のハイヤー会社3社 に業務を委託して運行を行ってきている。バス は、町の保有となっているが、バスの管理業務 も含めて委託し、委託料は、スクールバス運行 に伴う事務経費を含め、「自動車損害賠償責任 保険」及び「自動車共済(任意保険)」を除い て約50,000千円となっている。

2006年度の営業成績をみると、年間の利用者 数は46,254人でうち生徒(無料)が12,528人 となっている。これに伴う運賃収入は4,312千 円で委託経費の 9%弱であった。総走行キロ1 km当たりの収入は24.3円であって、路線によ ってばらつきがみられ日出線が 40.2 円である のに対して南学田線は 14.4 円と半分以下の収 入となっている。

3.運行計画の概要 (1) 基本的な考え方

実証運行は、現行のバス運行を一時中断して 行うため以下のことを考慮し計画した。

① 町営路線バスのルート及びダイヤの見直し にあたっては、バス利用者に大きな負担と ならないように変更は最小限度とする。

② 乗車効率を考慮して使用するバスは小型化 し、郊外はデマンド方式、市街地はコミュ ニテーバス方式とする。

③ スクールバスの利用効率を上げるためダイ ヤは変更しないが、混乗とする。

④ バス車両の有効利用を図るため、郊外部に ついては物流機能を付加する。

⑤ 運行は貸切バスとし、運賃料金は徴収しな い(荷物を含めて)。

(2) 実証実験バス運行事業者の選定

実証実験バス運行は、上記の基本的な事柄をクリ アできる事業者を検討し、期間が短期であること、 実証実験という特殊な運行(各種データーの収集協 力依頼等)となることから、次のような理由でジェ イアール北海道バス株式会社が選定された。

① 栗山町には路線バス事業者が不在

② 付近(長沼町)に営業所を設けている

③ バス事業の経験が豊富である

④ 小口荷物輸送の実績がある

⑤ 小型バスを保有している

⑥ 既にコミュニテーバスの運行を行っている (3) バスダイヤの検討

町営バスは、130.9kmの営業キロ上で6路線25便 とスクールバス4路線 16 便の運行をバス7台で運 行している。上記方針に従い6路線25便について検 討を重ねた結果、6線16便で計画実行した。 (4) 民間施設前等へのバス停留所設置

バス利用者の利便性を考慮して、市街地に立地す る病院、スーパー、農協直売所等の玄関前・入口に 臨時のバス停留所を設置した。設置個所は以下の4

農村都市を対象とした物流機能を持ったバスシステムの開発について

札幌大学 千葉 博正

財団法人北海道運輸交通研究センタ-

(11)

- 10 - 箇所である。

① 栗山日赤病院玄関、②マックスバリュー前

③ 役場・とくち病院前、④ 栗山公園前 (5) 荷物出荷者の誘致

実証実験バスの運行は10月であることから、一般 公募の他に、栗山町農業協同組合の協力を求めて、 協力農家を選定した。この結果当初3農家が参加し、 後実証実験運行途中から1農家が加わり計4農家の 協力を得て事件が行われた。

(6)地域住民への説明

広報は計画が固まってきた段階から町広報誌への 挟み込み2回、地域説明会を2会場で実施。 (7)実証実験体制

実証実験を実施するにあたり、町長を本部長とす る「町営バス実証実験実施本部」を役場内に設置し 合わせて、「町営バス実証実験緊急連絡網」を整備し 実験にあたった。

4.実証実験の概要 (1) 路線別利用状況

実証実験期間17日間の実証実験バス利用者数は、 1457人であった。因みに、前年10月の1日平均利 用者数は133人、実証実験期間中の1日平均利用者 数は84人で、実証実験期間中は49人の減少となっ ている。路線毎の利用者数は、日出線が最も多く513 人で全体の35.2%の利用者があり、次いで利用者が 多いのは滝下線の463人であり、31.8%を占めてい る。以下は路線別の利用状況である。

① 滝下線

滝下線は、停留所数44箇所と南北に長い路線であ る。栗山駅から滝下へ3便、滝下から栗山駅への2 便運行した。栗山駅発でみると、栗山駅から滝下行 きの3便合わせて利用した人数は280人であった。 滝下発でみると、滝下から栗山駅行きの2便合わ せて利用した人数は178人であった。

① 日出線

日出線は、29の停留所がある。栗山駅から仁木宅 及び仁木宅から栗山駅へそれぞれ2便ずつ運行した。 栗山駅発でみると、栗山駅から仁木宅行きの2便合 わせて利用者は266人であった。

② 新循環線

新循環線は角田循環線と南学田線を吸収して設 定した新しい路線で、3便運行した。停留所別に みると、利用者数 243 人中「栗山駅」から乗車し たのが60人で最も多く、次いで「役場・とくち病

院前」の44人、「松栄団地」の23人と続いている。 降車では、「角田改善センター」が 45 人と最も多 く、次いで「栗山駅」の 31 人、「役場・とくち病 院前」の26人となっている。

③ 鳩山循環線(乗客数:栗小コース含む) 鳩山循環は、42の停留所がある。3便の運行であ る。利用者数146人中「栗山駅」から乗車したのが 34人で最も多く、次いで「役場・とくち病院前」の 13人、「マックスバリュー前」の12人と続いている。

④ 南学田線

南学田線は、継立出張所から栗山駅までで、31の 停留所がある。利用者数67人、「栗山駅」、「日赤前」、

「役場・とくち病院前」等での降車が多い。

⑤ 阿野呂線

阿野呂線は、南学田公民館から栗山駅までで、20 の停留所がある。1便のみの運行であったが利用は 極めて少数に留まった。

(2) 荷物輸送

実験が10月になったことから、野菜類の収穫期の 終わりに近づいていたが、栗山農業協同組合及び4 軒の農家の戸口から栗山農業協同組合集出荷貯蔵庫 まで合計78個の折りたたみコンテナ輸送した。

輸送した路線は、滝下線2便、及び南学田線2便 である。荷物を取扱うことによるバスの遅延状況を みると、当初10分程度の遅れが見られたが、その後 遅れ時間は 35 分程度に短縮し運行上状況に支障 を生ずることはなかった。

(3) 利用回数と評価

バスの利用回数は、「週に2~3回」とするものが 最も多く358人中12534.9%を占めている。次い で、「週に4~5回」とするもの6618.4%、「毎 日利用する」が56人15.6%と続いている。

路線別にみると、日出線は高校生の利用があるの で「毎日利用」が31.0%を占めている。また、南学 田線は、利用目的が「通院」及び「買い物」が大部 分であり(80.3%)隔日利用が中心となっている。

バスを利用した感想は、221人中65人29.4%が「乗 るバス停が近い」との回答や「乗るバス停が近い」 とする好回答が多い結果となっている。

5.おわりに

上記の結果から、①スクールバスの混乗を進める ことによって一般利用のバス便数が軽減可能である こと②昼間時のバスに貨物輸送を併用可能であるこ と。この為には③住民参加のバス運行主体が必要で あることなどの知見を得ることができた。

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新 入 会 員 紹 介

品田 早苗 所属:北海道大学大学院国際広報メディア・ 観光学院 博士後期課程

現在、都市・地方に関わら ず、地域を売り出すために 地域のブランド化・シンボ ル 形 成 が 盛 ん に お こ な わ れています。ブランド・シ ンボル形成過程において、 ど の よ う な 基 準 に よ っ て

外 部 へ 発 信 す る 情 報 が 取 捨 選 択 さ れ て い く の か、その過程や枠組みに関心を持っています。 これまで、植物、特に「県花」や地方公共団体 のマークなど、花が地域のシンボルに多く利用 されていることに着目し、それらが地域経済と 結 び つ く こ と に よ っ て ブ ラ ン ド 化 が 促 進 さ れ て イ ベ ン ト や 経 済 活 動 な ど 地 域 の 活 性 化 に 向 けた活動を行っている地域の事例や、地方都市 で あ る 旭 川 市 の 市 営 の 一 施 設 で あ っ た 旭 山 動 物 園 が 全 国 的 な 人 気 を 博 し て 旭 川 市 を 全 国 的 に有名にし、多大な経済効果をもたらした一方 で、市民以外の利用客の急増によって動物園の オ ー ナ ー で あ る 市 民 の 足 が 遠 の い て い る と い う状況がおきている事例など、シンボル化・ブ ラ ン ド 化 に よ っ て 地 域 を 象 徴 す る 情 報 を 絞 り 込 む こ と の プ ラ ス 面 と マ イ ナ ス 面 に つ い て 調 査してきました。

今回、貴学会に入会させていただき、都市・地 域 が 抱 え る 問 題 や そ れ に 対 す る 取 り 組 み な ど についてさらに勉強し、これからの研究に励ん でいきたいと思っております。

よろしくお願いいたします。

黄 仕豪 所属 札幌国際大学大学院 研究生

世界は「大交流時代」に入 り、国際観光産業は今後最 大 の 産 業 に な り う る 状 況 にあります。国際観光の推 進 や イ ン バ ウ ン ド 誘 致 対 策において、優良イベント の 役 割 は 極 め て 大 き い と

考えられます。とりわけ、優良イベントは近年 グ ロ ー バ ル 化 す る 情 報 発 信 と イ ベ ン ト 間 の 競 争により、観光客数の増加、来訪客の消費額の 増加、開催都市の宣伝効果の上昇、観光イメー ジの浸透、基礎インフラと組織の開催経験、目 的地の集客力と収容力の上昇、などに大きな役 目を果たしています。日本も東京オリンピック や愛知万博などのメガイベントの開催により、 都市や地域の発展に進歩が見られました。 北 海 道 は 雄 大 な 自 然 と 豊 か な 観 光 資 源 を 持 っ ており、諸外国から北海道の魅力を求め来道す る観光客が年々増えて来ています。その魅力を より一層強化するため、北海道の優良イベント を創出して他国に宣伝し、外国人観光客にイベ ン ト も 北 海 道 の 魅 力 の 一 つ だ と 思 わ せ た い と 思っております。そうすることで、より一層外 国人観光客を誘致することができ、北海道を活 性化することが出来ます。

私 は 台 湾 か ら の 留 学 生 で あ り 観 光 学 研 究 を 専 門にしております。今回、札幌国際大学観光学 部 の 中 鉢 令 児 教 授 の ご 紹 介 を 受 け 入 会 さ せ て 頂くこととなりました。地方都市のイベントに よるインバウンド誘致促進と地域の活性化は、 私が興味を持っている分野ですので、今後はそ の 方 面 で 力 を 尽 く し て 貢 献 さ せ て い た だ き た いと思っております。宜しくお願い致します。

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新 入 会 員 紹 介

前田 瞬 所属:札幌大学大学院経営学研究科

経営学専攻 修士課程

少子・高齢社会の到来、情 報社会の形成は、良くも悪 く も 地 域 に 大 き な 影 響 を も た ら し て い る と 考 え ら れます。具体的には、税収 や 国 か ら の 補 助 金 に 大 き く 頼 っ て い た 従 来 の 行 政

運営から脱却し、新しい収入源の確保に地方自 治体が取り組んでいるということです。産学官 連 携 に よ る ま ち づ く り や 地 域 ブ ラ ン ド の 構 築 などは、そのひとつとして全国各地で推し進め られていることもすでに周知の通りです。 このような、地方自治体のマーケティング的な 発想は、地方分権や地方の独立というキーワー ドが聞かれる今日の社会情勢を考えてみても、 必 要 不 可 欠 な も の に な っ て い る の で は な い か と確信しております。

私が専攻する経営学は企業や団体など、1つの 組織を主な研究対象としておりますが、本学会 員として都市や地域という広い視野を持ち、マ チのブランド力向上、さらには北海道のブラン ド力向上について、「学」(特に経営学)の立場 から貢献して行きたいと考えております。

堀江 育也 所属:札幌大学女子短期大学部経営学科 講師

北海道経済は、バブル崩 壊から回復の兆しがあまり 見られないまま、サブプラ イムローンを発端に、10 0年に一度とも言われる大 不況に突入し、今後、どこ まで悪化するのか予測が困

難な状況となっております。現在の札幌中心の 北海道経済では、この状況を打開するのは、極 めて難しいと思われます。今時の不況の時こそ、 広大な北海道の地域特性を活かす必要があり、 高 等 教 育 機 関 で あ る 大 学 の 研 究 ノ ウ ハ ウ を 有 機的に活用し、暗闇の泥沼を共にマドルスルー することが重要であると考えております。

物理的な地域間の隔たりは、近年のインター ネットの普及により、情報レベルにおいてなく なりつつあります。昨年あたりからは、クラウ ドコンピューティングと呼ばれる、ソフトウェ アのサービス化が進みつつあり、コンピュータ だけでなく、携帯電話やテレビ、その他インタ ーネットにつながる端末であれば、デバイスを 選 ば ず に 同 じ 作 業 環 境 は 情 報 が 得 ら れ る よ う になってきており、さらに、情報の共有化が容 易になってきております。

私は、最近クラウドコンピューティングに関 心を持っており、さらに、サービスサイエンス に関連する研究を始めたところであります。貴 学会は、極めて社会から必要とされる研究テー マを扱う学会であることを、同僚の学会員でも ある小山茂准教授より紹介を受け、このたび、 入会させて頂くこととなりました。

地 方 都 市 が 抱 え る 問 題 や 斬 新 な 取 り 組 み な どを勉強させていただき、学会の推進力となれ るよう励んで参りたいと思います。

どうぞよろしくお願いいたします。

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2008年次事務局記録

(1)会員動静(2008.1.1~2008.12.31、以下敬称略)

○入会(届け出順) 正会員(個人)

中尾 有希((株)リクルート北海道じゃらん) 徳田 慎治(北海道 札幌土木現業所) 高田 寛((株)アット・ライン) 青塚 大輔((株)アット・ライン)

田村 正文(東京農業大学生物資源開発研究所) 横田 久貴(札幌国際大学観光学部観光学科) 唐箕 環((有)環エディットオフイス) 正会員(法人)

日本データサービス(株) 学生会員

坂井 友美(北海道大学大学院工学研究科) 彩音(北海道大学大学院農学院)

品田 早苗(北海道大学大学院国際広報メディア・観光学院)

○退会(届け出順) 正会員(個人)

庄司 優(パシフックコンサルタント(株)中部本社交通技術部) 学生会員

正木 卓(元 札幌大学大学院経済学研究科)

(以下 4名は会費長期未納により退会とす) 草津英津(元 北大国際広報メディア研究科) 小川直仁(元 学園大工学研究科) 黒沼精一(元 仏教大社会学研究科) 澤埼兵庫(元 東海大医学部) 賛助会員

札幌市

○変更

正会員→名誉会員

杉岡直人(本学会第18代会長)

○2008年次会員数(20081231日現在) 名誉会員 10名

正会員(個人)113名 正会員(法人) 10団体 学生会員 11名 賛助会員 0団体

144名・団体

(2)2008年次運営体制(敬称略) 論文委員会

委員長 中鉢令兒(論文担当理事)

委員 愛甲哲也(理事)、押谷 一(理事)、高野伸栄、 傑(理事)

企画委員会

委員長 太田清澄(企画担当理事)

委員 石塚 弘(理事)、小林英嗣(会長)原 文宏(理事) 平澤亨輔(副会長)、中井和子(副会長) 編集広報委員会

委員長 小山 茂(編集広報担当理事)

委員 飯田俊郎(理事)鈴木聡士(理事)安田 睦子(理 事)

総務委員会

委員長 石本正明(総務担当理事) 委員 岡本浩一(会計担当) 委員 佐藤敏雄(理事)

(3)2008年次事業報告

①年報、論文集、ニュースレターの発行

・2007年次学会年報「北海道都市44」の発行(20085月)

・2008年次学会論文集「都市学研究45」の発行(20089月)

・2008年次「ニュースレター第1号」の発行(20085月)

・2008年次「ニュースレター第2号」の発行(200812月)

②第46回研究発表会

・日時:2008829日(金)14:30~17:45

・会場:札幌大学サテライトキャンパス

・発表論文(敬称略 ○印は講演者)

【一般研究論文】 5編

1) 公共的トイレのアクセシビリティの評価とその手法

○佐川 景子(東日本旅客鉄道株式会社)/ 森 傑(北海道大学大学院)

2) 積雪寒冷 地における 異なる街区公 園の周辺住 民の利用 実態 と意識について

○谷 彩音(北海道大学大学院)/愛甲 哲也(同) 大友 雅子(札幌市環境局みどりの推進部)

3) 観光振興と大学教育の協働の試み― 阿寒インターンシップ を事例として ―

○中鉢 令兒(札幌国際大学)/五十嵐 元一(同)/ 河本 光弘(同)

4) 観光と農業の共生のあり方について― 内子町と長沼町を事 例として ―

○唐箕 環(環エディットオフィス)/ 中鉢 令兒(札幌国際大学)

5) ニセコ地域へのインバウンドの動向と展望についての考察

○市岡 浩子(札幌国際大学)/成澤 義親(同)/ 河本 光弘(同)

【奨励研究論文】 2編

6) 札幌の戸建住宅に暮らす居住者の意識にみる今後の暮らし

― コ ンパ ク トシ ティ 時 代に おける ニ ュー タ ウン のあ り 方を 探る基礎的研究―

○岡本 浩一(北海学園大学)/佐藤 勇気(東京消防庁) 7) 公立文化 ホールの設 立目的分析― 北海道内市 立文化ホ ール

を素材として―

○酒井 智美(北海学園大学大学院)

③2008年次奨励研究(敬称略)

1) 岡本浩一(北海学園大学)「コンパクトシティを目指す時代 におけるニュータウンのあり方を探るための基礎研究: 既存ニュータウンの使われ方実態」

本研究は、近年注目されているコンパクトシティのあり方 について、郊外ニュータウンに焦点を当てて探ろうとするも のである。成熟社会の中で、多様な生活要望の両立化可能か 否かを、実際に暮らしてきた人々が抱くニュータウンへの評 価を調査により明らかにし、特徴や魅力とともに負担や困り 事を明確化する研究は、ある程度完成(学会にて発表予定) をしていると推測される。この研究を、更に現在の『有り様・ 使われ方(日常の様子、季節による変化、催しや祭り、交流 や趣味活動の場)』について、資料収集や現地調査、ヒヤリン グ調査を組み整理する事を挙げている。こうした具体的研究 は、地域コミュニティの成熟型社会での有り方に知見を得ら れる事が期待できる。しかし、他方論文のまとめ方に力量が とわれるが、そうした力量を期待して、都市への人口集中に 伴い増大してきた郊外住宅地のいわばライフサイクルの有り 様を探る研究として、都市学に貢献するものと思われる。

(15)

- 14 -

2) 唐箕環((有)環エディットオフィス)「観光と農業の共生 のあり方について― 都市と農村交流を核としている安 心院を事例として―」

本研究は、『農山漁村地域における観光客集客要因に関する 基礎研究 -食文化を視点として』 都市学研究40号の継続研 究である。応募者がこれまで実社会で取り組んできたコミュ ニティ作りを、以前の研究分野で行ってきた農村で、観光と いった地域交流の中で捉えようとする研究である。研究内容 が聞き取り調査を中心に置いているが、読売系のコミュニテ ィ新聞の編集者といった日常業務の力量を期待する。農村観 光と都市といった北海道では避けられないテーマであり、先 進的試みがされている、安心院の実態報告と整理は、農村観 光の有り方について、意義ある研究と考えられる。

④第32回北海道都市問題会議(敬称略)

・開催日:20081030~31

・会場:帯広市

・主催:北海道都市地域学会、北海道市長会、帯広市

・開催テーマ:地域の環境ガバナンス~帯広からのローカル・ア ジェンダ21の発信

【1日目】

・基調講演:『北海道が主導する新エネルギー国家構想』 柏木 孝夫(東京工業大学統合研究院教授)

・パネルディスカッション 「地域の環境ガバナンス 」 コーディネーター:山重 明(株式会社ノーザンクロス代表

取締役)

パネリスト:河西 邦人(札幌学院大学商学部商学科教授) 菊地 治己(北海道立十勝農業試験場長)高橋 潤一(帯 広畜産大学大学院畜産学研究科教授)、爲廣 正彦(株 式会社エコERC代表取締役副社長)、砂川 敏文(帯 広市長)

・総括 太田 清澄(北海道都市地域学会企画委員長)

【2日目】

・テクニカルツアー:帯広市内行政視察

・地域セミナー:鼎談「環境共生時代の地域づくり・まちづくり・ 人づくりを考える」

語り手 高野 文彰(高野ランドスケープ・プランニング株 式会社代表取締役)、林 美香子(エコライフジャ ーナリスト/慶應義塾大学大学院教授)

聞き手 太田 清澄(札幌学院大学大学院教授)

⑤総会・理事会

<第1回理事会>

2008425日(金)北海道大学工学部AA151教室

・入退会の承認

・2007年次事業報告・会計報告

・2008年次事業計画・予算の確認

・各委員会報告

<第2回理事会>

2008730日(水)北海道大学工学部AA151教室

・入退会の承認

・2008年次中間会計報告

・2008年次総会・研究発表会について

・第32回北海道都市問題会議開催計画

・2008年次奨励研究の選考について

・各委員会報告

<第3回理事会>

2008829日(金)札幌大学サテライトキャンパス

・入退会の承認

・総会の報告・審議事項について

・各委員会報告

<通常総会>

2008829日(金)札幌大学サテライトキャンパス

・報告事項

1) 会員動静(2007.9.10~2008.8.29) 2) 2008年次奨励研究の選考結果

3) 第32回北海道都市問題会議の開催要項 4) 2008年次運営体制・委員会構成

・審議事項

1) 2007年次事業報告 2) 2007年次決算報告 3) 2008年次事業中間報告 4) 2008年次会計中間報告 5) 2009年次事業計画 6) 2009年次予算案 7) 名誉会員の推薦

・奨励研究授与

<第4回理事会>

20081218日(木)北海道大学工学部AA404教室

・入退会の承認

「都市学研究46」論文応募について

・学会刊行物の寄贈先について

・各委員会報告

(4)2008年次役員 会長 小林 英嗣 北海道大学大学院工学研究科教授 副会長 平澤 亨輔 札幌学院大学経済学部教授

中井 和子 中井景観デザイン研究室代表 理事 愛甲 哲也 北海道大学大学院農学研究科助教

足達 健夫 専修大学北海道短期大学助教授 飯田 俊郎 札幌国際大学社会学部助教授 石本 正明 北海道大学大学院工学研究科助教 石塚 北海道建設部住宅局建築指導課参事 内田 和男 北海道大学大学院経済学研究科教授 太 田 清澄 札幌 学院 大学 大学院 地域 社会 マネジ メ ン

ト研究科教授

押谷 酪農学園大学環境システム学部教授 金子 北海道大学大学院文学研究科教授 亀 野 北海 道大 学高 等教育 機能 開発 センタ ー 准

教授

小山 札幌大学短期大学部准教授 佐藤 克廣 北海学園大学法学部教授 佐藤 敏雄 ドーコン総合計画部技師長 田中 博之 北海道市長会事務局長

千葉 博正 札幌大学大学院経営学研究科教授 中鉢 令児 札幌国際大学観光学部教授

筑和 正格 北海道大学大学院メディアコミュニケー ション研究院教授

文宏 北海道開発技術センター理事 北海道大学大学院工学研究科准教授 安田 睦子 インタラクション研究所代表取締役 監事 佐藤 馨一 北海道大学大学院工学研究科教授

淺川 昭一郎 札幌市公園緑化協会理事長

(16)

- 15 -

(5)2008年次決算報告

(円)

費 目 予算額 現在額 差 額 費 目 予算額 現在額 差 額

繰入金 244,079 676,186 432,107 事業費 600,000 447,890 152,110

 前年度繰越金 244,079 676,186 432,107 編集発行費 300,000 184,890 115,110

 研究発表会費 50,000 0 50,000

会費収入 736,000 736,000 0 研究奨励費 100,000 150,000 -50,000

 正会員(個人) 525,000 549,000 24,000  北海道都市問題会議費 100,000 113,000 -13,000  正会員(法人) 120,000 100,000 -20,000  北海道都市地域学会セミナー 50,000 0 50,000  学生会員 51,000 27,000 -24,000

 賛助会員 40,000 60,000 20,000 運営費 145,000 98,711 46,289

 総会費 15,000 6,613 8,387

 理事会費 15,000 12,798 2,202

 編集広報委員会費 55,000 50,000 5,000

その他 100 13,219 13,119 論文委員会費 50,000 29,000 21,000

 預貯金利息 100 819 719 企画委員会費 5,000 0 5,000

 資料販売 1,000 1,000 総務委員会費 5,000 300 4,700

 雑収入 11,400 11,400

事務費 230,000 180,877 49,123

 消耗品費 5,000 4,782 218

 通信費 120,000 59,240 60,760  事務用印刷費 40,000 80,890 -40,890

 雑費 5,000 5,965 -965

 人件費 60,000 30,000 30,000

予備費 5,179 0 5,179

 予備費 5,179 0 5,179

合 計 980,179 1,425,405 445,226 合 計 980,179 727,478 252,701

収支残高 697,927

注1)当決算報告は、2009年次第1回理事会(2009年3月16日)で報告・承認されたもの。

注2)雑収入:本学会所属の日本都市学会員会費の徴収手数料として、会費4000円の15%分をその他収入として計上したもの。

次年次繰越金 697,927

(1,425,405-727,478)=

収入の部 支出の部

(2008年1月1日~2008年12月31日)

(17)

- 16 -

(6)2009年次予算

(円)

費目 2009年次 費目 2009年次

繰入金 390,000 事業費 640,000

 前年度繰越金 390,000  編集発行費 320,000

 研究発表会費 50,000

会費収入 665,000  研究奨励費 100,000

 正会員(個人) 520,000  北海道都市問題会議費 120,000  正会員(法人) 90,000  北海道都市地域学会セミナー 50,000

 学生会員 45,000

 賛助会員 10,000 運営費 175,000

 総会費 15,000

 理事会費 15,000

 編集広報委員会費 65,000

その他 8,400 論文委員会費 60,000

 預貯金利息 400  企画委員会費 15,000

 その他 8,000  総務委員会費 5,000

 (日本都市学会費徴収手数料等)

事務費 205,000

 消耗品費 5,000

 通信費 90,000

 事務用印刷費 55,000

 雑費 5,000

 人件費 50,000

予備費 43,400

 予備費 43,400

会計収入計 1,063,400 会計支出計 1,063,400

注) 当予算は、2008年次総会(2008年8月29日)で承認されたもの。

収入の部 支出の部

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