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経済変動論 Kizuku Takao ch2

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Academic year: 2018

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(1)

. . . . . .

経済変動論

第 2 章 ( 前半 )

高尾 築

青森公立大学 経営経済学部

講師

2017/04/06

(2)

. . . . . .

0. アウトライン

第 2 章: 家計の消費・貯蓄行動 (教科書 pp.31-54) 1. イントロダクション

1-1. 消費の実態

1-2. 消費に関する基本的な概念

1-A.伝統的なケインズ経済学の消費関数 1-B.ルーカス批判

2. 2期間モデル (家計はどのように消費を決定しているか) 2-1. 家計の消費と貯蓄の選択

2-A.効用関数について補足

2-2. 2期間モデルによる分析

(以降,2章後半スライド参照)

2-3. 家計の効用最大化問題の図形的理解 3. 貯蓄関数

4. 消費に関するその他のモデル

(3)

. . . . . .

1-1. 消費の実態

消費の対 GDP 比率は約 60% (日本, 2014 年)

平成 26 年度 (単位 10 億円) (出所: 内閣府)

短期分析において, 消費変動は景気変動の最重要な因子であ る. (例えば, IS-LM/AD-AS 分析を参照)

長期分析においても, 消費の決定は裏を返せば貯蓄率の決定で あるから (後述), 長期的な資本蓄積の決定に重要な意味を持 つ. (例えば, ソローモデル分析を参照)

(4)

. . . . . .

Data source: World Bank

(5)

. . . . . .

1-2. 消費に関する基本的な概念

消費: C 貯蓄: S

可処分所得: YD

(=労働所得 + 資産所得 − 税 − 社会保障費)

とそれぞれ記号で表すと, 以下の関係が成立することがわ かる:

S = YD − C (2.1) 平均消費性向: C

YD

貯蓄率: S

YD = 1 −

C YD

限界消費性向: dC dYD

(C を YD で微分している)

(6)

. . . . . .

1-A. 伝統的なケインズ経済学の消費関数

伝統的なケインズ経済学において, 家計は以下のような消費行動を とると仮定 (2 年次マクロ経済学の授業第 10 章を思い出そう): .ケインズ型消費関数

. .

... .

. .C =c∗ (Y − T ) + A

C: 今期の消費水準, Y : 今期の所得, T: 今期の税および社会保険費 Y − T = YD: 今期の可処分所得 0 < c < 1, Aは一定の値

c: 限界消費性向

家計の可処分所得が追加的に 1 増えると, c だけ消費が追加的 に増えることを意味

A: 家計の可処分所得に依存しない消費水準 (基礎消費)

(7)

. . . . . .

ケインズ型消費関数(図解)

(8)

. . . . . .

1世帯当たり年平均1か月間の収入と支出-二人以上の世帯うち勤労者世 (平成12-27,全国平均,単位: )

出所: 家計調査 (総務省) より作成

(9)

. . . . . .

(数値例)

消費と可処分所得の関係が以下のようであるとする: C = 0.4 ∗ YD+ 2

この場合,

(1) 貯蓄はどのように表せるか?

(2) 平均消費性向はどのように表せるか? (3) 貯蓄率はどのように表せるか?

(4) 限界消費性向はどのように表せるか? (5) 限界貯蓄性向 (≡ dS

dYD

)はどのように表せるか?

(10)

. . . . . .

伝統的なケインズ経済学に基づく分析では, 上記の消費関数の 構造パラメーター (具体的には, c の値や A の値) を, 過去に観 察されたデータによって統計的に推計.

同様に, 消費以外の投資, 貨幣需要等の数多くのマクロ経済変 数の決定メカニズムを推計し, マクロ経済の構造をモデル化. 推定された構造パラメーターを不変にした下で, モデルを用い て政府支出拡大や減税の効果を定量的に政策評価.

⇐ すなわち, 過去のデータに基づいて消費と可処分所得の関 係 (c や A の値) を推計した後, その推計値を基に所得減税がも たらす消費への影響を分析.

⇐ この方法論的問題点を指摘したのが,ルーカス批判 (1976 年, Robert E. Lucas Jr., “Econometric policy evaluation: A critique”)

(11)

. . . . . .

短期日本経済マクロ計量モデル (2015 年版) の構造と乗数分析 (内 閣府 経済社会総合研究所) より抜粋

(12)

. . . . . .

短期日本経済マクロ計量モデル (2015 年版) の構造と乗数分析 (内 閣府 経済社会総合研究所) より抜粋 (Cont.)

(13)

. . . . . .

1-B. ルーカス批判

Robert E. Lucas Jr. The Sveriges Riksbank Prize in Economic Sciences in Memory of Alfred Nobel 1995.”for having developed and applied the hypothesis of rational expectations, and thereby having transformed macroeconomic analysis and deepened our understanding of economic policy”.

「伝統的なマクロモデルで一定とされている構造パラメーターは 政策が変更されればその値を変えてしまうので, 構造パラメーター の値が変わらないという仮定に基づいて政策効果を予測すること は正当化されない」

(14)

. . . . . .

ケインズ型消費関数に対する具体的な批判

現実の家計の消費は, 今期の所得額だけでなく将来にどれだけ 所得が得られるかにも左右される.

例えば新規国債発行を財源として所得減税が行われた場合, そ れが将来の所得額にも影響することを予想して (具体的には国 債償還のための増税を予期して), 家計は最適な行動を行うは ずである.

したがって, 過去数年間のデータを用いて推計した現在の可処 分所得と消費の関係を表す構造パラメーターが今後も当ては まり続けるという前提の下で, 政策評価を行うのは適切では ない.

⇒将来の予想形成まで含む家計や企業の真の行動様式を捉え る必要がある.

(15)

. . . . . .

現代のマクロ経済学では, ルーカス批判に耐えうるような, 将来の予想形成まで含めた家計や企業の意思決定メカニズム を精緻に理論モデル化 (ミクロ的基礎付け) して分析するのが 主流.

以降では, ミクロ経済学における家計の効用最大化問題に基づ いた 2 期間モデルを考察する.

.モデル化とは .

.

... .

. .経済主体の行動や経済システムを方程式で表すこと

(16)

. . . . . .

2-1. 家計の消費と貯蓄の選択

家計は将来も含めた長期的時間視野の下, ある一定期間に得た 所得の一部を消費し, 残りを貯蓄すると想定される.

消費の目的: 消費すれば現在時点に得られる効用(満足度) 上昇

貯蓄の目的: 貯蓄すれば,将来消費できる水準が上昇

将来時点に得られる効用が上昇

また,このような家計の問題を考える際は, (経済学では常にそ うであるように)予算制約を考慮する必要があることに留意. 消費と貯蓄の両方を同時に増やすことはできない.

=トレードオフの存在

したがって, 「消費と貯蓄の選択」は, 「現在時点で消費する か将来時点で消費するかの選択」と同じことを意味.

(17)

. . . . . .

2-A. 効用関数についての補足

.即時的効用関数 u(C ) .

.

... .

.

.

C(消費水準) が決まれば⇒効用が決まることを数学的に関数 で表現

効用: 満足度を数値で表したものを指す経済学用語

効用関数: 消費水準に対してそこから得られる効用を対応させ る関数

(18)

. . . . . .

ここで, 「関数形が一般形で記述される」という意味は,

「ある条件さえ成立していれば [例えば, u(C ) > 0, u′′(C ) < 0], どんな形状でもよい」ことを指す

一方, 「関数形が特定されている」という意味は, 例えば, u(C ) = log C , u(C ) = C

のように具体的に数値計算できることを指す

(19)

. . . . . .

u(C ) > 0, u′′(C ) < 0の条件

(20)

. . . . . .

即時的効用関数が対数関数で特定化されている場合 u(C ) = log C

1回微分: u(C ) = du(C ) dC =

1 C >0, 2回微分: u′′(C ) = d

2u(C )

dC2 = − 1 C2 <0 したがって, この場合も

u(C ) > 0, u′′(C ) < 0の条件 を満たしていることがわかる

(21)

. . . . . .

u(C ) = log C の場合のグラフ

(22)

. . . . . .

u(C ) =C の場合のグラフ

(23)

. . . . . .

練習問題

u(C ) =C の時に, u(C ) > 0, u′′(C ) < 0が成立することを示せ. ヒント: C = C0.5

(24)

. . . . . .

2-2. 2 期間モデルによる分析

家計は第 1 期 (現在) と第 2 期 (将来) の 2 期間生存すると仮定. 家計は現在の消費 C1と将来の消費 C2から効用を得る.

.家計の目的 .

.

... .

. .2期間の効用 (の加重和) を最大にすること

.家計の行動 .

.

... .

.

.

上記目的を達成するように, 第 1 期と第 2 期の消費計画を決定する こと

厳密にいえば, C1, C2は実質消費水準を意味.

家計は将来の財価格の変化を正しく予想できると仮定. (以下では, 時間を通じて財 1 単位の価格 = 1 と仮定されてい ると考えて差し支えない)

(25)

. . . . . .

可処分所得 = 所得 (税金などは捨象) と仮定 第 1 期: Y1の所得を得るとする:

Y1> C1の時: S = Y1− C1の貯蓄

Y1< C1の時: C1− Y1の借入(マイナスの貯蓄,つまりこの場 Sがマイナスになっている)

第 2 期: Y2の所得を得るとする (利子率を r > 0 とする): (1 + r )Sの元利合計を得る(S < 0の時は元利合計の支払い). したがって,

C2= Y2+ (1 + r )S

厳密にいえば, Y1, Y2は実質所得, rは実質利子率を意味. 家計は,将来に得られる所得Y2を正しく予想できると仮定

(26)

. . . . . .

生涯効用

U(C1, C2) = u(C1) + 1

1 + ρu(C2) (2.3) C1: 1期の消費水準, C2: 2期の消費水準,

u(•): 即時的効用関数(一般形) 仮定:

du(C ) dC >0,

d2u(C ) dC2 <0

ρ >0: 主観的割引率ローと発音)

ρの存在意義: 現在と将来時点で同じ消費水準だとしても, 来の消費から得られる効用が消費計画を意思決定する時点では 低く評価されることを捉えている.

(27)

. . . . . .

第 1 期の予算制約式: S = Y1− C1

第 2 期の予算制約式: C2 = Y2+ (1 + r )S 上記の 2 式から, S を消去して以下を得る (異時点間の) 予算制約式

C1+ 1

1 + rC2 = Y1+ 1

1 + rY2 (2.4) C1: 1期の所得水準, C2: 2期の所得水準

生涯所得: I ≡ Y1+1+r1 Y2と定義すると, C1+ 1

1 + rC2 = I

(28)

. . . . . .

.家計の効用最大化問題 .

.

... .

.

.

maxC1,C2 U(C1, C2) = u(C1) +

1

1 + ρu(C2) s.t. C1+ 1

1 + rC2 = I ≡ Y1+ 1 1 + rY2

「maxC1,C2」: 「生涯効用が最大になるように{C1, C2} を選

択する」ことを意味

「s.t.」: “subject to” の略 (日本語では「∼の条件の下で」) . を意味

内生変数 (モデルの解として求めるべき変数) .

.

... .

.

.C1, C2

.外生変数 (家計にとっては所与, つまり家計の意思では変えること のできない変数)

. .

.

.

.ρ, r , Y1, Y2

(29)

. . . . . .

.家計の効用最大化問題の解き方 .

.

... .

.

.

(1). 予算制約式を直接代入して (C2 = ...の形に変形して) 解 く方法

(2). ラグランジュ乗数法を用いて解く方法

(30)

. . . . . .

数学準備

.最大化の必要条件 (1 階の条件) .

.

... .

.

.

関数 f (x) が, x = xで最大または最小となり, x = xが内点な らば,

f(x) = 0 となる.

※尾山・安田「経済学で出る数学 (改定版)」(2013), p136 参照

(31)

. . . . . .

.具体例: maxx ≥0 y = f (x) = log x − 3x .

.

... .

.

.

(32)

. . . . . .

.具体例: maxx ≥0 y = f (x) = log x − 3x(つづき) .

.

... .

.

.

最大化の必要条件 (1 階の条件) は, f(x) = 0 ⇔ 1

x − 3 = 0, x = 1

3

(33)

. . . . . .

.合成関数の微分 (チェインルール) .

.

... .

.

.

関数 y = f (z), z = g(x) があって

y = f (z)が z について微分可能, z = g(x) が x について微分可能 な時,

dy dx =

dy dz

dz dx

具体例: y = (2x + 1)n (n: 定数) y =zn

z = 2x + 1 dy

dz = n ∗ z

n−1

= n ∗ (2x + 1)n−1, dxdz = 2 dy

dx = 2 ∗ n ∗ (2x + 1)n−1

(34)

. . . . . .

解法 (1): 予算制約式を直接代入して解く方法

予算制約式より,C2 = (I − C1)(1 + r )なので, 生涯効用 U(C1, C2) は以下のように変形できる

U(C1, C2) = u(C1) + 1

1 + ρu((I − C1)(1 + r ))

すなわち, 生涯効用を C1のみの関数で表すことができた! V(C1) ≡ u(C1) + 1

1 + ρu((I − C1)(1 + r )) と定義し直して...

(35)

. . . . . .

最大化の必要条件は V(C1) = dV(C1)

dC1 = 0なので, 合成関数の微分 に注意して

u(C1) + 1 1 + ρu

(I − C1)(1 + r )

| {z }

=C2

(−(1 + r)) = 0

(上式は u(C1) + 1 1 + ρ

du(C2) dC2

dC2

dC1 = 0を計算している) u(C1) = u(C2)1 + r

1 + ρ

.オイラー方程式 (家計の効用最大化条件) .

.

... .

.

.

(1 + ρ)u

(C 1)

u(C2) = 1 + r (2.5)

(36)

. . . . . .

効用関数が対数関数で特定化されている場合 (教科書 p.37)

U(C1, C2) = log C1+ 1

1 + ρlog C2の場合, V(C1) ≡ log C1+ 1

1 + ρlog

(I − C1)(1 + r )

| {z }

=C2

と書き直せて,

最大化の必要条件は V(C1) = dV(C1) dC1 = 0: 1

C1+ 1 1 + ρ

1

C2 ∗ (−(1 + r)) = 0

CC2

1

= 1 + r

1 + ρ: オイラー方程式 (家計の効用最大化条件)

(37)

. . . . . .

⇔ C2 =

(1 + r 1 + ρ

)

C1を異時点間の予算制約式: C2 = (I − C1)(1 + r )に代入

(1 + r 1 + ρ

)

C1 = I (1 + r ) − C1(1 + r ) (1 + r )(1 + 1 + ρ)

1 + ρ C1 = I (1 + r ) C1 =

(1 + ρ 2 + ρ

) I よって, C2 =

(1 + r 2 + ρ

) I

(38)

. . . . . .

解法 (2): ラグランジュ乗数法

教科書 (pp.48-49) 参照

異時点間の予算制約式より, I − C1

C2

1 + r = 0であることに注意 して...

ラグランジュ関数: L= u(C1) + 1

1 + ρu(C2) +λ (

I − C1 C2 1 + r

)

を定義する.

ここで,λをラグランジュ乗数とする

(39)

. . . . . .

ラグランジュ関数: L= u(C1) + 1

1 + ρu(C2) + λ (

I − C1 C2 1 + r

)

Lは {C1, C2, λ} に依存する多変数関数なので, L(C1, C2, λ)と表記.

最大化の必要条件 (1 階の条件) は...

∂L(C1, C2, λ)

∂C1

= 0: u(C1) − λ = 0

∂L(C1, C2, λ)

∂C2 = 0:

1 1 + ρu

(C 2) −

λ 1 + r = 0

∂L(C1, C2, λ)

∂λ = 0: I − C1 1

1 + rC2 = 0

(40)

. . . . . .

1つめの条件より, λ= u(C1). (A) 2つめの条件より, λ= 1 + r

1 + ρu

(C

2). (B)

(A), (B)より λ 消去. u(C1) = 1 + r

1 + ρu

(C

2)となる.

(41)

. . . . . .

練習問題

生涯効用: U(C1, C2) = log C1+ 1

1 + ρlog C2 異時点間の予算制約式: C1+ 1

1 + rC2 = I の時に, ラグランジュ乗数法を用いて (1) オイラー方程式を導出せよ

(2) 第 1 期の消費水準を導出せよ (3) 第 2 期の消費水準を導出せよ

(42)

. . . . . .

練習問題

生涯効用: U(C1, C2) = u(C1) +

1

1 + ρu(C2) 効用関数の形状の仮定: u(•) > 0, u′′(•) < 0 第 1 期の予算制約: S = Y1− C1

第 2 期の予算制約: C2 = Y2+ (1 + r )S −τrS

ここで, {ρ, r, Y1, Y2, τ} は所与とする. τ(タウ) は資産課税率を表 す (利子所得 rS に課税していると考えればよい).

の時に,

(1) 異時点間の予算制約式を導出せよ (2) オイラー方程式を導出せよ

参照

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