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酸化亜鉛による綿織物への遮熱加工の検討 あいち産業科学技術総合センター|研究成果|研究報告書

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Academic year: 2018

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1 三河繊維技術センター 製品開発室 2 三河繊維技術センター 製品開発室(現尾張繊維技術センター 機能加工室)

研究論文

酸化亜鉛による綿織物への遮熱加工の検討

平 石 直 子

1

、 安 田 篤 司

2

Development of Heat Shielding Processing to Cotton Fabric

by Zinc Oxide

Naoko HIRAISHI

*1

and Atushi YASUDA

*2

Mikawa Textile Research Center*1 *2

本 研 究 で は 、 こ れ ま で 合 繊 の カ ー テ ン 等 に 付 与 さ れ て い る よ う な 赤 外 線 遮 蔽 の 効 果 を 綿 織 物 に 付 与 す る こ と で 、 綿 織 物 を 高 付 加 価 値 化 し 、 新 製 品 開 発 に つ な げ る こ と を 目 指 し た 。 シ ラ ン カ ッ プ リ ン グ 剤 を バ イ ン ダ ー と し て 用 い 、 無 機 材 料 で あ る 酸 化 亜 鉛 を 有 機 材 料 で あ る 綿 繊 維 に 化 学 的 に 結 合 す る 手 法 を 検 討 し 、 赤 外 線 遮 蔽 効 果 を 評 価 し た 。 そ の 結 果 、 実 用 化 に 向 け た 加 工 の 最 適 条 件 の 明 確 化 、 耐 久 性 に つ い て の 検 討 は 必 要 で あ る も の の 、 本 研 究 の 加 工 法 に よ り 、 綿 織 物 に 一 定 の 遮 熱 効 果 を 付 与 す る こ と が で き た 。

1.はじめに

三河・知多地域は綿織物の産地であり、織物の企画・ 製造・販売を行う企業が多く立地しており、綿織物の高 付加価値化による新製品開発が強く望まれている。

高付加価値化の一つとして、赤外線遮蔽効果の付与が 考えられる。これまで合成繊維については、酸化亜鉛を 繊維に練りこみ、赤外線遮蔽機能を有するカーテン等の 製品が上市されている。一方、綿等の天然繊維では、酸 化亜鉛などの粒子を付与するためには、樹脂バインダー 等を用いて加工する方法が一般的である。しかし樹脂バ インダーには風合いが硬くなる等の欠点があった。そこ で本研究では、樹脂を用いない加工方法として、バイン ダーにシランカップリング剤を用い、無機材料である酸 化亜鉛を綿繊維に化学的に結合する手法を検討した。ま た、加工後の綿織物について赤外線遮蔽性及びその耐洗

濯性を評価した。

2.実験方法

2.1 試料及び加工薬剤

試料は、綿ブロード生地 (経・緯綿 40/1s、密度タテ

130本/inch、ヨコ70本/inch)とした。

加工薬剤は、バインダーとしてシランカップリング剤

KBE-903 (信越化学工業(株))を用い、赤外線遮蔽剤とし

て、水分散体酸化亜鉛のパゼットGK水分散体20%及び

酸化亜鉛粉体のパゼット GK40 (ハクスイテック(株))の

2種類とした。

2.2 綿生地への加工方法の検討

シランカップリング剤を用いた綿生地への酸化亜鉛

加工方法は、パッドドライ法及び吸尽法の2種類とした。

加工手順は、図1のとおりとした。

図1 綿生地の加工方法

(2)

2.3 加工サンプルの洗濯試験

パ ッ ド ド ラ イ 法 と 吸 尽 法 (2%o.w.f.、10%o.w.f.、

20%o.w.f)で加工したサンプルをJIS L 0217 103法によ

り1~5回洗濯した。

2.4 亜鉛付着量

パッドドライ法及び吸尽法で加工したサンプル、並び にそれらの洗濯試験後のサンプルについて、エネルギー 分散型蛍光X線分析装置 ((株)島津製作所、EDX-900HS)

を用いて、亜鉛を定量して、亜鉛残存率を測定した。 2.5 加工サンプルの赤外線遮蔽効果の評価

恒温恒湿室に設置した、ハロゲンヒーターを用いた遮

熱性評価装置により、ヒーターを付けて1分後、5分後、

10 分後の加工サンプルと未加工サンプルの表面温度と

サンプルを透過してきた赤外線による黒い紙の表面の温

度上昇を熱画像としてサーモカメラで撮影した (図2、

図3)。また、測定は、ヒーターの温度分布ムラを考慮

して、試料の左右を入れ替えても行い、測定時の試料の 最高温度を、左右の温度の平均から割り出した。

3.実験結果及び考察

3.1 加工サンプルの亜鉛付着量

パッドドライ法、吸尽法で加工したサンプル、及びそれ

ぞれの洗濯試験後のサンプル中の亜鉛を蛍光 X線分析に

より測定し、スペクトル強度から算出される亜鉛原子の量

を生地への付着量として比較した (図4)。その結果、吸

尽法による加工と比較してパッドドライ法による加工で 亜鉛の付着量が多いことが分かった。

また、洗濯試験後の亜鉛残存率についても比較した (図

5)。その結果、1 回洗濯後の吸尽法で加工したサンプル

で亜鉛残存率が約 30%、パッドドライ法で加工したサン

プルで約 60%となり、パッドドライ法の方が亜鉛残存率

は高かった。しかし、バッドドライ報でも複数回の選択で 徐々に亜鉛残存率が低下することから、洗濯耐久性に課題 があることが分かった。理由としてシランカップリング剤 がアルカリに弱いことが考えられた。

図3 赤外線遮蔽試験模式図 (横から見たところ) 図5 洗濯試験後の亜鉛残存率

未加工試料 加工試料

図2 赤外線遮蔽試験風景 (正面から見たところ)

奥にヒーター

図4 加工生地の亜鉛付着量

(3)

3.2 加工サンプルの赤外線遮蔽効果の評価

未加工と加工サンプルとの表面温度の比較と遮熱性(黒

い紙上の表面温度)を比較したサーモカメラの画像を図6

に示す。

この画像からわかるように、サンプル表面では、未加工

と比較して加工試料の表面温度が高かった (図6左側)。

加工試料 未加工試料

図6 試料表面上(左側)、及び黒い紙上(右側)の熱画像

それぞれ上からヒーターを付けて1分後、5分後、10分後

(試料は未加工との遮熱性が一番大きかったパッドドライ法試料を3回洗濯したもの)

加工試料 未加工試料

(4)

一方、試料の5cm手前に置かれた黒い紙の表面では、 加工試料の温度より、未加工試料の温度の方が高かった

(図6右側)。以上の結果より、酸化亜鉛加工による遮熱性

の効果が示された。

さらに黒い紙の表面温度について未加工と加工試料と

の温度差を図7に示す。加工サンプルは、全ての条件で、

未加工よりも温度が低い結果となり、パッドドライ法(洗

濯3回)の試料で温度差が最大で-1.5Kとなった。

酸化亜鉛の付着量が最も多かったパッドドライ法のサ ンプルで、未加工との温度差最大にならなかったのは、サ ンプル片上の酸化亜鉛が蓄熱したため試料表面の温度が

上昇し、黒い紙まで影響が及んだためであると考えられた。 このことは、酸化亜鉛加工により保温性、蓄熱性の効果も 期待できることを示唆している。

4.結び

赤外線遮蔽効果については、今回の加工方法による一 定の効果はあったと考えられる。今後、実用化に向けた 加工の最適条件の明確化、耐久性についての検討は必要 であるが、保温性、蓄熱性が求められる様な用途展開へ の可能性もあると考えられ、綿の後加工による機能性付 与方法としても期待できる。

図7 黒い紙の表面温度(未加工サンプルとの温度差)

参照

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