行 政 視 察 等 報 告 書
平成28年6月21日
長野市議会議長 小 林 義 直 様
報告者氏名(代表)
総務委員会委員長 野 本 靖
この度、行政視察をしましたので、その概要について下記のとおり報告いたします。
記
1 視察区分 総務委員会行政視察
2 視察者氏名 野本 靖 市川 和彦 岡田 荘史 倉野 立人 滝沢 真一 高野 正晴 阿部 孝二 田中 清隆 布目 裕喜雄 宮崎 治夫
3 随 行 者 書記 中澤 達彦
4 視察期間 平成28年5月17日(火) ∼ 平成28年5月19日(木)
5 視察先及び視察事項
視 察 先 視 察 日 時 視 察 事 項 宮城県
塩竈市
5月17日(火) 午後1時30分
∼3時30分
・東日本大震災の被災状況と復興の現状について
・震災を踏まえた防災対策について
岩手県 盛岡市
5月18日(水) 午前10時30分∼正午
・公共施設アセットマネジメントについて
北海道 函館市
5月19日(木) 午前9時∼10時30分
・函館市地域交流まちづくりセンターについて
6 調査概要 月日
視 察 地
(市町村名等)
考 察
(所感、課題、提言等) 5/17
(火)
塩竈市 【東日本大震災の被災状況と復興の現状について】
【震災を踏まえた防災対策について】
[概要]
○復興の取組について
塩竈市では前期5か年、後期5か年の概ね10年計画で復興を 目指している。震災前の姿に戻す「現状復旧」に留まらず、よ り快適で活気のあるまちへの「復興」を目標としている。
例えば、災害廃棄物を処理するだけでなく、今回現地視察し た北浜地区における市街地復興土地改良事業では、地盤沈下の 著しい海抜の低いエリアの地盤の盛土として活用し、街並みを 再整備するなど大規模な土地区画整理事業も推進されていた。 しか し、「復興の前途は厳しい」と復興担当 職員は説明して おり、また、考え方によっては被災から5年経過し復旧・復興 に努めてきているが、青天井による予算の投入に疑問があるよ うだった。
また、資材が不足しているとのことであるが、広範囲に及び ゼロベースのまちづくりが必要であり、建設資材や労働者の供 給が行き届かないことが懸念されているとのこと。
復興住宅については、その合意形成等は難航している。 住宅移転場所の問題で予定していたものが取りやめになるな ど、行政側の計画と、個人のニーズが一致していない部分があ り、事業が進んでいない。
水産業加工施設は、国からの8分の7補助のおかげもあるだ ろうが、以前よりも増えたとのこと。ただ、5年が経過し、風 化してきている部分があり、さらに、国からの交付金が減って いく中での対応が課題である。
補助については、金額と対象期間が青天井で継続されること の課題もあるとのこと。
○人的資源の派遣について
震災復興に関わる行政運営のノウハウを持った職員が不足し ており、復興推進の担当職員には、区画整理など大規模な事業 を経験した職員が塩竈市には少ないため、長野市から2名、須 坂市から1名の支援職員が派遣されている。
今後の計画の進捗管理や住民協議などに、不安を感じておら れた。
[考察]
政府主導で進められる中、今まで経験しなかった大規模事業 への取組に対する地元自治体職員の不安は大きいものがある。 被災地への寄附、災害廃棄物の処理を担うことも復興を促進 する有効な手法かもしれないが、被災自治体の職員と協働でき る人材の派遣が更に大きな支援となることを切実に感じた。
そのことを考慮すると長野市からの2名の人材派遣は被災地 住民への直接的な支援であり、復興が粛々と推進できており有 意義であると考察された。
本市より派遣されている神保・北村両職員にお会いでき、復
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(水)
盛岡市
興が進んでいる状況が把握できた。5年を経過すると市民の意 識が希薄になりつつありとの報告に、災害意識を風化させない ような対策が必要であると感じた。
想定をはるかに上回るという言葉があちこちで出てくるが、 反省と課題を生かして次に備えるということと、絶えず想定外 の災害が起こり得ることを想定した災害対策を作ることが必要 であると考えられる。
特に、自助を強調した新避難計画など、住民参加型の災害対 策を実践することにより、安心・安全に暮らせる災害に強いま ちづくりを推進することが喫緊の課題であると再認識した。
【公共施設アセットマネジメントについて】
[概要]
○これまでの取組の経過
盛岡市では、厳しい財政状況の中、少子高齢・人口減少時代 の本格的な到来に備え、平成21年度に「盛岡市自治体経営の指 針及び実施計画」を策定し、全庁的な視点の下に施設の維持管 理の更なる効率化や老朽化した公共施設の更新費用の低減・平 準 化 を 進 め る た め に 、「 公 共 施 設 ア セ ッ ト マ ネ ジ メ ン ト の 推 進」を掲げ、平成25年6月に「公共施設保有の最適化と長寿命 化のための基本方針」を策定した。
この方針では、公共施設の老朽化に伴い多額の更新費用を必 要とする一方で、人口減少により税収の減少等が予想されるこ とから、社会環境の変化を的確に捉え、人口減少に応じた最適 な施設保有を維持し、ニーズの変化に対応した市民サービスを 提供し、限られた財源を効果的に活用し効率的な施設運営を行 い「公共施設保有の最適化」を図るとともに、計画的な保全を 実施し安全な施設の「長寿命化」を図ることにより、将来世代 に大きな負担を強いることなく、持続可能な市民サービスの提 供を目指すこととした。
平成26年12月には、建築物系施設について、向こう20年間に 施設保有の最適化や長寿命化が必要となる施設を可視化すると ともに、施設用途ごとの具体的な取組の方向性を定める基本計 画として、「公共施設保有 最適化・長寿命化長期計画」を策定 した。
平成28年3月、この長期計画を円滑に推進するための具体的 な個別施設計画となる「公共施設保有最適化・長寿命化中期計 画」を市民等の意見等も踏まえ策定した。特に、市民との合意 形成においては、アンケート調査を実施し、先ずはヘビーユー ザ ー で な く 、 一 般 市 民 か ら と る こ と で 、 合 意 形 成 を 図 っ て い る。また、削減目標は設定しなかったとのことである。
この中期計画の実施に当たっては、既存施設の見直しや管理 運営の更なる効率化等が必要となるが、市民、地域、企業、団 体等関係者との適切な役割分担の下に、一層の連携協力を図り ながら、少子高齢・人口減少社会に対応し、市民福祉の更なる 向上と持続可能な市民サービスの提供に取り組んでいくとして いる。
○中期計画において重点的に取り組む事項
・既存施設を活用した地域拠点施設の確保(32福祉推進会の区 域ごと)
・老人福祉センター未設置地区における介護予防事業の提供ス ペースの確保
・学校等を活用した児童センターの設置
・計画的な予防保全による施設の長寿命化
○施設保有の最適化
・公共施設の老朽化問題と人口減少社会への対応
将来に大きな財政負担を残さない形で、計画的に施設を更 新していくため、新規の施設整備の抑制や、既存施設の見直 しを行いながら、施設の集約・拠点化による利用率の向上や サービスの充実を図る。
・少子高齢化への対応
高齢者人口が増加する一方で、年少人口・生産年齢人口が 減少することから、余剰スペースの増加が見込まれる学校施 設に児童が利用する施設を整備し、この整備により生じるス ペースを子供から高齢者までが年代を問わずに利用するスペ ースに転換するなどの新たなニーズに対応する。
・市民協働の推進
地域のコミュニティ活動の施設は、市民等と市が連携・協 力して維持管理を行うとともに、地区ごとに集約・拠点化を 進めながら、サービスの充実を図るため、地域拠点施設とし て、既存施設を活用し、市内32の福祉推進会の区域ごとに確 保する。また、地域のコミュニティ活動の施設の一部につい ては、人員配置の見直しや譲渡等を行い、市民、町内会・自 治会、NPO、社会福祉法人等の民間事業者、行政が、それ ぞれの特徴を生かし、連携・協力した施設の維持管理を進め る。
・都市の魅力の向上や産業・経済面の発展
学 校 施 設 と 児 童 館 ・ 児 童 セ ン タ ー を 複 合 化 す る こ と に よ り、放課後児童が過ごせる環境を整備し、安心して子育てし やすい魅力あるまちづくりを進める。また、施設の多世代利 用を推進し、生きがいを持ち、地域の方々がつながる親しみ のあるまちづくりを進める。
スポーツ施設、記念館等の集約・拠点化や、産業支援施設 の機能強化を図りながら、観光施設との複合化などにより、 施設の魅力度を高めて集客増を図るとともに、アイスアリー ナ等の多目的利用を行うなど、地域資源を活用して観光など の産業・経済面の発展を目指す。
[考察]
アセットマネジメントの取組の背景の中で、公共施設の現状は 30年を超える施設が全体の4割を占め、施設の建替えと大規模改 修が喫緊の課題であり、維持更新費用の増大が見込まれる。維持 更新費用は40年間で約4,345億円。年平均100億を超え、これまで の費用の2倍以上が必要である。
どの市も同じで少子高齢化・人口減少社会の到来する。 平成47年には14歳以下の年少人口が6割、15∼64歳の生産年齢 人口が3割減少する。
厳しい財政状況が続き、老人福祉や生活保護の費用が増加する る一方で、限られた予算が多く、財政の硬直化が進むことが予想
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(木)
函館市
される。
また、地域公民館に対する助成制度や管理運営の地域譲渡を含 め見直しが必要とされるとしたが、長野市との地域事情の違いが 有るが、盛岡市は公設公民館が少ない中、地域公民館の管理運営 に行政がどこまで関与しているのか疑問を感じた。
この件は、函館市の公民館運営在り方・位置付けの違いもある ことが分かった。
特筆すべきは、アイスアリーナは閉鎖し、イベント会場に改修 し つ つ 、 ア イ ス リ ン ク は 規 模 の 小 さ い 施 設 に 転 換 す る と の こ と で、一つの活用の転換と改善を図っている様子であった。長野市 と同様に、大規模スポーツ施設の管理には苦慮していることがう かがえた。
また、視察の冒頭、盛岡市議会総務委員会の宮川委員長さんの 挨拶の中で、先月発生した熊本地震に対する、市内小学校児童会
・中学校生徒会の自主的な支援活動の取組を見るにつけ、東日本 大震災で失うものは大きかったけれど、支援したいという気持ち など得るものもというお話には少し救われた。
【函館市地域交流まちづくりセンターについて】
[概要]
○センターの概要
昭和50年 のいわゆる200海 里水域制限により 水産業の大きな 打撃を受けたが、今年3月北海道新幹線の新函館北斗駅の開業 などにより「ふれあいとやさしさに包まれた世界都市」を目指 している。
函館市地域交流まちづくりセンターは、市民交流やNPOな ど市民活動の支援、観光案内を初め地域情報の発信を通じ、函 館地域のコミュニケーションやまちづくり活動をサポートする ための施設である。
1923年(大正12年)創建の丸井今井呉服店函館支店として建 てられたノスタルジックな函館西部地区のランドマークを2007 年4月1日、新たに市民活動の支援や市民の交流の場、地域情 報の発信拠点として市が改築し、NPOやボランティアなどの 活動の場、市民の交流の場、地域情報の発信の場として、様々 な市民の方が利用できる施設とした。
例えば、市民活動やNPOについて相談したい方、打合せ場 所が欲しい方、市民活動やNPOの情報が欲しい方、研修会や 展示会場を探している方、市民活動やNPOの会報やチラシを 作りたい方、観光情報や地域情報が欲しい方が利用している。
主な活動は、情報発信、交流場所の創出、市民活動・NPO の支援、生涯学習の企画・運営、移住の相談など、多岐にわた る。
施設の利用料は、次のとおりであるが、フリースペースを営 利目的で使用する場合は割増料金となることと、また、利用目 的や利用団体によっては、研修室・フリースペース・会議室の 利用料金が減免になる場合がある。
・研修室 1室1時間までごとに500円
・フリースペース 1日につき10,000円
・会議室 1室1時間までごとに300円
・駐車場 2時間無料、超過30分までごとに100円
なお、青少年センター、勤労青少年ホーム、又は働く婦人の 家等の目的別施設が有るが、函館市における市立公民館は、合 併町村を含めて3施設だけとのこと。
※人口、世帯数及び市立公民館数について、長野市と函館市 との比較
長野市 382,708人 159,188世帯 60施設 函館市 266,140人 143,267世帯 3施設
市民活動は地域公民館が主体である。ある意味、交流、そし てまちづくりは個々又は地域ごとの活動が主体であり、長野市 の様に行政主導型の地域活動にはない実態があった。
市民利用の公的施設の形態と市民活動の在り方自体が根本的 に長野市民生活上の活動とは全く異っていることと、住民自ら が必要な活動を自主的に選択している実態が有ることを確認で きた。
[考察]
説明してくださった指定管理者のNPO法人副センター長さん は元ホテルマンであり、歴史ある建物を利用しながら、とにかく 使用者目線で運営され、また、人材が宝という視点がうかがえ、 実績をもって役所を説得するという方法が特筆でき、行政主導の 在り方の違いが参考となった。
また、大正12年丸井今井呉服店函館支店の鉄筋コンクリート構 造を使用した外観は、洋風を基調とした「復興式」地域になじん だ、函館市地域交流まちづくりセンターであり、市民交流やNP O な ど 市 民 活 動 の 支 援 、 観 光 案 内 を は じ め 地 域 情 報 発 信 を 通 し て、地域コミュニケ―ジョンやまちづくり活動の拠点地として活 発に活動してことが考察できた。
函館の街にあった外観は洋風で、街の雰囲気作りにも生かされ ている。レトロなエレベーターも維持し大正ロマンが漂い観光の 拠点にもなっている様子が見れて、街づくりのセンターの意義が 強いことが考察できた。
ただ、「地域交流とまちづくり」の先進地視察 を目的とした視 察 で あ っ た が 、 社 会 構 造 ・ 市 民 生 活 が 根 本 か ら 異 な る も の が 有 り、一つの市民活動と地域交流に対する地域事情実体としては参 考となった。