第
7
章
雇用問題の現状と課題
第一節 労働需給
(
1
)景気変動と雇用・賃金
・景気変動に応じて生産量が変化することから、
アンアワー・ベースの雇用量も調整がなされる。
・景気後退にともなう雇用調整は、日本の場合、
通常、所定外労働時間の削減からはじまり、パート社
員等非正規の社員の採用抑制、削減、正社員の配置転
換・出向、希望退職者の募集、解雇と進んでいく場合が
多い。
・
労働市場においては、アンマー・ベースでの調整(数量 調整)のほか、労働の価格すなわち、賃金の調整が行わ れる。賃金は硬直的な性格をもつといわれるが、日本の 場合、とくに第二次石油危機後の日本の失業率、インフ レ率の上昇が欧米先進国に比べれば軽微であったことか ら、賃金の調整が伸縮的であるとの評価が高まった。
少子高齢化、人口減少と労働力供給の構造変化
•
労働力供給は人口動態とそのうちどれくらいの割合で
労働市場に参入するかを示す労働力率に左右される。
日本の人口動態をみると、少子高齢化が急速に進むな
かで、
2005
年に第二次世界大戦後はじめて減少に転じ
、人口減少時代に入った。
・今後人口減少下で労働力の供給制約が強まると予想さ
れるなかで注目されているのが女性、高齢者である。
こうしたなか、少子高齢化、人口減少下で女性の就業
労働力の質と労働生産性
• 労働力については、数量ではなくその質も重要である。
日本の高度成長も教育の普及と企業内職業訓練などに
よってもたされた質の高い労働力よって支えられたとみ
られている。
・近年では、IT革命など急速な技術革新やサービス化の 進展によって労働者は新たな能力を求められており、ま たグローバル化のなかで単純労働は工場の海外移転に よって、安価な労働力を持つ国に代替されるようになり 、
日本経済のとって労働力の質の向上はますます重要と