公共経済学演習14 Everybody’s business is nobody’s business. ——Aristotle
投資の1.5倍の収益をうむ，つまり，例えば，
• 4億円の投資をした場合，1.5 × 4 = 6億円の収益をうみ，6 − 4 = 2億円の利益，
• 8億円の投資をした場合，1.5 × 8 = 12億円の収益をうみ，12 − 8 = 4億円の利益
となる投資をすればするほど利益がでるプロジェクトがある．このプロジェクトに二人がそれぞれ投資を して彼らで平等に収益を分けるとき，どうなるだろうか．
状況 自分の利益を追求する投資家Aと投資家Bが総投資の1.5倍の総収益をうむプロジェクトに投資 を検討している．投資家Aは0，4，8，12，16億円のうちから一つ，投資家Bは0，4，8，12，16億円 のうちから一つ自分の投資額を同時期に選ぶ．そして，彼らで平等に総収益を分ける．したがって，例え ば，投資家Aは投資額4億円，投資家Bは投資額8億円を選んだ場合，
総投資額= 4
|{z}
A の投資額
+ 8
|{z}
B の投資額
= 12億円，
総収益額= 3
2 × (4 + 8)| {z }
総投資額
= 18億円，
Aの収益額= Bの収益額= 1 2 ×
3
2 × (4 + 8)
| {z }
総収益額
= 9億円，
Aの利益=1 2 ×
3
2× (4 + 8)
| {z }
A の収益額
− 4
|{z}
A の投資額
= 5億円，
Bの利益=1 2 ×
3
2× (4 + 8)
| {z }
B の収益額
− 8
|{z}
B の投資額
= 1億円
である．
Step1：利得関数をつくる 投資家Aは投資額a億円，投資家Bは投資額b億円を選んだ場合， Aの利益=
Bの利益=
Step2：利得行列をつくる
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公共経済学演習14 Step3：支配戦略均衡を求める 投資家Aは投資額a億円，投資家Bは投資額b億円を選んだ場合，
Aの利益= 1 2×
3
2 × (a + b)| {z }
総投資額
| {z }
総収益額
| {z }
A の収益額
− a
|{z}
A の投資額
= 3b − a 4 億円，
Bの利益= 1 2×
3
2 × (a + b)| {z }
総投資額
| {z }
総収益額
| {z }
B の収益額
− b
|{z}
B の投資額
=3a − b 4 億円．
したがって，利得行列は以下の通り．
A\ B 0 4 8 12 16
0 ±0, ±0 +3, −1 +6, −2 +9, −3 +12, −4 4 −1, +3 +2, +2 +5, +1 +8, ±0 +11, −1 8 −2, +6 +1, +5 +4, +4 +7, +3 +10, +2 12 −3, +9 ±0, +8 +3, +7 +6, +6 +9, +5 16 −4, +12 −1, +11 +2, +10 +5, +9 +8, +8
Step4：支配戦略均衡を解釈する 支配戦略均衡を解釈することで，実現すると予測される結果を解釈 する．
• 支配戦略均衡は(0, 0)である．
• 支配戦略均衡における投資家Aの投資額は0億円，投資家Bは投資額は0億円である．
• 支配戦略均衡における投資家Aの利益は0億円，投資家Bの利益は0億円である．
Q. 例えば，戦略の組(16, 16)，すなわち，投資家Aは投資額16億円，投資家Bは投資額16億円を選 んだ場合，投資家Aの利益は8億円，投資家Bの利益は8億円になる．支配戦略均衡における投 資額は低め，高め？支配戦略均衡における利益は低め，高め？
Q. 投資をすればするほど利益がでるプロジェクトのはずなのだが・・・．どうしてこうなるのか？
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