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Academic year: 2018

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(1)

圃場常設型非破壊計測の検討

A Study of sugar content sensor for continues measurement

工藤正博

1

、神成淳司

1

、小川貴代

2

、和田智之

2

Masahiro Kudo

1

, Atsushi Shinjo

1

, Takayo Ogawa

2

, and SatoshiWada

2

1

慶応義塾大学、

1

Keio University

2

理化学研究所

2

RIKEN,

Abstract:

Sugar content is a key factor of the delicacy which consumers demand of farm product such as fruit and tomato. Improvement of the sugar content is important because it influence a price and quality in the market. However, measurement about the influence of the growth process and the environmental condition of farms on sugar content is not fully performed. In order to improve the quality of farm product, we attempt to develop the sugar content monitor which measures the sugar content of object vegetables or fruit continuously at the farm by remote control.

1.はじめに

農業分野において、我が国の生産品質は世界でも 最高の水準にあると言われている。この品質は、農 業分野における長年の研究成果の一つであり、農産 物の品質を客観的・定量的に評価する測定技術に関 する取り組みが極めて重要な役割を果たしてきた。 とりわけ消費者が果物やトマトなどに求める価値の 主要因である糖度については、販売価格や品質を左 右することから重要視されている。一方で、これら 既存取り組みにおける測定技術は、収穫前後の産品 の等級分類を主目的としたもので、破壊式や近赤外 分光法を用いた固定式の非破壊糖度計が主流である。 そのため、生産現場では、作物の生育条件や農作業 の工程が生育中の作物の糖度変化に与える影響とい った因果・相関関係を把握するための連続的なデー タ取得に関する取り組みが不足しており、生育過程 での糖度品質のコントロールは、多くの場合、生産 者の経験や勘に委ねられてきた。本稿では、これら 状況を踏まえ、作物の生育過程の解明に資する事が 期待される、連続計測可能な圃場常設型糖度計の検 討を行う。

2.圃場常設型非破壊計測の検討

野菜及び果物に含まれる糖に固有な吸収帯を決定 するた めに、分光光度 計(島津製 作所、UV-3600) を用いてグルコース溶液の吸収スペクトルを測定し

た 。

1. グルコースの吸光度

1に結果を示す。横軸は波長、縦軸は吸光度であ る。測定の結果、975nmを中心としたブロードな吸 収ピークが存在することが確かめられた。この吸収 ピークは、水の吸収に由来するものであり、吸光度 は、グルコース濃度に比例して大きく変化すること が確かめられている。この結果より、我々は、近赤 外光を用い、吸収分光法による糖度計測を行った。 図2に、構築した糖度計測システムの概念図を示

(2)

す。半導体光源からの光をサンプルに照射し、サン プル内で減衰した透過光を光検出器で検出した。光 源は上述の吸収ピークを含む 850nm1050nm の間 で5波長程度を選び、それぞれの入射光と散乱光と の強度比から糖度を算出する。信号は無線LANで遠 隔から受け取れることができ、コンピューターにて 演算処理を行った。

2. 糖度センサーの概略図

測定結果の一例として、図3に糖度を保証した標準 試料を測定した結果を示す。縦軸は透過光測定によ る糖度算出結果、横軸は調整した溶液の糖度である。 試料には、光を散乱させるためイントラリピッド輸 液10%を溶媒として、計量したグルコースを溶かし

2%, 4%, 6%, 8%, 10%のグルコース溶液を作成した。

測定した結果、従来の破壊式糖度計での測定結果と 相関する結果が得られた。糖度は温度等の影響を受 けやすいため、更なる高精度化が必要であるが、本 研究で、近赤外光を用いた糖度測定が有用であるこ とが確かめられた。

3. 標準試料での測定結果

次に、測定結果の一例として、図4にトマトの糖 度を測定した結果を示す。縦軸は透過光測定による 糖度算出結果、横軸は同一サンプルをつぶして作製 したトマト果汁を、市販の破壊式糖度計(アタゴ、

PAL-1)で測定した結果である。図中の点線は 10%

の誤差範囲である。なお、透過光測定の場合、プロ ーブ部へのトマトの設置は、一般的な利用に近いよ うに、測定者が手でトマトを任意の位置に置いて測 定した。50サンプルを測定した結果、従来の破壊式 糖度計での測定結果とある程度相関は認められるも のの、非常にばらつきが大きい結果が得られた。

4. トマトの糖度測定

5にトマトとプローブの設置面を固定する器具 で計測したケースを示す。100 サンプルを計測した 結果、計測精度は向上し、10%の誤差内での糖度同 定となることが示せた。

このことは、非破壊式糖度計は設置条件により大 きく精度が異なること、並びに設置面の治具により 固定を行うことで、精度向上が可能となる事を示す。

5. トマトの糖度測定(固定治具を使用)

さらに、本糖度計は、圃場への常設設置が目的で あることを踏まえ、外光による影響を考察する。図 6 に外光によるトマトへの測定反射率への影響結果

(3)

を示す。縦軸は、暗室(0W/m

2

)での計測結果を 1 として測定結果の乖離度をプロットしたものである。 横軸は波長依存性をみるために測定波長を設定して いる。それぞれの線は、外光強度を変えたものであ り、01000 までを段階的に変化させた。なお、外 光は、太陽と同様の波長強度分布を持つソーラーシ ミュレーター(朝日分光、HAL-C100)を用いた。

6. 外光による影響

測定した結果、外光のノイズは特定の波長域に対し て、有意に影響がなく、また強度に対しても反射率 比への影響は高くないため、均一ノイズフィルタに よるバックグランド補正が有効であるとの示唆が得 られた。

これまでの開発では、圃場への設置を考慮し、遠 隔から操作可能な小型糖度計の開発に成功した。試 作機を用いて複数個のトマトの糖度を測定したとこ ろ、従来の破壊型糖度計による測定結果と近い値が 得られた。今後は外部環境(温度、外光)の影響を 考慮した装置の高精度化や長時間連続動作試験を行 う予定である。

3.考察

前項を踏まえ、圃場常設型非破壊計測について考 察する。

3.1. 糖度変化を踏まえた作物栽培

圃場常設型非破壊計測センサーは、一定の期間の糖 度変化を定点観測する。これにより、水やりや施肥 などの農作業や温度や日照などの環境と、糖度変化 との相関関係の分析が可能となり、生産者や農業研 究者などが、高糖度化された品質を高めるための生 育方法を検討する上で、どのような目標となる糖度 を得るための具体的な方法を検討できる。

3.2. 熟練農家の農業技能・技術の伝承

高品質農産物を生産している熟練農家の高齢化が 急速に進んでいる一方で、後継者不足などによりそ の貴重な技能がこの数年の間に消滅しようとしてい る状況である。この状況に対し、熟練農家の技能・ 技 術 の 伝 承を 促 すた め の手 段 と し て、 神 成ら が AI

(Agri-Informatics) 農 業 を 提 唱 し て い る[神 成 2010] [農水省2009]AI農業は、「環境変化」「農作 物の変化」「農行為」の3つの因果、相関関係をデー タマイニングの手法により明らかにし、適切な農行 為の意思決定支援を行うものである。本研究は、農 作物の状態を連続的に把握する技術の一つとして位 置付けられ、AI農業のキーテクノロジーとして極め て重要である。

3.3. 作物の計測方法の標準化

1に、単一のトマトをそれぞれ等距離の間隔で 表面に8点をとり、破壊式糖度計(アタゴ、PAL-1) で計測した結果を示す。下部の糖度が比較的高く、 上部は低い小さく、ばらつきがあることが確かめら れた。これは複数のトマトにも同様の傾向がみられ た。作物の価格や品質が、糖度によって決定される 要素が大きいことからも、生育管理、品質管理上も 計測点を定めることが重要である。圃場常設型非破 壊計測は、同一点を特殊な設置治具によって固定し て、定点観測を生育段階から記録する方式から、こ のようなばらつきが発生する要因を生育段階からの 抑制し、測定方法の標準化につなることも期待でき る。

表1. 単一つのトマトの計測点による糖度 トマトの計測位置 糖度(BRIX %) トマト上部1 5.90% トマト上部2 5.90% トマト上部3 5.75% トマト上部4 4.70% トマト下部1 5.50% トマト下部2 6.30% トマト下部3 6.10% トマト下部4 6.50%

4.謝辞

本研究は生物系特定産業技術研究支援センターより、 イノベーション創出基礎的研究推進事業の助成によ る。

(4)

5.参考文献

[神成2010]神成:農業情報学,情報処理,Vol.51 No.6 2010

[農水省2009]農水省:農業分野における情報科学の

活用等に係る研究会報告書-AI農業 の展開について-,

http://www.maff.go.jp/j/press/kanbo/kihyo03/pdf/090 820-01.pdf (2009)

参照

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