Ⅹ Ⅳ 自 転 車 等 駐 車 場
1 施設の概要 ( 1) 施設の設置目的
堺市においては、昭和 58 年頃から鉄道駅周辺の自転車等の集中状況が著し くなり、自転車等の路上放置により通行障害や生活障害がおこり社会問題とな った。そこで、堺市は、堺市内に存する 6 鉄道 41 駅のうち阪堺軌道を除く 5 鉄道 27 駅について対策を講じることとし、昭和 60 年に自転車問題対策審議会 を設置し、放置自転車問題について諮問した。その結果をふまえ、昭和 62 年 4 月 1 日、駅周辺の道路その他公共の場所における自転車等の駐車秩序を確立 することにより、良好な都市環境の確保と交通の円滑化を図ることを目的とし た堺市自転車等の放置防止に関する条例が制定された。同条例に基づき、自転 車等駐車場の整備、放置禁止区域の指定、自転車等駐車場の有料化がすすめら れた。
( 2) 施設設置の経緯
堺市自転車等の放置防止に関する条例に基づき、堺東駅前を最初に自転車等 駐車場の整備、放置禁止区域の指定、自転車等駐車場の有料化がすすめられ、 平成 15 年 10 月の三国ヶ丘駅前を最後に 27 駅すべてについて自転車等駐車場 の整備、放置禁止区域の指定、自転車等駐車場の有料化の実施が完了した。平 成 16 年度 5 月時点における堺市内の市営自転車等駐車場数は 98 箇所、収容台 数総数は 53, 608 台である。
( 3) 施設の概要
堺市内における自転車等駐車場の構造は、立体駐車場、地下駐車場、平置屋 根付、平置屋根無の 4 種類の構造がある。なお、各施設には、その施設の状況 に応じて、管理人室・照明・転倒防止柵等の設備が設置されている。
( 4) 施設の利用状況等
①自転車等駐車場の利用方法
自転車等駐車場を利用するためには、堺市自転車等の放置防止に関する条 例により市長の許可を得ることが必要である。すなわち、定期利用について は、自転車等駐車場の使用許可申請を行い、堺市長から許可決定書の交付を 受けることにより利用が可能である。また、一時使用については、一時駐車 券の購入をもって許可にかえられている。
②利用料金
堺市自転車等の放置防止に関する条例施行規則により、次のとおり定めら れている。
【定期利用料金】
使 用 車 種 1 ヶ 月 券 3 ヶ 月 券
地 階 ・ 1 階 ・ 2 階 2 , 0 0 0 円 5 , 4 00 円
上 記 以 外 1 , 5 0 0 円 4 , 2 00 円 屋 根 あ り 1 , 8 0 0 円 4 , 8 00 円
屋 根 な し 1 , 5 0 0 円 4 , 2 00 円 屋 根 あ り 3 , 0 0 0 円 8 , 1 00 円 屋 根 な し 2 , 5 0 0 円 6 , 9 00 円 原 動 機 付
自 転 車
駐 車 場 の 構 造 立 体
平 面 自 転 車
【一時利用料金】
自 転 車 1 00円 原 動 機 付 自 転 車 2 00円
③利用状況
平 成 1 3 年 度 平 成 1 4 年 度 平 成 1 5 年 度
収 容 可 能 台 数 5 3 , 4 2 8 5 4 , 1 4 8 5 4 , 1 4 8 平 均 駐 車 台 数 3 8 , 4 6 9 3 7 , 4 6 3 3 5 , 9 9 2 利 用 率 7 2 . 0 0 % 6 9 . 2 0 % 6 6 . 5 0 %
( 5) 施設運営に関する法令等 地方自治法
自転車の安全利用の促進及び自転車等の駐車対策の総合的推進に関する法律 道路交通法
道路法
( 6) 施設の管理状況等
各施設の管理は、財団法人自転車等駐車場整備センター、社団法人堺市シル バー人材センター、財団法人大阪府泉北センターの 3 委託先に分けて管理委託 がなされている。各施設の委託先、委託内容は次のとおりである。
①上野芝駅外 7 駅 22 ヶ所の自転車等駐車場について ( ア ) 委託先
財団法人自転車等駐車場整備センター
( イ ) 委託金額 (単位:円) 平成13年度 平成14年度 平成15年度
委託料 260, 579, 550 247, 055, 550 227, 354, 400 ( ウ ) 委託業務内容
駐車場内整理業務 駐車場の受付業務 使用料等の徴収業務 清掃業務
その他関連する業務
②浅香駅外 12 駅 49 ヶ所の自転車等駐車場について ( ア ) 委託先
社団法人堺市シルバー人材センター
( イ ) 委託金額 (単位:円) 平成13年度 平成14年度 平成15年度 委託料 314, 746, 698 325, 155, 037 324, 964, 279 ( ウ ) 委託業務内容
駐車場の管理及び整理業務 駐車場の受付業務
使用料等の徴収業務 清掃業務
放置禁止区域等の巡回・啓発業務 土居川公園テニスコート管理業務 その他関連する業務
財団法人大阪府泉北センター
( イ ) 委託金額 (単位:円) 平成13年度 平成14年度 平成15年度
委託料 236, 786, 550 219, 156, 000 214, 103, 400 ( ウ ) 委託業務内容
駐車場内整理業務 駐車場の受付業務 使用料等の徴収業務 清掃業務
その他関連する業務
2 監査の結果
( 1) 公の施設の必要性について
前述のとおり、堺市においては、昭和58 年頃から鉄道駅周辺の自転車等の 集中状況が著しくなり、自転車等の路上放置による通行障害や生活障害は大き な社会問題となっていた。そのような状況を受け、堺市は、堺市自転車等の放 置防止に関する条例を制定し、同条例に基づき自転車等駐車場が整備されたも のであり、良好な都市環境の確保や交通の円滑化のために堺市公営の自転車等 駐車場は不可欠な施設であると考えられる。
もっとも、近年の少子高齢化社会の進行により、各駅周辺における自転車等 の集中台数には減少が見られる(堺市が毎年5 月に行っている調査によれば、 自転車等集中台数は、平成 13 年 5 月 64, 528 台、平成 4 年 5 月 61, 026 台、平 成 15 年 5 月 57, 433 台と推移している。)。そして、自転車等駐車場の利用率も 平成 13 年度以降毎年低下が続いている。その結果、すでに一部駅については、 駅周辺におけ る自転車 等の集中 台数より も自転車 等駐車場 収容台数の 供給数 が上回っている地区も発生している。
したがって、このような自転車等駐車場の供給過剰となっていることが明白 な地域等については、当該施設を存続させる必要性について十分な検証が必要 である。そして、利用者の利便性、自転車等駐車場が駅周辺の交通円滑化確保 のために果たす役割を十分考慮しつつも、他の隣接自転車等駐車場への集約等 が可能と判断される自転車等駐車場については、統廃合をすすめることが合理 的であると考えられる。
利用状況を勘案し、各駅について利用率が低く、かつ管理人が巡回している定 期利用の自転車等駐車場を候補としている。統廃合にあたっては、利用者への 周知徹底(定期利用者には 3 ヶ月定期の購入の選択肢があるため、最低廃止の 3 ヶ月前には廃止予定の周知が必要となる。)、看板ビラ等による告知、他の自 転車等駐車場の紹介、空き状況等の情報の提供を行っており、統廃合手続きに も特に問題は見当たらない。かかる利用者への配慮も行った上で統廃合をすす めていることは合理的かつ適切な対応であるものと考えられる。
なお、堺市は今後も利用状況等を検証しながら、自転車等駐車場の統廃合を すすめる計画をもっているが、その際にも利用者の利便性、自転車等駐車場が 駅周辺の交通 円滑化確 保のため に果たす 役割につ いて十分 考慮するこ とが必 要なことはいうまでもない。
( 2) 管理運営の合規性・妥当性について
自転車等駐車場は、通勤通学時間帯には多数の自転車等が集中し、自転車や 原動機付自転車はその適切な整理、管理が行われなければ利用者の安全確保も 図れなくなってしまうため、堺市としては自転車等駐車場を提供するだけでは なく、その適正な管理を行うことが不可欠である。堺市自転車等の放置防止に 関する条例によれば、堺市長は、自転車等駐車場の適正な管理をはかるため、 自転車等の利用者等に対し必要な指導を行うことができるものと定めているが (同条例第 16 条第 1 項)、当然のことである。しかしながら、堺市内における 自転車等駐車場は合計 100 箇所近くにのぼり、そのすべてについて堺市が直接 管理を行うことは業務の専門性、効率性の観点から妥当とは考えにくい。この 点、条例は駐車場の利用並びに維持及び保存に関する事務の全部又は一部を公 共的団体に委託することができると定めている(同条例第 19 条)。
現在、堺市は約 100 箇所ある自転車等駐車場の管理業務等について、財団法 人自転車等駐車場整備センター、社団法人堺市シルバー人材センター、財団法 人大阪府泉北センターの 3 箇所に委託している。これら委託先はいずれもその 性質上公共的団体に該当するものと判断されるため、これら 3 団体に対して管 理業務等を委託していることは同条例上問題ない。
駅にある自転車等駐車場については、全国的に自転車等駐車場の整備や管理運 営を行いこれらについて十分なノウハウをもつ財団法人自転車等駐車場整備セ ンターへの委託に切り替えられることとなった。また、泉北地区内における駅 設置の自転車等駐車場については、財団法人大阪府泉北センターが泉北ニュー タウンの公共施設全般の管理業務を行い当該地域に精通しているという事情を 考慮し、同センターへ委託を行っている。
3 団体への委託がなされている現状は、管理委託がなされた経緯、管理効率 の観点等から考えて不合理なものとは考えられない。しかしながら、委託先に よる委託料が若干異なったり、組織内における管理体制に相違があったりする。 指定管理者制度の導入にあたっては、公募の方法を採用して指定管理者を選定 することが望ましい。
3 意見
( 1) 経済性・効率性について
自転車等駐車場はいずれも通勤通学客、買い物客に利用されており、その結 果、駅周辺の放置自転車の減少という効果を生み出しており、施設の設置目的 にあった利用がなされているといえる。
堺市は、前述のとおり毎年 5 月に各駅周辺への自転車・ミニバイクの集中台 数調査を実施し、各駅への自転車等の乗り入れ状況、駐車場の利用状況を把握 しているが、監査の対象とした平成 13 年度から平成 15 年度はいずれも総収容 台数ベースでみると各駅における駐車場収容台数は 100%以上確保されている 状況にある。特に自転車等の乗り入れが少ない駅では駅近くに十分な自転車等 駐車場が供給されており、利用者にとって良好な環境にあり、個々の自転車等 駐車場の利用率も高い状況にある。
また、平成 15 年度には行財政改革の一環として委託料の見直しも行われてい る。具体的には管理体系及び管理人数の見直しが行われ、土曜日の人員配置体 制を日、祝日と同様の人員配置にし、また午前の人員配置時間の短縮(午前 6 時から午後 1 時を午前 10 時までに変更した。)、堺市駅外 7 駅の管理ポスト削減 等が行われており、平成 15 年度では 3 団体に対する委託料が合計で 4, 500 万円 程度削減できるという効果を生んでおり、効率化が図られていることが認めら れる。
数箇所に分かれて点在することになり、駅から遠い自転車等駐車場の利用率が 十分に伸びていない。その結果、自転車等の収容台数としては十分な供給がな されているにもかかわらず、駅前での放置自転車が絶えないという問題が発生 している。
また、通勤、通学時間帯を過ぎた午前 10 時以降に駅周辺に来る買い物客によ る自転車等駐車場の利用率が低く、入れ替わり立ち替わり駅前に自転車等が放 置されるという問題も発生している。
さらに、経済性、効率性の観点と直接関係するものではないが、自転車等駐 車場内における自転車、原動機付自転車等の盗難という問題も発生している。 したがって、自転車等駐車場の防犯対策もさらにすすめる必要があるものと考 えられる。
これら問題点に対する対策としては、利用料金の柔軟な設定、駅隣接施設と の提携による駐車場の無料利用制度の導入等を検討する余地があるものと思わ れる。また、駐車場利用券の自動券売機の設置、自動ゲート、防犯カメラ等の 設置による機械化の導入により、さらに経営の効率化がはかれる余地もあるも のと考えられる。なお、自動ゲート、防犯カメラ等の設置については施設の防 犯対策推進にも役立つものと考えられる。
( 2) 受益者負担について
堺市が同条例に基づいて設置した自転車等駐車場はすべて有料である。自転 車等駐車場を無料で開放すれば、自転車等駐車場の利用率が伸び、ひいては駅 周辺の放置自転車等が減少する効果を生み、堺市民全体の利益となるという考 え方もありえるかもしれないが、自転車等駐車場の整備には多額の資本的投資 が必要となるし、自転車等駐車場内における安全確保等のためには、自転車等 駐車場の継続的な維持管理が不可欠であり、そのために継続的な支出が必要で ある。また、自転車等駐車場利用者と非利用者が存在するのであり、その公平 性への配慮が必要である。かかる観点から、自転車等駐車場の利用料を設定し、 利用者に対して一定の負担を求める取り扱いは妥当な取り扱いであるといえる。
が少ない状況となっていることや、現状では自転車等駐車場の収支は支出超過 となっていることからしても、一時利用料金と定期利用料金の見直しを行う必 要性があるものと考えられる。
もっとも、安易に利用料金を増額してしまうと、自転車等駐車場の利用率が 下がり再び放置自転車が増加するなどの問題が発生することも予測されるため、 利用料金改定にあたっては利用者の負担面、利用者に応じた割引制度の充実等 も考慮し、十分な検討を行うことが必要である。
また、前述のとおり、現在利用率が低い自転車等駐車場の利用促進のために、 自転車等駐車場ごとの細やかな利用料金の設定、利用時間帯による設定、各種 割引制度の導入、駅周辺施設との提携による無料利用制度の導入等についても 検討を行う余地があるものと思われる。