労働経済学 第 3 回
広島大学社会科学研究科 特任助教 川田恵介
1 労働市場の制度とは?
労働市場の制度: 法体系や規範、など集団的に決定され、個人の意思決定における追加的な制約やインセ ンティブを生み出すもの
1.1 労働市場の制度の種類
価格へ影響を持つもの: 最低賃金や労働組合、労働への課税等 雇用量へ影響を持つもの: 労働時間規制や移民政策、学校政策等
1.2 労働市場の制度が存在する要因
効率性: 市場の失敗等が発生し、社会が非効率な状態になるのを防でいる。 公平性: 社会余剰の再分配を通じて、社会の公平性を高めている。
政治の失敗: ロビー活動等の影響によって、少数であるが政治的影響力のある集団の余剰を高めている。
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2 最低賃金とは?
最低賃金: 賃金の下限を設定し、それ以上の賃金を支払うことを雇用者に義務づける。
2.1 国家間比較 (下記図参照)
国よって最低賃金の決定方法、かつ適用範囲が異なる。代表的なものとして、3つが存在する。 1. 全国共通でかつ法律によって規定される。
2. 全校共通でかつ労使間の集権的な交渉によって決定される。
3. 産業レベルの労使間交渉によって、その産業に適用される最低賃金が決まる。
日本の最低賃金: 都道府県によって水準が異なる。
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2.2 理論
2.2.1 完全競争型労働市場における最低賃金
設定: 無数の企業が存在し、家計、企業とも賃金は所与としてもとで、労働供給量、需要量を決定する。 帰結:
雇用量: 賃金: 社会余剰:
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2.2.2 需要独占型労働市場における最低賃金
設定: 企業が一社のみ存在する。企業は自社の雇用量が均衡賃金に与える影響を考慮に入れ、労働需要を 決定する。
帰結: 雇用量: 賃金: 社会余剰:
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2.3 2重労働市場における最低賃金
設定: 最低賃金が適用される部門(Formal sector)と適用されない部門 (Informal sector) が存在する。そ れぞれの市場は完全競争的であるとする。
帰結: 雇用量: 賃金:
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2.4 実証研究
2.4.1 雇用量、賃金への影響
Card & Krueger (1994, American Economic Review) : アメリカ ニュージャージーでは1992 年 4月、最低賃金が$4.25 から$5.05 まで増加された。対して隣接し、かつ経済構造が似ているペンシル ベニア州では、最低賃金は変更されなかった。このイベントを用いた推計では、最低賃金によって、 レストランにおけるフルタイムの雇用の増加が確認された(下記図参照)。
Neumark and Wascher (2007, IZA discussion paper): 彼らの Survey において、2/3 の実証研究 で最低賃金が雇用に負の影響を与えている。またそれらの結果は、常に統計的に有意性とは限らない。
2.4.2 Informal secotr への影響
いくつかの研究において、最低賃金の水準の増大が、Informal sector の賃金を増大させていることが指 摘されている。(lighthouse effect)
2.5 なぜ最低賃金は存在しているのか?
効率性: 企業の独占力が存在している場合、程度な最低賃金は市場の余剰を増大させられる。 公平性: 低賃金の労働者の賃金を増加させることによって、公平性を向上させられる。
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