ゲーム理論 : 授業内容補足
三原麗珠 (H. Reiju Mihara)
∗香川大学図書館
2013 年 1 月
授業内容にかんする補足,そして必読文献への補足や訂正などを以下に列挙する.順番はシラバスの「授業 計画」にほぼしたがう.ただし第2章にたいする「補足」にかかわるコメントは,その章にたいするセクショ ンの最後にサブセクションとしてまとめた.この文書のpdfファイルからWebサイトにリンクが貼られてい る部分には,丸括弧内に「リンク」と書いた.
なお,該当ページのみでラベル付けしたコメントは,特に断らないかぎり渡辺隆裕(2004) 『図解雑学ゲー ム理論』にかんするものであり,具体的には初版第14刷(2008年6月30日)にたいするものである.最近の
「刷」では誤りは修正されていることがある.*1
第 1 章 なぜ今「ゲーム理論」が注目されているのか
特に補足はない.
第 2 章 ゲーム理論の基本 — 同時ゲームと交互ゲーム
• 46頁.サンペイ君とルイス君のゲームは「合理的な豚」という名前でも知られる.動物行動学者が実 際に大ブタ小ブタでで実験したところ,理論通りの結果になることが多かったらしい.ブタが合理的な 推論を行ったというよりは,試行錯誤の中で懸命なやり方を学んだと理解できる.
サンペイとルイスのゲームのように,「弱いものが優位に立つ方法」を知りたいという質問が過去 にあった.一般的な方法があるわけではないが,渡辺3章のはじめでやる例のように自分の選択肢 を絞って「コミットメント」することにより有利な状況を作り出すことができる場合もある.あく まで「そういう場合もある」というふうに理解すべき.ゲーム理論を知っていれば多少有利になる 場面は増えるが,絶対的なものではない.相手もゲーム理論を知っているかもしれないし,あるい はゲーム理論を知らなくても直観でじゅうぶん戦略的に行動できるひとかもしれない.「攻略方法 を知っていれば必ず勝つ」ゲームは存在するが,そういうゲームでも自分が勝てる方のプレーヤー になるとは限らない.「矛盾」の起源となった故事の盾と矛の関係を考えれば分かるだろう.
• 54頁.複数均衡にかんして過去尋ねられた質問は,均衡(s, t), (s′, t′) (このゲームでは均衡 (疑惑,金 融)と(金融,疑惑)に当たる)があったとして,Player 1が前者の均衡を,Player 2 が後者の均衡を 想定して行動した結果,(s, t′) (このゲームでは (疑惑,疑惑)に当たる)が実現してしまわないかとい
∗http://www5.atwiki.jp/reiju/(リンク)
*1より古い初版第 1 刷 (2004 年 9 月 8 日) への訂正は,最後付近の「渡辺 (2004) 初版第 1 刷への訂正」のセクションに掲載した.
うもの.もちろん(s, t′)は一般にはナッシュ均衡にならないが,そういう戦略の組合せをどうやって避 けるかというのは問題になる.べつの言い方をすれば,複数ある均衡のどれをどうやって実現するかと いう問題であり,これはゲーム理論における大きな課題として残っている(武藤42–43頁や渡辺80頁 参照).たとえば今後導入する「部分ゲーム完全均衡」では,いくつかのふさわしくないナッシュ均衡 を取り除くことができる.しかし多くのゲームではプレーヤーたちの行動を一意的には予想できないと 考える方が自然だ.一意的に予想できないなら,解概念としても複数の均衡を選ぶようにしておくべき である.複数均衡があるかぎり,そのうちひとつをどうやって実現するかという問題はつきまとうこと になる.
ただ,非協力ゲーム理論は取るべき行動をしめすための規範的理論とは通常見なされてはいない. じっさいに観察される社会現象を説明したり予想したりするための事実解明的理論と見なされる. まだ出ていない結果を予想するためでなく,すでに分かっている結果を説明するために使うばあ い,複数均衡のそれぞれをどう実現するかという問題は生じない.すでに特定の結果が決まってい るのだから.それが均衡として説明出来ればいちおうは満足できるのだ.現実に観察されるような 結果のいずれもが均衡になっていて,逆に均衡になる結果がいずれも現実にも観察できるなら,事 実を説明する理論としては特に問題はないと言えるかもしれない.
• 68頁.均衡を正しく記述するためには,結果の経路を述べるだけでは不十分な理由を補足しよう. –「均衡」とは戦略の組であるため,文秋の戦略「疑惑」とともに新朝の戦略も記述する必要がある.
ところが上の点(文秋が「疑惑」を選んだばあい)における新朝の行動である「金融」を指定した だけでは新朝の戦略を記述したことにはならない.72頁で述べるように,下の点 (文秋が「金融」 を選んだばあい)における新朝の行動である「疑惑」も指定してはじめて新朝の戦略を記述したこ とになる.(新朝の戦略は「文秋が「疑惑」を選んだ場合自分は__を選び,文秋が「金融」を選ん だ場合自分は__を選ぶ」という形で表せることに注意.)
– ではなぜ均衡が戦略の組であることを要求するのか? その理由はナッシュ均衡の要請から説明 することができる.ナッシュ均衡では,相手の戦略にたいして自分の戦略が最適反応であることを 各プレーヤーに要請する.自分の戦略が最適反応になっていることを確証できるためには,相手の 戦略がきちんと記述されている必要がある.たとえば,文秋が「金融」を選び新朝が「金融」を選 んだときの文秋の利得を25 から80に修正したゲームを考えよう.このばあい均衡は修正前と同 じで,文秋が「疑惑」,新朝が上の点で「金融」下の点で「疑惑」を選ぶこととなる.したがって結 果の経路は,文秋が「疑惑」,新朝が「金融」となる.ところが均衡として結果の経路を記述した だけでは,新朝が下の点で取る行動が分からない.かりにそれが「金融」であるとすると,文秋は
「疑惑」よりも「金融」を選んだ方が利得が高くなるので,最適反応をしていないことになる.つ まりこの戦略の組は均衡ではない.均衡を記述したつもりだったのに,均衡でない戦略組までふく まれてしまうという不都合が起きている.このような不都合を避けるには,均衡ははじめから「戦 略の組」とする必要がある.
• 72–73頁で説明した,展開形ゲーム(ゲームの木)の「戦略」の意味や,展開形ゲームを戦略形になお
す手続きは完全に理解すること.
– その展開形ゲームにおける新朝の4つの戦略は図でしめすことができる.これらの戦略は,以下の ように言い換えることができる:
∗ (疑惑,疑惑)は「つねに疑惑を選ぶ」戦略,
∗ (疑惑,金融)は「先手と同じ選択をする」戦略,
∗ (金融,疑惑)は「先手と逆の選択をする」戦略,
∗ (金融,金融)は「つねに金融を選ぶ」戦略.
– 時間の概念がある展開形ゲームを戦略形ゲームに変換するということは,いわば展開形ゲームの開 始時に「同時ゲーム」をプレイして先のことまですべて決めてしまうようなものである.合理的な プレーヤーならば,ゲームの途中にある意思決定点に至ってはじめてその点における選択肢を決め るはずはない.それでは遅いのだ.合理的なプレーヤなら,ゲーム開始時にすべての意思決定点に おける選択ができるはずである.それにあわせて「戦略」の概念も,あらゆる意思決定点 (より一 般的には情報集合)にたいしてなんらかの選択肢を指定することを要求するものになっている.こ れはたとえばプレゼンテーションであらゆる想定される質問にたいして準備しておくことに相当 する.じっさいには一部の質問しかされないだろうが,どの質問をされるかは分からないので,す べての質問にたいして何らかの応え (「知らねえよ!」でもいいが)を用意してこそ「戦略」と呼 べる.
– 時間差じゃんけんの後手について言えば,「相手がグー出しそうだから自分はパーを出そう」だけ では戦略にならない.「相手がグーを出したら自分はパーを,相手がチョキを出したら自分はグー を,相手がパーを出したら自分はチョキを出そう」というふうに,(実際には起きなくても)あらゆ る場合を想定しておくのが戦略だ.
– 展開形ゲームを戦略形になおす理由を尋ねた学生が過去にいた.まず,展開形ゲームを戦略形ゲー ムにしたら情報が一部失われる.展開形から一意的に戦略形を導くことはできるが,逆は一意的に はできない.にもかかわらずなぜ「わざわざ」戦略形を考えるのかという疑問だ.これは参考文 献としてシラバスに掲載した奥野正寛『ミクロ経済学』を参照するのが分かりやすい.奥野の定 義4.2に「展開型ゲームでのナッシュ均衡とは,展開型ゲームから構成される戦略型ゲームのナッ シュ均衡のことを言う」とある一見無意味な記述が,端的な理由を物語っている.つまり,「ナッ シュ均衡」という概念を戦略形ゲームで定めておけば,そして展開形ゲームにたいして戦略形ゲー ムをひとつ対応させる手続きを決めておけば,それをもちいて展開形ゲームの「ナッシュ均衡」を 定義できるのだ.より一般的には,展開形ゲームを戦略形になおす方法を決めておけば,戦略形 ゲームにおける「支配」とか「均衡」といった概念や命題をふくむ理論を,展開形ゲームの理論を 構築するのに使える.展開形ゲームを戦略形になおす理由はこれだ.
さらに一般化すれば,ある集合の要素にたいして定義されたある概念を,べつの集合の要素に たいしてべつの概念を定義するために援用することは頻繁にある.たとえば「エロい女子高 生」という概念は.その心理や行動などいろいろな要素を考慮してはじめて定義できる複雑な ものかもしれない.しかしいったんそれを定義してしまえば,たとえば「す敵な女子高」とい うべつの概念を定義するためにそれを利用できる.「す敵な女子高とは,その生徒の75パーセ ント以上がエロい女子高生である女子高のことである」といった具合に定義でき,あらためて 心理や行動に言及する必要はなくなる.このばあい必要なのは,与えられた女子高—それ自体 は立地とか,建物とか,提供科目とか,学則とか,年表とか,教員の集合とか,生徒の集合な どをふくみ得る概念と考えられる—にその生徒の集合を対応させる手続きである.
• (蛇足) 74頁にエスカレータで右を空けるか左を空けるかという話が出て来る.川西は「本当ならエス カレータで歩く行為が禁止されるべきなのに,多くの人がつくりあげた暗黙のルールによって,立ち止 まってる人が注意されてしまうのです」(川西諭『ゲーム理論の思考法』117頁)と言う.じっさいエレ ベータは片方を空けるようには作られてはいないから,その指摘自体は正しい.ただ,人々が作り上
げた暗黙のルールを簡単には変えられない以上,「歩く奴が悪い」といっても解決にはならない.エレ ベータをデザインする段階から,人々の行動を読み込んでデザインする必要があるんじゃないか.
補足 : 戦略形・支配・ナッシュ均衡のフォーマルな定義
このサブセクションは三原麗珠「ゲーム理論: 補助教材」にかんするコメントである.
• 三原の補助教材2節はこの科目でもっとも抽象度が高いトピックである.過去「渡辺本とギャップがあ る」という意見があった.しかし受講生のみなさんはすでに渡辺本や講義で「支配」「ナッシュ均衡」な どの概念の直観的な意味は分かっているはず.補助教材2節ではそれらすでに意味の分かっていること を数学的にきちんと定義し直しているにすぎない.集合や関数や最適解など必要な数学については補足 している.ギャップがあるのではなくて,抽象度が高くなっているだけという方が正しいだろう. 一般に定義というのは簡単ではない.たとえば形のない「愛」はもちろん,形があるものでも簡単では ない.一応知っているはずの「大学」や,よく知っているはずの「ネコ」をみんは定義できるだろう か? すべての概念を定義する必要はないが,きちんと定義しておかなければ正確な議論ができなくな るような概念は定義したほうがいい.さいわい,上記の「愛」「大学」「ネコ」などとちがって,(「支配 する」であれ「最適反応」であれ「ナッシュ均衡」であれ)ゲーム理論の主要概念はいずれも数学的に 簡単に定義できる.
• 三原の補助教材2節にある囚人のジレンマを示したうえで,自分が囚人1だったらどういう行動を取る か尋ねたら,ある学生は状況の記述が不十分だから分からないとの趣旨の回答をした.仮に状況がこの ゲームで完全に記述されていて,ナッシュ均衡の考え方にしたがって解くとどうなるか尋ねたら,ちゃ んと「自白」と答えた.現実の囚人の場合,たとえば先に出所した囚人1にたいして囚人2が殺し屋を 送るなども考えられる.そういう状況を記述するゲームは,通常は囚人のジレンマとは異なるものにな る.あるゲームが記述している状況でどういう行動を取るべきかという問題は,じっさいにその状況を そのゲームがちゃんと記述できているかどうかとは分けて考えることにする.あくまでそのゲームが状 況をきちんと記述できていると想定したうえで答えてくれればよい.
• 三原の補助教材2節にある弱支配と最適反応の定義式が同じという指摘が過去にあった.ちがいはどの 変数を動かしているかということ.弱支配の不等式は他人が戦略s−iをいろいろ変えても,つねに左辺 が右辺以上の値を取ることを言っている.最適反応の不等式は他人の戦略s−iを固定した上で,自分の 戦略s’i をいろいろうごかして最適なものを探している.
• Strategy (戦略), equilibrium (均衡), incentive (インセンティブ)などの単語の発音は日本語流ではま ず通じない.正しく発音できないと聴き取るのも困難.CALD (リンク)など適当な電子辞書で発音を マスターしておこう.
第 3 章 基本で読み解くゲーム理論のキーワード
• (蛇足) 82頁.有名陶芸家が焼き上がりの気に入らない作品を叩き割るのはコミットメントの例である. もちろん気に入らなければなんでも割ればいいってものじゃない.「よく出来た作品には確立したブラ ンドの「麗珠」印,そこそこのものにはほぼ無名の「れ」印,その他は叩き割る」などと使い分けた方 がベターってこともあるだろう.
• 85頁.下のゲームで利得のところにある「小ビル」「大ビル」というラベルは「先手」「後手」が正しい.
• (高度) 86-87頁.やや議論が分りにくいかもしれない.著者の意図を無視して三原の見解を述べてお
く.ゲーム理論は個人の心の中にある (興味や嗜好を表す)利得をつねに明らかにしてくれるわけでは ない.しかし目に見えない利得と目に見えるルールとの両方により定義される「ゲーム」のもとで人々 がどう行動するかは明らかにしてくれる. ゲーム理論を使えば,ある利得のもとでは起きえる人々の 行動が,異なる利得のもとでは起きえないことが分る.(一人のケースで言えば,たとえばある人が100 万円が2分の1の確率で当たるくじと確実にもらえる50万円のどちらを選ぶかで,その人が「リスク 回避的」かどうかが分る.)ある行動がどういう利得とルールの組合せのもとでなら起きうるかの分析 を通じて,その行動をもたらすインセンティブの構造を明らかにすることができる.
• (蛇足) 87頁.生協で紙コップを10円で回収していることを知らない学生がいた.図書館前の生協外 側の自動販売機のあるところと図書館側入り口,その他自動販売機がある場所数カ所に回収マシンがあ る.あるマシンが動きにくいときはちがうのを試そう.原理的には,一個10円未満の紙コップを大量 に買って来てどんどんマシンに入れるとどんどん稼げる.もちろん連続でやると探知されるかもしれな いし,こういうのはだれでもすぐ思いつく悪戯なので,やっても感心されない.それどころか香川大学 にも市場のルールを守らないなどの犯罪に手を染める学生が過去いたおかげで,見つかったとき「三原 麗珠に教わったとおりにやっただけ」とか「ごめんなさい」とかでは済まなくなる可能性が高い.精神 活動の自由は大学にとって死活的に重要なことだけど,近年はいろいろと制限が多くなっている.悪い 時代になったものだ.いま学生やってるみなさんはかわいそうだと思う.いやべつにボクが学生時代悪 いことしてたというわけじゃないけど.
• 89頁.著者の利益は10パーセントの印税契約の場合,(発行部数ではなく) 売上額×10パーセン ト−努力費用 としたほうがいい.
• 100頁.3人がいて売り主が土地を持っている現状から出発すると考えるといい.取引としては以下の 3種類を考えることが出来る:
(i) 売り主に土地が留まるばあい.このばあい各人の余剰はゼロで,総余剰もゼロ.
(ii) 土地がWに行くばあい.このばあい総余剰は200万円になる.たとえば土地に 1600万円の価格 がついたばあい,売り主の余剰は100万円,Wの余剰も100万円,Aの余剰は0万円.
(iii) 土地がA に行くばあい.このばあい総余剰は500万円になる.たとえば土地に1800万円の価格
がついたばあい,売り主の余剰は300万円,Wの余剰は0万円,Aの余剰は200万円.
通常,経済学では総余剰を最大化する取引がもっとも望ましいとされる.この基準によれば,(価格は 総余剰とは無関係であることから)土地がAに行く(iii)の取引がもっとも望ましいことになる.では, すべてのひとにとって(iii) の取引がベストかといえば,そうではない.じっさいW は(ii)の取引の 方で高い余剰を得る.したがって(iii) がベストとされる根拠はやや弱くなるが,ひとつだけ言えるこ とがある.それは,(iii)における総余剰が(ii)のそれよりも大きいということは,余剰の再分配を通じ てすべてのひとの余剰を(ii)のときよりは大きくできるということだ.
じっさい(iii)で得られる家主と Aの余剰の75万円ずつをWに再分配すれば,全員の余剰を(ii)の
ときより増やせる.全員にとってこの再分配後の状態(iii)’の方が(ii)より望ましいため,そして(iii)’
は土地がA に行く(iii)においてのみ可能な再分配であるため,経済学では (iii)を選ぶ余剰最大化基
準を通常は採用するのである.なお,ここでの説明は渡辺の本にしたがったが,もちろん(ii)の状態か ら出発してW がAに土地を売ることで(iii)と同様に総余剰が500万円となる状態を実現することも できる.100–101頁の議論の板書を再現したノートbabygames-notes.pdfがMoodleに置いてあるの
で参照.梶井・松井 (2000)の8.2.1節,特に155頁も参考になる(配布はしていない).
• 106頁.とつぜん劣位な戦略(弱支配された戦略)を削除する話になっている.これはナッシュ均衡だ けを考えると均衡が多すぎて結果が絞りきれないから,もっと強い (絞り込まれた)均衡概念を考えて いるわけである.
• 113頁下半分.セカンドプライスオークションでは自分の評価額をそのまま入札する戦略が弱支配戦略 になっている.その説明がやや分かりにくいので,以下に相手の入札額 b で場合分けした説明をしめ す.以下では1700万円入札する戦略が相手のどの戦略にたいしても最適反応であることのみしめす. (厳密にはこれだけでは1700万円入札する戦略が弱支配戦略であることにはならないが,ポイントはし めしたことになる.)
– b > 1700 のばあい,たとえばb= 1800 としよう.このときは土地をゲットしたら Wは100 万 円分の損だから,ゲットしないのがベスト.これは1700万円を入札すれば実現する.
– b < 1700 のばあい,たとえばb= 1600としよう.このときは土地をゲットしたらW は(自分の 入札額にかかわらず) 100 万円分の利益があるから,ゲットするのがベスト.これは1700万円を 入札すれば実現する.
• オークション全般 (102–113頁)について.「政府が[もと公企業や土地など]を競売するとき,いちば ん評価額が高い者が競り落としても,セカンドプライスオークションのように低い値段がついてしまえ ば国民として獲得できる収入が低くなって良くないのではないか?」との質問が過去にあった.回答は 以下の通り:
– セカンドプライスオークションだからといって最終的な落札額が特に低くなるわけではない. ファーストプライスオークションだと,そもそも入札する額が低くなるだろう.より一般的には収 入同値定理というのがあって,一定条件下ではどのオークションも期待収入がおなじことが知られ ている.
– 値段が低くなってオークションによる政府収入が低くなっても,競り落としたひとの余剰はその 分大きくなる.競り落としたひとも国民であれば,国民全体の総余剰を最大化することには矛盾し ない.
• オークション全般 (102–113頁)について.オークションだけでなく競争的市場も総余剰は最大化でき る.いずれの配分方法も採用されないとき,総余剰の最大化(効率性)は通常犠牲にされている.
– たとえば政府がある電波周波数域を既得権益をもつ放送局に優先的に配分することは,余剰の一部 を失っている.破綻した遊園地の所有者が,その売却先としてその地を(牧場や養鶏場や工場など ではなく)遊園地として再建する予定の企業だけに絞るなら,余剰の一部を失っている可能性が高 い.ただ,遊園地の売却のケースは(民間企業同士の)自由な取引であることから (もとの所有者 自身が夢の継続と引き換えに低い値段を受け入れている),特に反対する者はいないかもしれない. – 腎臓など移植用の臓器は通常順番待ちリストで処理される.オークションして金持ちに売れば,そ
のお金を医学の進歩に役立たせて長期的には多くの人命を救えるかもしれないが,実際にはそのよ うな取引はほとんど行われていない.
• 118頁下から7–6行目.「両方が安値をつければ双方が高値のときよりも獲得できる客数は多少増える ものの利益は減少してしまう」とする.ミクロ経済学の言葉を使えば,需要弾力性が十分小さくて,値 段を下げた効果を上回るほどには需要量が増えない状況を考えている.
• 118頁.囚人のジレンマを利用した例としては,独占禁止法における課徴金減免制度(リニエンシー制 度)がある.談合やカルテルを自己申告した企業は課徴金が免除あるいは減額される制度で,先に申告
するほど免除率が高い.公正取引委員会のサイト(リンク)に制度の詳細や適用事例が載っている.
第 4 章 少し高度なゲーム理論の戦略的思考法
• (参考) 128頁.社会選択理論は三原麗珠の専門.YouTubeに置いた社会選択理論10 分間コース(リ ンク)では,授業でやった投票のパラドックス (コンドルセのパラドックス)にもかかわる根本的な定 理であるアローの不可能性定理を紹介している.
– ところで18世紀のコンドルセとボルダ,20世紀真ん中のアローという偉大な投票理論家の次に 続くのはだれか? こちらのWeb ページ(リンク)のどうでもいい「記録」 その2 にその答え が.;-)
• 129頁.図のキャプションは「J国の国会審議」だろうな.そうするといつの時代のどこの国かバレバ レだけど.
• 132–133頁.すべての党が先読みできているような説明になっているが,実際は K党はできていな
かったはず.ただし K党にかぎれば先読みをしてもしなくてもたまたま行動は一致しているから,結 論には影響ない.
• 132–133頁.政治は国政にかぎらず戦略的行動に満ちあふれている.2010年の授業では,阿久根市町
の不信任決議案を市長派が提出したニュースに言及した.渡辺133頁の第1段階投票では,「原案」あ るいは「廃案」というのはラベルにすぎず,実質的なのはそれらの選択肢を選んだときの「原案」ある いは「修正案」という最終結果だった.阿久根の市議会でも,不信任案に「賛成」とか「反対」という のはラベルにすぎず,じっさい市長支持派が不信任案を提出したり,反市長派がその案に「反対」(文 字通りの意味は「不信任しない」)したりということがあった.
• 武藤III章71–93頁を用いた「補足」では,部分ゲーム完全均衡を理解するために必要な概念に焦点を
合わせて解説する: 部分ゲーム,展開形ゲームのナッシュ均衡,展開形から戦略形へ,戦略,情報集合. 板書の一部を再現したノート(babygames-notes)の2頁のとおり.武藤71–93頁は講義時間の割に必 読部分が多い.後の講義について行けなくならないように,講義でカバーしなかった部分もふくめ,早 目に読んでおくこと.
参考. Converting Extensive Form to Strategic Form (リンク) (from Game Theory 101 (リン ク) by William Spaniel)という8 分強の講義に,展開形ゲームを戦略形に直す話が出て来る.残 念ながら各プレーヤーの情報集合が1つしかない簡単なケースしかあつかっていないが,途中で情 報集合の意味や情報集合が複数あったケースとのちがいにも多少は言及しているので,参考になる かもしれない.この作者のGame Theory 101には,この科目の内容と重なるビデオが他にもたく さんあるので,興味ある人は視聴してみるといい.
• 134–135頁.「なぜ割り引くのか?」という疑問にたいしては「時間選好(time preference)」をもっと も重要な要因として挙げることが多い.「時間選好とは,同じ商品を受け取るのであれば,『将来もら うよりも,いまもらうほうが得だ』と感じる人間の性向を指している」 (齊藤 誠, 岩本 康志, 太田 聰一, 柴田 章久『マクロ経済学』 New Liberal Arts Selection, 2010; 425–426頁; 中央館,請求記号 331/Sa25).
人間が時間選好を持つ理由としては,いますぐ使える一万円と一年後以降でないと使えない一万円 では,前者の方が用途が広いことが挙げられる.用途が狭いと価値が低くなるのは,たとえば特定
の店でしか使えない千円クーポンを考えれば分かるだろう.あるいは「今月分の給料は来月渡しま す」と言われたときのことを考えれば分かるだろう(その給料は今月は使えないぶん用途が狭い). いますぐ使える一万円は一年後の一万円より用途が広いぶん価値が高くなるはずだが,どれだけ高 くなるかは人によりけりで,場合によっては気分にも影響される.ここでは一年後以降に使える一 万円をいまの価値に直すと D万円にあたる (一年後の一万円は現在のD 万円相当の価値を持つ) としたが,人によって割引率D の値は異なる.割引率Dが小さい(将来をおおきく割り引く)ひ とは,たとえば将来こうむるコストを大幅に割り引いた結果,現在の満足度を相対的に重視するこ とになる.極端だが分かりやすい例を挙げれば,犯罪を犯しがちなひとは,「自分は捕まらない」と 見積もる確率が高過ぎるか,将来のコストを割り引き過ぎているか,どちらかである可能性が高い.
• 134頁以降.それまでの議論と違ってゲームの利得の数字自体に意味がある.割引や確率で利得を重み づけて足し合わせる状況.数字の大きさを自由には変えられないことに注意.それ以前の議論では数字 の大小関係だけが意味があったため,大小関係さえ変わらなければ数字を変えてよかった.
• 137頁.「買い手W の観点から見れば,売り買いの成立を先延ばしにするほど支払うお金の現在価値 が下がるため,望ましいのではないか?」との質問があった.それは正しくない.(ただしWの土地評 価額が1期目も2期目も同じ1700万円であることを前提とする.「正しくない」という結論自体は,2 期目の土地評価額が1期目のを一定額以上越えない限りは成立する.) 2期目に1650万円で買ったと きの支払いはたしかに現在価値に直すと1650*0.8 = 1320と割り引かれおり,1期目に1650万円で買 うのに比べて330万円分安くなっている.しかし2期目に1650万円で買ったときの土地の価値1700 万円を現在価値に直すと1700*0.8 =1360と割り引かれおり,1期目に1700万円ある価値にくらべて 340 万円分低くなっている.支払いが330万円安くなる一方で土地の価値が340万円も下がっている ので,全体としては Wの余剰(利得)は10万円分少なくなっている.
• 145 頁.無限等比級数 ∑∞k=1aD k−1
= a + aD + aD2+ · · · + aDn−1 + · · · の和とは,部分和 Sn= a + aD + aD2+ · · · + aDn−1の極限値S= limn→∞Sn と定義される.ここでSn−DSn = a + aD+aD2+· · ·+aDn−1−(aD+aD2+aD3+· · ·+aDn−1+aDn)を計算することによりSn= a(1−D
n) 1−D
となる.したがって0 ≤ D < 1の仮定から,この無限級数の和は S= limn→∞Sn = a
1−D と求まる.
授業では数学的には正しくない便法(S − DS = aからS を求める)によって公式を思い出す方法をし めす.
• 147頁.授業ではトリガー戦略(trigger)と「ずっと協力しない」という非協力戦略(always defect)を 状態遷移図で表す.(オウム返し戦略 (tit for tat)も状態遷移図で表現する予定.)状態遷移図 (state
transition diagram)は,ある種の手順やアルゴリズムを表現するための便利な方法であり,コンピュー
タサイエンスなどの分野でよく用いられる.自分で描けるようにしておくとよい.
• 150頁.「オウム返し」はtit-for-tat名 の訳語.その辞書的な意味は「仕返し、報復、しっぺい返し、腹 いせ、意趣晴らし、意趣返し、応酬、売り言葉に買い言葉」である.(学術用語を普通の辞書で調べても 正確な意味は載っていない.ただ,聞き慣れない用語の日常的な意味を調べるには辞書は役に立つ.)
• 152頁.わが国の代表的実験経済学者に香川大学出身の西條辰義(リンク)がいることは知っておこう. 最近は神経経済学(ニューロエコノミクス)にも手を出している,新しいもの好きな学者である.
• 158–159頁.混合戦略のナッシュ均衡は渡辺,武藤いずれのやり方でも求められるようにしておくこ
と.渡辺の方法では,2つの純粋戦略を用いたときの期待利得を等しくする.武藤のは全員が混合戦略 をプレイしている前提で期待利得を計算し,最適反応グラフを描いて解く.試験問題でグラフを書かせ たりする可能性がある.計算は武藤の方が複雑だが,2010年度の受講者は武藤の方が理解しやすいと
言っていた.
• (範囲外) 161頁6行目.相手が左に跳ぶときの利得の期待値は −0.6p + 0.3ではなくて0.6p + 0.3.
• (蛇足) 164–165頁.賢いスポーツ選手は,実際のプレーだけでなくインタビューでの発言も戦略的に
行っていることに気づいた人は多いだろう.どの程度注意深く発言しているかは人それぞれだが,多く のばあい対戦相手を誤信させたり混乱させたりする目的があるはずである.彼らの発言を文字通り受け 取るべきではない.ときには賢いが故にバカっぽい発言や粗野な発言をしていることさえある.
第 5 章 不確実性と情報をゲーム理論で考察する
• 第5章.この章の例はインセンティブ契約,賃金格差,労働市場におけるシグナリングなど,労働経済 学からのものが多い.経営や教育を学ぶ学生や就職が気になる学生は,労働経済学に興味を持てるので はないだろうか.ただしこの授業の方が,学部レベルの労働経済学科目よりも深い分析を提供している 可能性が高い.学部の労働経済学の授業ではゲーム理論の知識を前提としないことが普通だから.
• 170頁下から6行目.「金額を上げていくと」
• 170頁.100万円が 1/2 の確率で当たるくじよりも確実な50万円を好むようなリスク回避的な選好 は,経済学から見てまったく不合理ではない.それなのに経済学批判者のなかには,リスク回避的な選 好やリスク選好的(リスク愛好的)な選好を経済学的に不合理なものと勘違いして「経済学ではそのよ うな選好をうまく扱えない」といったウソを吹聴する人がときどきいる.経済学が想定する「合理性」 はそこまで不寛容ではない.騙されないように.
• 170頁.「くじ」(lottery) は専門用語であり,起こりうる結果とその確率を列挙した選択対象を表す.
「抽選券」という言葉を使う人もいるようだ.授業ではツリーでくじを表現する.
• 170頁.ある個人のあるくじにたいするリスク態度(選好がリスク回避的かリスク選好的かリスク中立 的か)は,その人のそのくじにたいする確実性同値額とそのくじの期待金額の大小関係で理解した方が 分かりやすいかもしれない.確実性同値額が期待金額より低い選好はリスク回避的(そのくじを引くこ とをそのくじの期待金額を確実にもらうことより低く評価)で,確実性同値額が期待金額より高い選好 はリスク選好的(リスク愛好的)で,両者が等しい選好はリスク中立的ということになる.
• 172–173頁.やや議論が分かりにくいかもしれない.以下のように理解するといいだろう.いまあるひ
とにとって,
(i) あるくじ(リスクをふくむ選択対象)と確実な現金32万円が等価(無差別;同等の利得を持つこと) である
ことが前提だった.ここで仮説により
(ii) このくじの利得は,結果にたいする利得(この場合100万円の利得1 と0万円の利得0) の期待値 (1/2)である
と仮定する.すると (i), (ii)から
(iii) 確実な現金32万円の利得は(このくじの利得に等しい) 1/2となる.
項目 (ii) で,くじにたいする利得が(結果にたいする) 利得の期待値であると仮定することを疑問に 思った人もいるだろう.この仮定が成立するためにはくじにたいする選好 (どのくじをより好むか)が ある一定の条件を満たしている必要がある.背後に「期待効用定理」と呼ばれる定理があるのだが,詳 述は避ける (学部上級以上のミクロ経済学で学べる).関連する導入的議論が伊藤秀史(2012) 『ひたす
ら読むエコノミクス 』第5 章に載っている.
• 176頁.大学生を対象とする保険はモラルハザードの例としてはあまりよくない.むしろ逆選択の例と 考えられる.188頁を参照.
• 183頁.上のゲームの木で上から3番目の著者の利得を計算する式は(0.8 × 50 + 0.2 × 40) − rではな くて, (0.8 × 50 + 0.2 × 10) − r が正しい.
• 183頁.上のゲームの木における著者の数字は期待利得そのものではなくて,期待利得による大小関係 を保つような数値—具体的には確実性同値額—である.仮にx万円の利得をu(x)と書いて,0 万円の 利得を 0と,50万円の利得を50と決めたとする(すなわちu(0) = 0, u(50) = 50).するとxが0と 50 のあいだのとき,リスク回避の仮定よりx万円の利得u(x)はxよりも大きくなるはずである(上 に凸なグラフを考えよ).ところがこの図では本来u(5), u(35), u(40) などと書くべきところを5, 35, 40 などと書いている.つまりこれらの数値は特定の期待利得u(x)を与えるような金額 xを書いたも の(金額やくじの期待利得をuの逆関数で写像した確実性同値の額)である.
どうしてこれで問題ないかと言えば,要するに比較したいものは 5, 10, 35, 40, 42, 50 万円,そ して「確率0.8で50万円,確率0.2で10万円となるくじL」であり,それらを順序づけること ができればよい.金額にかんする順序付けはもちろん明らかなので,けっきょくはくじ L がど こに来るかを明らかにすればよい.テキストではくじ L の利得は (42 − r)万円の利得と等しく なっている.(u が上に凸であることから,くじ L の期待利得 u(L) = 0.8u(50) + 0.2u(10) は, u(10) < u(L) < u(0.8×50 + 0.2×10) = u(42)を満たすことが分かっている.したがって [中 間値の定理から] 期待利得 u(L) = u(42 − r)となるような r [ただし10 < 42 − r < 42] を見つ けることができる.板書を再現したノート babygames-notes.pdf のpage 3 参照.) したがって 42 − r < 40のとき,くじの利得は40万円の利得より低くなっている.
• 188頁.逆選択(逆淘汰,アドバースセレクション,adverse selection)とモラルハザードは,情報の非 対称性が引き起こす2つの代表的な問題である.逆選択はエージェントがもともと持っていた情報で ある属性をプリンシパルが観察できないことから起きる問題であり,(雇用者と被雇用者間の労働契約 や保険契約など)契約締結前の情報の非対称性がもたらす「隠された知識」の問題であると言える.一 方,モラルハザードは契約を結んだ後のエージェントの行動(努力)が観察できないことから起きる問 題であり,契約締結後の情報の非対称性がもたらす「隠された行動」の問題であると言える.これらの 問題とそれらへの対処法は,伊藤秀史『ひたすら読むエコノミクス』第7章と第6章で詳細に議論され ている.
• 192-193頁.英語力が高いか低いかといった,プレーヤー(ここでは金太郎)の属性は「タイプ」(type)
と呼ばれる.実際のプレーヤーは自分がどのタイプであるかを知っているはずなのに,なんで不完備情 報ゲームでは自分と異なるタイプを想定したり,そのタイプの行動まで考える必要があるのか? (こ こで言えば,英語力が高い金太郎がなぜ自分が英語力が低かったときに取る行動まで考える必要がある のか? )一般論としては以下のような回答ができる.プレーヤー iは自分の行動を選ぶとき,他のプ レーヤーの行動を予測しなければならない.彼らの行動は彼らが想定するこちらi の行動に依存する. しかも彼らはこちらのタイプをいくつか想定しているので,彼らの行動はこちらの各タイプti ごとのi の行動に依存するはずである.したがって自分のタイプが決まったあとでどう行動するかを決めるとき であっても,プレーヤー iは自分と異なるタイプが何をしたであろうかを考えなければならないことに なる.
高度な思考方法ではあるけど,恋愛なんかでは,より高度な思考を巡らせていることは多いんじゃ
ないか.たとえばある男性がある女性を好きだとしても,相手には無関心であると思われたい状況 はあるだろう.(余計な警戒心を抱かせたくないなどの理由で.)そのようなときは,単に自分がそ の女性にたいして無関心だったときの行動を考えるだけでなく,それとまったく同様の行動を(自 分はその女性が好きであるにもかかわらずに)取ることによって,自分の本当のタイプを相手に気 づかれないようにしたりするかもしれない.それとは逆に(恋愛の進行段階によっては),自分が相 手を好きであることをはっきりとシグナリングしたい場合もあるだろう.そういう場合は,その女 性に無関心であったらできないような行動を取ったりするだろう.
• 193頁.このゲームでは,金太郎はホヤに移ったときの賃金を知らずに移るかどうかを決めることに なっている.移ったという前提の情報集合では,(金太郎が辞める可能性を考えないならば)ホヤにとっ て安い賃金を提示するのがマシなのは当たり前であり,つまらないゲームになっている.もちろんホヤ が先に金太郎に賃金を提示し,その後に金太郎 が移るかどうかを決めるゲームを考えることはできる. しかしそのゲームは (ホヤの情報集合における信念が金太郎の行動の影響を受けないなどのため)ベイ ジアン均衡の説明には適さないものになってしまう.よって,この授業では渡辺にしたがって,ホヤに 移ったときの賃金を知らずに金太郎が移るかどうかを 決めることとして分析を続ける.202頁の最後 の段落括弧内も参照.
• 194頁.情報集合内の点にかんする「信念」というのは“belief”を訳した専門用語であり,確率の「見 積もり」といったていどの意味を持つ.日本語の通常の用法では,「信念」の背後に何らかの重大な決 意や価値観が含意されていることがある.(たとえば女風呂に入って捕まった男性が,「自分は男女差別 は許せないという信念を持って女風呂に入ったのだ!」などと自己主張する場面.)ここでいう術語と しての「信念」には,そういった意味は込められていない.言葉から受ける印象に惑わされないこと.
• 196 頁.「戦略に整合的な信念」は意外と理解しにくいようだ.板書を再現したノート babygames-
notes.pdfの page 4参照.そのノートに乗っている難病の例は,渡辺 (2008)『ゼミナール ゲーム理
論入門』の382–383頁から取った.以下はそのノートにかんする補足.
「エイズ検査で陽性が出た場合に実際にエイズにかかっている条件付き確率」の求め方は,ベイズ の定理の応用問題として確率論や統計学のテキストによく載っている (語呂合わせにもなってい る).通常はなかなか理解しにくいベイズの定理だが,授業で紹介したようなツリーの図(および水 量のたとえ)で考えると分かりやすくなるはず.
この例では数値は単純化してあるが,これはリアルな問題であり,医療統計学でも取り扱われてい る.ゲーム理論との比較で言えば,そもそもプレーヤーが出て来ないので,合理的であるとか限定 合理的であるとかの仮定には依存していない.
「100 人に1人しか当たらないなら,この検査を飛ばしてはじめから精密検査に進んだ方がいいの では?」と学生から指摘があった.10,000人につき約9,900人については正しい判定をしているこ とになるので,*2この検査の精度が特に低いわけではない.この例のポイントは事後確率(条件付 き確率)の意味を認識させることにあり,たとえ高い精度の検査でも事後確率(条件付き確率)を 見るとハズレが意外と多いことを理解すればいい.それでも検査前は10,000分の1の確率で難病 にかかっているとしか言えなかったものが,検査で陽性と出たことによって100分の1の確率に 高まったと見れば,検査は十分情報を与えてくれたと言える.かりにこの9,900人にはじめから精
*2難病にかかった 1 人を含む 10,000 人を考えると,その 1 人に残り 9,999 人のうちの 99 パーセントである約 9,889 人を加えた約 9,990人程度が正しい判定を受けると予想できる.
密検査をしたら,(ほんとに精密検査が必要なひとになかなか順番が回って来ないことをふくめて) はるかにコストがかかるだろう.
Webの検索エンジンで「ベイズの定理」や「ベイズ・ルール」を検索すると関連ページが現れる が,肝心の式が消えて意味不明になっていることが少なくないので注意.(式にあたる部分が画像 になっていたのを,他のサイトが自動 収集したときに無視したのだろう.)いずれにせよ,ベイズ の定理はビジネスはじめいろんな分野で応用されていることは分かる.たとえば迷惑メールの自動 判定のためのベイジアンフィルタなどで実用化されている.
• 197頁.ゲームの木で金太郎のいちばん下の利得が700とあるかもしれないが,正しくは800 である. また青丸はその上の数値900 を囲むべき.
• 198頁.ここでいう「ベイジアンナッシュ均衡」は武藤の本では「完全ベイジアン均衡」にあたる.授 業では「完全ベイジアン均衡」あるいは「完全ベイズ均衡」と呼ぶことにする.
• 198頁.「ホヤ商事は,高い賃金を払っても高い能力の者を雇いたいという希望が満たされない」とあ るが,このゲームの利得にかんする限りでは,そういう希望にはなっていない.ここではこのゲーム自 体の解釈というよりは,もっと一般的な議論を行っていると考えることにする.
• (蛇足) 200頁.この項に関連する,英語の勉強法,資格の意味,そして大学教員の能力については,「大
学新入生へ(リンク)」という記事で平凡助教授がアドバイスしている.その記事はあらゆる大学生に熟 読してもらいたい.
ここでは英語の勉強について(独断を混ぜつつ)補足しておく.
高卒レベルの英語をマスターしたら,あとは自分の専門(仕事)にかんする英語を勉強することが, 英語上達への近道である.(厳密に言えば専門分野にもよるだろう.)自分の専門を英語で勉強す る,あるいは勉強し直す感じで専門書を読み進め,専門分野と英語をいっぺんにマスターしよう. (経済学分野などの大学教育は,もともとそれに近かった.)英語教師にありがちなアドバイスに従 うと英語ばかりを追うことになり,「一兎を追う者は一兎も得ず」とでも言えそうな失敗を起こし がち.具体的には,小説やニュース記事など教養性とか社会性の高い読みもの,あるいは滅多に使 わない単語の習得,はたまた和訳などに多大な時間を費やしてしまい,その割には自分にとって必 要な英語力が身に付かない結果になりがちという意味.
もう一点.英語が出来るようになりたければ,なんらかの分野で一流を目指すといい.たいていの 分野では一流に近づくほど英語が必要になって来る.だから一流を目指すことで英語を勉強するイ ンセンティブも高まることになる.
• 203頁.資格を取得してもホヤ商事にとっての価値は変わっていないことに注意.つまり資格取得は 能力(生産性)を高めないと仮定している.この仮定は資格のシグナリングやスクリーニングの機能に 絞って分析するための仮定であり,資格が本当に能力を高めないのかどうかはここでは問題にしていな い.このように経済学では分析の目的によってはやや不自然な仮定を置くことがある.
ちなみにシグナリングの理論を提唱したスペンスは,大学の卒業資格を例としてもちいた.シグナ ルが効果を持つのは,卒業するためのコストが能力の高低によって異なるという点にのみ依存し, 大学でなにを学んだかには依存しない.卒業できない者も多い米国大学で言えば,大学での教育が 能力を高めたかどうかは関係なく,落ちこぼれずに卒業できたという事実がシグナルとして機能す るということ.容易に卒業できてしまう日本の大学でいえば,大学での教育内容に関係なく,潜在 能力のある人間が入学試験で選別できてさえいれば,その大学へ入学できたという事実がシグナル として機能するということ.なんだか米国大学よりも日本の一流大学文系のほうが当てはまりそう
な感じがする.
経済学者がドライなものの見方をすることにうすうす気づいている学生は少なくないだろう.たと えば個人に能力の違いが存在することを当然の前提にすることでさえ,(教育に能力を高める効果 がないという仮定ほどでないにしても)一部教育関係者には不評な見方かもしれない.
• 208 頁.このページにある2個の主張の導出は演習に回す.緻密な議論が要求されるので,他の「課 題」で慣れた上で取り組むといい.
• 210頁8行目.「リスクなどの目に見えないもの」を「リスク削減など目に見えないもの」に修正.
• 210頁下から10–9行目.「論理的を明らかにしてくれます」でなくて,「論理的に明らかにしてくれ ます」
第 6 章 大きく広がるゲーム理論 — 最新研究トピックス
• 214-215頁.「むかで」の利得構造に注意.奇数段階でプレイヤー1はゲームを降りることができるが,
そのときの利得は1, 8, 15, 100, 200と増えている.一方,相手は偶数段階でゲームを降りることがで きるが,そのときのプレイヤー1の利得は0, 5, 7, 10となっており,直前の奇数段階にプレイヤー1 が降りたときの利得よりも低い (1 > 0, 8 > 5, 15 > 7, 100 > 10).つまり自分が協力した直後に相手 が降りたら自分は損する.同様のことはプレイヤー2の利得にも当てはまる.
– 仮に第1段階でプレイヤー1がCを選んだら,「プレイヤー1は逆向き帰納法の意味での合理性に 従っていない」ということがプレイヤー2に伝わるから,「その意味の合理性から自分も離れてみ よう」とプレイヤー2が考えても不思議ではない.
– このゲームでは合理性を離れることで互いに利益になるが,別のゲームでは自分が合理性を離れる ことで相手を混乱させることができることがある.合理的なプレーヤを相手にしていてこちらに勝 ち目がないようなとき,敢えておかしな行動を取ることで相手の合理的思考を遮断するのは,一種 の「高等戦術」といえるだろう.どういう結果に落ち着くのか予想するのは困難になるが,そうい う高等戦術を使った方がいい場面もときにはあるだろう.
• 216頁.完全合理的アプローチの背景には,ゲームのプレーヤーはゲームの分析者(ゲーム理論家)と 同じくらい合理的で賢いという想定がある.経済学以外の多くの社会科学理論ではむしろ分析者は超越 した存在になっており,分析者から見て明らかに愚かなことをプレーヤー自身は気づかないことになっ ていたりする.
• 217頁.最後の行の右半分にある「模擬と学習」はおそらく「模倣と学習」.
補足 : ホテリングモデル
このセクションは梶井厚志, 松井彰彦『ミクロ経済学: 戦略的アプローチ』 13.1節にかんするコメントで ある.
• ホテリングモデルの3人ケース(梶井・松井練習問題13.1, 13.2)について「3人が同じ場所に移動しよ うとするのに,同じ場所に来てしまったらそこからはなれようとするのは矛盾しないか?」と過去に質 問があった.「同じ場所に移動しようとする」というのは不正確.正しくは同じ場所に限りなく近づこ
うとするだけ.かりに他の2人が地点1/2にいるとき,縦軸に利得そして横軸に自分の場所をとったグ ラフを描けば,地点1/2に近づくにつれて利得も1/2に近づくが,地点1/2に一致したところで利得 が不連続に下がって1/3となる.このばあい最適な地点というものは存在しないが,「1/2のすぐ右あ るいはすぐ左」という,位置を特定できないものがそれにあたる.
おわりに
この科目と同等の科目でカバーすべき内容をカバーし終えた時点で以下の文章は書かれた.きちんと構成さ れていないが,掲載しておく.
シラバスに書いたことを振り返って,思いつくことをいくつか書いてみる.
この科目は数学として開講したが,経済学として教えた.つまり単に与えられた問題が解けるというだけで なく,解いている問題とその解の意味もじゅうぶん説明するようにした.それらの問題のもととなった現実世 界についての説明は十分とは言わないが,現実を単純化しモデル化したものの意味は十分に説明するようにし た.数学がリアルな世界と結びついていることを感じてもらいたかったからだ.他の数学科目でも「数学は 社会の理解や変革に役立つ」といった主張をするかもしれないが,どう役立つのか具体的にしめすことはほ とんどないだろう.この科目では具体的にいろいろな場面を取り上げて,ゲーム理論という数学で解明して 行った.
この科目をマスターできたひとは一定の自信を持っていい.経済学大学院のミクロ経済学のゲーム理論にか んする試験問題で合格点を取れるレベルにほぼ到達したと言えるだろう.
ただしあくまで応用分野の経済学大学院生に求められるレベルに近づいたという意味であり,経済理 論を専門とする大学院生のレベルには,数学的にはおよばない.理論を専門とする者にとって欠かせな い「証明」を,この科目ではほとんどスキップしたためだ.
講師もこの科目に適任だったと言えよう.非協力ゲーム理論を専門にばりばり研究してる (高校時代 に数学オリンピックで優勝したような)若手理論家には及ばないところがあるだろうけど,三原も大 学院時代から非協力ゲームにはかなり真剣に取り組んで来たひとりだ.(大学院はミネソタだが,経済 学では有力校であり,べつに辺境ではない.たとえば三原の指導教授のひとりで長年ミネソタにいた
Leonid Hurwiczは,ゲーム理論の重要な応用理論であるメカニズム・デザインでノーベル経済学賞を
受賞している.どうでもいいが,Hurwiczはうちの祖父によく似てた.)香川大学の学生のレベルも把 握できている.大部分の受講者にとって,テキストも自分で選択して完全に独学するよりは,この授業 に参加した方が効果的にゲーム理論を学べたことと思う.
この授業でやったことを知っているだけでも,応用分野にかかわるゲーム理論文献のかなりを利用できるよ うになったはずだ.別の言い方をすれば,大学教授でもこのていどの勉強さえしたがらない人が多く,そのた め自分の専門分野にかかわるゲーム理論文献を利用できないでいる.
経済学の話題についてもオークション,割引,リスク,逆選択などいろいろ学んだ.
特定の研究対象に関する知識を獲得することだけでなく,ゲーム理論や統計学(理論および統計解析プログ ラム)のような研究方法をマスターすることが大学生にとって大事だとシラバスに書いた.ゲーム理論は,理 論をつくって現象を説明する方法を提供し,統計学は事実を明らかにする方法を提供する.「自分は学者には ならないから関係ない」と思うかもしれないが,MBA (経営学修士) プログラムではゲーム理論や統計学が
ひじょうに重視されていることを思い起こして欲しい.じつはビジネスや公共団体をめざすひとにとっても, 論理的に考えたり他人に説得的に説明したり事実を明らかにしたりといったスキルが大切なのはまちがいな く,それらの学問に触れることは,そういったスキルを高めるのに役立つと考える.
ただし他人を説得するときには,その相手にとって有利になる点を強調すべきであり,必要におうじ て自分自身にとっても不利にならないと付け加えることにより信頼性を高めるのがいいだろう.相手に とって不利益なことであれば,自分にとって有利で合理的だと強調すると逆効果なので注意.また,自 分がいくらゲーム理論的に合理的に行動できていても,それを他人に言明しない方がいいことも多い. 相手の弱点を適格に把握することにより勝てたスポーツ選手にとって,勝因を正直に語ることは通常は 合理的でないだろう.
ゲーム理論のひとつのおもしろさは思考する対象をあつかうところにある.「このプレーヤーの立場から見 て最適なのは?」と絶えず考える.ところが統計学では自然現象だけでなく社会現象もあつかっているのに, 人間が出て来ない.いや,まったく出て来ないわけではないが,あくまでも過去の行動などがデータとして出 て来るのみであり,人間の思考には立ち入らない.そのデータが未来の予測にどうつながるかは,人間の思考 に立ち入らなければ分からないはずなのに,その重要な部分をスキップしている.
最後に,ゲーム理論の重要な応用分野であるメカニズム・デザインについて授業でほとんど触れることがで きなかったのは残念.ここに申しわけ程度に触れておく.
• メカニズム・デザインでよく研究されている具体的問題としては,望ましいオークションの設計があ る.たとえばこの科目で学んだように,セカンドプライス・オークション(Vickrey auction)は「各入 札者が自分の評価額をそのまま提出するのが最適」という望ましい性質を持つ.(このオークションを 考案したヴィックリーは,ノーベル賞受賞発表 [にびっくりして? ] 数日後に心臓発作で亡くなった. ちなみにメカニズム・デザインで受賞したミネソタのハーヴィッツはノーベル賞受賞の翌年に亡くなっ た.二人ともぎりぎりで受賞したことになる.)オークション設計は,コンピュータ・サイエンティス トによる研究の盛んな分野でもある.
• ある財(モノ)を,それをいちばん高く評価する者に,金銭の支払いを要求することなしに配分するメ カニズムも存在する.そのもっとも簡単なものとして,セカンドプライス・オークションをもとにした Miharaによる配分メカニズムがある.(著者自身の解説(リンク)あり.)このメカニズムの10分間解 説(リンク)も存在する.
• 日本語で書かれた(数少ない)メカニズムデザインのテキストとしては坂井豊貴,藤中裕二,若山琢磨
(2008)『メカニズムデザイン: 資源配分制度の設計とインセンティブ』が有用.上記の三原メカニズム
も最初の方に登場する.ただし学部レベルのミクロ経済学とゲーム理論をマスターした上でないと読み づらいだろう.著者のひとり若山は香川大学経済学部出身で,ゼミナールをふくむ三原の授業の多くに 参加していた.現在はメカニズムデザインの分野で国際的な業績を積み上げている.*3
*3香川大学経済学部出身者で,ゼミナールをふくむ三原の授業の多くに参加した学生は限られる.その中にはゲーム理論や経済理論 の研究者になった宇野浩司もいる.
三原麗珠の自己紹介への補足
以下は2011年度に開講された同等科目の授業時間に行った自己紹介への補足である.参考までに掲載して おく.
三原麗珠の自己紹介では,(エリートによくある東京の有名中高一貫校や外国の高校じゃなくて)地方公立 中学・高校出身であること,東大理科I 類に進学して落ちこぼれたこと(詳細は省略したけど,理科の実験を サボってたのとフランス語で単位が取れなかったことが大きい; いまでもときどき語学で苦しめられる夢を見 る),啓示により転学した国際基督教大学(ICU)社会科学科を卒業要件の例外を認めてもらって卒業したこと (古い歴史の必修科目をアメリカ現代史で代替することを認めてもらった)など,思いつくままにしゃべった.
• あまり勉強してなかったように聞こえたかもしれないが,じっさいは好きなことはよく勉強してたの で,誤解なきよう. ICUで学部生だった頃の勉強時間は,大学の授業もふくめると一日14時間程度 だったか.
• 数学やゲーム理論を教えている大学教員にしては頭が悪そうに聞こえてしまって不安になった学生もい るかもしれない.(「合理的な」プレーヤーを想定している関係上かどうか,あるいはフォン・ノイマ ンが創設した分野であるためかどうかは知らないが,アホでも大学教員が勤まる他の多くの分野と異な り,ゲーム理論は頭の良さがけっこう重要な分野じゃないかと思う.だからその種の不安には一理あ る.)そういったひとにたいしては,「心配することはない」と答えておこう.もちろん「そんなことを 言われても,証拠がなきゃ信じられないじゃないか」と疑うのが,健全な学生というものだろう.それ については,ちょっと調べれば分かる証拠は存在する.経済学,特にゲーム理論をふくむ経済理論で は,国際ジャーナル(専門学術誌)に論文を発表することが学者として認められる条件だが(これがなか なかむずかしくて,本学の経済学部ではこの条件を満たす教員は少ない),自分の場合そこそこ論文は 書いているからだ.あとはこちらのページ (リンク)に載っている「記録」でも読んで安心してもらい たい.ちなみにそこにあるErdos数を「エロ度数」などと読むひともいるが,それはまちがいである.
渡辺 (2004) 初版第 1 刷への訂正
参考に初版第1刷 (2004年9月8日)で誤りと思われる点を列挙しておく.コメントについては他の節を 参照のこと.
• 45頁.2つ目の「文春が「疑惑」を選択すると?」は「文春が「金融」を選択すると?」が正しい.
• 67頁.下から4–5行目の右の薄青箱.「自分の利得は30」が正しい.
• 113頁.利得行列の中で戦略プロファイル(1800, 1700) に対応する利得は(−100, 0) ではなくて (0, 0) が正しい.
• 144頁.下から6–5行目.「D=0.1のとき」とあるのは「D=0.2のとき」が正しい.
• 199頁.ゲームの木で金太郎のいちばん下の利得が700 とあるのは800が正しい.
• 205頁.いちばん下の点が「有低」とあるのは「無低」のあやまり.
• 209頁.能力が高い金太郎が900万円を提示されたときの利得がこれまでと違っている.これまで同様 ナマコ建設に残るとすれば,金太郎の利得は上から順に,1050, 950, 1100, 1000となるはず.