経済学を学ぶ上で
最低限必要な数学
慶田 昌之
∗2015 年 4 月 15 日
概 要
経済学を学ぶ上で最低限必要な数学を記述する。
1 指数
1.1 指数法則
べき乗を次のように定義する。
xn= x × · · · × x
| {z }
ntimes
(1)
これをx の n 乗と呼ぶ。x を底、n をべき数、あるいは指数と呼ぶ。 べき乗の意味から、次のような指数法則が成立することは明らかである。
xm· xn = xm+n (2) (xm)n = xm·n (3)
また、(2) 式から、次式が成り立つ。 xm
xn = x
m−n (4)
1.2 整数の指数
べき乗の定義が(1) 式であることから、指数 n は自然数であると考えられ る。一方で、(4) 式が成立することは、m や n が自然数から整数に拡張でき ることを意味する。自然な拡張は、(4) 式で m = n のケースで指数が 0 の場
∗立正大学経済学部
合を定義し、m < n のケースで指数が負の場合を定義することである。指数 が0 の場合は、次のように定義できる。
xm
xm = x
m−m= x0= 1
指数が0 の場合、底の値にかかわらず 1 である。 また、指数が負の場合は、次のように定義できる。
x0
xn = x
−n= 1
xn
このように指数を整数に拡張することで、底が2 である場合を例にとると、 そのべき乗は次のようになる。
24 = 16 23 = 8 22 = 4 21 = 2 20 = 1 2−1 = 1 2 2−2 = 1 4 2−3 = 1 8 2−4 = 1
16
1.3 有理数の指数
さらに指数を有理数に拡張することを考える。(3) 式において、x を正の実 数としてm を 1/m で置き換えると、次の式が得られる。
xmn = (xm1)
n
ここで、x
1
m について考える。x
1
m をm 乗すると、 (xm1)
m
= xm1·m= x
なので、x
1
m のm 乗は x となる。したがって、 xm1 = m√x
となる。結局、
xmn =(m√x)n となる。
2 多項式
y = ax3+ bx2+ cx + d
3 微分
3.1 多項式の微分
y = axn dy
dx = anx
n−1
3.2 対数関数の微分
y = ln(x) dy
dx = 1 x
3.3 指数関数の微分
y = ax
の微分、dy/dx を求める。両辺の自然対数をとると、 ln(y) = ln(ax)
⇔ ln(y) = x ln(a) ここで、両辺をx で微分する。
d ln(y) dx =
d (x ln(a)) dx この両辺をそれぞれ変形する。
d ln(y) dx =
d ln(y) dy
dy dx
= 1 y
dy dx d (x ln(a))
dx = ln(a) (5)
ここで、(5) 式では、ln(a) が定数であることに注意する。したがって、次の 式が成立する。
1 y
dy
dx = ln(a) ここで、y = a
x
であるので、 1 ax
dy
dx = ln(a)
⇔ dydx = axln(a) であることがわかる。
さらにa = e である場合を考える。このとき ln(e) = 1 であることに注意 すると、
y = ex dy
dx = e
x
とわかる。
3.4 偏微分
u = xay1−a
∂u
∂x = ax
a−1y1−a
∂u
∂y = (1 − a)x
ay−a
4 最適化問題
4.1 ラグランジュ乗数法
max u(x1, x2) (6) s.t. p1x1+ p2x2= I (7)
L = u(x1, x2) + λ(I − p1x1− p2x2) (8)
∂L
∂x1
= ∂u
∂x1 − λp
1= 0 (9)
∂L
∂x2
= ∂u
∂x2 − λp
2= 0 (10)
∂u/∂x1
∂u/∂x2
= p1 p2
(11)
4.2 全微分
du = ∂u
∂x1
dx1+ ∂u
∂x2
dx2 (12)
du = 0 のケースでは、
−dxdx2
1
= ∂u/∂x1
∂u/∂x2
=p1 p2
(13)
となる。