ミクロ経済学 HW6
濱田高彰
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平成 29 年 1 月 6 日
1 確認
1.1 市場の失敗
(1)厚生経済学の第一基本定理が成り立つための条件を説明しなさい。 (2)市場の失敗とは何か説明しなさい。
(3)政府が市場に介入し効率的な資源配分を実現しようとする際の困難について、「情報」という言
葉を用いて説明しなさい。
1.2 用語説明
以下の用語を説明しなさい。 自然独占
マークアップ率 外部性の内部化 コースの定理 サミュエルソン条件 公共財のただ乗り問題
2 標準
2.1 独占
2.1.1 基本問題
奥野正寛[編]『ミクロ経済学演習』の問題5.1を解きなさい。
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2.1.2 価格差別
ある1つの財に対して、集団Aと集団Bで需要が異なる状況を考える。今集団Aの逆需要関数は pdA(X) = 60 −13X、集団BはpdB(X) =40−16Xであるとする。一方この財の市場において企業は
1社しかなく、独占状態である。また企業の費用関数はC(X) = 4Xであるとする。この時、以下 の問題に答えなさい。
(1) 企業は集団Aと集団Bの需要関数をそれぞれ知っており、それぞれに対して価格を設定するこ
とができるとする。この時、企業が決定する集団Aに対する価格と供給量、集団Bに対する価格 と供給量をそれぞれ求めなさい。またその際の消費者余剰と生産者余剰を求めなさい。ただし、余 剰は両集団の和として計算しなさい。
(2)集団A、集団Bそれぞれの独占価格における需要の価格弾力性を計算し、マークアップ率を求め
なさい。また、2つのマークアップ率を比べ、結果を解釈しなさい。
(3)企業はそれぞれの集団に対して別々の価格を設定することはできず、全ての人に対して同一の価
格しかつけられないとする。この時、企業の設定する価格と生産量を求めなさい。またその際の消 費者余剰と生産者余剰を求めなさい。
(4)余剰に関して、(1)(3)の結果の比較から分かることをまとめなさい。
2.2 外部性
2.2.1 基本問題
奥野正寛[編]『ミクロ経済学演習』の問題7.1、7.2、7.3、7.4を解きなさい。
2.3 公共財
2.3.1 公共財の私的供給とナッシュ均衡
これは公共財の問題ですが、ゲーム理論を用いています。授業におけるゲーム理論パート(特に戦 略形表現)も復習の上取り組んでみてください。
家計i= 1, 2がいて、私的財と公共財を消費している。家計iが消費する私的財の量をxi、市場に
供給される公共財の量をzとかき、効用関数はui(xi, z) = zxiとする。今、各消費者は10単位の私 的財を持っており、私的財1単位を用いて、公共財を1単位作り市場に供給できるものとする。消費 者iが供給する公共財の量をziとかく。よって、z1+ z2= zである。この時、以下の空欄を全て埋 めなさい。
・消費者1の行動を考える。彼は という予算制約のもと、効用zx1を最大化する。今 z1+ z2= zだから、予算制約も考慮すると、目的関数は というz1とz2の式に直せ
る。ここで、目的関数にz2が入っているという事は、1さんの行動は2さんがどれくらい公
共財を供給するかによって変わり得ることを意味している。一方、2さんも1さんと状況が同 じであるから、この二人はお互いがお互いの行動に影響を及ぼす。この状況は 関係と呼ばれ、 分析には 理論が用いられる。
・実際に分析しよう。消費者1を考える。まず相手の供給量があるz2という値だと考え、それ を元に自分の最適な供給量z1を選択する。以下消費者の公共財供給量を戦略と呼ぶ。この時、 z2に対する消費者1の最適な戦略をBR1(z2)と書くと
BR1(z2) =
if > z2 if ≤z2
(1)
と計算できる。このBR1(z2)は 関数と呼ばれる。同様にz1を所与にした際の、消 費者2の最適な戦略をBR2(z1)と書くと
BR2(z1) =
if > z1 if ≤z1
(2)
と計算できる。
・今それぞれの最大化問題を解いたが、もちろんこれが答えではない。(1)(2)を見てみると、そ れぞれ相手の供給量が入っている。この状況に対して1つの解を与えてくれるのが 均 衡である。 均衡とは、戦略の組(z1, z2)の中で、
ui(zi∗, z∗j) ui(zi′, zj∗) ∀i= 1, 2, ∀zi′ ∈R+
を満たす戦略組(z∗
1, z
∗
2)のことである。ただし、jはi以外の消費者である。言葉で説明する と、戦略組(z∗
1, z
∗
2)が 均衡であるとは、そこから することによって得をする人 は誰もいないような戦略組のことである。ゲーム理論においては、この均衡を求めることで、 人々がどのように行動するかを考えるのである。
・ではナッシュ均衡をどのように求めたらよいか。今(1)(2)という最適反応関数をすでに得て いる。これらの関数は、相手の行動を所与に、最適な戦略が何なのかを示すものである。とこ ろでナッシュ均衡の下では、お互いその戦略から逸脱するインセンティブがないのだから、最 適反応関数の は、ナッシュ均衡である。今(z1∗, z2∗)を最適反応関数の だとする。 よって、z∗
1 = かつz
∗
2 = が成立している。この時、消費者1はz∗
2に対してz
∗ 1を
選ぶことが最適だし、消費者2もz1∗に対してはz2∗を選ぶことが最適だから、お互い(z1∗, z2∗) から逸脱するインセンティブがないことが分かり、ナッシュ均衡であると確認できる。
・では上の性質を用いてナッシュ均衡を求めよう。最適反応関数の を求めるには、(1)(2)
を連立すればよいから、(z1∗, z2∗) = ( , )であると分かる。
2.3.2 基本問題
奥野正寛[編]『ミクロ経済学演習』の問題7.5、7.6を解きなさい。
3 応用
3.1 クラークメカニズム
公共財の公的供給におけるリンダ―ル・プロセスは、社会的に効率的な公共財供給を達成できるメ カニズムである一方、消費者が虚偽の公共財需要量を申告する可能性があり、その場合には望ましい 供 給が 行 え な い 。この 問 題 に 対 処す る た め に 、以下 で は 消 費 者か ら 真 の 選 好を 申 告 さ せ る方 法 を 考 えたい。そのためには、消費者にとって「真の選好を申告することが得または損をしない」ような仕 組みを設計し、自らの意思で表明させる必要がある。それが実現できる制度の一つを、以下の問題を 通して考えてみよう。
消費者はn人おり、政府は1単位の公共財を供給するかしないかを決定する。消費者i(= 1, 2, · · · , n) の公共財から得られる効用をvi∈R+と書き、政府が公共財を供給するためにはc ∈R++の費用が かかるとする。ここで、政府は以下のステップで公共財供給を決定する。
供給プロセス
✓ ✏
Step 1 各消費者に自らの公共財から得られる効用vˆiを表明させる。ここでvˆiは真の効用でな
い可能性がある。
Step 2 ∑ni=1ˆvi≥cであれば公共財を供給し、
∑n
i=1ˆvi< cであれば供給しない。
Step 3 公共財を供給する場合、消費者iに費用Tiを負担させる。
Ti =
c −∑j̸=ivˆj if c ≥∑j̸=ivˆj
0 if
∑
j̸=iˆvj>c
(3)
✒ ✑
政府はすべての消費者の申告した効用の和が、公共財の費用を超える場合に公共財を供給する。た だし、各消費者の負担額は、公共財の費用から、自分以外のすべての消費者の申請した効用の和を差 し引いた部分である。以上のプロセスを消費者に説明した上で、効用viを表明してもらう。この時、 以下の問題に答えなさい。
(1) vi+∑j̸=ivˆj ≥cだとする。この時、消費者iにとってvˆi = viが最適反応の1つであることを示
しなさい。
(2) vi+∑j̸=ivˆj < cだとする。この時、消費者iにとってvˆi = viが最適反応の1つであることを示
しなさい。
(3) (1)(2)より、全ての消費者が真の効用を表明することが弱支配戦略均衡となることを確認しなさ
い。
(4) (3)の均衡において公共財が供給される場合、政府の収支が黒字とならないことを示しなさい。