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東京外国語大学学術成果コレクション

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Academic year: 2018

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Keywords:

Gairin type accent, accent class, Izumo Japanese, Mikawa & Enshu

Japanese

キーワード : 外輪式アクセント,アクセント語類,出雲方言,三河・遠州方言

*本稿は2016年7月2-3日に東京外国語大学アジア・アフリカ言語文化研究所で開催された国際シ ンポジウムJapanese and Korean accent: diachrony, reconstruction, and typologyで「外輪式アク セントに関する幾つかの問題」という題目で筆者が口頭発表した内容に加筆し,修正を加えたもの である。お招きくださった伊藤智ゆき先生,発表内容に対してコメントをくださった皆様に心より 感謝申し上げる。匿名の査読者お二方からは重要なコメントをいただき,考えの至らぬところを補 い,また誤植等についても修正することができた。感謝申し上げる。英文要旨の作成にあたっては,

homas Pellard氏,Kerri Russell氏の御助力を得た。感謝申し上げる。また,各地での方言調査に

おいて,筆者の調査に快くご協力くださった皆様方に感謝したい。なお,本稿は日本学術振興会特 別研究員研究奨励費(平成23-25年度DC1及び平成26年度PD),同科学研究費補助金(研究課題

番号11J00992;14J03096;15H06596),国立国語研究所共同研究プロジェクト「日本の消滅危機言

語・方言の記録とドキュメンテーションの作成」(プロジェクトリーダー・木部暢子教授)の支援を

得て行った調査・研究成果の一部である。

外輪式アクセントの歴史的位置づけについて*

平 子 達 也

On the Historical Position of the Gairin Type Accent

H

IRAKO

, Tatsuya

Traditionally, in Japanese historical accentology, “Tokyo type accent” has been divided into three subtypes, namely Nairin, Chūrin and Gairin. The Gairin type accent has a wide geographical distribution. However, there has been relatively little research on the Gairin type accent, except for a few Tōhoku dialects, some dialects of Izumo, and a few Kyūshū dialects. he aim of this paper is to reexamine the historical position of the Gairin type accent with more detailed data. The following points are discussed: (1) the Gairin type accent should be divided into two subtypes: “Uchi-Gairin type” and “Soto-Gairin type”, (2) class III-7 should be divided into two subclasses, and (3) the hypotheses on the historical development of the Gairin type accent proposed by some previous studies should be rejected.

(2)

1. はじめに

日本語アクセント(史)研究において,伝統的に「東京式アクセント(乙種アクセント)」 と呼ばれてきたものが,その類(アクセント語類・金田一語類)の統合のあり方(類別体系)

から,大きく内輪式・中輪式・外輪式アクセントの3つに分類されるべきであることは,夙に

言われていることである。その命名者である金田一春彦自身は「{内輪/中輪/外輪}東京式 アクセント」と呼ぶが,上野(1982a: 49)等で指摘されているように,「東京式」というのは 非常に曖昧な概念であり,単に内輪式・中輪式・外輪式と呼ぶ方がよい。本研究でも,この上 野の考え方に従う。

表1には,一般に知られている内輪・中輪・外輪式アクセントにおける類別体系を示した (上野1982a: 50を参照)。なお,I-1はアクセント語類で言う「一拍1類(名詞)」であること

を表わし,「.」は類が統合していること,「/」は類の区別が保たれていることを表わす。類

の名称と各類に属する語彙(類別語彙)については,基本的に金田一(1974: 62-73の付表8)

に従う。

1 内輪式・中輪式・外輪式アクセントの類別体系

内輪式 中輪式 外輪式

I-1/2.3 I-1.2/3 I-1.2/3

II-1/2.3/4.5 II-1/2.3/4.5 II-1.2/3/4.5

I-1/2/3,II-1/2.3/4/5という類別体系を持つ中央式アクセントとの歴史的関係を考えたとき,

従来の研究では,内輪式と中輪式は大きく異ならないものと考えられてきた。二拍名詞におけ る類別体系は両者ともII-1/2.3/4.5であり,中央式の類別体系から4類と5類が合流して生じ

たものだと考えてよい。また,一拍(一音節)名詞における内輪式と中輪式の類別体系の違い については,音節構造の違いなどによって説明されるものだと考えられている(金田一1978)1) 1. はじめに

2. 各地域の外輪式アクセントの類別体系

 2.1 東北地域と九州北部地域の外輪式アク

セント

 2.2 三河地域の外輪式アクセント

 2.3 出雲地域の外輪式アクセント

3. 諸処の外輪式アクセントの類別体系が示

唆すること

 3.1 外輪式アクセントを二分する

 3.2 外輪式アクセントの成立過程に関する

示唆

 3.3 日本本土諸方言アクセントの祖体系に

関する示唆

 3.4 外輪式アクセントの歴史的位置づけに

ついて

4. まとめ

1) 金田一(1978)は内輪・中輪式アクセントはともに「平安朝京都アクセント」から「音調の山の

後退」等の規則的な変化を経て成立したものであるという。その中で,何故一拍名詞において両者 の類別体系が異なるかというと,古来京阪方言において一拍(一音節)名詞は「ハー(葉)」「ヒー

(日)」のように母音が長く,二拍のように発音されていたが,中輪式では「音調の山の後退」等の

アクセント変化が起こる前に母音が短くなったのに対して,内輪式ではアクセント変化が起こった

際には未だに母音が長く発音されていたためだと,金田一は考える。つまり,I-2類名詞について

(3)

一拍・二拍名詞における類別体系の範囲では,中央式アクセントから内輪・中輪式アクセント が生じたとして問題は無い。一方,外輪式アクセントは,その二拍名詞の類別体系からすれば 中央式アクセントから生じたと考えることはできず,その点で外輪式アクセントは,内輪・中 輪式アクセントに比して異質であると言える(上野1982a: 50)。

現在までに知られている範囲では,外輪式アクセントと呼ばれている方言はその名称のとお り,日本列島本土の比較的周縁(外縁)の地域に分布している。具体的には,(1)北海道及 び東北地域(以下,東北地域),(2)静岡西部(遠州)および愛知県東部(三河)地域(以下, 三河地域),(3)鳥取県西部(西伯)および島根県東部(出雲)地域(以下,出雲地域),(4)

九州北部地域の4地域である。

東北地域と九州北部地域に分布する外輪式アクセント方言は,従来外輪式アクセントの代 表例として扱われることが多かった。これまでにも青森方言に関する上野(1984)の報告や 南部方言に関する上野(2017)の報告,大分県杵築市方言(以下,杵築方言)に関する平子・

五十嵐(2014)の報告などいくらか研究の積み重ねがある。また,出雲地域に属する松江方

言に関しては,上野(1981)に付属語のアクセントも含めたやや詳しい記述があり,広戸・

大原(1953)には出雲地域全域にわたるかなり詳しい記述研究がある。しかし,三河地域諸

方言における類別体系についてはほとんど報告がない。出雲方言についても,一般に外輪式ア クセントにおいて統合しているとされてきた二拍名詞4類と5類の区別が,出雲市大社町方

言を中心にした諸方言に残存していることが奥村(1981)の報告以来知られてはいるものの, その後,特に一拍名詞と三拍名詞の類別体系に関する詳細な報告はされないままとなっている。 このような事が主な要因となり,従来「外輪式アクセント」として一括して呼ばれている上 記4地域の外輪式アクセントが,歴史的成立過程や共時的な類別体系・アクセント規則などに

ついて,どこまで性質を同じくし,また異とするのかについては不明なままとなっている。例 えば,木部(2008)では,青森方言アクセントと大分方言アクセントの成立過程に関する仮 説が示されているが,その仮説が他の外輪式アクセントにも当てはまるのかは分からない。ま たde Boer(2010)や金田一(1978)にも外輪式アクセント一般の成立過程に関する仮説があ るが,その妥当性に疑問がないわけでもない。従来「外輪式アクセント」と呼ばれてきたもの の共通性を認めつつ,諸処の外輪式アクセントに関して個別に検討していく必要がある。

本稿では,まず東北地域および九州北部地域諸方言アクセントの類別体系について,先行研 究のデータをもとにして整理をする。次に,従来あまり報告のなかった三河地域諸方言アクセ ントにおける類別体系を筆者の調査にもとづいて報告する。さらに,筆者の調査にもとづくデー タおよび先行研究にあるデータから,出雲地域諸方言アクセントの祖体系における類別体系案 を提示する。なお,単語毎のアクセント型および実現する具体的な音調型に関する詳細な報告 は別稿に譲らざるを得ず,本稿ではその概略を示すにとどめる。

3節では,2節までの議論と各種の先行研究にもとづいて,外輪式アクセントの下位分類に

ついて筆者の試論を述べる。特に,諸処の外輪式アクセントにおいて類とアクセント型との間 に一対多の対応関係が認められるIII-6,7類に属する語に注目し,従来「外輪式アクセント」

としてひとまとまりにされてきたものを,III-6,7類が完全に統合しているか否かによって,「外

↗        中輪式  *[ハ]ーガ > *[ハ]ガ  > ハ[ガ        内輪式  *[ハ]ーガ > *ハ[ー]ガ > [ハ]ガ

という変化が起こり,その結果,中輪式ではI-1類に,内輪式ではI-3類名詞に統合することにな

(4)

外輪式(そとがいりんしき)アクセント」と「内外輪式(うちがいりんしき)アクセント」の 二つに分けるということを提案する。そして,筆者の提案する外輪式アクセントの下位分類が 認められるとして,そのことが示唆する日本語アクセント史上の幾つかの問題について論じ, 外輪式アクセントの歴史的位置づけについての筆者の仮説を提示する。4節はまとめである。

2. 各地域の外輪式アクセントの類別体系

2.1 東北地域と九州北部地域の外輪式アクセント

東北や九州北部の外輪式アクセントは,しばしば外輪式アクセントの代表例として扱われて いる。例えば東北地域の外輪式アクセントについては,上野(1984)の青森方言に関する報 告がある。上野によれば,青森方言(昇り核の体系を有する)における1∼3拍名詞の類別体

系は,

I-1.2[⓪]/3[①]

II-1.2[]/3[]/4.5[①,②]

III-1.2[⓪]/4[③]/5[②,③]/6.7[①,②]

となっている。上記の表記中,[ ]の中の○で囲んだ数字は語頭からモーラ単位で数えた核(下

げ核か昇り核かなどの違いは問わない)の位置を表す(0は無核,以下同じ)2)[]の中に「,」

で区切って,二つのアクセント型が併記してある場合には,基本的にそれらが当該の類の中で 分節音条件によって相補分布を成すアクセント型であることを意味する。以下,本文中でアク セント型に言及する場合にも,同様に語頭からモーラ単位で数えた核の位置を「①型」などと して表わす(なお,表では○囲み無しの数字のみで示す)。

ここで注目したいのは,I-1,2類,II-1,2類,III-1,2類がそれぞれ統合して⓪型となっ

ているということ,また同時にII-4,5類およびIII-6,7類についても類の統合が起こってい

るということである。上野(1985; 1988; 1993)によれば,新潟県に分布する外輪式アクセン ト方言(村上市方言(昇り核)・内野町方言(下げ核))や山形県大鳥方言(下げ核)において も,II-4,5類の統合,III-6,7類の統合が起こっているという。東北地域の外輪式アクセン

トにおいてII-4,5類の統合,III-6,7類の統合は広く認められるものと考えてよいだろう。

一方,東北地域の外輪式アクセントとともに外輪式アクセントの代表例として扱われるのが 九州北部の外輪式アクセントである。その一つである大分県杵築方言(下げ核の体系)につい ては,平子・五十嵐(2014)によってその類別体系が明らかになっている。平子・五十嵐(2014)

によれば,杵築方言はアクセント型の分布こそ異なるものの,その類別体系は青森方言と同じ,

I-1.2[⓪]/3[①]

II-1.2[⓪]/3[②]/4.5[①]

III-1.2[⓪]/4[③]/5[①,②]/6.7[①]

2) ただし,本稿で扱う方言アクセントのうち青森方言のみ韻律的単位(数える単位)は音節である(上

野1984: 1-2)。他の方言ではモーラ単位で数える。ただ,韻律的単位が音節であるかモーラである

かは,本稿における議論には基本的にかかわらない故,ここでは分かりやすさを考え(上野1984

(5)

である。ここでもI-1,2類,II-1,2類,III-1,2類はそれぞれ統合して⓪型となっており,

同時に,II-4,5類とIII-6,7類においても統合が起こっていることを指摘しておきたい。また,

五十嵐他(2016,未公開)によれば,大分県に分布する他の外輪式アクセント諸方言におい

てもII-4,5類の統合,III-6,7類の統合が認められる。さらに,早田(1985)によれば,筑

前式アクセントに分類される博多方言においてもII-4,5類とIII-6,7類はそれぞれ統合をし

ている。東北と九州北部という地理的に互いに遠く離れた地域で,しかも,アクセント体系に も違い(昇り核か下げ核かという違い)がある方言の間で,類別体系が同じであるという点は 注目すべきことである。しかも,(筑前式の博多方言を除けば)I-1,2類,II-1,2類,III-1, 2(,3)類は統合した結果,総じて⓪型で実現しているという共通点がある。

2.2 三河地域の外輪式アクセント

次に,従来ほとんど報告のなかった三河地域の外輪式アクセントにおける類別体系を,筆者 の調査した結果にもとづいて報告する。本稿では,その代表として主に愛知県新城市方言(以 下,新城方言)のデータを用いる3)。新城方言は,東京方言と同様ピッチの下降下げ核

有無と位置が弁別的であり,n拍の語にn+1個のアクセント型の対立が認められる多型アク

セント体系を有する。

新城方言においても,前節で見た九州北部・東北地域の外輪式アクセント諸方言と同じ くI-1,2類,II-1,2類,III-1,2類は統合しており,⓪型で現れる(例は省略)。しかし, III-2類については少なからず③型か②型で現れるものもある。遠州地域で調査した他の二方

言におけるアクセント型の分布を見ても,三河および遠州地域諸方言では,III-1類はほぼ全

て⓪型である一方,III-2類には多く有核型がある(表2中の網掛け)。

個人差とも見て取れるが,このIII-1類とIII-2類との区別が保持されているように見える現

象は,新潟県や山形県に分布する外輪式アクセント諸方言(上野1982a: 81; 同1993: 167)と共

通するものであることは注意したい。そもそもIII-2類は語の数が少なく,その所属語彙に関

してはIII-3類の所属語彙とともに改めて考えるべきであろう。ここでは,ひとまず事実の指

摘のみに留めたい(2.3節で触れる上阿井方言のIII-2類におけるアクセント型の分布も参照)。

さて,新城方言においては,東北および九州北部の外輪式アクセントと同様にII-4,5類は

統合しているが(例は省略),一方で,III-6,7類は統合していると言い難い。新城方言では, III-6類は基本的に⓪型で現れるが(以下III-6A類),一部①型で現れるものがある(同 III-6B類)。それに対して,III-7類は①型と⓪型とがほぼ同比率で現れる(一部②型もある)。こ

こでは,III-7類のうち①型で現れるものをIII-7A類,⓪型で現れるものをIII-7B類として

おく(表3,4)。このIII-6AB類や7AB類の分裂は,東北方言における分節音を条件とした

分裂とは異なり,分裂の条件が同定できないことに注意されたい4)。なお,以下の表中で 2つ

のアクセント型が併記されている場合,それはそれら2つのアクセント型がともに許容される

3) 他に,静岡県浜松市庄内方言(浜松市西部,浜名湖の東岸)と浜松市東部方言を調査した。新城方

言とアクセント体系・実現するアクセント型が異なるところはあるものの,類とアクセント型(特

に有核型か無核型かの違い)の対応については,新城方言とほぼ同じである。議論が煩雑になるこ

とを避ける意味で,ここではデータの掲載を見送った。話者の情報等も含め新城方言と浜松市東部 方言のアクセントに関する詳細なデータは平子(2017a)と平子(2017b)を参照されたい。

4) ここでのIII-6類・7類におけるABのラベル付けは,種々の先行研究で従来の類として仮定され

ている型を参考にして,それに合う型の方をA,そうでないものをBとするという基準による。

(6)

ことを意味する。

その他,II-3類は基本的に②型,III-4類も安定して②型で現れる。結局,新城方言におけ

る類別体系は,

I-1.2[⓪]/3[①]

II-1.2[]/3[]/4.5[]

III-1.2.6A.7B[⓪]/4[②]/5.6B.7A[①]2 三河地域三方言におけるIII-2類名詞のアクセント型

単語 新城 浜松庄内1 浜松庄内2 浜松東部

小豆(アズキ) 0 0 0 0

女(オンナ) 0 0 0 3

毛抜き(ケヌキ) 0 0 0 0

東(ヒガシ) 2 2 0 1

二重(フタエ) 0 2 0 2

二つ(フタツ) 3 3 0 3

二人(フタリ) 3 3 3 3

三つ(ミッツ) 0 0 0 3

娘(ムスメ) 2 0 0 0

六つ(ムッツ) 0 0 0 3

八つ(ヤッツ) 0 0 0 0

夕べ(ユウベ) 0 0 0 0

四つ(ヨッツ) 0 0 0 3

3 新城方言におけるIII-6類のアクセント型

類 単語 アクセント型 類 単語 アクセント型

6 菖蒲(アヤメ) 0 6 団子(ダンゴ) 0

6 孰れ(イズレ) 0 6 田圃(タンボ) 0

6 兎(ウサギ) 1 6 燕(ツバメ) 0

6 鰻(ウナギ) 0 6 長さ(ナガサ) 1

6 大人(オトナ) 0 6 鼠(ネズミ) 0

6 蛙(カエル) 0 6 裸(ハダカ) 0

6 鴎(カモメ) 0 6 跣(ハダシ) 0

6 狐(キツネ) 0 6 左(ヒダリ) 0

6 虱(シラミ) 0 6 雲雀(ヒバリ) 1

6 芒(ススキ) 1,0 6 広さ(ヒロサ) 1

6 雀(スズメ) 0 6 誠(マコト) 0

6 李(スモモ) 0 6 蚯蚓(ミミズ) 0

6 背中(セナカ) 0 6 蓬(ヨモギ) 0

6 高さ(タカサ) 1

4 新城方言におけるIII-7類のアクセント型

類 単語 アクセント型 類 単語 アクセント型

7 苺(イチゴ) 1 7 盥(タライ) 0

7 後ろ(ウシロ) 0 7 千鳥(チドリ) 1

7 蚕(カイコ) 1 7 椿(ツバキ) 0

7 兜(カブト) 1 7 鉛(ナマリ) 0

7 辛子(カラシ) 1 7 畠(ハタケ) 0

7 鯨(クジラ) 0 7 一つ(ヒトツ) 2

7 薬(クスリ) 0 7 一人(ヒトリ) 2

7 卵(タマゴ) 2 7 緑(ミドリ) 1

(7)

と表すことができる。なお,新城方言では三拍名詞に語末核型(③型)がほぼないという点が 特徴的であるが,このことについては稿を改めて論じたい。

2.3 出雲地域の外輪式アクセント

続いて,出雲地域の外輪式アクセントについて見る。ここでは,主に出雲市大社方言(北西 部)・奥出雲町上阿井方言(南部)・安来市旧安来町十神方言(北東部)のデータを用いる5)

出雲地域諸方言も,新城方言と同様n拍の語にn+1個のアクセント型の対立がある多型アク

セント体系を有し,やはり下げ核の有無と位置が弁別的である。

まず,一拍名詞についてはここまでに見た他の3地域の外輪式アクセント諸方言と同じく,

I-1.2[⓪]/3[①]

という類別体系である(例は省略)。

次に三拍名詞について見る。大社方言と十神方言では基本的にIII-1類と2類とが統合して

いると言える。一方,上阿井方言では,III-2類に含まれる語のうち数詞(二人,二つ)を①

型で実現させる傾向にある。数詞以外にも「女」「夕べ」は有核型で現れるが,これらは当該 方言で日常的な語形で無く,標準語からの借用語と考えられる6)。結局,数詞と借用語と思わ

れる語を除けば,上阿井方言においてもIII-1,2類は統合していると言っていいだろう。また, III-4類は,出雲地域諸方言では③型で現れるのが基本のようである(詳細なデータは省略)。

III-5類は,②型で現れるものと⓪型で現れるものとが大半を占め,その他に①型,③型の

ものが若干ある。今,表5を見ると,出雲方言のIII-5類における類とアクセント型の一対多

の対応関係については,分節音を条件とする音韻分裂と考えることができるようにも見える。 しかし,非常に大まかな傾向としか言えず,例外に関する説明も現段階では難しい。ここでは, 本論には直接関係ないため詳述は避けるが,一応,III-5類は②型もしくは⓪型で現れるもの

としておく。

III-6類の大部分は,三河地域の外輪式アクセント方言と同様⓪型で現れる。しかし,少な

からず②型で現れるものもある。前者を6α類,後者を6β類としておく。また,7類も②型(あ

るいは①型)で現れるもの(7α)と⓪型で現れるもの(7β)とがある(表6・7参照)。

以上まとめれば,出雲地域諸方言における三拍名詞の類別体系は,

III-1.2..7β[]/4[]/5[②,⓪]/6β.7α[]

5) 大社・上阿井・十神の各方言および出雲市平田町方言・雲南市木次町方言・仁多郡奥出雲町旧横田

町大呂方言・安来市旧広瀬町宇波方言の計7つの方言については,平子(2017c)において,類別

語彙を中心とした1拍から3拍までの名詞900語のアクセント資料を公開した。話者の情報なども, 同論文に記載されている。

6) 方言形は「ニョーバ(①),ニョーバンコ(⓪)」(女),「ヨンベ(①)」(昨夜)である。この点に関して, 査読者の一人から出雲方言で借用語は原則として有核型で現れるのか,という指摘を受けたが,借 用語アクセントに関して組織的な調査をしていないため,その点については答えられない。ここで,

「女」などを借用語だと考えたのは,III-2類の語は類とアクセント型の対応関係から出雲方言では

(8)

となっていると言える7)。ただし,十神方言でIII-7α類の多くが①型で現れる点は注目される (注14も参照)。

5 出雲地域諸方言におけるIII-5類のアクセント型

単語 大社 上阿井 十神 単語 大社 上阿井 十神

朝日(アサヒ) 2 2,1 2 姿(スガタ) 3 2 2

油(アブラ) 0 0 0 簾(スダレ) 0 0 3

主(アルジ) 2 1 2 襷(タスキ) 3 0,3 1

鰒(アワビ) 2 2 2 情け(ナサケ) 3 3 3

哀れ(アワレ) 3 0 3 茄子(ナスビ) 0 0 0

五つ(イツツ) 2 2 2 涙(ナミダ) 0 0 1

従兄弟(イトコ) 2 2 2 錦(ニシキ) 1 1 1

命(イノチ) 2 2,1 2 柱(ハシラ) 0 0 0

親子(オヤコ) 2 2 2 単衣(ヒトエ) 2,3 2 0

神楽(カグラ) 3 3 1 火箸(ヒバシ) 0 0 0

鰈(カレイ) 2 1 2 箒(ホウキ) 0 0 0

瓦(カワラ) 0 3 3 枕(マクラ) 0 3 1

胡瓜(キュウリ) 0 0 0 眼(マナコ) 2 2 2

心(ココロ) 3 3 3 紅葉(モミジ) 2 2 1

柘榴(ザクロ) 3 0 0 山葵(ワサビ) 2 0 2

6 出雲地域諸方言におけるIII-6類のアクセント型

単語 大社 上阿井 十神 単語 大社 上阿井 十神

菖蒲(アヤメ) 0 0 0 団子(ダンゴ) 0 0 0

孰れ(イズレ) 0 3 0 田圃(タンボ) 0 0 0

兎(ウサギ) 2 2 2 燕(ツバメ) 2 2 0

鰻(ウナギ) 0 0 0 長さ(ナガサ) 2 0 0

大人(オトナ) 0 0 0 鼠(ネズミ) 0 0 0

蛙(カエル) 0 0 0 裸(ハダカ) 0 0 0

鴎(カモメ) 0 0 0 跣(ハダシ) 0 0 0

狐(キツネ) 0 0 0 左(ヒダリ) 0 0 0

虱(シラミ) 0 0 0 雲雀(ヒバリ) 2 0,2 2

芒(ススキ) 0 0 0 広さ(ヒロサ) 2 2 2

雀(スズメ) 0 3,1 0 誠(マコト) 0 0 0

李(スモモ) 2 0 0 蚯蚓(ミミズ) 0 0 0

背中(セナカ) 0 0 0 蓬(ヨモギ) 0 0 0

高さ(タカサ) 2 0 2

7 出雲地域諸方言におけるIII-7類のアクセント型

単語 大社 上阿井 十神 単語 大社 上阿井 十神

苺(イチゴ) 0 0 1 盥(タライ) 0 0 0

後ろ(ウシロ) 3 3 1 千鳥(チドリ) 2 2 2

蚕(カイコ) 1 1 1 椿(ツバキ) 2 0 2

兜(カブト) 3 1 1 鉛(ナマリ) 0 0 0

辛子(カラシ) 0 0 1 畠(ハタケ) 0 0 0

鯨(クジラ) 0 3 0 一つ(ヒトツ) 2 2 2

薬(クスリ) 0 0 0 一人(ヒトリ) 2 2 2

卵(タマゴ) 0 0 0 緑(ミドリ) 2 2 2

便り(タヨリ) 2 2,3 0 病(ヤマイ) 2 2 1

7) 広戸・大原(1953)や上野(1982b)に報告がある出雲地域の東部にあたる西伯地域に位置する外 輪式アクセント方言について見ても,III-6類と7類は統合していると言い難い。III-6類は多く⓪

型で現れる一方,III-7類は⓪・①・②型がほぼ等しい比率で現れる。その型の分布も概して筆者

(9)

最後に二拍名詞を見る。出雲地域諸方言アクセントの類別体系に関することで,最も注目 されるべきは,奥村(1981)以来知られているII-4類とII-5類の対立の在り方であろう(表 8と表9を参照)。ただし,出雲地域諸方言の全てにおいてII-4類とII-5類の区別が保たれて

いるというわけではなく,(1)II-4.5類を統合させている方言と(2)II-4.5類の区別を保持し

ている方言(大社方言)がある。さらに前者は,(1a)二拍目の母音が狭母音であれば①型で, そうでなければ②型となる方言(上阿井方言)と(1b)一拍目の母音が狭母音,かつ二拍目 の母音が非狭母音であるときに②型で,そうでなければ①型となる方言(十神方言)とに分け られる。そして,上述(2)の大社方言においては,II-5類に属する語のうち二拍目に狭い母

音が含まれるものは①型で現れ,そうでなければ②型で現れる(つまり,II-3.4類と統合する)

という形で,II-4類とII-5類の区別が保たれているのである。

また,出雲諸方言ではII-3類にも類とアクセント型の間に一対多の対応関係が認められる

が,これについての詳細な議論は避ける。ここでは基本的にII-3類は②型で現れるとしておく。

アクセント型の分布の詳細は,平子(2017c)を参照されたい。

8 出雲地域諸方言におけるII-4類のアクセント型

単語 大社 上阿井 十神 単語 大社 上阿井 十神

跡(アト) 2 2 1 銭(ゼニ) 2 1 1

尼(アマ) 0 0,1 0 外(ソト) 2 1,2 1

粟(アワ) 2 2 1 側(ソバ) 2 2 1

息(イキ) 2 1,2 1 空(ソラ) 2 1 1

板(イタ) 2 2 2 種(タネ) 2 2 1

市(イチ) 2 1 1 乳(チチ) 2 1 1

何時(イツ) 2 2 0 父(チチ) 1 1 1

糸(イト) 2 2 2 杖(ツエ) 2 2 2

稲(イネ) 2 2 2 槌(ツチ) 2 2 2

臼(ウス) 2 1 1 鍔(ツバ) 2 2 2

海(ウミ) 2 1 1 粒(ツブ) 1,2 0,1 1

瓜(ウリ) 2 1 1 罪(ツミ) 2 1 1

帯(オビ) 2 1,2 1 咎(トガ) 2 0 2

櫂(カイ) 1 1 1 苗(ナエ) 2 2 1

笠(カサ) 2 2 1 中(ナカ) 2 1,2 1

糟(カス) 2 1 1 何(ナニ) 2 0 0

数(カズ) 2 1 1 主(ヌシ) 2 1 1

肩(カタ) 2 2 1 鑿(ノミ) 2 1 1

角(カド) 2 2 1 箸(ハシ) 1 1 1

鎌(カマ) 2 2 1 肌(ハダ) 2 2 2

上(カミ) 2 1 1 針(ハリ) 2 1 1

絹(キヌ) 2 1 1 舟(フネ) 2 2 2

杵(キネ) 2 2 2 紅(ベニ) 2,0 1 1

今日(キョウ) 1 1 1 箆(ヘラ) 2 2 1

錐(キリ) 2 1 1 他(ホカ) 0 0 0

屑(クズ) 2 1 1 松(マツ) 2 1 1

管(クダ) 2 2 2 味噌(ミソ) 2 2 1

今朝(ケサ) 1 1 1 蓑(ミノ) 2 2 1

桁(ケタ) 0 0 0 麦(ムギ) 2 1 1

下駄(ゲタ) 0 0 0 宿(ヤド) 2 2 1

鞘(サヤ) 2 2 1 罠(ワナ) 2 2 2

汁(シル) 1 1 1 藁(ワラ) 2 2 1

筋(スジ) 0 2 1 我(ワレ) 1 1 1

(10)

結局,出雲地域諸方言における二拍名詞の類別体系は,大社方言でII-1.2[⓪]/3.4[②]/ 5[①,②],上阿井・十神両方言でII-1.2[⓪]/3[②]/4.5[①,②]であるということになる。そ して,出雲地域の外輪式アクセント諸方言が共通の祖体系に遡るとすれば,その祖体系におけ る二拍名詞の類別体系は*II-1.2/3/4/5―つまり,II-4類とII-5類との区別が保たれていた

類別体系―であった蓋然性が高い8)

3. 諸処の外輪式アクセントの類別体系が示唆すること

ここまで,先行研究と筆者自身の調査結果にもとづいて4地域の外輪式アクセントにおけ

る類別体系を概観してきた。個々の方言について検討すべき問題は幾つかあるものの,三河お

よび出雲の外輪式アクセントにおける類別体系が,外輪式アクセントの代表例として扱われ てきた東北および九州北部の外輪式アクセントにおける類別体系と異なっていることは明ら かになったと考える。つまり,東北および九州北部の外輪式アクセントにおいてはIII-6類と III-7類が完全に統合している一方,三河および出雲の外輪式アクセントではIII-6類とIII-7

類が完全には統合していない。また,出雲地域の一部の方言では,外輪式アクセントの多くで 統合しているII-4類と5類も統合していないのである。

3.1 外輪式アクセントを二分する

ここで,従来「外輪式アクセント」としてひとまとまりにされてきたものを,その三拍名詞 における類別体系にもとづいて大きく2つに分けることを提案する。すなわち,三拍名詞6類

と7類とが完全に統合している東北地域および九州北部地域に分布する外輪式アクセントと, 6類と7類とが完全には統合していない三河地域および出雲地域に分布する外輪式アクセント

9 出雲地域諸方言におけるII-5類のアクセント型

単語 大社 上阿井 十神 単語 大社 上阿井 十神

藍(アイ) 1 1 1 鮭(サケ) 1 1 1

青(アオ) 1 1 1 猿(サル) 2 1 1

赤(アカ) 1 1 1 白(シロ) 2 1 1

秋(アキ) 1 1 1 縦(タテ) 2 2 1

朝(アサ) 2 1 1 足袋(タビ) 2 1 1

汗(アセ) 2 2 1 常(ツネ) 2 2 2

兄(アニ) 2 1 1 露(ツユ) 1 1 1

虻(アブ) 2 1 1 鶴(ツル) 1 1 1

雨(アメ) 2 2 1 鍋(ナベ) 2 2 1

鮎(アユ) 2 1 1 鱧(ハモ) 2 1 2

井戸(イド) 2 2 2 春(ハル) 1 1 1

桶(オケ) 2 2 1 鮒(フナ) 2 2 2

牡蠣(カキ) 1 1 1 蛭(ヒル) 1 1 0

蔭(カゲ) 2 2 1 蛇(ヘビ) 1 1 1

黍(キビ) 2 1 1 前(マエ) 2 1 1

蜘蛛(クモ) 2 2 2 窓(マド) 2 2 1

黒(クロ) 1 1 2 眉(マユ) 1 1 1

鯉(コイ) 1 1 1 繭(マユ) 1 1 1

声(コエ) 2 2,1 1 婿(ムコ) 2 2 2

琴(コト) 1 1 1 腿(モモ) 2 2 1

8) もちろん,このような「中間祖体系」を経ずに,本土祖体系の類別体系として想定される

(11)

とに分けるのである。その地理的分布から,本稿では,前者を「外外輪式(そとがいりんしき) アクセント」,後者を「内外輪式(うちがいりんしき)アクセント」と仮に呼ぶことにしたい9)

この分類は今現在までに筆者の手にある限られた資料から得られたデータのみに基づく分類で ある。それ故に,気づいていないデータもしくは新たなデータによって筆者の仮説が改められ る可能性は多分にあるが,仮に筆者の提案するような形で外輪式アクセントを二分することが 妥当だとして,次に考えたいのはその歴史的な意味合いである。

以下では,III-6類とIII-7類におけるアクセント型の分布に注目しながら議論を進めたい。

この両類は,(1)内外輪式アクセントにおいて完全に統合していないというだけでなく,(2)

内外輪式アクセントにおいて類とアクセント型との間に分節音を条件にするとは考え難い一対 多の対応関係が認められるのである。次の3.2節では(1)の点,続く3.3節・3.4節では(2)

の点を主に取り上げながら,上記で提案した分類が日本語アクセントの歴史的研究にどのよう な示唆を与えるのか考える。

3.2 外輪式アクセントの成立過程に関する示唆

内外輪式アクセントにおいてIII-6類と7類とが完全には統合していないという事実は,先

行研究の幾つかで提示されてきた外輪式アクセントの成立過程に関する仮説について,その 見直しが必要であることを示唆する。例えば金田一(1978: 5-8)は,平安時代京都方言アク

セントを外輪式アクセントの祖体系とし,外輪式アクセントにおけるI-1,2類,II-1,2類, III-1,2(,3)類の統合は平安時代京都方言アクセントにおける「《語中の滝》」,すなわち語

中の「ピッチの下降」が消失したことによって起こったものだとする(表10)。なお,表中の “○”は拍,“[”はピッチの上がり目,“]”はピッチの下がり目,“]]”は拍内でのピッチの下

降を示す。

金田一の考えでは,祖体系(平安時代京都方言アクセント)から現在の外輪式アクセントへ と変化する過程で,「ピッチの下降」を持つもの全てにおいて「ピッチの下降」が失われ,⓪ 型になるというのである。ここで肝要であるのは,金田一の考えでは,平安時代語京都方言ア クセントにおける「高起式」に属するものだけで「ピッチの下降」が失われるのではなく,「低 起式」に属するものについても「ピッチの下降」が失われるということである。つまり,この 金田一の考えに従えば,外輪式アクセント全てで共通して統合しているI-1,2類,II-1,2類, III-1,2(,3)類はおろか,内外輪式アクセントでは統合していないII-4,5類やIII-6,7類

も全て統合することになる。

実は,想定する平安時代京都方言アクセントのピッチ型こそ全く異なるものの,I-1,2類, II-1,2類,III-1,2(,3)類の統合と,II-4,5類,III-6,7類の統合とを同じ変化に端を発

するものとする考え方は,de Boer(2010)にもある10)

9) 査読者のお一人から,II-4,5類の統合に関して大きな違いが見られる三河の外輪式アクセントと

出雲の外輪式アクセントとを三拍名詞のアクセントのみを根拠にして,「内外輪式アクセント」と

して一つにまとめることは妥当なのか,というコメントをいただいた。もちろん,II-4,5類の統

合に関する違いから考えて三河と出雲とを区別することは必要である。その意味で,査読者の意見 に反論はない。ただ,ここではIII-6類とIII-7類を統合させている「外外輪式アクセント」と対 置させるために,敢えてまとめて「内外輪式アクセント」と呼ぶこととした。二つの内外輪式アク セントの違いが意味するところについては,改めて論じたい。

10)ここではピッチの高低昇降を拍単位でH(高平調),L(低平調),M(中平調),R(上昇調)を用

いて示した。これは,de Boerの表記に従うものであり,筆者として日本語のアクセントを声調/

(12)

de Boerが外輪式アクセント成立の過程で最も重要なポイントと考えているのが,II-2・ III-2類などにおける*(L)LH-L>(L)LH-Hという変化である。これは[LH]の後に続く[L]

が,その前の[H]に同化して高くなる変化([LH]の後ろの[H]が右側へ拡張するHigh tone spreading)と言えよう。このde Boerの考えに従えば,(金田一説と同様に)外輪式アクセ

ント一般に見られるII-1類とII-2類の統合およびIII-1類とIII-2類の統合と,外外輪式アク

セントにしか認められないIII-6類とIII-7類の統合とが同じ要因によるものだということに

なる。

問題となるのは,金田一とde Boerの仮説が外輪式アクセント一般に関するものであるこ

と,そして両者ともにI-1,2類・II-1,2類・III-1,2類の統合とII-4,5類・III-6,7類の

統合を同一の変化に起因するものとしていることにある。確かに,青森方言や大分方言のよう なI-1.2/3II-1.2/3/4.5III-1.2/4/5/6.7という類別体系については,金田一やde Boerの

仮説で問題はないかもしれない。しかし,すでに述べたように三河や出雲の内外輪式アクセン トではIII-6,7類は統合していないし,出雲諸方言の一部ではII-4,5類も統合していない。

三河や出雲の外輪式アクセントの類別体系の成り立ちを,金田一やde Boerの想定する変化

によって説明することはできないのである。少なくとも金田一やde Boerの想定する変化は,

三河や出雲の外輪式アクセントを含めた外輪式アクセント一般の成立過程として認められるも のではない11)

10 金田一の想定する外輪式アクセント成立過程

類 平安京都 外輪式

II-1 [○○-○ = [○○-○ > ○[○-○

II-2 [○]○-[○ > [○○-○ > ○[○-○

II-3 ○○-[○ > [○]○-○ > ○[○]-○

II-4 ○[○-○ = ○[○-○ > [○]○-○

II-5 ○[○]]-[○ > ○[○-○ > [○]○-○

III-1 [○○○-○ = [○○○-○ > ○[○○-○

III-2 [○○]○-[○ > [○○○-○ > ○[○○-○

III-4 ○○○-[○ > [○○]○-○ > ○[○○]-○

III-5 ○○[○-○ > [○]○○-○ > ○[○]○-○

III-6 ○[○○-○ = ○[○○-○ > [○]○○-○

III-7 ○[○]○-[○ > ○[○○-○ > [○]○○-○

11de Boerの想定する外輪式アクセント成立過程

類 平安京都 Stage 1 Stage 2 Stage 3 外輪式

II-1 LL-L = LL-L = LL-L = LL-L > LH-H

II-2 LH-L > LH-H > LM-M > LL-L > LH-H

II-3 HH-L = HH-L > MH-L > LH-L = LH-L

II-4 HL-L = HL-L = HL-L = HL-L = HL-L

II-5 HR-L > HL-H > HL-M > HL-L = HL-L

III-1 LLL-L = LLL-L = LLL-L = LLL-L > LHH-H

III-2 LLH-L > LLH-H > LLM-M > LLL-L > LHH-H

III-4 HHH-L > HHH-L > MMH-L > LLH-L = LLH-L

III-5 HHL-L = HHL-L > MHL-L > LHL-L = LHL-L

III-6 HLL-L = HLL-L = HLL-L = HLL-L = HLL-L

III-7 HLH-L > HLH-H > HLM-M > HLL-L = HLL-L

11)金田一(1978: 8)は,三河の外輪式アクセントでIII-6,7類の語(の一部)が⓪型で現れること

について,尾張方言や東京語の影響を受けたものと考えているが,そうなると出雲でIII-6,7類

(13)

また木部(2008)は,青森方言と大分方言とに議論を限定した上で,両方言の成立過程の 第一段階として金田一が想定するものとほぼ同様の変化を想定している(「下げ核」の消失)。 木部が扱う両方言は,筆者が本稿で提案する外外輪式アクセント方言に分類される。既に見た とおり,外外輪式アクセントではIII-6,7類は統合しており,またII-4,5類も統合している

ため,その限りにおいて木部の仮説を否定することはできない。しかし,筆者は,外外輪式ア クセントについてもまた,木部(及び金田一やde Boer)の考える成立過程を想定する必要は ないと考える。というのも,(1)III-6,7類を統合させている東北や九州北部の諸方言におけ

るIII-6,7類の語は,その全てのアクセント型が頭高型で安定しているか,歴史的に頭高型

で安定していた段階を経たと考えられるのに対して,(2)III-6,7類を完全には統合させてい

ない内外輪式アクセントの諸方言では,三拍名詞において頭高型で安定的に現れる類がなく, またIII-6,7類の語全てが歴史的に頭高型を経たとは考えられないためである12)

筆者は,東北及び九州北部の諸方言,つまり,外外輪式アクセント方言におけるIII-6,7

類の統合は,「頭高化」という変化に起因するものであり,木部・金田一の考える「ピッチの 下降の消失」(あるいはde BoerのHigh tone spreading)のような変化によるものではない

と考える13)。少なくとも,外輪式アクセントにおけるI-12類・II-12類・III-12類それ

ぞれの統合を引き起こした変化と,II-4,5類の統合あるいはIII-6,7類の統合を引き起こし

た変化とは異なるものであったと考えるべきである14)

↗ うことになる。しかし,3.3節で述べるように,特にIII-7類において見られる三河と出雲との間

の対応関係から考えるに,そういった蓋然性は小さいと言わざるを得ない。ここでは三河(と出雲)

方言でIII-6,7類の語(の一部)が⓪型で現れることは,他方言からの影響ではなく各方言にお

ける内的変化の結果と考える。

12)木部(2008)は,青森方言など東北地方の外輪式アクセントにおける昇り核の体系について,元々

の「上げ核」が位置はそのままに「昇り核」へと変化したことによって生じたものとしている。し かし,この木部の仮説では,昇り核の体系を持つ東北地方の外輪式アクセントに「言い切り形」と 「接続形」との違いがあることを説明しえない。筆者は,Uwano(2012: 1431-1432)が言うように,

昇り核の体系に見られる「言い切り形」と「接続形」の違いは,かつてそれらの方言が下げ核の体 系を持っていたことの名残であると考える。すなわち,今の共時態で語頭に昇り核があるものは, 過去には語頭に下げ核があった,つまり「頭高型」であったのである。このことも,東北地方の外

外輪式アクセントにおいては,III-6,7類が全て一旦「頭高型」になったことを示唆するものと考

える。

13)(外)外輪式アクセントの成立過程に関する筆者とほぼ同じ考え方は,Uwano(2009)にも見られ た。

14)査読者のお一人から,十神方言において①型で多く現れることについて説明を求められた。このこ

とに関連して,上野善道先生から次のような趣旨の御指摘をいただいた:「十神方言において②型

であるものと①型であるものとを比べると,②型のもの(5語)は二拍目に狭母音を含むものがな

い一方で,①型である6語のうち4語までが二拍目に狭母音を含んでいる。これを史的に解釈すれ

(14)

3.3 日本本土諸方言アクセントの祖体系に関する示唆15)

III-6類と7類とを完全には統合させていない内外輪式アクセント4方言(出雲3方言およ

び新城方言)であるが,三拍名詞6類・7類におけるそれらの方言間のアクセント型の対応関

係を見ると,偶然とは考えられないような「一致」が認められる。すなわち,出雲3方言にお

いて⓪型で現れるもの(III-6α,7β類)は新城方言においても⓪型(III-6A,7B類)で現れ,

また,出雲3方言において有核型(①型あるいは②・③型)で現れるもの(III-6β,7α類)は,

新城方言において①型(III-6B,7A類)で現れる。この事実は,出雲・三河に離れて分布す

る内外輪式アクセントの共通の祖体系において,III-6AB(あるいはIII-6αβ),III-7AB(ある いはIII-7αβ)に相当する類の区別が存在していたことを示唆する。つまり,III-6,7類は内

外輪式アクセントの共通の祖体系において,それぞれ二つの異なる類に分かれていたことに なる。

さて,III-7類については上野(2006: 36-39)が,日本語諸方言アクセントの祖体系で二つ

の異なる類に分けられる可能性を指摘している(服部1951: 21-22も参照)。問題は,二つの

内外輪式アクセントにおけるIII-7類の二分と,上野のIII-7類の二分との関係である。

上野(ibid.)によれば,二分されたIII-7類の一方(上野の言うIII-7b類)は,内輪・中

輪式アクセントの諸方言においてIII-6類に統合しているという。そこで表12に,内外輪式

アクセント5方言(出雲3方言,遠州・三河2方言)に加え,中輪式アクセントである広島

市方言(馬瀬1994)と東京方言(平山1960),内輪式アクセントである岡山県日生本町方言(中 井2002)と愛知県一宮市方言(筆者の調査による)におけるIII-7類のアクセント型の分布を

示した。

例えば,東京方言では,III-6類は基本的に⓪型である一方,III-7類は①型と⓪型とに大き

く分かれる(一部②型もある)。多少の例外はあるものが,III-7類のうち東京方言で⓪型のも

の(つまりIII-6類と統合しているもの)は,内外輪式アクセントでも⓪型(つまりIII-7β類

あるいは7B類)であり,東京方言で有核型(①型あるいは②型)のものは内外輪式アクセン

トでもやはり有核型(III-7α類あるいは7A類)だと言える。他の広島市・日生・一宮市の各

方言についても,それぞれの方言と内外輪式アクセント5方言とのアクセント型の対応関係を

見ると,東京方言の場合とほぼ同様の関係性が見出せる。

つまり,大まかには,上野の言うIII-7a類が筆者の言う三河方言のIII-7A類であり,出雲

方言のIII-7α類である一方,上野の言うIII-7b類が筆者の言うIII-7B類あるいはIII-7β類と

いうことになる。内外輪式アクセントの類別体系は,祖体系においてIII-7類が異なる二つの

類に分かれていたとする上野の仮説に沿うものであり,また,上野の仮説を補強するものだと いうことになる。

3.4 外輪式アクセントの歴史的位置づけについて

前節までに述べたところをまとめれば,内外輪式アクセントと内輪式・中輪式アクセントと は,III-7ab類の区別―本稿における三河のIII-7AB類の区別,出雲のIII-7αβの区別に対

応―を保持し,III-7a類が有核型,III-7b類が⓪型で現れるという共通点を持つ。また,内

15)本節及び次節の内容の一部は,査読者のお一人からいただいたコメントに基づいて,新たに書き加

えたものである。特に,内外輪式アクセントと中輪式アクセントとの地理的な連続性を指摘くださっ

たことで(注17参照),それらの歴史的関係性について考えを深めることができた。有益なコメン

(15)

外輪・内輪・中輪式の各アクセントにおいてIII-6類はその大半が⓪型で現れ,III-7b類と統

合しているという共通点もある。一方,外外輪式アクセントではIII-7ab類の区別は保たれて

おらず,全てIII-6類とともに頭高型(あるいは歴史的に頭高型を経たと思われるアクセント

型)で現れている。類別体系や実現するアクセント型から見ると,外外輪式アクセントに比べ て,内外輪式アクセントは内輪・中輪式アクセントに相対的に近い関係にあると考えられる。 地理的分布からも,内外輪式アクセントが,外外輪式アクセントに比べて,内輪・中輪式ア クセントと相対的に近い関係にあることがうかがえる。Wurn & Hattori(1983)中の第27図

“he Japanese Dialects”を見ると,内外輪式アクセントの方言が中輪式アクセントの方言に

取り囲まれているのに対して,外外輪式アクセントの方言は中輪式アクセントと切り離されて 分布しているのである17)

ただし地理的分布からは,内外輪式アクセントと内輪式アクセントとの関係は,内外輪式ア クセントと中輪式アクセントとのそれとは同じと考えられない。内外輪式アクセントは中輪式 アクセントとは接しているが,内輪式アクセントとは接していないためである。むしろ内輪式 アクセントは中央式アクセントの周縁部に張り付くように分布している。この事実からは,内 輪式アクセントは(内外輪式アクセントではなく)中央式アクセントと歴史的に近い関係にあ

12 内外輪式・中輪式・内輪式におけるIII-7類のアクセント型16)

単語 大社 上阿井 十神 新城 浜松東部 広島 岡山日生 東京 一宮

苺(イチゴ) 0 0 1 1 0 0 0 0,1 2,0

*後ろ(ウシロ) 3 3 1 0 0 1 1 0 1,0

蚕(カイコ) 1 1 1 1 1 1 2 1 1

兜(カブト) 3 1 1 1 1 1 2,1 1 1

*辛子(カラシ) 0 0 1 1 1 0 0 0 0

鯨(クジラ) 0 3 0 0 0 1,0 1 0 0

薬(クスリ) 0 0 0 0 0,2 0 0 0 0

*卵(タマゴ) 0 0 0 2 2 2,0 0 2 2

便り(タヨリ) 2 2,3 0 1 1 1 1 1 1

盥(タライ) 0 0 0 0 0 0 3 0 0

千鳥(チドリ) 2 2 2 1 1 ― 2 1 1

*椿(ツバキ) 2 0 2 0 0 1,2 1 1 1

鉛(ナマリ) 0 0 0 0 0 0,3 0 0 0

畠(ハタケ) 0 0 0 0 0 0 0 0 1

一つ(ヒトツ) 2 2 2 2 2 2 2 2 2

一人(ヒトリ) 2 2 2 2 2 2 2 2 2

緑(ミドリ) 2 2 2 1 1 2,1 2 1 1

病(ヤマイ) 2 2 1 1 1 1,2 1 1 1

16)表中では,各方言におけるアクセント型について有核型でしか現れない場合にその部分を網掛け

にした。その上で,各方言間のアクセント型の対応関係からIII-7a類とできるものを四角で囲み,

III-7b類とできるものに下線を,分属不明のものについてはアスタリスク(*)を付した。

17)東北の外輪式アクセントは,日本海側では上越市や長野市あたりを境にして中輪式アクセントと連

(16)

るものと考えられる。内輪式アクセントにおける一拍名詞の類別体系もまた,内輪式アクセン トが中央式アクセントと歴史的に近いことを示唆している(注1参照)。

以上の諸点を踏まえ,筆者は,内輪式アクセントと中央式アクセントとが一系統を成すのに 対し,中輪式アクセントは内外輪式アクセントと一つの系統群を成すと考える。一方で,外外 輪式アクセントは,これら二系統とはまた別の系統にあるものということになる。

従来,外輪式アクセントは本稿で言う内・外の別を問わず,その二拍名詞における類別体系 から,内輪式・中輪式アクセントに比して中央式アクセントとかなり古い段階で分岐したもの だと考えられてきた(金田一1978など)。しかし,それは本稿で言う外外輪式アクセントに限っ

た話であり,内外輪式アクセントに関して言えば,中央式アクセントとの歴史的な「近さ」は 中輪式アクセントと変わらないものと考えられる。これが本稿における一つの結論である。ま た,本稿1節では,従来の研究では「中央式アクセントとの歴史的関係を考えたとき,内輪式

と中輪式は大きく異ならないものと考えられてきた」と述べたが,この点についても筆者の見 解は従来と若干異なることになる。今,ここで述べた仮説を系統樹の形で示せば,図1のよう

になる。

さて,図1では,外外輪式・内外輪式等という分類でしか表していないものの,これは例え

ば外外輪式アクセントに分類される東北諸方言と九州北部諸方言とが単一の系統群を成すとい うことを主張するものではない。地理的分布からして,当然東北諸方言の外外輪式アクセント と九州北部諸方言の外外輪式アクセントとは,日本語アクセント祖体系から別個に分岐・成立 したものと考えるべきである。その他の内外輪式・中輪式・内輪式アクセントについても同様 である。

単純に各「式」の地理的分布だけを見れば,中央式アクセントを取り囲むようにして内輪式 アクセントが分布し,その外側に中輪式アクセント,さらにその外側に内外輪式アクセントが

(17)

あり,全体として「周圏的」分布を示している。しかし,同じ内外輪式・中輪式・内輪式アク セントであっても,中央式アクセントを挟んで東に分布しているものと西に分布しているもの では,系統が異なるものと考えるのが自然であろう。このことに関連して注目しておきたいの は,表12に示したIII-7類の語のうち,abの分属が不明であるとした「後ろ」「卵」について,

中央式アクセント地域の西側に分布する出雲諸方言(内外輪式)・広島方言(中輪式)・日生方 言(内輪式)と,中央式アクセント地域の東側に分布する三河・遠州方言(内外輪式)・東京 方言(中輪式)・一宮方言(内輪式)とで,それらのアクセント型の分布が対照的になってい ることである。この事実は,内輪・中輪・内外輪式アクセントは,少なくとも西と東とで,そ れぞれ独立に分岐・成立したということを示唆する。上述したような各「式」の「周圏的」分 布を「周圏論的」に解釈することは許されないのである。

4. まとめ

本稿では,まず,従来報告の少なかった三河・遠州地域の諸方言を含め4地域の外輪式アク

セントにおける類別体系を筆者自身による調査結果と先行研究とをもとにして概観した。そし て,それら4地域の外輪式アクセントの間に見られる三拍名詞の類別体系の違いから,従来一

括して外輪式アクセントと呼ばれてきたものを少なくともさらに二つに分類すべきであること を提案した。本稿では,その地理的分布から,一方を内外輪式(うちがいりんしき)アクセン ト,他方を外外輪式(そとがいりんしき)アクセントと呼んだ。

次に,先行研究で提案された外輪式アクセントの分岐・成立の過程に関する仮説について検 討し,本稿で見た各地域の外輪式アクセントにおけるアクセント型の分布と類別体系から考え ると,金田一や木部,de Boerの考えが必ずしも妥当とは言えないことを主張した。

さらに本稿では,2つの内外輪式アクセントについて,III-7類において類とアクセント型

の間の一対多の対応関係が見られること,つまりIII-7類が二つに分裂していることを指摘し,

しかも両内外輪式アクセントにおいて,その分裂の在り方が共通することを述べた。さらに, この内外輪式アクセントに認められるIII-7類における類とアクセント型の間の一対多の対応

関係が,先行研究で指摘されている内輪式・中輪式アクセントにおける類とアクセント型の間 の一対多の対応関係と一致することを指摘した。この事実と各方言アクセントの地理的分布を 考慮に入れれば,少なくとも中輪式アクセントと内外輪式アクセントとは,中央式アクセント との歴史的関係においてその歴史的位置づけに差はないことになる。これが,本稿の一つの結 論である。

従来「外輪式アクセント」は,平安時代語京都方言アクセントの「高起式」に対応する類が 統合して⓪型になっているものとされ,「外輪式アクセント」が祖体系から分岐したのは,平 安時代語京都方言アクセントの高起式に対応する類が統合して⓪型になったことによると考え られてきた(金田一1975: 47-48の付記など)。この点について筆者として異論はないものの,

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参照

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