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第13回(配布用)pdf 最近の更新履歴 Keisuke Kawata's HP

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Academic year: 2018

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(1)

労働経済学1 (第 13 回)

広島大学社会科学研究科 特任助教

川田恵介

(2)

前回の続き

• 教育と賃金の間に正の相関がある。

• なぜ正の相関があるのか?

• 仮説1)人的資本の蓄積

仮説2)シグナリング

労働経済学1 2

(3)

仮説3)見せかけの相関

高賃金 教育年数

「能力」

(4)

「能力」 VS 学歴

労働経済学1 4

高賃金 教育年数

8.8% 「能力」

Ashenfelter and Rouse (1998, Quarterly Journal of Economics)

アメリカの双子(一卵性)のサンプルを収集した。 仮定:双子の間では、能力は異ならない。

1.4

(5)

男女間格差

• 男女間には、以前としてさまざまな格差が存在する。

• この格差解消することは、多くの国において、政策課題 になっている。

男女雇用機会均等法(1986)

• 男女労働者を、募集・採用、配置・昇進・降格・教育訓 練、福利厚生、職種・雇用形態の変更、退職の勧奨・定 年・解雇・労働契約の更新において、性別を理由に差 別することは禁止されています。

労働経済学1 5

(6)

格差

男女間賃金格差=女性の賃金 男性の賃金

男女間労働力格差=女性の労働力率 男性の労働力率

労働経済学1 6

(7)

男女間賃金格差(所定内給与)

賃金格差は、 縮小する。

0.45 0.5 0.55 0.6 0.65 0.7 0.75 0.8 0.85 0.9

2024 2529 3034 35~39 40~44 45~49 5054

(8)

男女間労働力格差

労働経済学18 0.400 0.500 0.600 0.700 0.800 0.900 1.000 1.100 1968

1969 1970 1971 1972 1973 1973 1974 1975 1976 1977 1978 1979 1980 1981 1982 1983 1984 1985 1986 1987 1988 1989 1990 1991 1992 1993 1994 1995 1996 1997 1998 1999 2000 2001 2002 2003 2004 2005 2006 2007 2008 2009 2010

1519

2024

2529

3034

3539

4044

4549

5054 大きな男女間格差がある。

(9)

仮説1)留保賃金格差

• 日本社会では長らく、家事や育児は女性の仕事である と見なされてきた。

• 女性のほうが、男性に比べ、留保賃金が高いことが、 男女間の格差を生み出す要因ではないか?

• 市場で働いた場合の能力は男女間で完全に等しく、労 働者としての「価値」には差がない。

• 留保賃金のみ女性の方が高い。

(10)

ワルラス型市場モデル

労働経済学1 10

賃金

雇用量 雇用量

男性 女性

(11)

仮説1)留保賃金格差

就業率の違いは説明できる。(賃金水準が同じならば、留

保賃金の高い、女性のほうが就業者になりにくい)

賃金格差は

(12)

仮説2)限界生産性

• ワルラス型市場モデルにおいては、

• 男女間賃金格差の原因は、限界生産性の格差?

労働経済学1 12

Skill-Biased Technical Change

• 近年起こった技術革新の多くは、高技能、高学歴労働 力と補完的である。

• 平均的に男性が持つ比較優位は、縮小している。

(13)

仮説2)限界生産性

• 企業による人的資本形成を考慮する。

に雇用関係を結ぶ労働者により多くの人的 資本投資を行うインセンティブを、企業は持つ。

• 育児等で、女性が男性に比べ退職しやすい場合、企 業は女性労働者に対する人的資本投資を行う誘因は 低い。

• 人的資本投資がないから、退職しやすいのでは?

(14)

役職別女性管理職比率

労働経済学1 14

平成23 男女共同参画白書より

(15)

仮説3)男女差別

• 経済モデルに差別意識を導入する試みは、古くからな されてきた。(Becker 1971 本)

• 女性差別意識が男女間賃金格差を生じさせている?

• 差別の定式化にもさまざまな、形が考えられる。

⇒市場競争の激化が、格差に与える影響についての予 測が大きく異なる。

(16)

経営者による差別

• 経営者の効用関数を以下のように設定する。

企業利潤ー女性を雇用することからの不快感

• 男女間で能力に差はないとする。

• 男性を雇用することからの限界効用は、 限界収入-男性の賃金

• 女性を雇用することからの限界効用は、

労働経済学1 16

(17)

経営者による差別

• 男女間で限界収入は等しいので、 女性の賃金=

不快感の分だけ、女性の賃金は低下する。

• 男女差別意識を持った経営者のもとでは、企業利潤が 低下してしまう。

• 企業競争の激化や株主の発言力の増大、等が生じた 場合、このような経営者は淘汰さる。

(18)

実証研究

• Kawaguchi (2003, International Journal of Industrial

Organization)において、企業の他の要因を考慮にいれ ても、日本において女性比率の10%の増大が企業利 潤を約0.5%増大する。

佐野(2005 日本労働研究雑誌)において、以下を確認し た。

経営者の差別意識による、女性の過少雇用が存在する。 競争が激しくない産業ほど、過少雇用の傾向が強い。

労働経済学1 18

(19)

消費者による差別

• 消費者が、女性の生産した財を消費した場合、不快感 を感じるとする。

• 男性が生産した財の価格をPとすると、女性の生産した 財の価格= としないと売れない。

• 女性の限界収入が、不快感の分だけ低下し、結果女 性の賃金が低下する。

19

(20)

消費者による差別

• 消費者による差別については、財市場の競争激化に よって、男女間賃金格差は

• 仮に経営者が男女間賃金格差を縮小したい、という選 好を持っていた場合、財市場の競争激化によって男女 間賃金格差は増大する。

労働経済学1 20

• 差別意識を持つ消費者の割合は、さほど大きいとは考 えずらい。

(21)

仮説4 偏見

• 経営者が、男性よりも女性のほうが、限界生産性が低 い、という予測をもっている。

• 実際には、男女間で限界生産性が同じであったとして も、男性よりも女性のほうが、賃金が低くなる。

• このような「偏見」は永続するのか?

• 差別と同様に、このような「偏見」をもった経営者は、市 場競争によって

(22)

「統計的差別」

• 経営者は、「合理的な予測」を行う。

• 個々の労働者については知らないが、ある属性を持つ 労働者についての平均的な限界生産性は知っている。

• 経営者は、労働者の属性をもとに、労働者の限界生産 性を推測する。

• 実際には限界生産性が 、低く 推測されてしまい、賃金が低下する。

労働経済学1 22

(23)

「統計的差別」

• 経営者の推測は、入手可能な情報をすべて生かしてい る、という意味で「合理的」であり、均衡に非効率性はも たらさない。

• 労働者による人的資本投資、を考えた場合、非効率性 が生じる場合がある。

(24)

「悪い」均衡

労働経済学1 24

企業家が、女性は平均的に人的資本が低いと予測

女性が人的資本投資を積極的に行わない 女性は人的資本を生かせる仕事に就けない。

(25)

女性の進学率 / 男性の進学率

4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14

0.2 0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8

1965 1967 1969 1971 1973 1975 1977 1979 1981 1983 1985 1987 1989 1991 1993 1995 1997 1999 2001 2003 2005

大学(学部)への進学率 大学院への進学率

短期大学(本科)への進学率

(26)

アファーマティブ・アクション

• 歴史的、社会的経緯により、不利な属性を持つ労働者に 関する、優遇措置(特別な採用枠の設置、点数上の優遇 措置など)

労働経済学1 26

事例

大学におけるアフリカ系、ラテン系アメリカ人に対する入学 定員(アメリカ)

同じ業績ならば、女性を優先する(広島大学)

(27)

アファーマティブ・アクション

• 統計的差別による「悪い」均衡から離脱するため に、アファーマティブ・アクションは有効な政策の一 つとなりうる。

• 一方で、入学、入社後においては、アファーマティブ アクションの対象となった労働者の能力が、過少に 見積もられる可能性もある。

(28)

まとめ

労働経済学1 28

• 男女間賃金格差を生じさせる背後には、さまざまな メカニズムが考えられる。

• メカニズムに応じて、政策的含意が異なってくる。

• 統計的差別が背景にあるならば、市場競争は格差 を解決せず、また均衡も非効率になる。

参照

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