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テーブルウェアのための加飾技術の開発 あいち産業科学技術総合センター|研究成果|研究報告書

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Academic year: 2018

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1 常滑窯業技術センター 材料開発室

研 究 ノート

テーブルウェアのための加飾技術の開発

山 田 圭

1

Development of Decorating Technique for Tableware

Kei YAMADA

*1

Tokoname Ceramic Research Center*1

常 滑 焼 製 品 の 加 飾 技 術 に つ い て 、 陶 磁 器 製 品 の み な ら ず 、 繊 維 製 品 や 金 属 製 品 、 木 工 製 品 な ど 様 々 な 製 品 や 、ア ー ル・ヌ ー ボ ー 、ア ー ツ・ア ン ド・ク ラ フ ツ 運 動 な ど の 美 術・デ ザ イ ン 運 動 を 対 象 に 調 査 を 行 い 、 得 ら れ た 成 果 を 用 い て 、 常 滑 焼 製 品 の 新 規 な 加 飾 技 術 の 開 発 を 行 っ た 。 本 年 度 は ポ ス ト ・ モ ダ ン か ら デ ザ イ ン 要 素 を 抽 出 し 、 新 規 な 加 飾 技 術 の 開 発 を 行 っ た 。 こ れ を 用 い て テ ー ブ ル ウ ェ ア の デ ザ イ ン 設 計 を 行 う こ と に よ り 、 ユ ニ ー ク な テ ー ブ ル ウ ェ ア の デ ザ イ ン 開 発 が で き た 。

1.はじめに

常滑産地は、事業主一人または家族で製品作りを行っ ているメーカーが多いため、技術が変わることなく受け 継がれ、新規な加飾製品が創出されにくいという一面が ある。また、新規な製品企画を試みる余裕が無いとも考 えられる。

そのため、本研究では、常滑焼製品の新規な加飾技術 について、陶磁器製品のみならず、様々な製品や美術・ デザイン運動を対象に調査を行い、得られた成果を用い て常滑焼製品の製造工程に適合させる加飾技術の開発を 行ってきた。本年度はポスト・モダン運動のデザイン要 素を抽出し、新規な加飾技術の開発を行った。

ポスト・モダンは合理性や機能性を追求したモダニズ

ムに対する反発から生まれた思想で、1980年代に世界中

を席巻した。片や、日本での 1980年代はいわゆるバブ

ル経済の時代で、かつて無い華やいだ時代であった。昨

今、テレビで1980年代を強調したCMが流れたり、バ

ブルな話題を提供するタレントが持てはやされるのは、 景気回復と言われながらも実感できない閉塞感と、合理 性・機能性の追求に対するある種の疲労感があるのでは ないかと考えられる。こうした社会背景の一致から、新 規なテーブルウェアのデザイン開発に、ポスト・モダン のデザイン思想を採用することとした。

皿や茶碗、カップ&ソーサーなどのテーブルウェアは、 数ある陶磁器製品の中でも最も生活に密着したものであ

るため、手に馴染む形状、スタッキング性 (積み重ねや

すさ)、軽さ、清潔感のある色彩・絵柄、飽きのこないデ

ザインなど、毎日使う道具としての実用性が重視されて きた。これまで、アーツ・アンド・クラフツ運動やアー

ル・ヌーボー、アール・デコ、モダニズムなどのデザイ ン運動がいくつもあったが、テーブルウェアのデザイン には、実用性を考慮した絵柄のアレンジや、リムの加飾 程度に抑えられたのではないかと想像される。

そこで本研究では、実用性の高い普段使いのものだけ でなく、結婚式の披露宴やホテルでの食事、食品や食材 のディスプレイ等に用いるプロユース用のテーブルウェ アも視野に入れ、ポスト・モダンのデザイン要素を採用 したデザイン設計を行った。

2.デザイン設計

ポスト・モダンのデザインは、装飾を排除したモダニ ズムデザインに対して機能を阻害するほどの過剰な装飾 性や、量産品ではない一品制作的なハンドクラフト感が 特徴である。このため、テーブルウェアに求められる実 用性は必然的に犠牲となるが、加飾の程度により実用性 を残すことも可能である。

図1及び図2に示したデザイン設計例は、加飾を少な

くし、実用性を残したものである。完全なスタッキング はできないが、水平を保つスペーサーを用いれば、複数 を重ねて収納が可能である。形状的にも皿の機能を阻害 する要素をできる限り小さくしている。

図3に示したデザイン設計例は、仕切り皿を立体的に

アレンジしたものであり、中央部、右部の突出は小皿と して使用できる。なお、皿左の突出部分は単なる加飾で ある。スタッキング性については、このような高さのあ るデザインは重ねて保管することは困難であり、考慮し ていない。しかし、突出部分等により面積的なロスはあ

るが1人用の皿として使用可能である。

(2)

また、大皿として作成することにより、披露宴やホテ ルでの食事などに用いるプロユースの皿としても使用可 能である。そうした使用ではオブジェのような突出部分 がアイキャッチとなり、効果的である。

図4に示したデザイン設計例は、プロユースを狙っ

たものであり、一般家庭での使用は考えていない。 デザインコンセプトは「都市」であり、中央部の突出

部分は高層ビル群を、皿部はスカイデッキやスカイウォ ークをイメージしてデザイン設計した。円卓に配置し、 立食パーティーなどであらゆる方向から料理を取るよう

な使い型を狙ったものである。直径も高さも50cm超を

想定している。

また、図2~図4に示すデザイン設計例②、③、④は

三次元モデリングソフト (ライノセラス)を使用して作

成したため、3D プリンタによる出力データに変換する

ことが可能である。現時点では窯業原料を用いた3Dプ

リントは、破壊強度、表面粗さ、出力サイズなどの面で 実用段階に至っていないが、縮小データを用い樹脂等で 成形することで、形状の把握は現状でも可能である。こ のような一品制作のものは成形が困難なうえ、陶芸作家

の作品のような高額商品となってしまうため、3D プリ

ンタでの成形の意義が大きい。そのため、窯業系3Dプ

リント技術の今後の発展が望まれる。

3.まとめ

(1) ポスト・モダンのデザインをテーブルウェアに採用 することにより、これまでにないユニークな製品の デザイン開発ができた。

(2) ポスト・モダンのデザインを採用したものは、一般 的な皿や茶碗とは全く趣旨が異なり、一品制作のも のであると認識する必要がある。

(3) 一品制作によるもの作りは陶芸作家の作品作りと同

様の手法であり、高額商品となってしまう。これを

解決するには 3D プリントの導入が効果的と考えら

れる。今後、窯業系の3Dプリントシステムの実用化

が望まれる。

図2 デザイン設計例②

図3 デザイン設計例③

図1 デザイン設計例① 石膏モデル 図4 デザイン設計例④

参照

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