経営ビジネス学科 09-1-116-0054 舩津美咲
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章 はじめに
近年、ギリシャの財政破綻やスペイン・イタリアなどのユーロ圏諸国の財政危機が おこり、またリビア・中東の情勢問題などが世界的問題となっている。それにあわせ て、アメリカがリーマンショック以降、日本のバブル崩壊後と同様に大胆な財政・金 融政策を実施したにも関わらず、長期の景気低迷を余儀なくされている。わが国日本 では、2011年3月11日に起こった東日本大震災により原子力発電所の問題等が影響 しており、日本経済は依然として厳しい状況にある。その中で、ギリシャの財政破綻 やユーロ圏諸国の財政危機の問題が要因となり、世界の経済状況が落ち込んでいるこ とから「円」を買う動きが高まり円高が急激に進んだのも影響し、日本経済の縮小が 問題とされている。本邦株価は、昨年8月以降、世界的な景気減速懸念等を背景に下 落しており、先行きの景気減速または後退を織り込んでいるとの指摘もある。これに より、日本経済はデフレ長期化、財政危機といった大きなリスクを抱えていると推測 される。
少子高齢化に加え、人口減少も現代日本が抱える大きな問題となっている。2012
年の新成人人口は、新成人が最も多かった1970(昭和45)年と比べ約半数の127万 人となり,初めて130万人を下回った。減少を続ける新成人人口は,3年連続して過 去最低を更新している。これをみても日本の人口は減少傾向を続けているのがわかる。
このような情勢の中で、少子高齢化・人口減少が日本の経済にあたえる影響につい てはさまざまな議論がされている。今や議論の焦点は、少子高齢化に歯止めをかける ための対策や、人口減少下でも経済成長を続けるための方策に移っているようにみえ る。しかしわが国の人口変動が日本経済にあたえる影響に関する議論を振り返ると、 「生産年齢人口の減少が経済成長抑制するが、生産性の向上によってこれを補うこと ができる」といった単純化した議論がなされている。その一方で、少子高齢化や人口 減少が労働生産性、貯蓄率、国民負担にどのような影響をあたえるのかについての議 論にはかならずしも結論が出てないように思われる。また、これらの影響の相互作用 を加味した、総括的な議論・分析も少ない。