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No3 経済統計 2014 冬学期 Kengo Kato

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(1)

2015. 1.21.

経済時計 資料

加藤 賢悟

計量経済分析

線形回帰の復習:(yi, xi), i = 1, . . . , nは独立同一分布に従っているとし,

yi = α + βxi+ ui,

という関係が成り立っているとする.ただし,E[x2i] < ∞, E[ui] = 0, E[u2i] <

とする.ui = yi− (α + βxi)であるから,(ui, xi), i = 1, . . . , nもi.i.d.であ る.このとき,βの最小二乗推定量は

β =ˆ

i(xi− ¯x)(yi− ¯y)

i(xi− ¯x)2 で与えられる.ただし,

¯ x = 1

n

n

i=1

xi, ¯y = 1 n

n

i=1

yi

である.これをすこし変形していくと, β = β +ˆ n

−1

i(xi− ¯x)ui

n−1i(xi− ¯x)2 となる.ところで,

n−1

i

(xi− ¯x)ui= n−1

i

xiui− ¯x¯u, n−1

i

(xi− ¯x)2= n−1

i

x2i − (¯x)2.

大数の法則を用いると,n → ∞のとき,

n−1

i

xiui → E[xp iui] = Cov(xi, ui), n−1

i

x2i → E[xp 2i],

¯

x→ E[xp i], ¯u→ E[up i] = 0.

(2)

E[x2i] − (E[xi])2= Var(xi)に注意すると,n → ∞として, βˆ→ β +p Cov(xi, ui)

Var(xi) .

ただし,Var(xi) > 0は仮定する.つまり,次の定理を得る.

定理1. Var(xi) > 0のとき,βˆがβの一致推定量である(つまり,βˆ→ βp と なる)ための必要十分条件は,

Cov(xi, ui) = 0,

となることである.

一般に,線形回帰において誤差項と説明変数は無相関と仮定する.その様 な場合,最小二乗推定量は一致推定量となる(さらに適当な仮定の下で漸近 正規性をみたす).ただし,経済分析において,説明変数と誤差項が無相関で あると仮定できないないしは仮定することが妥当でないケースがしばしばあ る.ところで,説明変数xi

Cov(xi, ui) = 0

を満たすものを外性変数,

Cov(xi, ui) ̸= 0

を満たすものを内生変数とよぶ.xiが内生変数の場合,βの最小二乗推定量 は漸近バイアス

Cov(xi, ui) Var(xi) をもつ.これを内生性バイアスとよぶ.

例:同時方程式ある財のi期における需要量,供給量をそれぞれqdi, qisと し,その価格をpiとおく.このとき,次のような簡単な需要・供給モデルを 考える:

qdi = α0+ α1pi+ ui, qsi = β0+ β1pi+ vi.

(3)

ただし,

E[ui] = 0, E[vi] = 0, Cov(ui, vi) = 0

を仮定する.いま,需要方程式にのみ興味があるとし,α0, α1の推定を考え

る.均衡状態では

qid= qis= qi

であることに注意すると,上記2式を連立すると, pi= β0− α0

α1− β1

+ vi− ui α1− β1

と書ける(分母はすべて̸= 0と仮定する).すると, Cov(pi, ui) = −E[u2i]/(α1− β1) ̸= 0.

とくに,説明変数と被説明変数とが同時に決定されるような場合は,説明 変数が内生的となる可能性を考慮すべきである(エンゲル関数の推定もその 一例).

例:除かれた変数の問題:いま,説明変数がxiのほかにziがあって, yi= α + βxi+ γzi+ ui, E[ui] = 0, Cov(xi, ui) = 0,

が成り立っているとする.ところで,何らかの理由でziが観測できない(例: 個人の能力)ので,xiのみ説明変数に用いて回帰してしまったとする.この とき,

yi = (α + γE[zi]) + βxi+ [γ(zi− E[zi]) + ui] = α+ βxi+ vi, であって,

Cov(xi, vi) = γ Cov(xi, zi). 右辺はγ ̸= 0, Cov(xi, zi) ̸= 0なら̸= 0

操作変数法:一般に説明変数が内生的であるような線形回帰モデルを考 える.

yi= α + βxi+ ui, E[ui] = 0, Cov(xi, ui) ̸= 0. このとき,

(4)

誤差項uiには相関してなくて,

内生変数xiには相関している 変数ziがあったとする.つまり,

Cov(zi, ui) = 0, Cov(zi, xi) ̸= 0.

このような変数ziを操作変数とよぶ.操作変数ziが与えあれらたとき,回帰 式の両辺とziの共分散を取ると,

Cov(zi, yi) = β Cov(zi, xi) + Cov(zi, ui) = β Cov(zi, xi)

すなわち,

β = Cov(zi, yi) Cov(zi, xi). さらに,

E[yi] = α + βE[xi], より,

α = E[yi] − βE[xi] = E[yi] − Cov(zi, yi) Cov(xi, zi)E[xi]. ここで注意すべきなのは,

Cov(zi, yi), Cov(zi, xi), E[yi], E[xi]

はすべてデータから一致推定量を構成することが可能で,α, βの表現におい て上記の量の代わりにその一致推定量を代入すれば,α, βの一致推定量が得 られる.

具体的には, β =ˆ

i(zi− ¯z)(yi− ¯y)

i(zi− ¯z)(xi− ¯x), ˆα = ¯y − ˆβ ¯x. これらを,α, βの操作変数推定量と呼ぶ.

以下,βˆの性質を調べる.簡単な計算から, β = β +ˆ n

−1

i(zi− ¯zi)ui

n−1i(zi− ¯z)(xi− ¯x).

(5)

データはすべてi.i.d.で,適当なモーメント条件を仮定する.すると, 分母→ Cov(zp i, xi).

一方,

n−1

i

(zi− ¯zi)ui= n−1

i

zicui− ¯zcu, z¯ ci = zi− E[zi].

中心極限定理を使うと,

√n¯zc→ 0, np −1/2

i

zicui → N(0, E[(zd icui) 2]).

従って, √

n( ˆβ − β)→ N(0, E[(zd icui)

2]/(Cov(zi, xi))2). 簡単のために,分散均一性

E[u2i | zi] = σ2u を仮定すると,

√n( ˆβ − β)→ N(0, σd 2uVar(zi)/(Cov(zi, xi))2).

漸近分散の推定:上の漸近分布の結果をβの信頼区間の構成に使うには, 漸近分散を推定する必要がある.ここで,

Var(zi), Cov(zi, xi)

はそれぞれ

Var(zˆ i) = 1 n

n

i=1

(zi− ¯z)2, Cov(zˆ i, xi) = 1 n

n

i=1

(zi− ¯z)(xi− ¯x)

で推定できる.

Var(zˆ i)→ Var(zp i), Cov(zˆ i, xi)→ Cov(zp i, xi). また,σu2

ˆ σ2u= 1

n

n

i=1

ˆ

u2i, ˆui= yi− ˆα − ˆβxi= yi− ¯y − ˆβ(xi− ¯xi)

(6)

で推定できる.実際,

ˆ

u2i = (ui− ¯u − ( ˆβ − β)(xi− ¯xi))2

= u2i + ¯u2+ ( ˆβ − β)2(xi− ¯xi)2− 2(ui− ¯uiu − 2ui( ˆβ − β)(xi− ¯xi),

だから,

ˆ σu2 = 1

n

n

i=1

u2i + op(1)→ σp 2u.

従って,漸近分散を

V = σu2Var(zi)/(Cov(zi, xi))2

とおくと,V は

V = ˆˆ σ2uVar(zˆ i)/ ˆCov(zi, xi)

で推定できる.

→ V.p よって,

−1/2n( ˆβ − β)→ N(0, 1)d だから,q ∈ (0, 1)に対して,c1−q/2

P (|N(0, 1)| ≤ c1−q/2) = 1 − q となるようにとると,区間

[ ˆβ − c1−q/2

V /n, ˆˆ β + c

1−q/2

V /n]ˆ

はβの近似的な1 − q信頼区間を与える.実際,

P (β ∈ [ ˆβ − c1−q/2

V /n, ˆˆ β + c

1−q/2

V /n])ˆ

= P (| ˆV−1/2n( ˆβ − β)| ≤ c1−q/2) → 1 − q.

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