第2章 係数絶対値拘束型 AMTI とメジアンフィルタを 導入した AMTI
calculate 2 stage reflection coefficients
calculate median value of 2 stages reflection coefficients
calculate coefficient of prediction filter solve the 2nd order equation estimate frequency using solutions
determine frequency of clutter End
図2.14 M2CC-AMTIのクラッタ周波数推定フローチャート
2.5.2 性能比較
図2.15,図2.16に,それぞれMCC-AMTIとM2CC-AMTIにおけるクラッタ中心周 波数推定精度の評価結果,クラッタ抑圧性能評価結果を示す.前処理の MTI フィル タの段数を3段とし,C/N比を5~30dBと変化させて,推定したクラッタ中心周波数 の平均誤差と分散値,及び式(2-14)で定義されるIMFを比較した.
図2.15より,C/N比が25dB未満の場合,MCC-AMTIでは変調した雑音成分の影響 で推定精度が著しく劣化している一方,M2CC-AMTIではC/N比10dB以上でほぼ一 定の推定誤差におちついており,変調雑音の影響を軽減できていることがわかる.C/N 比が 25dB 以上になると両者の差がほとんどなくなるのは,クラッタ電力に比較して 雑音電力の影響が無視できるからである.
また,クラッタ抑圧性能は,図2.15のクラッタ中心周波数推定精度がほぼ反映され るため,図2.16に示すようにC/N比が15dB以下のクラッタ環境では,M2CC-AMTI の方が優れたクラッタ抑圧性能を示すことがわかる.
なお,上述した性能評価において,クラッタの帯域幅について1ケースのみ取り扱 っているのは,数種類のクラッタ帯域幅でシミュレーションを実施したところ,評価 結果の傾向は変わらなかったためである.
0 0.05 0.1 0.15 0.2 0.25 0.3
5 10 15 20 25 30
C/N[dB]
Estimated Frequency Error
0.001 0.01 0.1 1 10
Variance of Frequency [×1.0E-3]
○ー○:Mean of M2CC-AMTI
●ー●:Mean of MCC-AMTI
□ー□:Variance of M2CC-AMTI
■ー■:Variance of MCC-AMTI
図2.15 MCC-AMTIとM2CC-AMTIのクラッタ周波数推定精度評価結果
0 5 10 15 20 25 30 35
5 10 15 20 25 30
C/N[dB]
IMF[dB]
○ー○:M2CC-AMTI
●ー●:MCC-AMTI
図2.16 MCC-AMTIとM2CC-AMTIのクラッタ抑圧性能評価結果
2.6 結言
レーダ受信信号中の単峰性スペクトルである移動クラッタを抑圧する AMTI にお いて,係数の適応誤差によってフィルタのノッチの深さやノッチのドップラー周波数 が最適値から外れることにより,部分的にクラッタの消え残りが発生するという問題 を解決するために,係数絶対値拘束型AMTIを提案した.
次に,クラッタ中心周波数の推定処理時のレンジビン平均操作により,近距離の大 目標を受信した場合に,目標信号が存在するレンジビン近傍でクラッタ中心周波数推 定精度が著しく劣化するという問題に対して,クラッタ中心周波数の推定処理にメジ アンフィルタを導入し,クラッタ抑圧性能の劣化を軽減するAMTIを提案した.性能 評価シミュレーションを行った結果,S/C 比 25dB 程度の大目標エコーを受信した場 合においても,メジアンフィルタを用いたAMTIでは常にクラッタ中心周波数推定精 度を確保できることを明らかにした.
静止クラッタと移動クラッタが重畳した複峰性クラッタの抑圧を行う場合,前段の MTIで静止クラッタの抑圧,後段のAMTIで移動クラッタの抑圧を行うことが考えら れる.この場合,AMTI前段でMTI処理が行われると受信機雑音の白色性が崩れ,ク ラッタ中心周波数推定精度が劣化する問題がある.これに対処するため,クラッタ中 心周波数の推定処理を反射係数の2次形式に拡張することで移動クラッタの中心周波 数推定精度を改善させるアルゴリズムを提案し,その効果を明らかにした.