高い生着率 高い腫瘍効果
BU+CY
肺障害患者 施設の問題
Flu+BU Flu+Mel
RIC: reduced-intensity conditioning
①高齢者は標準的な骨髄破壊的な前処置に耐えられない
②移植による後遺症や生活の質の低下などの問題
③移植片対腫瘍効果に対する理解が深まり、悪性腫瘍 の根絶には移植前処置よりも重要性が高い
免疫抑制効果
抗腫瘍効果
前処置の種類
TBI 2Gy
免疫抑制フル移植 骨髄抑制
ミニ移植
RIST
Reduced intensity stem cell transplantation
Ful+CY Flu+TBI2
Gy
Flu+CY+
TBI2Gy
Flu+Mel Flu+BU8 Flu+BU8+
ATG
Flu+BU16
BU16+CY120 CY120+
TBI12Gy
造血幹細胞移植:幹細胞
骨髄液の採取
全身麻酔下に両側腸骨稜より穿刺吸引する
末梢血幹細胞採取
脱血 ルート
返血 遠心分離により ルート
単核球層を採取
採取された単核球,幹細胞分画を含む
ACD
臍帯血とは
1. 胎児と母体を結ぶ、臍帯の血管と 胎盤の中に含まれる血液
1. 70~100mlのなかに、有核細胞 約10億個が含まれる
2. 造血幹細胞・リンパ球が含まれる
3. 造血幹細胞は、より未分化な、より強力な増殖能力を有する
4. リンパ球のT細胞の主体を、naïve T細胞が占め、免疫学的に 寛容
移植する造血幹細胞源の多様性
1. HLA
一致同胞2. HLA
1座不一致血縁、 一致非血縁骨髄・末梢血3. HLA
1座不一致非血縁骨髄・末梢血臍帯血、
HLA
2−
3座不一致血縁(ハプロ一致)各種造血幹細胞のメリット・デメリット
骨髄 末梢血幹細胞 臍帯血
ドナ ー に関 して
メリ ット
確実に細胞数が得られる 経験が多く安定している
全身麻酔が不要 自己血貯血が不要
なし
デ メリ ット
全身麻酔が必要 骨髄穿刺術の副作用 自己血貯血を必要とする
GCSFの安全性
体外循環の合併症
十分な細胞が得られない可能性
なし
患 者 に関 して
メリ ット
経験が多い 早期に移植ができる
造血回復が早い
HLA2-3座不適合でも可
早期の移植が可能
(緊急移植も可能)
GVHDが軽い
デメ
リッ ト
移植調整に時間がかかる GVHDが増加する 生着が遅い 拒絶の可能性
易感染性
拒絶と移植片対宿主病
同種(他人からの)移植では、
自家移植では、基本的に認められな
い免疫反応がおこりうる。
免疫とは何か?
同種造血幹細胞移植を理解するために免疫担当細胞
=リンパ球など ウイルス
細菌など
人間の 細胞
攻撃
攻撃 非自己
=
自分ではなないもの を識別,攻撃•
非自己を識別•
非自己を攻撃・排除•
主にリンパ球が担当•
リンパ球は造血幹細胞 からできる•
同種造血幹細胞移植後 のリンパ球はドナー由来 のものになる◆HLAやマイナー抗原などの蛋白質
免疫力
・自身の体を守るために、自分以外の異物(細菌, ウィルス等)を攻撃して排除する力
・白血球が中心的な役割
・他人の細胞も攻撃するので、移植時には患者 とドナーの免疫力が様々に反応
拒絶と移植片対宿主病の違い
拒絶
固形臓器移植の場合、患者さんの免疫力がド ナーの臓器を排除しようとします
造血幹細胞移植の場合は、移植前処置で患者 さんの免疫力が低下しているので、
ドナーの造血幹細胞が拒絶されてしまう事は滅 多にありません
拒絶と移植片対宿主病の違い
GVHD(移植片対宿主病)
ドナーの白血球(特にTリンパ球)が患者さんの 体内に住み着くと(生着)、ドナーの白血球が患 者さんの色々な内臓を攻撃するという反応。
拒絶と移植片対宿主病の違い
HLAとは?
HLA(Human Leukocyte Antigen:ヒト白血球抗原)
赤血球にA、B、O型があるように、白血球にも個人固有の 抗原を有しています(A抗原・B抗原・DR抗原を各2個、計6個
⇒6座と呼ぶ)。
なので…移植される幹細胞の持ち主(ドナー)のHLA型が 一致しないと、拒絶反応を起こしてしまいます。
◎HLAの一致する確率は、兄弟姉妹で1/4、それ以外では数100人~数万 人に1人(遠い昔に兄弟だった人の子孫同士)
HLA適合に関して
HLA適合の意義
患者とドナーのHLA抗原に違いが多ければ多いほど、GVHD・拒絶な どの危険性が高くなります。 一方で、HLAが異なる場合、ドナーの リンパ球は患者の腫瘍細胞を攻撃します(GVL効果)。
移植後、GVHDを発症した患者の方が発症しなかった患者よりも腫 瘍の再発が少ないことや、HLA適合同胞間移植よりもHLA適合度
の悪い非血縁間骨髄移植の方が、再発が少ない事も知られています。
非血縁移植; 6座一致
血縁移植; 1座不一致まで 臍帯血移植; 2座不一致まで
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR A
B DR
A B DR A
B DR
A B DR
父 母
HLA
型が一致する確率は同胞間で4
人に1
人、それ以 外では数百人から数万人に1
人の頻度である。HLAの遺伝様式
子① 子② 子③ 子④
HLA適合と移植
◆
HLA
血清型不適合(抗原不適合)が移植におよぼす影響不適合
HLA
抗原が多いほどGVHD
発症頻度が高い1抗原不適合 2抗原不適合
3抗原不適合
GVHD発症頻度
Beatty, 1985
KM Sullivan, Blood. 1989 73:
1720-1728
GVHDとGVLが相関する
再 発 率
急性
GVHD
も,慢性GVHD
も 起こらなかった場合何らかの
GVHD
が出た場合 の方が再発率は低い同種造血幹細胞移植後の免疫反応の功罪
HLA
← 好ましくない免疫反応
好ましい免疫反応
→
GVL の存在
GVHD :過ぎたるは及ばざるが如し
重症GVHDでは 成績は 悪くなる
早期 中期 後期
-15 0 30 100 360〜
細菌 真菌
ウイルス
GVHD
造血の由来
サイトメガロウイルス 帯状疱疹ウイルス
肺炎、気管支炎、副鼻腔炎、皮膚感染症
間質性肺炎、肝炎、胃腸炎、骨髄抑制など
単純ヘルペスウイルス 肺炎、敗血症
口内炎
アデノウイルス 出血性膀胱炎
皮疹
移植後の日数
急性GVHD 慢性GVHD
患者 ドナー
皮疹、肝障害、下痢 口内炎、肝障害、皮疹、消化器症状 角結膜炎、骨髄抑制など
免疫能 前処置
関連毒性
嘔気、粘膜障害、下痢、心肺肝腎などの臓器障害
生着前期(0~30日)
移植前処置関連毒性
易感染性であり細菌・真菌・ウイルスによる感染症 移植後早期(31~100日) 造血回復期
急性GVHD(細胞性免疫異常)
血管障害
移植後後期(100日~)
慢性GVHD(網内系機能障害と細胞性免疫・液性免疫)
移植後の時期別合併症
前処置関連毒性
●嘔吐、脱毛、骨髄抑制などの一般的抗がん剤の副作用
●粘膜障害のための口内炎や下痢など
疼痛が強い場合は、一時的に麻薬などの鎮痛薬の 使用も検討されます。
●心筋障害(エンドキサン心筋症)、肺障害、肝障害 (薬剤性や肝中心静脈閉塞症)、腎障害
(薬剤性や血管障害による血栓性微小血管障害症)など の重要臓器への障害
GVHD(移植片対宿主病)
急性GVHD ; 移植後3ヶ月以内。 皮膚・肝臓・胃腸に障 害
慢性GVHD ; 移植後3ヶ月以降。 皮膚・口腔/眼乾燥・
呼吸障害
急性GVHD;移植片対宿主病
(移植されたT細胞による)皮疹 水様性下痢 胆汁うっ滞の肝障害 移植後早期(31~100日) 造血回復期
急性GVHD(細胞性免疫異常)
血管障害
予防法
短期MTX+CSA(シクロスポリン)
短期MTX+FK506(タクロリムス)
治療法
ステロイド剤
慢性GVHD;移植片対宿主病
(生着後に分化成熟したT細胞による)
移植後後期(100日~)
慢性GVHD(網内系機能障害と細胞性免疫・液性免疫)
①皮膚症状;最も高頻度。四肢に出現する扁平苔癬様皮疹。悪化すると強皮症へ。
②肝臓症状;胆汁うっ滞型肝障害を呈する
③眼・口腔症状;シェーグレン症候群様の唾液・涙液分泌障害により発症。乾燥・炎 症・潰瘍など、重症化すれば、経口摂取不可能・失明も。
④呼吸器症状;閉塞性細気管支炎(BO)が重要。間質性肺炎にも注意
⑤その他;食道炎、膣炎症など
治療
全身的には免疫抑制剤(ステロイド、シクロスポリン、タクロリムス等)
局所療法も並行して施行。
GVHD 予防
カルシニューリン阻害剤
(シクロスポリン・タクロリムス)
+
メソトレキセート
(
もしくはプレドニン)
主副
– ATG
(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン:サイモグロブリン)
– 間葉系幹細胞輸注療法
– Anti CD25(IL-2R)抗体 (シュミレクト) – TNF阻害薬
(Infliximab:レミケード、 Etanercept:エンブレル ) – MMF (セルセプト)
ステロイド以外の急性 GVHD の
(保険外を含む)治療
保 険 適 応 外
その他の合併症
移植後10年後まで 2.2~3.5%
(通常の3.8~8.3倍)
二次性発がん
眼・骨関節
1.免疫抑制療法の中止
中止だけで再寛解導入も(特にCML)
2.DLI(Donar lymphocyte infusion;
ドナーリンパ球輸注)
CMLにおいて特に効果(約90%)。それ以外は一時的
3.化学療法
標準治療なし。通常の50~70%程度のDose
4.再移植
合併症などリスク上昇。
再発後の対処
HLA半合致移植
(Haplo transplantation)
●少子化に伴い HLA一致血縁(兄弟)が得られにくい
●病状が安定せず、骨髄バンクドナーのコーディネイトが待てない
●充分な細胞数の臍帯血が得られない
上記の様な場合でも、HLA半合致ドナーであれば、
血縁に多く見つかる可能性(次ページ参照)があり、
また、準備も骨髄バンクよりは比較的速やかにできることがある。
例;子③に対する
HLA
半合致ドナーは、父(ABDR)
、母(ABDR),
子④(ABDR)
となる(基本的に、両親は必ずHLA
半合致となる)A B DR
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR
A B DR A
B DR
A B DR A
B DR
A B DR
父 母
HLA半合致移植
子① 子② 子③ 子④
●HLA半合致移植ではHLA3座不一致のため、拒絶や 重度のGVHDのriskがある
●ATG(抗ヒト胸腺細胞ウサギ免疫グロブリン)を含む
GVHD予防やpost –cyclophosphamide(PT-CY)を用いての 拒絶やGVHDの予防を行うHLA半合致移植が
注目されています。