E6201-0.001%
E6201-0.005%
E6201-0.01%
E6201-0.03%
Apply of DNFB
*
*
*
Fig.23. Effect of E6201 cream on chronic contact hypersensitivity model in mice. Five days after DNFB sensitization to the abdomen, E6201 (0.001 – 0.03 %) cream or vehicle cream were topically applied to the ear of each mouse twice a day from a second challenge with DNFB
solution. The thicknesses of both ears were measured at every day as described before. Data are mean ± S.E.M. of eight mice in each group. * P < 0.05 by Dunnett’s multiple comparison test.
第4項 E6201のNC/Ngaにおける皮膚炎モデルに対する作用
NC/Ngaマウスにオキサゾロンなどのハプテンを頻回塗布するとアトピー性皮膚炎様の
皮膚炎を引き起こすことができることが知られている。そこで、このモデルにおける
E6201 クリームの効果の検討を行った。症状発症後からの治療投与実験において E6201
クリームを評価した。発症後、各群同様の平均スコアになるようにグループ分けを行い、
対照群(媒体のみ)、E6201クリームの0.01、0.03%を連日塗布した。E6201クリームは 有意な皮膚炎の進展抑制作用を示した。(Fig.23)
Fig.23. Topical effects of E6201 on oxazolone-induced dermatitis in NC/Nga mice.
Female NC/Nga mice were sensitized by painting 0.3% oxazolone solution onto both ears. On days 5 and 8, the right ear of each mouse was challenged with 0.3%
oxazolone solution to evoke dermatitis. On day 12, thirty of the sixty sensitized mice that showed the onset of dermatitis on the right ear were selected. The thirty mice were then allocated to three groups (10 mice/group) in such a way that each group had the same average dermatitis score (2.5) before the topical application. Data are mean ± S.E.M. of eight mice in each group. * P < 0.05 by Dunnett’s multiple comparison test.
第3節 考察
E6201 軟膏はマウスPCA 反応を有意に抑制したが、短時間の反応にも関わらず、0.3%
で約50%の抑制と他の系と比べ、あまり強い抑制とは言えなかった。浸透性が不十分で
あったか、肥満細胞での抑制も約100nM とそれほど強くないのが原因かわからないが、
臨床においても、この効果が期待できるかは塗布できる濃度や浸透性によるかもしれな い。
接触過敏症のモデルにおいて、E6201は局所投与でTh1浸潤もTh2浸潤も明確に抑制 した。おそらく特定のリンパ球特異的な作用ではないと考えられる。前章において、好 中球浸潤も抑制することを報告しており、この浸潤抑制作用は白血球全体に作用するも のと考えられる。
このリンパ球依存的な慢性接触過敏症において、E6201 クリームは連続塗布において 0.005%から有意に抑制するなど、単回の実験に比べ濃度的に強い抑制を示した。臨床に おいても連続塗布することが想定されるが、その有効濃度は単回の結果より下がる可能 性があると考える。
NC/Nga モデルにおいても、E6201 は治療的投与において明確に皮膚炎の進展抑制作用
を示したことは、臨床での有用性を考えると意義があると考える。
第5章 総括と今後の展望
E6201 の薬理作用に関して、述べてきたが、この化合物に至るまで、合成チームの努
力を抜きに、この化合物について語ることはできない。天然物チームとスクリーニング チームの努力により、f152A1が発見されてから、多くのアナログ合成がなされた。14員 環マクロライドという、極めて難易度の高い化学合成に挑戦し、その合成展開を行い、
構造活性相関をつかんできた労苦は筆舌に尽くしがたい。
その後、E6201 は選択性がある程度あるものの、比較的広いチロシンキナーゼ阻害作 用を示すことが理由かわからないが、全身的投与では毒性の乖離に難易度があった。ま た、体内動態的にもかなり改善されていたが、問題を残していたことから局所適用に切 り替え、多くの化合物のスクリーニングをやり直し、E6201にたどり着いた。
E6201 はマウスのモデルでは、他剤に比べても非常にすぐれた薬効を示しており、今
後の臨床治験の結果が待ち望まれる。特に臨床において、軟膏剤を2種類塗布すること は少ないと思うので、単剤で多くの作用点を持つことの意義は大きいと考える。皮膚科 領域は、ヒトと動物の皮膚の構造の違いが大きく、臨床用量の推定が難しい、また乾癬 にしてもアトピー性皮膚炎にしてもほとんどいい動物モデルがなく、その辺りも創薬の 難易度を上昇させている。特に乾癬は、最近 IL-23のモデルやTLR7のアゴニストで誘 導するモデルなどは報告されつつあるが、これらの動物モデルと臨床との相関に関して 今後、検討していく必要がある。バリデートされたモデルとは言いがたいが、ヒトの乾 癬患者の皮膚を免疫不全のSCIDマウスなどに移植し、そのマウスに患者さんのリンパ球 を移入し、乾癬症状を引き起こすモデルがいくつか報告されおり、E6201 も予備的に試 して、効果があることを掴んでいる。
本剤は、現在臨床治験中であり、マウスとヒトの皮膚組織はかなり異なり、その有効 性の予測は難しいものの、今後の結果を期待したい。
第二部 PGE2受容体EP4抑制作用に基づく自己免疫疾患モデルにおける抑制作用 第1章 緒論
プロスタグランジン E2 は G タンパク結合型の 7 回膜貫通型受容体(GPCR、G protein-coupled receptors)を介して作用する、強力なメディエーターである。以下の 図に示すように、その受容体には4種(EP1、EP2、EP3、EP4)あり、それぞれPGE2と強 く結合することがわかっている。(Alexander)
図:Biosynthsis of arachidonic acid through the lipoxygenase and cyclooxygenase pathways, showing the leukotrienes and prostaglandins and individual receptors through which they act. The major leukotrienes and prostaglandins activate one or two receptors; PGE2 interacts with four different recepotors, although the EP3 receptor can exist in many isoforms (at least four) that represent spliced variants of EP3 receptor gene. Receptors are indicated bold. LT; leukotriene, PG;
prostaglandin, Tx; thronboxane, 5-LO; 5-lipoxygenase, COX; cyclooxygenase
EP1の活性化はカルシウムの流入を誘導する。EP3の活性化は一般的にGiを介したア デニレートシクラーゼの阻害が主であるが、そのスプライシングバリアントにより多様 なイベントとリンクしている。EP2とEP4はGsと結語しており、アデニレートシクラー ゼを活性化させ、細胞内cAMP を増加させる。EP4 は PI3K(phosphatidylinositol
3-kinase)シグナル系を活性化することも報告されている。(Fujino)PGE2 は多くに炎
症反応に関与しており、種々の炎症状態においてその濃度が上昇することが知られてい る。(Hata and Breyer)多くの論文はPGE2が細胞内cAMPの上昇を介して、T細胞受容 体シグナルやそれに続くIL-2の産生などのT細胞機能を阻害するとしている。(Mustelin and Tasken、Chemnitz)PGE2はまたT細胞分化に関与しているとされ、また細胞内cAMP の上昇を介し、Th1 サイトカインを阻害しTh2 サイトカインには影響しないと報告され ている。(Betz and Fox、Gold、Hikens、Okano)このようにT細胞に関しては、PGE2は 抑制的に働くという報告が多かったのであるが、PGE2が樹状細胞からのIL-23を誘導し、
炎症性のTh17分化を促進することが報告されている。(Sheibanie、Khayrulina)最近の 報告もPGE2はヒトTh17の増加とIL-17の産生をIL-23と一緒に促しているとしている。
(Chizzolini、Boniface、Napolitani)更に、PGE2がマウスの関節炎モデルや大腸炎モ デルを悪化させるという報告もある。(Sheibanie)また、マウス関節炎モデルにおいて、
EP2やEP4受容体シグナルの阻害はその重症度を軽減するとしている。(Mccoy、Honda)
そのような状況の中、我々はPGE2受容体の中でもEP4がTh1分化やTh17の増殖に関与 していることを見出し、これらの機能が新規に合成した EP4受容体アンタゴニストであ
るER-819762などにより抑制されることを発見したので報告する。
第2章 EP4受容体のTh1とTh17における機能 第1節 背景と本章の目的
当初、我々はT-betというTh1の分化に関与する転写因子の阻害剤の創出を目指した。
そこで、T-betをHEK/293の導入し、T-bet依存的なレポーターを組みこんだところ、何 も刺激しないのにその転写活性が向上することを見出した。その後の検討で、これがFBS 中のPGE2によるものであり、更にEP4受容体を介し、cAMP依存的に動いていることが わかった。EP4とT-betの関係はまだ不明であるが、Th1との関係を考えると興味深い。
その後、EP4受容体の阻害剤のスクリーニングを行い、新規の EP4 受容体アンタゴニス トである新規スピロピペラジン誘導体群を見出した。本章においては、その代表的な化 合物であるER-819762などのT細胞や樹状細胞に対する作用に関して論じる。
第2節 実験成績
第1項 選択的EP4アンタゴニストの発見
Cytomegalovirus(CMV)プロモーターはcAMP依存的にその転写活性が向上することが 知られている。我々はこれをHEK293細胞に組み込んだ細胞が、FBS濃度依存的にその転 写活性を向上させることを発見した。その後の解析でこれがFBS中に含まれるPGE2の影 響でその受容体の中でも、EP4 を介していることがわかった。この細胞を用いてスクリ ーニングを行い、強力なEP4アンタゴニストを作り出した。Fig.1のDにその中での代 表的な化合物であるER-819762の構造を示す。この化合物はヒトEP4受容体の結合試験 において、70nM の IC50を示した。(Fig.1A)また、他のプロスタノイド受容体(EP2、
DP、CRTH2、TP)またはロイコトリエン受容体(LTB4、CysLT1、CysLT2)には結合しなか った。(Fig.1B)ER-819762はまたEP4依存的かつcAMP依存的なレポーター系において も、IC50が59nMと明確な抑制を示した。(Fig.1B)107のGPCRパネル系においてこの
化合物を評価したが、ほとんどアゴニスト活性もアンタゴニスト活性も示さなかった。
(Table 1)
Fig. 1. Structure and activity of ER-819762. (A) The chemical structure of ER-819762, (S)-1’-(3,5-dimethylbenzyl)-2-ethyl-7,9-dimethoxy-10-methyl-5,10
dihydrospiro[benzo[e]imidazo[1,5-a]azepine-1,4’-piperidin]-3(2H)-one. (B) Competitive displacement of radiolabeled PGE2 from cell membranes overexpressing
EP4 (Millipore ChemiScreen). (C) Inhibition of PGE2-induced CRE-PLAP reporter activity in HEK cells, which express endogenous EP4 (Supplementary Figure 2). (D) Structure of ER-819762. Data are representative of mean +/- SD derived from three independent experiments.