∆r=|L||u|sinθ
=L×u
=Lzur−Lruz
(5.4)
と表される。式(5.3)を用いて、true π0の崩壊光子に対して最も距離の近いクラスタを探した際の∆rの分布を
図5.4.2に示す。∆r ∼0にピークを持つような分布であり、true π0の崩壊光子に対応するクラスタはその崩壊
光子から-0.04<∆r <0.04 cmの範囲内にあるといえる。この条件でtrue π0の崩壊光子対に対応するcluster π0の崩壊光子のクラスタ対を決定する。候補が複数個ある場合はクラスタペアの不変質量がよりπ0の静止質量 に近いものを選ぶ。
図5.4.2 trueπ0の崩壊光子のFoCalへの入射位置とclusterπ0の重心位置の距離∆ r
この選別条件でtrue π0に対するcluster π0を決定した際のこれらのpT の差(∆pT)の分布を図5.4.3に示す。
これより、∆pT∼0付近にピークがあり、これが対応しているtrueπ0とclusterπ0の∆pTを示していることが わかる。しかし、∆pT ∼-5にピークを持つ構造があり、これはtrueπ0のpTに対して、それに対応するcluster
π0のpT が約5 GeV/cも小さく見積もられている場合が多数あることを示している。これより、true π0に対応
するcluster π0には∆rの条件に加えて∆pTの条件を満したものを選ぶ必要がある。
図5.4.3 trueπ0のpTとそれに対応するclusterπ0の∆pT分布
図 5.4.3に図 5.4.3の ∆pT ∼0 付近のピーク部分を拡大した∆pT 分布を示す。これよりtrue π0に対応する cluster π0は、trueπ0のpTに対して-1<∆pT<1 GeV/cの範囲内のpTを持つといえる。
図5.4.4 trueπ0のpTとそれに対応するclusterπ0の∆pT分布(-2<∆pT<2)
以上より、true π0に対応するcluster π0は、それらの∆pTが-1<∆pT <1 GeV/cであり、それらの崩壊光 子の∆rが-0.04<∆r <0.04 cmであるものとする。
5.4.2 cluster π
0の純度
前述した条件でtrueπ0に対応するcuster π0を選ぶことで、cluster π0中の真のπ0の収量Nsigtrueを調べるこ とができる。trueπ0の収量のうちのNsigtrueの割合をπ0の純度といい、Ppi0 と表す。Ppi0 はNtrue とNsigtrueを 用いて
Ppi0 = Nsigtrue Ntrue
(5.5) で求められる。図5.4.5の0≤pT ≤15 GeV/cの範囲で1 GeV/c刻みに求めたεpi0 の分布を示す。横軸がpT、 縦軸がPpi0である。5≤pT ≤15 GeV/cの範囲を直線でフィットした結果、
Ppi0 = 0.643±0.002 (5.6)
であった。つまり、5≤ pT ≤15 GeV/cの範囲で約 64%の π0を測定できていることがわかる。また、pT¡5 GeV/cの範囲でも約64%のπ0のπ0を測定できており、π0の純度はpT に依らず約64%で一定であることが わかる。
図5.4.5 clusterπ0の純度Ppi0のpT依存性
これと検出効率を比較すると5< pT <15 GeV/cの範囲で検出効率は約84%であったことから、純度は約20%
低いことになる。これは、不変質量分布でのフィットから求めたπ0の収量よりも実際のπ0の収量が約20%少な いことを意味し、この差分のバックグラウンドを差し引けていないことを示している。これはcluster π0のfSS
において、∆ϕ=0のピークにある差し引けていないバックグラウンドである可能性が考えられる。またpT <5
GeV/cの領域においても検出効率と純度に差があることがわかる。つまり低いpT領域でもフィットによって求
めたπ0の収量が実際の収量より大幅に少なく、検出効率が1を超えてしまった原因からもフィットによって正 しいπ0の収量を見積れていない可能性が考えられる。しかし、図A.0.1に示したようにフィット自体に大きな誤
りは見られないため、分布の形状からは見積もることができないバックグラウンドが存在している可能性がある。
今後、この検出効率と純度の差分のバックグラウンドに関する物理的な解釈が必要である。