• 検索結果がありません。

BL33LEP is a contract beamline of the Research Center for Nuclear Physics (Osaka University) for investigating

quark-nuclear physics. The first laser-electron-photon (LEP) beam was extracted into the optics hutch on July 1,

1999. The LEP beamline, experimental apparatus, results of LEP beam study, and the plan are described.

ムの指向性がよく、超前方の測定に適したコンパク トな検出器系が使用できることなどがある。

3.BL33LEPビームライン

レーザー電子光を発生させるためには、電子ビー ム と レ ー ザ ー 光 を 衝 突 さ せ る 必 要 が あ る 。 BL33LEPビームラインでは、33B1及び33B2偏向電 磁石の間の直線部において、電子ビームとレーザー 光とを正面衝突させている。レーザー電子光ビーム の方向は電子ビームの方向と殆ど同じであるため、

BL33LEPビームラインは直線部の延長線上に位置 する。実験ホール内には、図1に示されるように、

「レーザーハッチ」と「実験ハッチ」と呼ばれる二 つの光学ハッチが設置されている。レーザーハッチ 内には、レーザー発振器とレーザー光学系に加え、

荷電粒子を取り除くための磁石(スイープマグネッ ト)と可動式ガンマストッパーが収納されている。

スイープマグネットは、主にレーザー電子光ビーム 中の電子・陽電子バックグランドを取り除くために 置かれている。又、可動式ガンマストッパーは、下 流の実験ハッチにビームを通 すことなくビーム調整をする ために設置されている。

図2は、クォーク核分光装 置と呼ばれる実験装置で、こ れらの幾つかは、既に実験ハ ッチ内に配置されている。ク ォーク核分光装置は、双極電 磁石、シリコンストリップ検 出器、ドリフトチェンバー、

飛行時間測定(TOF)装置 な ど で 構 成 さ れ て お り 、 2GeVまでのπ中間子とK中 間子を分離し、それらの運動 量を1%の精度で測定するこ とができる。

レーザー電子光のエネルギ ーと方向の間には対応関係が ある。しかしながら、実験に 使われる1GeV以上の光は超 前方領域に集中するので、方 向とエネルギーの対応関係を 用いてレーザー電子光のエネ ルギーを決定することは事実 上不可能である。そのため、

レーザー電子光のエネルギー は、レーザー光に散乱された 反跳電子のエネルギーを測定 することによって求める。反 跳電子のエネルギーは、33 B2偏向電磁石の下流に設置 されたタギング検出器で測定 する。この測定のエネルギー 分解能(半値幅)は、30Me Vである。

図1 BL33LEPレーザー電子光ビームライン

図2 クォーク核分光装置

4.世界最高エネルギーのレーザー電子光

実験では、まずレーザーの出力を絞り、強度の弱 いレーザー電子光を発生させた。全吸収型のガンマ 線検出器で、一つ一つの光子の持つエネルギーを測 定することにより、レーザー電子光の特徴である鞍 型のエネルギー分布を確認した(図3)。次に、レー ザーの出力を最大の5Wに上げ、レーザー電子光の 強度が毎秒1.5×10個に達していることを確認し た。このことは、レーザー光との衝突によりエネル ギーを失い、通常の周回軌道を外れた反跳電子の個 数を計測することによってわかった。今回のレーザ ー電子光ビーム発生実験は、レーザーハッチ内のガ ンマストッパーでビームを止めて行なわれた。尚、

実験と同時に、安全管理室と共同して、レーザーハ ッチ外への漏洩放射線の測定が行われたが、全く問 題はなかった。

5.今後の課題と予定

今回得られたレーザー電子光の強度は、目標とし ている強度(0.5〜1×10)の数分の1である。又、

強度の絶対値の不足の他にも、強度のふらつき、減 衰等、時間的な安定性にも問題があった。これらの 問題点については、現在その原因の追求と解決方法 の模索が精力的に行なわれている。夏期シャットダ ウン中に、レーザー光学系の改造を行ない、まずは 強度を倍に増やすことを目指している。

タギング検出器については、X線バックグランド を減らすために、シールドを強化する。又、検出効 率を改善するための若干の改造も、この夏期シャッ トダウン中に行なう予定である。

クォーク核分光装置の組み立ても、現在精力的に 行なわれている。この検出器系を用いた本格的な核 物理研究は、平成11年10月にスタートする予定であ る。研究の目的は、核子及びその多体系である原子 核をより基本的な粒子であるクォーク・グルーオン 多体系として理解することである。レーザー電子光 ビームを原子核標的に照射すると、いろいろな中間 子(クォークと反クォークの対で構成される粒子)

が飛び出てくる。これらの中間子放出の様子を精密 に研究することにより、物質中のクォークとグルー オンのふるまいを解き明かす。超ミクロ(10兆分の 1cm)の世界であるクォーク系核物理の研究には、

その世界の長さに対応する波長(20兆分の1cm)の レーザー電子光ビームが非常に有効である。超ミク ロな階層からの原子核の理解は、その基礎となって いる素粒子物理の解明につながるばかりではなく、

超マクロの宇宙の構造、天体現象の理解を助け、宇 宙誕生と進化のシナリオにその基礎を与えることが できる。このほかにも、核物理研究と平行して、レ ーザー電子光の方向とエネルギーを精密に測定する ことにより、蓄積電子ビームの軌道情報の解析も行 なう。又将来は、より波長の短いレーザーを使うこ とにより、最高エネルギーが3GeVを超えるレーザ ー電子光ビームを発生させる予定である。

中野 貴志 

NAKANO Takashi LEPS Collaborationリーダー 大阪大学 核物理研究センター

〒567-0047 大阪府茨木市美穂ヶ丘10-1 TEL:06-6879-8938 FAX:06-6879-8899 e-mail:[email protected]

大橋 裕二 

OHASHI Yuji BL33LEPビームライン担当者

&高輝度光科学研究センター 放射光研究所 加速器部門

〒679-5198 兵庫県佐用郡三日月町光都1-1-1 TEL:0791-58-0891 FAX:0791-58-0850 e-mail:[email protected]

33

SPring-8 Information/Vol.4 No.5  SEPTEMBER  1999

図3 レーザー電子光エネルギー強度分布

1.はじめに

S P r i n g - 8 の 他 の X 線 領 域 第 三 世 代 放 射 光 施 設

(ESRFおよびAPS)にはない特徴として、当初計 画時から、1kmの長尺ビームラインを想定した土地 計画がなされていたこと、また、長尺挿入光源を想 定した蓄積リング設計がなされていたことがあげら れる。平成10年度補正予算に於いて、これらの SPring-8の独自性を一挙に顕在化させるべく、30m アンジュレータビームライン(BL19XU)の建設が 開始され、一方で既存のBL29XUの1km化が開始さ れることとなった。年次計画としては、30mアンジ ュレータビームラインは平成10年度〜12年度の3年 計画、1km化は平成10年度〜11年度の2年計画であ るが、後者は3次補正によるため、実質的には15ヶ 月の期間しかない。これらの2つのビームラインは、

諸般の事情により、理研ビームラインとして建設が 進められているが、世界的に見て比類のないもので あるため、以前からSPring-8アドバイザリー会議等 でWorld-wideに開かれたビームラインとして運営 していくことが要請されており、実際にそのような 運営がなされる方向での検討が進められている。

一方で、SPring-8のビームライン建設は空前のス ピードで進行し、標準的なビームラインを建設でき る場所は残り少なくなっている。従って、今後残さ れた中尺・長尺ビームライン建設を進めていくこと が課題となってくる。SPring-8では、平成9年〜10 年の2年計画で、200m中尺ビームラインとして医学 利用偏向電磁石ビームライン(BL20B2)を完成さ

せ、また平成10年〜12年の3年計画で医学利用アン ジュレータビームライン(BL20XU)を完成させよ うとしている。これらの、特に1本目の偏向電磁石 ビームラインの建設により、蓄積リング棟外に出る ビームライン建設での様々な問題点の一端が明らか になった。しかしながら、医学利用ビームラインが、

既に完成している医学利用棟に引き込まれるビーム ラインであるのに対して、1kmビームラインでは、

エンドステーションを収容するための建物を同時に 建設していく必要がある。また複数の業者に発注し た、屋外のビームライン基礎工事、ビームラインコ ンポーネント製作、据え付け工事、各種ユーティリ ティの敷設等を、限られた工期の中に押し込める必 要があるため、かなり高度な工程管理が必要になる。

ここでの経験は、SPring-8の新規ビームライン建設 の最終段階に来ると予想される中尺・長尺ビームラ イン建設や、既存ビームラインの延長・拡張時に活 かされるべきものであり、SPring-8全体として共有 すべき財産であると考えられる。

本稿では、現在進行しているBL29XUの1km化の 状況報告は若干触れることにとどめ、むしろより一 般 的 な 長 尺 ・ 中 尺 ビ ー ム ラ イ ン 建 設 に 関 し て 、 BL29XUをベースとして議論したい。そのほうが、

今後の「複製」でないビームライン建設への寄与が 大きいと考えるからである。BL29XUに関するより 詳しい報告は、もう少し現物が見えてきた時点で改 めて行うことを考えている。

理研ビームラインIII (BL29XU)の1km化

理化学研究所・播磨研究所

石川 哲也、玉作 賢治

財団法人高輝度光科学研究センター 放射光研究所 ビームライン部門

後藤 俊治、竹下 邦和、大橋 治彦

大端  通、松下 智裕、木村 洋昭

関連したドキュメント