第 1 部 . 中国のECをめぐる環境変化
4. 中国における Web 2.0 の発展状況
4.4. その他の Web 2.0 関連ビジネス
(1) ネット広告ビジネス
調査会社Analysysによると、2006年の中国のインターネット広告市場の規模は46.28億 元(約700億円)で、2007 年は55%増の71.45億元(約1,070 億円)になると予測されて いる33。一方、iResearch の調査によれば、2007 年第3四半期のネット広告市場の規模は前
年同期比67.9%増の28.99億元で、2007年には年間を通してはじめて100億元を超えると予
想されている(図表 1-32参照)。
図表 1-32. 中国におけるネット広告市場の推移
10.8
14.0
17.3 18.4
17.2
22.8
29.0
0 10 20 30
2006Q1 2006Q2 2006Q3 2006Q4 2007Q1 2007Q2 2007Q3
億元
出所:iResearch “China Online Advertising Research Report 2007Q3”
インターネット広告の分野でWeb 2.0などの新しい動向に関して注目されるのは、アフィ リエイト広告である。アフィリエイト広告とは、広告主の企業などのウェブサイトと個人 のウェブサイトなどが提携(アフィリエイト)関係を結び、広告媒体である個人のウェブ サイトの訪問者などがリンク先の広告主のサイトへアクセスしたり、さらには商品の購入 を行ったりした場合に、広告主から媒体主へ報酬として広告料が支払われる仕組みである。
従来のバナー広告は訪問者の多いポータルサイトが媒体となることが多かったが、個人の ブログなどはテーマが明確であるため、広告主にとっても広告のターゲットを絞りやすく、
ブログなどの個人が容易に情報発信できるサービスの普及とともに注目されている。また、
バナー広告のように広告を出すだけで広告料を支払うのではなく、たとえば商品の購入が 行われた場合にだけ広告料を払えばよいという成果報酬型の広告であり、電子商取引サイ トの運営者にとっても費用対効果の高い広告手法である。
33 http://www.analysys.com.cn/web2007/index.php?module=ygfx&action=showone&id=5024&wid
中国では、まだポータル上のバナー広告や検索エンジンのキーワード広告が中心である が、ブログなどWeb 2.0的なサービスの普及とともに、アフィリエイト広告の認知度も高ま りつつある。アフィリエイト広告のプロバイダーとしては、米国の企業だけでなく日本の 企業も中国に進出しており、その中の一社が上海クロスAである34。同社は情報流通サービ ス事業やネットビジネスを行うデータプレイス(2005 年に名古屋セントリックス上場)の 子会社で、今年 1 月に設立されたばかりだが、ブログサイトや女性向けサイト、ゲームサ イトなど約150の媒体を持ち、広告主30社程度との取引実績がある。将来、たとえば淘宝 網(taobao)などの有力な C2C サイトがアフィリエイトプログラムを導入すれば、一般の バナー広告よりも成果を測定しやすいアフィリエイト広告がECにも大きな影響を与える ことは十分に考えられる。
(2) 外資企業およびベンチャーキャピタルの動向
2006 年には、ベンチャーキャピタルによる中国ネット企業への投資がブームになった。
しかし、同年下期から次第に落ち着きを取り戻し、2007年には投資ブームは下火になった。
ベンチャーキャピタルによるネット企業への投資の件数シェアと金額シェアは、それぞれ
43.9%と41.3%(2006年上期)から32.0%と27.3%(2007年上期)に低下した35(図表 1-33、
図表 1-34参照)。
図表 1-33. ベンチャーキャピタル投資件数の推移
61 78
62 41.1%
32.0%
43.9%
0 100 200
2006年上 2006年下 2007年上
投資件数
0 10 20 30 40 50
%
ネット企業向け その他企業向け ネット企業向けシェア(右軸)
139
190 194
出所:www.ChinaVenture.com.cn
34 同社の中国におけるビジネスの概要は、第二部のヒアリングのまとめを参照のこと。
35 http://www.chinaventure.com.cn/hyzl.aspx?id=28918
図表 1-34. ベンチャーキャピタル投資額の推移
239
449 350
27.3%
41.3%
36.8%
0 500 1000 1500
2006年上 2006年下 2007年上
百万ドル
0 10 20 30 40 50
%
ネット企業向け その他企業向け ネット企業向けシェア(右軸)
869
1221 1282
出所:www.ChinaVenture.com.cn
伝統的なネット企業へのベンチャーキャピタル投資が低下している一方で、2007年10月
30日のiResearchの情報によると、2007年上期の中国Web 2.0サイトへのベンチャー投資は
9社に4,100万ドルとなり、上昇基調にあると分析されている36。
Web 2.0企業への投資が増えていることの例としては、たとえば、2007年7日、SNSサイ
トである中国交友網(www.51.com)が、IntelのベンチャーファンドおよびRedpoint Ventures、
Sequoia Capital China、SIGという4つのベンッチャーキャピタルから1,200万米ドルの投資
を受けたことが挙げられる37。これは、中国の SNS へのベンチャーキャピタル投資として は、2005年10月と2006年3月の2回にわたって行われた米国ベンチャーキャピタルMayfield
Fund、NEA、GSR Ventures および NorthernLight の4社による結婚関係 SNS「百合網」
(www.baihe.com)への1,100万米ドルの投資38や、2007年5月に行われたQiming Venture
Partnersによる結婚関係SNS「世紀佳縁」(www.jiayuan.com)への1,000万米ドルへの投資39
に続くものである。
さらに、世界最大のSNSサイトMyspaceも、IDGおよび中国ブロードバンドファンドと ジョイントベンチャーを設立し、2007年4月26日にMyspace(中国)を設立開通した40。 また、学生向けSNSとして始まり利用者が急増している米国のFacebookが、中国のダウン ロードサイト天網(www.tianwang.com)を買収するという噂41なども聞かれる。このような 状況をみると、中国におけるビジネスとしてのWeb 2.0のブームはしばらく続きそうである。
36 http://news.iresearch.cn/0468/20071029/71947.shtml
37 http://www.51.com/
38 http://news.baihe.com/gybh/438.htm
39 www.jiayuan.com
40 http://it.sohu.com/20070423/n249633911.shtml
41 http://news.iresearch.cn/0468/20071109/72522.shtml