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相対活性

小粒径 大粒径

Ⅲ―55

(ⅱ) スチーム・酸処理 緒言

ゼオライトをスチームで処理すると骨格内 Alが脱離し、骨格外Alが増加することが知ら れている。また、塩酸、硝酸等で処理することにより、骨格内外の Alを溶出、除去すること ができる。これらの操作により、酸性質、Alの状態、細孔構造等が変化するため、触媒寿命 の延長、選択性の向上など触媒性能の向上効果が期待される。Si/Al2比の異なるH-ZSM-5に ついてこれらの処理を行い、触媒特性への影響および物性の変化について検討した。

実験方法

①使用ゼオライト

種々の Si/Al2 モル比をもつ H-ZSM-5 を使用した。H-ZSM-5(150)の括弧内の数値は Si/Al2

モル比を表す。

②スチーム処理

600℃にて窒素で希釈したスチームを供給し、スチーム処理を行った。所定の時間処理した 後、窒素に切り替え、冷却した。

③酸処理

ゼオライトを所定濃度の塩酸に添加し、加熱下、所定時間還流を行った。冷却後、ろ過し、

イオン交換水にてろ液が中性になるまで洗浄を行った後、乾燥した。

④反応評価

炭化水素原料として n-ヘキサンを使用し、650℃にて接触分解を行った。分析はガスクロ マトグラフィーにより行い、その結果から転化率(%)を算出した。また、有用成分をエチレ ン、プロピレン、ブテン類、BTX として、その炭素原子換算の選択率(C-mol%)、炭素収率 (C-mol%)を算出した。

⑤分析

ア.コーク量測定

コーク量は、反応後の触媒を抜き出し、熱重量分析により空気流通下、10℃/min で 900℃

まで昇温して分析した。コークを除いた触媒重量に対する、燃焼したコークの重量をコーク 量(wt%)とした。

イ.NH3-TPD

NH3-TPD法により酸性質の分析を行った。ゼオライトを分析すると200~300℃までの低温 側のピークと、それ以降の高温側のピークが現れるが、高温側のピークが酸に由来するため、

200~300℃の間で垂直分割によりピーク分離を行い、高温側のピーク面積から、酸量を算出し た。

ウ.比表面積測定

比表面積は、ガス吸着測定装置を用い、N2を吸着ガスとして測定を行った。

エ.組成分析

ICP 発光分光分析装置により Si、Al 濃度を分析した。処理前のゼオライトに対するSi/Al2

比の変化から、処理後の Al残存率を算出した。

結果と考察

①H-ZSM-5(150)のスチーム、酸処理検討

H-ZSM-5(150)について、スチーム処理、酸処理、およびスチーム処理後のサンプルに酸処 理を行った。これらの触媒について、反応評価を行った。未処理のH-ZSM-5(150)の初期転化 率を1としたときの相対転化率の経時変化を図 E3に示す。酸処理したものは、未処理に比 べ活性低下がある程度抑制された。スチーム処理を行ったものは初期活性が低下したが、活 性低下が大きく抑制された。スチーム処理を行ったものを酸処理すると初期活性が未処理と 同等まで向上し、さらに活性低下、コーキングは未処理のものと比べ大きく抑制された。ま た、スチーム処理、およびその後酸処理したものについては、目的生成物の選択率の向上も 確認された。

以上より、H-ZSM-5(150)において、スチーム処理は活性低下抑制、目的生成物選択率向上 に有効であり、さらに酸処理することにより、活性を向上できることがわかった。

図 E3 ス 接触分解における

相対転化率 :650℃

②H-ZSM-5(80)

チーム処理、酸処理したH-ZSM-5(150)を用いたヘキサン (未処理における初期転化率基準)の経時変化 反応温度

のスチーム、酸処理検討

H-ZSM-5(80)について、H-ZSM-5(150)において効果が確認された、スチーム処理およびス チ ー ム 処 理 後 の 酸 処 理 を 行 っ た 。 こ れ ら の 触 媒 に つ い て 、 反 応 評 価 を 行 っ た 。 未 処 理 の H-ZSM-5(80)の初期転化率を1としたときの相対転化率の経時変化を図 E4に示す。スチーム 処理を行ってもヘキサン転化率はほとんど低下せず、さらに活性低下が大幅に抑制された。

スチーム処理後、酸処理を行ったが、初期活性が向上した H-ZSM-5(150)の場合と異なり、初 期活性は低下した。スチーム処理後の酸処理については塩酸濃度、処理時間等条件を変えて 検討したが、スチーム処理のみのものと比べ、活性、安定性が向上するものは無かった。

H-ZSM-5(150)の場合と同様、スチーム処理、およびその後酸処理したものについては、目的 生成物の選択率の向上も確認された。

以上より、H-ZSM-5(80)において、スチーム処理は活性低下抑制、目的生成物選択率向上 に有効であったが、その後の酸処理はH-ZSM-5(150)の場合と異なり性能の向上につながらな

0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1

反応時間

相対転化率

1.2 未処理

スチーム処理 酸処理

スチーム→酸処理

Ⅲ―57

いことがわかった。なお、H-ZSM-5(150)をスチーム処理後酸処理したものと、H-ZSM-5(80) をスチーム処理のみしたものを比較すると、H-ZSM-5(80)をスチーム処理したものが、初期 転化率が高く、活性低下も抑制され、高性能であった。

図 E4 スチーム処理、酸処理したH-ZSM-5(80)を用いたヘキサン接触分解における 炭素収率の経時変化 反応温度:650℃

③スチーム処理、酸処理した H-ZSM-5(80)および(150)の分析

スチーム処理、酸処理した H-ZSM-5(150)について、分析を行った。XRD により分析を行 ったところ、いずれもMFI構造に由来するピークのみが確認され、処理による大きな変化は 確認されなかった。

各分析により求めた、処理したH-ZSM-5(80)および H-ZSM-5(150)の物性値をそれぞれ表 E 1および表 E2に示す。ICP発光分光分析により求めたAl残存率を見ると、酸処理のみでは Al はほとんど溶出していないことがわかった。一方スチーム処理後に酸処理を行うと、

H-ZSM-5(80)、H-ZSM-5(150)いずれもAl残存率は20%以上減少しており、スチーム処理によ

って骨格外に出たAlが酸処理により溶出したと考えられる。表面積は、スチーム処理によっ て減少した。その後酸処理を行うと、活性が向上したH-ZSM-5(150)では表面積が微増した一 方、活性低下した H-ZSM-5(80)では表面積が低下した。活性挙動の違いに影響した可能性が ある。

NH3-TPD の結果を図 E5に示す。酸処理では酸量の減少はほとんど見られない。一方スチ ーム処理では、大幅な酸量の減少が見られた。スチームにより、活性点となるゼオライト骨 格内のAlが骨格外に脱離したためである。スチーム処理の後酸処理を行うと、H-ZSM-5(150) の場合、触媒活性は向上したにもかかわらず酸量は減少していた。H-ZSM-5(80)では、触媒 活性は低下したが、酸量は同程度であった。NH3-TPDで求められる酸量と触媒活性は必ずし も相関関係にはなかった。

未処理

1.2

スチーム処理

スチーム→酸処理

0.3 0.4 0.5 0.6 0.7 0.8 0.9 1 1.1

反応時間

相対転化率

表 E1 スチーム処理、酸処理したH-ZSM-5(150)の物性値

触媒 Al残存率 S

BET

酸量

m

2

/g mmol/g H-ZSM-5(150)未処理 - 411 0.234

スチーム処理 0.97 361 0.113

酸処理 0.98 455 0.212

スチーム処理→酸処理 0.79 385 0.086

表 E2 スチーム処理、酸処理した H-ZSM-5(80)の物性値

触媒 Al残存率 SBET 酸量

m2/g mmol/g

H-ZSM-5(80)未処理 - 467 0.424

スチーム処理 0.99 428 0.086

スチーム処理→酸処理 0.74 386 0.087

(a)H-ZSM-5(150) (b)H-ZSM-5(80)

E5 スチーム処理、酸処理したH-ZSM-5(150)およびH-ZSM-5(80)のNH3-TPD結果

④スチーム処理最適化検討

スチーム処理が活性低下抑制、選択率向上に効果があることが分かったため、最適化検討 を行った。Si/Al2 の異なるゼオライトについて、同じ条件でスチーム処理を行った。処理前 と処理後の触媒を用いたヘキサン接触分解の転化率の経時変化を図 E6に示す。

未処理の場合、最も低 Al のH-ZSM-5(500)を除き、比較的高い初期活性を示し、また、高 Alのものほど失活がはやかった。Alが過剰だと逐次反応が進行し、コーキングしやすいため である。 高 い初期活 性 を示した Si/Al2=30~150 のもの に ついてス チ ーム処理 を 行った。

H-ZSM-5(150)は初期活性が低下したが、他のものは高い初期活性を示した。また、いずれの 触媒も、スチーム処理により、活性低下が大きく抑制された。検討した触媒では、H-ZSM-5(80)

0 250 500 750 1000 1250 1500 1750 2250

100 200 300 400 500

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