第 5 章 結果
5.1 実験Ⅰ(エタノールからの SWNT 最適生成条件の探索)
5.1.2 TEM、SEM による観察
(ⅰ)電気炉温度 800℃、反応時間 10 分の試料
Fig.5-2、Fig.5-3、Fig.5-4に、電気炉温度800℃、反応時間10分の条件でエタノールを原料ガス して生成した試料のTEM写真、Fig.5-5に、同試料のSEM写真を示す.
Fig.5-2において、中央右よりに、対になった濃い2本の線として写っているのがSWNTであり、
下左右方向に走る幾本もの線は、SWNTがバンドル(束)状になったものである.Fig.5-2より、
タノールを原料ガスとして、触媒CVD法によりSWNTが生成されたことが分かる.
Fig.5-3は、Fig.5-2と同じ試料を低倍率で写したTEM 写真である.画面全体にわたって、帯状
、曲がりくねって重なりあっているものが、SWNT のバンドルであり、画面左上に黒く写って いる物体は、担体として使用したUSYゼオライトである.Fig.5-3により、電気炉温度800℃、反 応時間10分の条件では、生成後の試料中に、SWNTとゼオライト以外の生成物はほとんど無く、
また、ほとんどのSWNTはバンドル状になっていることが分かる.
Fig.5-4の写真は、Fig.5-1の写真をさらに拡大したものである.Fig.5-4により、電気炉温度800℃、
反応時間10分の条件で生成したSWNTの表面には、アモルファスカーボンなどの生成物はほと んど無いことが分かる.
Fig.5-5は、電気炉温度800℃、反応時間10分の条件で生成した試料のSEM写真である.TEM
観察により、この試料中にはゼオライトとSWNT以外の生成物はほとんど無いことが分かってい
るため、Fig.5-5において、白く細長い糸くずのように見えるものはSWNTであり、大きな塊のよ
うに見えるものが、触媒担体のUSYゼオライトであるといえる.また、SWNTの直径は1ナノメ ートル程度であるため、SWNT一本ではSEMによる観察は不可能であることから、糸くずのよう に見えるのはSWNTのバンドル(束)であるといえる.SEMによる観察は、TEMのように試料 を一度分散させる必要が無いため、生成した試料を直接観察することが出来る.したがって、
ル 約 力 エ
と
上 エ
に
Fig.5-5により、電気炉温度800℃、反応時間 10分の条件で生成されたSWNTは、生成した時点 ですでにバンドル状になっている事が分かる.
(
スとして生 した試料のTEM写真を示す.
Fig.5-6において、画面左側に見えるのが、SWNTのバンドルである.電気炉温度650℃、反応
時
れる.また、画面右側には、中心が空洞、もしくは黒く 見える物質を中心にもつ、炭素の粒子状の塊(ナノパーティクル)が存在している.Fig.5-6から、
10分の条件では、SWNTの他に800℃の条件の時にはほとんど存在 なかった、アモルファスカーボンと、ナノパーティクル生成したことがわかる.
多層カーボンナノチューブ(MWNT)である.Fig.5-7から、電気炉温度650℃、反
ⅱ)電気炉温度 650℃、反応時間 10 分の試料
Fig.5-6、Fig.5-7に、電気炉温度650℃、反応時間10分の条件でエタノールを原料ガ 成
間10分の条件では、上記の800℃の条件で生成されたSWNTと比べて、SWNTの壁面の投影で ある対になった二本の線が、はっきりしていない.これは、SWNTの表面に、アモルファスカー ボンがこびりついているためだと考えら
電気炉温度650℃、反応時間 し
Fig.5-7は、Fig.5-6と同じ電気炉温度650℃の試料の別の部分のTEM写真である.Fig.5-7にお いて、左下に見える黒く大きな物体は、触媒担体のUSYゼオライトである.Fig.5-7には、Fig.5-6 に見られるSWNTはほとんど写っておらず、かわりに、直径50nm程度の、厚い壁面をもつ、中 空円筒構造の細長い物体と、ナノパーティクルが存在していることがわかる.中空円筒構造の細 長い物体は、
応時間10分の条件では、800℃の条件の時にはほとんど存在しなかったMWNTが生成した事がわ かる.
Fig.5-2 電気炉温度800℃反応時間10minの試料(TEM写真)
Fig.5-3 電気炉温度800℃反応時間10minの試料(低倍率)(TEM写真)
Fig.5-4 電気炉温度800℃反応時間10minの試料(高倍率)(TEM写真)
2nm
2nm
Fig.5-5 電気炉温度800℃反応時間10minの試料(SEM写真)
Fig.5-6 電気炉温度650℃反応時間10minの試料(TEM写真)
Fig.5-7 電気炉温度650℃反応時間10minの試料(TEM写真)