第 3 章 従来の BMI の課題を解決する為の提案
3.3 本研究で使用する信号解析手法について
3.3.2 Support Vector Machine(SVM)
本研究における、信号解析においては、最初に学習用の計測データを用いて弁別器を生成し、その後、
試験データを用いて、作成した弁別器の性能を評価する。弁別器の作成は Support Vector Machine[17]
を使用する。
Support Vector Machineは2クラスのパターン識別に利用される手法の一つで、マージン最大化とい
う考え方に基づいて識別を行う。識別面から、最近傍のサンプルまでの距離を最大化するように識別面を 設定する。この最近傍のサンプルのことをサポートベクタという。
図 3.22:Support Vector Machineイメージ
識別面の決定においては、以下の識別関数において、
(3.6)
以下となるような識別面、及び、サポートベクタを通る直線を定義した際の と を求める。
0 (3.7)
1 (3.8)
1 (3.9)
図 3.23:Support Vector Machine識別関数のイメージ
ここで、入力データ に対する教師信号を とすると、以下の2つの境界面を表す式は、以下のよう に表現できる。
1 1 (3.10)
1 1 (3.11)
さらに、以下のように書き直し、これを制約条件として ǁ ǁ を最小化する問題と考えられる。
1 (3.12)
これは、上記を主問題とすると、ラグランジュ未定乗数λを用いて定義したラグランジュ関数を最大化 する問題を補問題として捕らえることができる(双対問題)。ラグランジュ関数 は以下のように定義で き、これを解くことでサポートベクタを求めることができる。
, , 1
2ǁwǁ 1 (3.13)
3.3.3 5-Fold cross validation
本来、上記のようにSupport Vector Machineで作成した弁別器に対して使用する、訓練データと試験 データは、別の機会に計測したデータを使用できることが望ましい。なぜなら、本来の BMIの使用用途 から考えても、一度学習したデータを弁別器として定義しておき、次回以降は、学習済みの弁別器を利用 して何らかの弁別ができることが求められるからである。ただし、別の機会に計測したデータは脳波計測 時のコンディションの違いによって、計測データに差異が発生する可能性が非常に高い。本研究において も、その課題については解決できていない為、訓練データと試験データについては同一計測内で取得した データを使用することを前提とする。そのため、弁別器の作成と、作成した弁別器を使用した試験におい ては、5-Fold cross validation[18]を用いて行う。以下に手順を示す。
①サンプルを5つのグループに分割する。今回は200トライアルである為、40回ずつ5つのグループに データを分割する。
②5つのグループのうち4つのグループを訓練データとして、1つのグループを試験データとする。
③サポートベクタマシンで訓練データを使用して弁別器を作り、試験データを用いて弁別し、その弁別率 を算出する。
④②と③を5回繰り返して、5回の弁別率の平均を取る。各フェーズの弁別率の値を 全フェーズの弁 別率から算出した平均値を E とすると、以下の式で求められる。
∑ (3.14)
図3.26にイメージを示す。
3.3.4 Permutation test
次に、上記(3)のように算出した弁別器の性能を評価する為に、Permutation test [19]を実施する。
Permutation testとは、計測データの値をランダムに付け替え、付け替え後のデータに対して、付け替え
前に実施したものと同様の解析を複数回実施し、結果を正規分布等にプロットする。プロットした結果に 対して、元の計測データから解析した結果がどの程度発生する可能性がある結果であるのか、確率を計算 する。例えば、元の計測データを用いて実施した弁別器の性能が70%と算出された場合、70%と値が算出 される確率がどれくらいであるのかを求める。
図 3.25:Permutation testのイメージ
図 3.28 の例では、計測データの値を平均50%、標準偏差4%の正規分布がプロットされており、弁別 器の性能が69%以下となる確率1.00であることを示している。これにより計測したデータが有意である ことを示している。尚、本研究においては、データ付け替えを実施しての解析を1000回繰り返している。
図 3.26:Permutation testの実施例
3.3.5 本研究における信号解析
今回の研究における、信号解析について説明する。信号解析に使用するインプットデータとしては瞳孔、
及び、脳波の計測データを使用し、アウトプットデータとしては、SVMを使用した弁別結果とする。
(1)インプットデータ(瞳孔)
(2)インプットデータ(脳波)
脳波はトライアル毎の脳波の振幅をインプットデートする。トライアル開始時点の脳波の振幅を0とし て、トライアル中の最大の振幅との差をインプットデータとしている。
:トライアル数、1,2 … 200 をトライアル毎の脳波のサイズとして、これを信号解析時の入力デー タの一つとして 2 ~ 6 :トライアル数、1,2 … 200 とする。脳波は14チャネルあるが、主成分分析で 次元縮約し5変数にする。瞳孔データと合わせた 1 ~ 6 :トライアル数、1,2 … 200 をインプットデ ータとする。
(3)アウトプットデータ
アウトプットデータは上記インプットデータを使用して作成した弁別器に試験データを投入して実施 した弁別結果とする。アウトプット :トライアル数、1,2 … 200 は以下のように示せる。
1, 弁別成功
0, 弁別失敗 (3.14)