Structural discontinuities
(Pressure boundary)
High temperature and External pressure -Buckling
-Ductile fracture
High temperature and Internal pressure -Creep rupture -Collapse High temperature and
Internal pressure -Ductile fracture -Local failure
High temperature and Internal pressure -Ductile fracture -Local failure
Reactor Pressure Vessel Primarily Containment Vessel
図 3.1.1(2)-2 炉心溶融後の荷重と破損部位および破損モードの関係
3.1.1(1)-15
表 3.1.1(2)-11 評価対象部位の荷重モードと破損モードの関係
評価設備 基本形状 破損モード 備考
内圧 外圧 変位 温度注1
一次系配管 厚肉円筒 延性破壊 ―
曲げ座屈/崩壊 局部破損注2
疲労
―
炉内計装管 厚肉円筒 ― 外圧座屈
局部破損注2 ― クリープ座屈 クリープ破断 一次系配管容器管台 厚肉段付き円筒 局部破損注2 ― 曲げ座屈/崩壊
局部破損注2 クリープ破断
RPV円筒胴 厚肉円筒 延性破壊 ― ― クリープ破断
RPV上下鏡 厚肉球殻 延性破壊 ― ― クリープ破断
RPV下鏡(リガメント) 厚肉球殻(貫通部) 局部破損注2 ― ― クリープ破断 RPV下鏡(貫通部、管台) 厚肉球殻(貫通部) 局部破損注2 ― ― クリープ破断 RPV支持スカート 厚肉円筒 ― ― 圧縮/曲げ座屈
崩壊 ―
PCV円筒胴 薄肉円筒 延性破壊 外圧座屈
局部破損注2 ― ― PCV円筒胴(貫通部) 薄肉円筒 局部破損注2 局部破損注2 局部破損注2 ― PCV円錐胴 薄肉円錐筒 延性破壊 外圧座屈
局部破損注2 ― ― PCV円錐胴(貫通部) 薄肉円錐筒 局部破損注2 局部破損注2 局部破損注2 ― PCVさら形鏡 薄肉さら形殻 延性破壊 外圧座屈
局部破損注2 ― ―
タンク円筒胴 薄肉円筒 ― ― 圧縮/曲げ座屈
局部破損注2 ― 軽油・貯水タンク
(注1)温度上昇に伴う材料の機械的性質の低下は材料特性で適宜考慮する。
(注2)局部破損については、構造不連続(形状、材料、溶接など)の影響を適切に考慮する必要がある。
3.1.1(1)-16
⑤ 検討すべき破損モード
これまでの検討で抽出した評価対象部位と荷重モード及び破損モードのまとめ表から、極 限荷重下の限界強度評価法として整備が必要な代表形状は円筒と球殻であることが分かった。
特に高温下の圧力荷重に対する延性破壊、外圧荷重に対する外圧座屈及び座屈後の局部破損、
高温荷重に対するクリープ破断、および過大地震に対する疲労に関する破壊メカニズムを検 討し、表 3.1.1(2)-12に示す各荷重モードと破損モードに対する限界強度評価法を整理する。
表 3.1.1(2)-12 荷重モードと破損モードの関係
荷重モード 破損モード
高温内圧
延性破壊 クリープ破断
局部破損
高温外圧
弾塑性座屈 クリープ座屈
座屈後破断
過大地震
低サイクル疲労 塑性崩壊 延性破壊
<参考文献>
[1] “発電用原子力設備規格設計・建設規格〈第Ⅰ編 軽水炉規格〉(2012年版) ”、JSME S NC1-2012、
日本機械学会、2013年3月
[2] “発電用原子力設備規格設計・建設規格〈第Ⅱ編 高速炉規格〉(2012年版) ”、JSME S NC2-2012、
日本機械学会、2013年3月
[3] “発電用原子力設備規格シビアアクシデント時の構造健全性評価ガイドライン(BWR 鋼製格
納容器編)(2014年版) ”、JSME S NX2-1014、日本機械学会、2014年7月
[4] “発電用原子力設備規格維持規格 (2012 年版) ”、JSME S NA1-2012、日本機械学会、2012 年12月
3.1.2-1
3.1.2 模擬材料による試験の提案と妥当性の確忍
(1) 模擬材料による試験及び模擬材料の提案
極限状態における圧力設備の挙動及び破損について解明するためには、破壊試験や数値解 析によって破損モードそれぞれのメカニズムを知る必要がある。しかし、事故を想定した超 高温や高圧、過大地震荷重に対する破壊試験の実施は、通常の試験機の容量では実現が難し くまた危険を伴う。模擬材料(実機材料の定性的な性質を保ったまま、ヤング率や降伏応力 が小さく室温よりわずかに高い温度でクリープを生じる材料)を使用した破壊試験技術と解 析技術の確立によってこの問題は解決でき、比較的容易に、かつ安全に極限状態における圧 力設備の挙動及び破損について解明できる。
模擬材料としては、純鉛及び鉛-アンチモン合金鉄鋼材料に着目した。これらの材料は鉄 鋼材料と比較して、降伏応力が 10 分の 1 以下であり、小さな荷重で破壊試験が可能となる。
また、室温でもクリープを生じるという利点がある。
ここでは、これらの模擬材料の機械的特性を典型的な実材料であるSUS304やSTP410の特 性と比較し、極限状態での破壊試験に対する模擬材料の妥当性を確認する。
(2) 模擬材料を用いて検討する破損モード
圧力設備の破損モードは数多くあるが[1]、極限状態を想定した場合、検討すべき破損モ ードは限られてくる。ここでは、模擬材料を用いて検討する破損モードとして以下のものを 取り上げる。
① 塑性変形
塑性変形は破損モードそのものではないが、破損を論じる上でのきほんとなるものなので、
ここでは破損モードの一つとして扱う。
極限状態としての高温高圧下においては、圧力容器に発生する応力は降伏点を大幅に越え、
大きい塑性変形を生じさせる可能性が高い。圧力容器の一般部においては、高温による降伏 応力の低下と高圧による発生応力の増加に起因して塑性変形が大きくなる。この変形が極端 に大きくなった場合、圧力容器は崩壊する。圧力容器の構造不連続部においても、一般部と 同様に、局部的に大きい塑性変形を伴って崩壊が生じことがある。
極限状態としての過大地震時には、配管エルボなどにおいては、大きい塑性変形の繰返し によって、進行性変形が生じる可能性があり、その延長線上において崩壊に発展する可能性 もある。
② 延性破壊
上述のように大きい塑性変形が生じ、崩壊した場合、延性破壊が生じる。延性破壊
(ductile fracture)は、せん断破面を呈する破損モードであり、ミーゼスの破壊曲面によ って表される[1] [2]。
③ 局部破損
圧力容器の一般部や構造不連続部において、大きな塑性変形を伴って破壊する現象である。
これに対して、塑性変形が周囲によって大きく拘束されるような構造不連続部においては、
3.1.2-2
板厚内部において、応力が平面応力状態から平面ひずみ状態に近づくことがある。このよう な応力状態では応力の静水圧成分が大きくなり、ミーゼスの降伏理論に従うような塑性変形 が起こりにくくなり、塑性変形による応力緩和が生じにくくなる。その結果、応力成分の値 が上昇し、破壊に至る。このように応力の静水圧成分の影響を強く受けて破壊する現象を局 部破損(local failure)と呼ばれている[1]。局部破損を評価するためのパラメータとして、
次式で定義される3軸応力度が用いられる。
(1-3)
④ クリープ破壊
極限状態としての高温高圧下においては、発生している応力によって圧力容器に短時間ク リープが生じる可能性がある。時間とともに変形が進行し、最終的には不安定な状態(崩 壊)となり破壊に至る。クリープによる変形は①の高温における塑性変形と同様な特性を有 しており、明確に区別しにくい場合がある。非弾性ひずみとして同様に扱うこともできる [3] [4]。
(3) 模擬材料に対する要求項目と確認方法
① 塑性変形の模擬への要求項目
塑性変形挙動はその材料の応力-ひずみ曲線でほぼ一義的に決まる。したがって、模擬材 料の応力-ひずみ曲線は実材料の曲線と類似したものであることが要求される。模擬材料と 実材料の降伏応力及び弾性特性は自ずと異なるが、塑性変形を論ずる上で重要なものは降伏 後の挙動なので、降伏後の応力-ひずみ曲線に着目する。
② 延性破壊の模擬への要求項目
延性破壊は荷重制御型の応力によって発生する破壊モードであり、一般に大きな塑性変形 を伴う。丸棒試験片では、引張り荷重がある値を超えるとネッキングを起こして急激に断面 籍が減少し、荷重が低下し破壊に至る。したがって、模擬材料としては、ネッキングが起こ り始める最大荷重の温度依存性を材料の組成の違いによって表すことができることが要求さ れる。
③ 局部破損の模擬への要求項目
局部破損の模擬において重要な要素は、局部破損に重要な影響を及ぼす多軸応力状態の再 現である。多軸応力状態は物体内部で起こる事象であり、直接測定することは困難である。
多軸応力状態の影響によって切欠き付き試験片の引張り強度が影響を受けることに着目し、
模擬材料の切欠き効果が実材料の切欠き効果を表すことができることが要求される。
④ クリープ破壊の模擬への要求事項
クリープ破壊は荷重制御型の応力によって発生する破壊モードであり、一般に大きなクリ
3.1.2-3
ープ変形を伴う。丸棒試験片では、引張り荷重が作用する時間がある値を超えるとネッキン グを起こして急激に断面籍が減少し、変形が急激に進んで破壊に至る。したがって、模擬材 料としては、ネッキングが起こり始める時間の温度依存性を材料の組成の違いによって表す ことができることが要求される。
(4) 平滑丸棒及び切欠き付き丸棒の引張り試験及びクリープ試験
① 試験目的
上記の4つの要求項目によって模擬材料の妥当性を確認するために、平滑丸棒試験片及び 切欠き付き丸棒試験片を用いて引張り試験及びクリープ試験を行った。
② 試験条件
試験条件の詳細はAppendix B~Cに示す。主な試験条件は以下のとおりである。
材料は、実材料としては SUS304、SS400 を、模擬材料としては純鉛(Pb100)、鉛-アン チモン合金(PB96、PB90)を用いた。
試験片はすべて丸棒とし、平滑試験片及び切欠き付き試験片とした。切欠き付き試験片の 最小断面積は平滑試験片の断面積と同一とした。切欠きはすべて半円の環状切欠きとし、切 欠き半径は大小2種類とした(切欠き大:半径3 mm、切欠き小:半径0.875 mm)。
試験は、室温及び高温における引張り試験とクリープ試験とした。
③ 試験結果
試験結果の詳細をAppendix B~Cに示す。
(5) 模擬材料の妥当性の確認
① 応力-ひずみ曲線に関する検討:塑性変形の模擬への要求項目
塑性変形を模擬することの妥当性を検討するために、引張り試験により得られた荷重-
変位曲線について、実材料と模擬材料の間での相似性について検討した。塑性変形特性は、
応力-ひずみ曲線の降伏後の非線形性によって決まるので、試験から得られた荷重-変位 曲線から真応力-真ひずみ曲線を作成した。その結果を図3.1.2-1~図3.1.2.5に示す。