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れる.これによって潜在的なK-centerはUV照射でも全て顕在化されていないと考え られる.そこで我々は膜内に存在すると考えられる H を真空状態での加熱によって膜 の外に放出した後にUV照射を行いK-centerの顕在化を試みた.サンプルはHが多く 存在すると考えられるSiH4/NH3ガスを用いたPECVD-SiN膜を(100)Si基板上に堆 積したものを準備した.ベーク炉は株式会社デンケン製卓上真空・ガス置換炉KDF-75, 真空引きはアルバック機工株式会社製,直結型油回転真空ポンプG-50DAを使用した.

1.0×0.3cm-2のサンプル(膜厚200nm)を炉の中に入れ,真空度を約10Paまで下げた 後に温度を500℃まで上昇させた.(所要時間約20min)その後500℃の状態で30min 維持した後,炉の温度を250℃付近まで下げた後にサンプルを取り出し,UV照射を施 してESR測定を行った.PECVD-SiN膜の成膜温度は400℃であるのでベークを600℃ 以降の温度で行うとSiN膜の構造が変化してしまうと考えて,500℃でベークを行った.

図6.1に真空ベーク前後でのESR信号波形および UV照射時間と欠陥密度の関係につ いて示す.ESR 信号波形をみるとベーク有りとベーク無しでは UV 照射後に信号の大 きさが大きく異なる結果が得られた.しかし,UV照射前の信号波形ではベーク後では 信号の増大が確認されず,逆に半値幅の広い膜内欠陥は減少して界面欠陥のみがはっき りと観測される結果となった.UV照射で増大するK-center(N≡Si・)はSi-H結合

(N≡Si・ ・H)および Si-Si 結合の切断(N≡Si・ ・Si≡N)で発生することが言わ れている.Si-Si結合は切断されてもSiNネットワーク上に存在するため真空ベークの 影響を受けにくい.一方でSi-H結合においては結合の切れたHが SiN ネットワーク ではなく格子間に移動すると考えられる.これによって,格子間では成膜時に膜内に残 った H に加えて Si-H 結合で切れた H も加わることで格子間の H 濃度が増加し

K-center に再度終端し易くなる.本実験での真空ベークによって格子間に存在する H

が脱離し,格子間のH濃度が減少することでK-centerへの終端が減少したため,信号 の増加が観測されたと考えられる.信号の波形分離(Lorentzian+Gaussian)を行っ た結果,真空ベーク前後のサンプルで120minUV照射をしたときの欠陥密度はそれぞ

れ1.33×1019cm-3から1.54×1019cm-3と約15%増加する結果となった.

図6.1 真空ベーク前後でのESR信号波形とUV照射時間と欠陥密度の関係

6.3 今後の検討の進め方

真空ベーク装置を用いたSiN膜の検討結果からK-centerへの水素の挙動について考 察できた.さらに,文献28,29)によって SiN 膜からの水素脱離は500℃から抜け出しは じめ700℃でピークを迎えることが報告されている.我々の実験結果は500℃での真空 ベークであるため,この報告から判断すると我々の実験ではほとんど水素が脱離してい ないことが考えられ,550℃,600℃と温度を変化させることでK-centerの更なる増加 が見込まれる.この温度変化によるK-center増加の傾向をつかむことで,SiN膜中に 潜在する全てのK-centerの観測,水素の残留量およびUVによる水素脱離量から結合 強度の算出などが考えられる.さらに図6.1のUV照射時間と欠陥密度の関係のグラフ から,UV照射後1日経過したときの信号減衰が観測されている.これによってUV時

間毎のK-centerの減衰機構を調べることができ,水素の終端・回帰現象について検討

できる.以上の測定によってK-centerもとい不揮発性メモリに関するトラップの水素 による終端および膜内脱離の詳しい挙動の調査ができるであろうと考えている.

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