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Shewanella violacea DS12 株より分離した新規紫色素

ドキュメント内 Microsoft Word - JJSE5_2_4.doc (ページ 104-112)

○小林英城、能木裕一、掘越弘毅

独立行政法人海洋研究開発機構極限環境生物圏研究センター 小林英城:[email protected]

(目的)Shewanella violacea DSS12株は沖縄近海の伊平屋海嶺より分離された好圧好冷性細菌である。DSS12

Journal of Japanese Society for Extremophiles (2006) Vol.5, No.2

株のコロニーは紫色を呈し、それ故 ”violacea” と命名された(1)。微生物が生産する紫色素は、植物病原菌 Chromobacterium violaceumが生産するviolaceinが報告されている(2)。しかし、violaceinは水溶性色素であり、

培地中に溶け出さない本菌が生産する紫色素とは性質が異なっていた。そこで、本研究ではDSS12株が生産 する紫色素の精製を行い、その化学構造を明らかにする事を目的とした。

(方法)DSS12株はコロニー状態の時、紫色素を生産する。そこで一晩8℃にて振盪培養した培養液を寒 天培地に 10µl 滴下して8℃にて5−7日間、静置培養を行った。その後、紫色のコロニーを掻き取り、凍結 乾燥を行った。凍結乾燥菌体からクロロホルムーメタノール(1:1)、クロロホルムにて紫色素の抽出を行っ た。紫色素溶液を乾固させた後、水、メタノール、ヘキサンで紫色素を洗浄後、テトラヒドロフラン(THF)

に溶解させた。紫色素はシリカゲルカラムにて精製を行い、温度降下法にて結晶化を行い、精製標品とした。

この精製標品を用いて、X線結晶構造解析およびGC-MSにて化学構造の決定を行った。

( 結 果 )X 線 結 晶 構 造 解 析 お よ び GC-MS の 結 果 、DSS12 株 が 生 産 す る 紫 色 素 の 化 学 構 造 は 、 5,5'-didodecylamino-4,4'-dihydroxy-3,3'-diazadiphenoquinone-(2,2')という構造であった(図1)。これは Erwinia chrysanthemi または Clavibacter michiganensisが生産するindigoidineという青色素の骨格にアルキル基が結合 した構造であった(3)。また本色素はindigoidineと異なり、クロロホルムとTHFにのみ溶解すると言う性質を 示した。

図1S. violacea DSS12株が生産する紫色素

(考察)本色素の発色団は青色素として知られているindigoidineと同等であった。また本色素のクロロホ ルムやTHF溶液は青色を呈する。しかし、2本のアルキル基が結合する事によって、その物理化学的性質は 異なっていた。アゾ色素にアルキル基を化学結合させ、発色団をお互いに接近させた場合、吸収波長の

blue-shiftが認められる事が報告されている(4)。本色素が結晶、または固体状態において紫色を呈する事の一

因と考えられる。本色素は、その化学構造から液晶状態となる事が期待されたが、特に認められなかった。

ラクタム環の-NH基と=O基が、分子間水素結合により強固に結合しているためと推察された。したがって、

化学修飾等により水素結合を切断する事により、生物由来の液晶材料としての応用が期待できる。

引用文献

1. Nogi Y, Kato C, Horikoshi K (1998) Taxonomic studies of deep-sea barophilic Shewanella strains and description of Shewanella violacea sp. nov. Arch Microbiol 170:331-338

2. Kimmel KE, Maier S (1968) Effect of cultural conditions on the synthesis of violacein in mesophilic and psychrophilic strains of Chromobacterium. Can J Microbiol 15:111-116

3. Heumann W, Young D, Gottlich C (1968) Leucoindigoidine formation by an Arthrobacter species and its oxidation to indigoidine by other microorganisms. Biochim Biophys Acta 136:429-431

4. Shimomura M, Aiba S, Tajima N, Inoue N, Okuyama K (1995) “Crystal engineering” based on two-dimensional molecular assemblies. Relation between chemical structure and molecular orientation in cast bilayse films.

Langmuir 11:969-976.

Journal of Japanese Society for Extremophiles (2006) Vol.5, No.2

○土肥 裕希1)、滝澤 昇*2)

1)岡山理科大学・院・工・応化、2)岡山理科大学・工・バイオ応化 *[email protected]

【目的】

脱窒素とは、主にNO3から還元反応を繰り返し、最終的にN2OやN2として大気中に放出する過程で得ら れるエネルギーを利用する嫌気性呼吸で、硝酸塩呼吸とも呼ばれている(FIG.1)。この脱窒素細菌をスクリ ーニングする際は、脱窒素の基質としてNaNO3やKNO3などの硝酸塩を加えることが一般的である。これは、

硝酸塩以外では固体として取り扱える物質がNaNO2やKNO2などの亜硝酸塩のみであり、そのNO2が生体に とって非常に毒性が高いことに由来する。本研究では、基質として高濃度(0.080M)のNaNO2を添加し、高 濃度NO2環境下における脱窒素細菌のスクリーニングをおこなった。

FIG.1 脱窒素

【方法】

1)脱窒素細菌のスクリーニング

脱窒素細菌をスクリーニングするサンプルは水槽の浄化槽より採水した。採水を亜硝酸塩還元液体培地

(Polypepton 0.5%、Nutrient Broth 0.3%、Sodium chloride 0.3%、Sodium nitrite 0.5%)10mlに1%(100μl)添 加し、滅菌した海砂を5g加えて集積培養をおこない、海砂内や培養液上部に気泡が見られたものを陽性とし て、定期的に培養液を交換しながら培養を継続した。約1週間集積培養を継続した後、亜硝酸塩還元平板培 地に培養液を 50μl 塗布し、得られた各コロニーをそれぞれサンプリングし、再び上記と同様に培養をおこ なって、気泡を発生させる菌株を選別した。

2)属種の分類と脱窒素能の追試

菌株の属種の分類は16S rRNA遺伝子部分解析によっておこなった。また、脱窒素能の追試は、発生した 気泡のガスクロマトグラフィーによって分析すると共に、NO2からNOへの還元反応を触媒する亜硝酸塩還 元酵素:nitrite reductase遺伝子部分解析によっておこなった。

【結果】

1)脱窒素細菌のスクリーニング

気泡の発生が確認された菌株は全部で72株得られ、特に気泡の発生が顕著である菌株が3株(No. 35、50-2

& 50-3)得られた。

2)属種の分類と脱窒素能の追試

気泡の発生が顕著であった3株の16S rRNA遺伝子の部分解析結果より、No. 35はAlcaligenes sp.、No. 50-2

と50-3はOchrobactrum sp.であった。また、これらの菌株が発生させた気体は、ガスクロマトグラフィーに

よる気体解析より窒素であることが証明され、加えて、保有する亜硝酸塩還元酵素を遺伝解析した結果、両 菌株とも銅含有型(nirK)の酵素を有していた。

【考察】

脱窒素細菌をスクリーニングする際にくわえた海砂の意義は、脱窒素がおこなわれる環境、つまり嫌気的

NO

3-

NO

2-

NO N

2

O N

2

Nar Nir Nor Nos

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環境をつくるためである。嫌気的環境を作るには、培養液上部を流動パラフィンのような油滴によってふた をしたり、容器内の酸素をガス置換によって排気するなどの方法があるが、本研究においては効果がみられ なかった。これは、菌体によって好気呼吸から脱窒素(嫌気呼吸)に移行しはじめる酸素濃度が一定ではな いことや、完全な嫌気環境では脱窒素がおこなわれないことに由来すると思われる。そのため、単に海砂を 積む方が酸素濃度に勾配ができ、その菌にとって脱窒素をおこなうのに適度な酸素濃度が得られたと考えら れる。この方法は、短期間(約2日)で気泡の有無が確認できるため、「脱窒素」という現象を追ったスクリ ーニングにおいては、非常に有効な方法である。

スクリーニング、同定したAlcaligenes sp.およびOchrobactrum sp.は共に銅含有型の亜硝酸塩還元酵素を有 していた。本酵素にはcytochrome cd1型のNirSと銅含有型のNirKの2種類存在する。前者のNirSを有する

Pseudomonas aeruginosaでは、本研究で使用した亜硝酸塩還元培地に含まれる亜硝酸塩濃度下においてNO2

の減少がみられず、脱窒素がおこなわれることはなかった。これは、NirS と NirKの補酵素(電子供与体)

の違いに由来するのではないかと思われる。NirSの補酵素であるcytochrome c-551は、亜硝酸塩濃度が0.050M を超えたあたりより非酵素的に酸化された。この酸化型cytochrome c-551はNirSを負にフィードバックする ことが示されている。一方で、NirKの補酵素はazurinやpseudoazurinと報告されており、これらの補酵素が NirKを負にフィードバックすることは報告されていない。よって、本研究でスクリーニングされた菌株が全 て銅含有型nitrite reductaseを有していたのは、亜硝酸塩濃度が高い環境下にてスクリーニングをおこなった ためであると思われる。

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新規 DNA 結合フォールドを持つ制限酵素 Pab I の変異体による解析

宮園 健一1)5)、渡部 美紀2)5)、永田 宏次1)、澤崎 達也3)、遠藤 弥重太3)、田之倉 優1)、○小 林 一三2)4)

1)東大・院・農生科、2)東大・院・新領域・メディカルゲノム、2)東大・医科研、3)愛媛大・無細胞セ ンター、4)東大・医科研、5)Contributed equally.

小林一三:[email protected]O-13

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深海微生物 Shewanella violacea DSS12 における 高圧環境に適応した呼吸鎖電子伝達系

○筑广紗弥香1)、笠原良太1,2)、加藤千明2)、為我井秀行1)

1)日本大学大学院・総合基礎科学研究科、2)(独)海洋研究開発機構・極限環境生物圏センター 為我井秀行:[email protected]

【緒言】

深海は熱水などの噴出している部分を除いて低温・暗黒・高水圧の極限環境である。そこに生育する生命 体を理解することは、生命の限界と可能性を考える上で非常に重要なことである。

Shewanella violacea DSS12は1995年に琉球海溝底泥から単離された生育至適温度8℃、生育至適圧力30 MPa の深海微生物である1)。本細菌は幅広い圧力範囲で生育することができるため、微生物の高圧環境への適応 機構を研究するのに適している。

これまでの研究で、本細菌の呼吸系構成成分が生育圧力によって変化することが分光学的解析によって明 らかになり、高圧環境下で d型チトクロムが発現していることが確認された2)。またこの相違は、転写レベ

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圧下でのみ特異的に発現することが示された3)

しかしながら、実際の酵素活性がどのように変化しているかに関しては知見がなく、生育圧力による S.

violacea DSS12の呼吸系構成成分の差異の意味するところは不明である。

そこで本研究では、様々な圧力で培養した菌体の呼吸活性と末端酸化酵素活性を測定した。さらに、高圧 条件下における末端酸化酵素活性の測定を行い、生育圧力と呼吸系の酵素活性との相関について検討を行っ た。

【実験】

〈培養〉S. violacea DSS12菌体の大気圧、30 MPa、50 MPa、65 MPaにおける培養は独立行政法人海洋研究開 発機構(JAMSTEC)の高圧大量培養装置DEEP BATHを用いておこなった。本細菌を8℃、各圧力で3日間培 養を行い、遠心分離により集菌した後、菌体を-80℃で保存した。

〈酸素消費活性〉それぞれの圧力で培養した菌体を超音波破砕して、無細胞抽出液を得た。NADHを基質に して、得られた無細胞抽出液を用いて酸素消費活性の測定を行い、その阻害剤となるシアン化カリウム及び アンチマイシンの影響を検討した。

〈末端酸化酵素活性〉無細胞抽出液から超遠心分離によって、膜画分を調整した。末端酸化酵素の電子供与

体であるTMPDH2を基質にして、活性に対する阻害剤であるシアン化カリウム、アジ化ナトリウムの膜画分

の末端酸化活性に対する効果を分光光度計により測定した。

〈高圧末端酸化酵素活性〉

大気圧、50 MPaで生育した菌から得た膜画分の末端酸化酵素活性を、測定圧力0.1 MPa、50 MPaで高圧分光

光度計により測定をおこなった。

【結果】

無細胞抽出液の酸素消費活性におけるシアン化カリウムの影響は、大気圧と50 MPaで生育した菌体のどち

らも2 - 5 mMのシアン化カリウムの濃度で完全に阻害されるなど、同じような阻害様式を示した。同様に、

アンチマイシンによる酸素消費活性の阻害パターンも生育圧力の影響による有意な差は見られず、いずれの 場合も高濃度のアンチマイシンで40%の活性が残った。

一方、本細菌の膜画分の末端酸化酵素活性における阻害剤の影響を調べたところ、生育圧力によって異な る阻害パターンを示した。シアン化カリウムおよびアジ化ナトリウムに対する阻害曲線において、生育圧力 の上昇に伴う変化は、酵素活性を完全に阻害するのに要する阻害剤濃度は高いものになり、その二相性はよ り顕著になった。

また、末端酸化酵素活性に関して圧力耐性を調べたところ、高圧で培養した菌と大気圧で培養した菌とで は測定圧力150 MPaで相対活性にして25%の差が確認でき、高圧耐性を持つ酵素を生育圧力に応じて発現さ せていることが確認できた。

【考察】

酸素消費活性の結果から、S. violacea DSS12の全体の呼吸系経路は生育圧力によらず、アンチマイシンの 阻害の影響を受けるチトクロムbc1を通る系が60%と通らない系が40%、並列して存在すると推測される。

ところが、末端酸化酵素活性の阻害パターンは生育圧力が上昇するにつれ、二相性が高まることを示し、少 なくとも二つの酵素が機能していることが示唆された。また、高圧下における末端酸化酵素活性の測定結果 から、高圧生育菌の方が大気圧生育菌よりも高圧下で高い活性を有することが明らかになった。これより、

高圧環境下に適応するために圧力耐性の高い酵素を発現させていると考えられる。

これらの結果はこれまでの分光学的レベルおよび遺伝子レベルの研究を裏付けるものであり、本細菌が深 海という高圧環境に適応するために電子伝達経路を使い分けているということが本研究により初めて活性レ ベルで明らかになった。

【引用文献】

1. Kato C., Sato T., Horikoshi K., 1995, Isolation and properties of barotolerant bacteria from deep-sea mud samples,

ドキュメント内 Microsoft Word - JJSE5_2_4.doc (ページ 104-112)

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