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SRT (day)

ドキュメント内 土木研究所資料第4212号 (ページ 156-184)

系列A 7.1 1,900 4,500 7.2

系列B 7.1 2,600 5,400 15.9

*値は運転期間中の平均値を示す。

(2) 結果

図-3、4に、流入下水のノロウイルス濃度およびSS濃度を示した。NoV G2濃度のグラフ中のエラーバーは、

PCR反応管2本で測定した際の最大値と最小値を示している。なお、エラーバーがないものは、PCR反応管2本 のうち、1本が検出されないなどした場合を示している。図-5~12に、流入下水のNoV G2濃度およびSS濃度 を示した。また、図-13に、孔径20μmのふるいでろ過した下水処理水(2月2日採取)の懸濁物質の粒径分布 を示す。0.4~1μmの懸濁物質の体積の合計は、系列Aの0.045 mm3/mL、系列Bの0.029 mm3/mLであった。

また、1~12μmの懸濁物質の体積の合計は0.046 mm3/mL、系列Bの0.030 mm3/mLであった。

既往の報告14)から、SRTが長くなると、微小懸濁物質の除去性が向上することが推測され、2月2日の試料(図 -8、13参照)からは、その傾向が見られた。また、その際、ろ過無しの下水処理水では、系列Bにおいて、ノロ ウイルス濃度が系列Aより少なく、微小粒子の除去性の向上によってノロウイルス濃度が減少している可能性が 考えられた。しかしながら、本実験系ではSV30が20-30%程度になる時期があるなどして、水処理系が安定しに くかったこともあり、2月2日の試料以外では、SRTと微小粒子の挙動の明確な差異は見られなかった。

また、ノロウイルス濃度は、リアルタイムPCR反応チューブあたりのコピー数が低い場合に、測定値の変動係 数が大きくなったり、粒子の大きさや性状によって回収率が変化したりすることが考えられることから、本実験

2.3 下水処理における微小懸濁物質とウイルスの除去

下水処理における微小懸濁物質の除去に関する実態とウイルスの除去の実態を把握することにより、下水処理 場における効果的なウイルスの除去方法の開発に資することが期待される。そこで、平成22年度は、同一の実下 水を用いた下水処理プラントにおける懸濁物質とウイルスの除去の実態について調査した。

(1) 方法

表-2の条件で運転された下水処理プラントA, Bにおいて、2011年1~2月に、流入下水およびそれぞれの処理 水を採取した。採取後、最終沈殿池等において重力によって沈殿可能と思われる粒子の影響を取り除くため 2 時 間静置し、上済みを採取することとした。流入下水は一度のみ測定した。下水処理プラントは、標準活性汚泥法 で運転されている。浮遊物質、ノロウイルス濃度を測定した。また、2月2日の試料のみ2.2で確認した電気的 検知帯法によって微小粒子の粒径分布を測定した。

ノロウイルス濃度は、採取した処理水を孔径20μmのふるい、孔径1μmのガラス繊維ろ紙、孔径0.4μmの ガラス繊維ろ紙でろ過し、それぞれのろ過水およびろ過前の試料水を分析した。ノロウイルスは、Norovirus genogroup 2 (NoV G2)を対象とし、分析方法は、文献15)に従った。すなわち、試料にポリエチレングリコール及 び塩化ナトリウムを加え、一晩静置後、10,000gにて遠心し、沈さよりRNAを抽出し、精製の後、リアルタイム

RT-PCR法により定量した。安定した定量値を得られると報告されているリアルタイムPCR反応チューブあたり

10コピー16)以下の試料も検出され、それら同様に取り扱うこととした。

浮遊物質は、採取した処理水を孔径20μmのふるいおよびろ過前の試料水の2種類を分析した。浮遊物質は下 水試験方法17)に従った。

表-2 下水処理プラントの運転条件 下水処理プラント A-HRT

(hour)

曝気槽SS濃度 (mg/L)

引抜汚泥SS 濃度(mg/L)

A-SRT (day)

系列A 7.1 1,900 4,500 7.2

系列B 7.1 2,600 5,400 15.9

*値は運転期間中の平均値を示す。

(2) 結果

図-3、4に、流入下水のノロウイルス濃度およびSS濃度を示した。NoV G2濃度のグラフ中のエラーバーは、

PCR反応管2本で測定した際の最大値と最小値を示している。なお、エラーバーがないものは、PCR反応管2本 のうち、1本が検出されないなどした場合を示している。図-5~12に、流入下水のNoV G2濃度およびSS濃度 を示した。また、図-13に、孔径20μmのふるいでろ過した下水処理水(2月2日採取)の懸濁物質の粒径分布 を示す。0.4~1μmの懸濁物質の体積の合計は、系列Aの0.045 mm3/mL、系列Bの0.029 mm3/mLであった。

また、1~12μmの懸濁物質の体積の合計は0.046 mm3/mL、系列Bの0.030 mm3/mLであった。

既往の報告14)から、SRTが長くなると、微小懸濁物質の除去性が向上することが推測され、2月2日の試料(図 -8、13参照)からは、その傾向が見られた。また、その際、ろ過無しの下水処理水では、系列Bにおいて、ノロ ウイルス濃度が系列Aより少なく、微小粒子の除去性の向上によってノロウイルス濃度が減少している可能性が 考えられた。しかしながら、本実験系ではSV30が20-30%程度になる時期があるなどして、水処理系が安定しに くかったこともあり、2月2日の試料以外では、SRTと微小粒子の挙動の明確な差異は見られなかった。

また、ノロウイルス濃度は、リアルタイムPCR反応チューブあたりのコピー数が低い場合に、測定値の変動係 数が大きくなったり、粒子の大きさや性状によって回収率が変化したりすることが考えられることから、本実験

結果についても注意が必要である。定量的な解析に用いるに足る信頼性を持っていない可能性があり、本実験の 結果からは明確な傾向が見いだせなかった。

比較的精度よく分析されたと思われる流入下水(上澄み、1月4日採取)、下水処理水(1月14日採取)の系列 A、下水処理水(2月21日採取)の系列AのNoV G2の各形態の割合を図-14、15、 16に示す。

図-3 流入下水(上澄み、1月4日採取)中の各形態で のNoV G2濃度

図-4 流入下水(上澄み、1月4日採取)中の各形態 でのSS濃度

図-5 下水処理水(1月14日採取)中の各形態でのNoV G2濃度

図-6 下水処理水(1月14日採取)中の各形態での SS濃度

図-7 下水処理水(2月2日採取)中の各形態でのNoV G2濃度

図-8 下水処理水(2月2日採取)中の各形態での SS濃度

図-13 孔径20μmのふるいでろ過した下水処理水(2月2日採取)の懸濁物質の粒径分布 図-9 下水処理水(2月7日採取)中の各形態でのNoV

G2濃度

図-10 下水処理水(2月7日採取)中の各形態での SS濃度

図-11 下水処理水(2月21日採取)中の各形態での NoV G2濃度

図-12 下水処理水(2月21日採取)中の各形態で のSS濃度

図-13 孔径20μmのふるいでろ過した下水処理水(2月2日採取)の懸濁物質の粒径分布 図-9 下水処理水(2月7日採取)中の各形態でのNoV

G2濃度

図-10 下水処理水(2月7日採取)中の各形態での SS濃度

図-11 下水処理水(2月21日採取)中の各形態での NoV G2濃度

図-12 下水処理水(2月21日採取)中の各形態で のSS濃度

3. まとめ

本調査の結果、以下の事項が明らかとなった。

1) 下水処理水および超純水に標準物質(Silica および Polystyrene)を添加し、電気的検知帯法の測定精度を確認 したところ、下水処理水に標準物質を添加した際には、0.5μmもしくはそれより幾分大きい範囲でピークが検出 された。

2) 下水処理水および超純水に標準物質を添加し、電気的検知帯法の測定精度を確認したところ、直径 1~12μm 懸濁物質総体積は、標準物質より1/5および2/5程度であり、過小な評価となった。

3) 下水処理水を 14 日間保管した際の、電気的検知帯法の測定精度への影響を確認したところ、冷蔵で保管され た下水処理水は、保管される前の下水処理水に比べて、1μm程度の大きさの粒子の体積が小さく、0.4-0.5μmの 粒子の体積がやや大きい傾向があるものの懸濁物質の総体積は、保管前の105%であり、精度よく測定された。一 方で、冷凍で保管された下水処理水は、直径0.8μm以下の懸濁物質の体積が小さくなっていた。0.4-12μmの懸 濁物質の体積の合計は、冷蔵で保管された下水処理水は、保管される前の下水処理水に比べて、47%であった。

4) 下水処理プラントでの実験より、SRTが長い系が、短い系に比べて微小懸濁物質の除去性が高い場合があった。

図-14 流入下水(上澄み、1月4日採取)の測定値から 推測された各粒子に付着したNoV G2の内訳

図-15 系列Aの下水処理水(1月14日採取)の測定値

から推測された各粒子に付着したNoV G2の内訳 図-16 系列Aの下水処理水(2月21日採取)の測定値 から推測された各粒子に付着したNoV G2の内訳

参考文献

1) 社団法人日本下水道協会、平成20年下水道白書 日本の下水道、2008.

2) 内閣府大臣官房政府広報室、水に関する世論調査、2008.

3) 下水処理水の再利用のあり方を考える懇談会報告書、新たな社会的異議を踏まえた再生水利用の促進に向けて、

2009.

4) P.H.Walker, K.D.Woodyer, J.Hutka, Particle-size measurements by Coulter Counter of very small deposits and low suspended sediment concentrations in streams, Journal of Sedimentary Research, 44(3), 673-679, 1974.

5) John G. Harfield, R. Tony Wharton, Roy W. Lines, Response of the Coulter Counter® Model ZM to Spheres, Particle characterization, 1(1-4), 32-36,1984.

6) Erdogan Ozturgut, J. William Lavelle, New method of wet density and settling velocity determination for wastewater effluent, Environ. Sci. Technol., 18 (12), pp 947–952, 1984.

7) Dahong Li and Jerzy Ganczarczyk: Size Distribution of Activated Sludge Flocs, Research Journal of the Water Pollution Control Federation, 63(5), 806-814, 1991.

8) G. H. McTainsh, A. W. Lynch, R. Hales, Particle-size analysis of aeolian dusts, soils and sediments in very small quantities using a Coulter Multisizer, Earth Surface Processes and Landforms, 22, 13, 1207-1216,1997.

9) M. Cristina Bonferoni, Cristina Ciocca, Henk G. Merkus, Carla Caramella, Proposals of a procedure for mass recovery of standard materials: Comparison between two electrical sensing zone instruments, Particle & Particle Systems Characterization, 15(4), 174-179, 1998.

10) Yves Plancherel, James P. Cowen, Towards measuring particle-associated fecal indicator bacteria in tropical streams, Water Research, Volume 41, Issue 7, April 2007, Pages 1501-1515, ISSN 0043-1354, DOI:

10.1016/j.watres.2006.12.021.

11) Jeffrey A. Nason, Desmond F. Lawler, Particle size distribution dynamics during precipitative softening:

Declining solution composition, Water Research, Volume 43, Issue 2, February 2009, Pages 303-312, ISSN 0043-1354, DOI: 10.1016/j.watres.2008.10.017.

12) Jeffrey A. Nason, Desmond F. Lawler, Particle size distribution dynamics during precipitative softening:

Constant solution composition, Water Research, Volume 42, Issue 14, August 2008, Pages 3667-3676, ISSN 0043-1354, DOI: 10.1016/j.watres.2008.05.016.

13) 飯田健次郎:液中粒子数濃度の計測および校正技術に関する調査研究, 産総研計量標準報告 8(2), 213-243, 2011.

14) Water Reuse: Issues, Technologies, and Applications, Metcalf & Eddy, Inc. an AECOM Company, 2007.

15) 諏訪守、尾崎正明、岡本誠一郎、陶山明子、下水処理のノロウイルス除去効果とその検出濃度に及ぼす濃縮法 の影響、下水道協会誌、46(561)、91-101、2009.

16) 陶山明子、諏訪守、鈴木穣、尾崎正明、下水試料からのノロウイルス定量法の検討、環境工学研究論文集、第 43巻、255-261、2006.

17) 建設省都市局下水道部・厚生省生活衛生局水道環境部監修、社団法人日本下水道協会発行、下水試験方法 上 巻 -1997年版-

ドキュメント内 土木研究所資料第4212号 (ページ 156-184)

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