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4 ライポルトの「21世紀の意思表示の到達」像

CISG 24 条(「到達」の定義)

54) RGZ 99, 20

55) ブレクセルの分析では,「どうやら衡平考量 (Billigkeitserwägungen) による」ものと される (R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 33)。

56) R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 17f. ; Staudinger/Singer/Benedict, a.a.O. (Fn. 1), §130 Rz. 40.

57) この形成・発展経過については,R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 11ff. 参照。ただし a で前述 したコザックは,RG 1920年判決以後もその立場を変えていない (vgl. K. Cosack, a.a.O.

(Fn. 53), S. 184)。

58) Brox/Walker, a.a.O. (Fn. 5), Rz. 150.

59) BGH LM Nr. 2 zu §130 BGB.

60) それゆえ「当該準備が夜間に行われるときは,相手方はようやく翌朝,郵便局の営業が 始まってから手紙を読むことができる」ということになる (Brox/Walker, a.a.O. (Fn. 5), Rz. 149a)。

61) Etwa Wolfgang Nippe, Der Zugang der Kündigung bei Urlaubsabwesenheit des Arbeitsnehmer―LAG Berlin, BB 1988, 484, JuS 1991, S. 286 ; J. Nord, a.a.O. (Fn. 1), S. 101.

62) R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 19f.

63) BGHZ 67, 271 = NJW 1977, 194. その後同様の判決をするものとして,たとえば BGH 1989年 3 月15日判決 (NJW-RR 1989, 757)。

64) Staudinger/Coing, Kommentar zum Bürgerlichen Gesetzbuch, 11. Aufl. (1957), §130 Rz.

5 ; Münchener/ Förschler, Kommentar zum Bürgerlichen Gesetzbuch, 1. Aufl. (1978), §130 Rz. 14ff.(ただし Münchener/ Förschler, Kommentar zum Bürgerlichen Gesetzbuch, 2.

Aufl. (1984), §130 Rz. 10ff. は,「取引の要請を正当に評価しない」ことを理由に通説へと 改説したものと思われる) ; Soergel/Hefermehl, Bürgerliches Gesetzbuch, 12. Aufl. (1987),

§130 Rz. 8, 11, 12a ; Werner Flume, Allgemeiner Teil des Bürgerlichen Rechts : 2. Band -Das Rechtsgeschäft, 4. Aufl. (1992), §14 3b. Vgl. etwa auch R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S.

14f. ; Münchener/Einsele, a.a.O. (Fn. 3), §130 Rz. 16 ; Nomoskommentar/Faust, a.a.O. (Fn.

3), §130 Rz. 2, 23f. なお彼らの見解をベースに通説批判を展開するものとして,後述 f の R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 24ff.。

65) なおヘファーメールは,自らの分離的理解を「撤回の許容性 (BGB 130条 1 項 2 文)に つ い て 法 律 上 意 味 が あ る」だ け で,「そ れ 以 外 に 差 違 は な い」と す る (Soergel/

Hefermehl, a.a.O. (Fn. 64), §130 Rz. 8)。つまり彼らの少数説によれば,表示が勢力・支配 圏に入った時点ですでに撤回できなくなるが,それにもかかわらず表示の効力発生はこの

時点よりも遅らされる可能性があるため,「表意者を不利にする」。とにかく表示がすでに 到達したにもかかわらず,いまだ効力を生じていないのは複雑であろう (D. Medicus, a.a.

O. (Fn. 27), Rz. 275 ; Nomoskommentar/Faust, a.a.O. (Fn. 3), §130 Rz. 26)。

66) D. Medicus, a.a.O. (Fn. 27), Rz. 275. それ以外にも,次のような批判がなされる。「意思 表示の効力発生とは,欲されたものを法律上妥当せしめることである。到達時点前あるい は後に……効力発生を認めるには,……別のことを決める明確な規律が必要であろう。こ の理論的な精神の分裂 (Schizophrenie) は,とにかく BGB 130条からは看取されない」,

と (Jörg Benedict, Versuch einer Entmythologisierung des Zugangsproblematik (§130 BGB) (2000), S. 101)。Vgl. etwa Staudinger/Singer/Benedict, a.a.O. (Fn. 1), §130 Rz. 74.

67) F. Faust, a.a.O. (Fn. 17), §2 Rz. 20.

68) BGH VersR 1994, 586.

69) OLG Hamm NJW-RR 1995, 1187.

70) BGHZ 137, 205 = BGH, NJW 1998, 976. 当該判決について詳しくは,拙稿・前掲注14) 29頁注(15)参照。

71) なおドイツの書留郵便には,いわゆる従来型の受領確認書 (Empfangsbestätigung) と 引き換えに名宛人に手交される「手渡書留郵便 (Übergabe-Einschreiben)」 と,1997年に 導入された,通常郵便のように郵便受けや郵便私書箱に配達された事実を郵便配達員が記 録する「郵便受けへの配達記録郵便 (Einwurf-Einschreiben)」 の二種類がある(拙稿・前 掲注14)25頁以下)が,本文の書留郵便は前者である。後者は名宛人不在の場合に有効な 方法であるが,その証明価値は,本質的に前者のそれよりも劣る (F. Faust, a.a.O. (Fn. 17),

§2 Rz. 29)。

72) また BGH は,差出人Xが書留郵便の返戻を受けてからすぐに遅滞なく,表示使者など を使って何とかYに表示を到達させようと試みていれば,表示が期間経過後に到達したこ とをYが主張することは信義則上許されないとすることも可能であった(いわゆる遡及効 的解決 (Rückwirkungslösung)) としながらも,本件では,X はもはや間に合わないと勝 手に思い込んで,このような試みをしていないとする(拙稿・前掲注14)29頁(注)15))。

このように「到達障害の場合には表意者に再度の伝達によって当該意思表示の有効化を企 図するか再度の伝達を試みないで当該の意思表示を無効化するかの選択を認める」が,こ の判断について,須永(醇)教授は,とくに故意の受領拒絶事例を念頭に,「最初の到達 障害で到達が擬制されると表意者の方も当該の意思表示に拘束されることになるから,こ れを避けさせたいという考慮が働いているようである」と分析する(川島ほか編・前掲注 23)539頁以下[須永])。

73) Vgl etwa Heinrich Dörner, Rechtsgeschäfte im Internet, AcP 202(2002), 367 ; R. Bork, a.a.

O. (Fn. 8), Rz. 623 ; Brox/Walker, a.a.O. (Fn. 5), Rz. 150ff. ; F. Faust, a.a.O. (Fn. 17), §2 Rz.

16f ; Nomoskommentar/Faust, a.a.O. (Fn. 3), §130 Rz. 23 Anm. 31 ; Winfried Schwabe, Lernen mit Fällen : Allgemeiner Teil des BGB Materielles Recht & Klasurenlehre, 6. Aufl.

(2012), S. 42 ; P. Thalmair, a.a.O. (Fn. 30), S. 14f ; Boemke/Schönfelder, a.a.O. (Fn. 2), S. 9.

74) こ の 表 現 は,「到 達 は 二 段 階 で (in zwei Stufen) 吟 味 さ れ う る」と い う ニッ ペ (Wolfgang Nippe) の叙述 (a.a.O. (Fn. 61), S. 286) を基にしたものである。

75) Nomoskommentar/Faust, a.a.O. (Fn. 3), §130 Rz. 23.

76) Brox/Walker, a.a.O. (Fn. 5), Rz. 150.

77) Vgl. J. Benedict, a.a.O. (Fn. 66), S. 100.

78) Vgl. etwa Staudinger/Singer/Benedict, a.a.O. (Fn. 1), §130 Rz. 73. ただし本文の時点よ り前に,相手方が実際に了知するに至った場合には,もとより――了知主義の原則によれ ば――この了知時点に到達したことになる(たとえば小林・前掲注 1 )85頁)。

79) Staudinger/Singer/Benedict, a.a.O. (Fn. 1), §130 Rz. 74. この点で,上記 c で見たとお り分離説が主張されたのは,それなりにうなづける。

80) J. Nord, a.a.O. (Fn. 1), S. 14f., 121.

81) なおブレクセルは,著書執筆当時(1998年)の学説状況について詳しく紹介している (vgl. R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 77ff.)。

82) CISG 24条も,BGB 130条同様,いつの時点で到達が認められるか,その詳細について は定めていないが,CISG 7 条 1 項に よれば,少なくとも建前上は,一様でない各国の国 内法の解釈に立ち戻らず CISG 独自の解釈により探求されることになる (R. Brexel, a.a.O.

(Fn. 12), S. 1f.)。

83) R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 31ff., 34ff., 40ff.

84) BAG NJW 1989, 606=JZ 1989, 295.【判決要旨】「労働者の実家住所に宛てられた解約告 知書面は原則,労働者が休暇中旅行に出かけていることを雇用主が知っていた場合であっ ても,労働者に到達する。」

85) R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 36ff.

86) Vgl. etwa Münchener/Gruber, Kommentar zum Bürgerlichen Gesetzbuch, 5. Aufl. (2008), Art. 24 CISG Rz. 12.

87) CISG 7 条(条約の解釈原則,規定欠缺の場合の処理)

⑴ この条約の解釈にあっては,国際的性格ならびに適用における統一および国際取引 における信義の遵守を促進する必要性が考慮されるべきものとする。

⑵ この条約により規律される事項で,条約中に解決方法が明示されていない問題につ いては,この条約の基礎にある一般原則に従い,またこうした原則がない場合には,国際 私法の準則により適用される法に従って解決されるべきものとする。

当該条文訳は,甲斐ほか編・前掲注31)60頁[中田邦博]から引用した。

88) すでに類似の指摘をしたものとして,Münchener/ Förschler, a.a.O. (Fn. 64 [1. Aufl.]), § 130 Rz. 14。

89) なお現在も,ブレクセルの見解が CISG における通説である (vgl. Münchener/Gruber, a.a.O. (Fn. 86), Art. 24 CISG Rz. 12 Anm. 39)。

90) CISG 16条(申込みの撤回)

⑴ 申込みの相手方が承諾の通知を発する前に,撤回の通知が申込みの相手方に到達す れば,契約が締結されるまでは,申込みは撤回することができる。

⑵ しかしながら,以下のいずれかの場合には,申込みの撤回はできない。

⒜ 承諾期間の設定またはその他の方法で申込みが撤回されないことを示している場 合,または,

⒝ 申込みの相手方が申込みが撤回されないと信頼したことが合理的であり,かつ,

申込みの相手方が申込みを信頼して行動した場合。

当該条文訳は,甲斐ほか編・前掲注31)120頁[田中康博]から引用した。

CISG 29条(合意による契約の変更および契約の解消)

⑴ 契約は当事者の合意のみで変更または解消できる。

⑵ 書面による契約が,合意によるその変更または解消は書面によるべき旨を定めると きは,その他の方法で合意により変更または解消することはできない。ただし,当事者 は,自己の行動に対して相手方が信頼を置いたかぎりで,この定めを援用することができ ない。

当該条文訳は,甲斐ほか編・前掲注31)223頁[中田邦博]から引用した。

91) R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 92ff.

92) この事実を,ブレクセルは,CISG の礎となった――国際動産売買に関する統一法 の――「ハーグ会議 (Haager Konferenz) で,通常の営業時間外に意思表示が到着した場 合に郵便受け……に投入された時点が到達にとって決定的であるべきか,あるいは通常の 状況下で名宛人が当該表示を了知できた時点かという問題が審議されていた」ことから,

ノイマイヤー (Karl H. Neumayer) 同様,「奇異である (verwunderlich)」 と述べる (R.

Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 95f.)。

93) CISG 9 条(慣習および慣行の尊重)

⑴ 当事者は,自らが合意した慣習,および当事者間で確立されている慣行に拘束され る。

⑵ 別段の合意がないかぎり,当事者は,当事者が知りまたは知るべきであった慣習で あって,国際取引において関連する特定の取引分野で同種の契約をする者に広く知られ,

かつ,通常遵守されているものを,黙示的に当事者間の契約またはその成立に適用するこ とにしたものとされる。

当該条文訳は,甲斐ほか編・前掲注31)80頁[高嶌英弘]から引用した。

94) R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 97f.

95) R. Brexel, a.a.O. (Fn. 12), S. 120.

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