• 検索結果がありません。

3.2 LTE 用送信機の設計

3.2.2 QMOD コア回路

低雑音の QMOD を実現するには、受動型の QMOD が適している。図 3-6 に、従来の受 動型 QMOD の回路構成を示す。従来の受動型 QMOD は低雑音特性を示すものの、線形性 が低い問題がある。線形性が低い主な原因は、図 3-6に点線で示したような貫通電流が存在 するためである。従来のQMODでは、LOIとLOQが同時にハイになる期間があり、この期 間中はLOIとLOQが駆動するNMOSが同時にオンになる。そのため、BBIとBBQ間のイ ンピーダンスが低下する。この同時オンによって、BB バッファから見た QMOD の入力イ ンピーダンスが低下するため、線形性を保つためにはBBバッファの消費電力を増大して駆 動力を向上させる必要がある。図 3-7 は、回路シミュレーションにより求めた BBI から見 た入力インピーダンス(ZBBin)の周波数依存性である。LO信号の周波数はバンド1の1950 MHz に設定した。ZBBinは、わずか 19 Ωである。ZBBinを増大させるには、25%デューティ LO技術は非常に有効である。図 3-7には、25% LOを用いた時のZBBinも示している。ZBBin は 79 Ωであり、約 4 倍に増大させることができる見通しである。しかしながら、25%LO 技術は、25%LO 生成器が必要になることから消費電力が増加するだけでなく、奇数分周を 用いて生成されたLO信号を用いた時にIRRや線形性に問題が発生してしまう。

図 3-6 従来の受動ミキサの回路構成と問題点

Overlap

- 52 -

図 3-7 受動ミキサをベースバンド・バッファから見たときの入力インピーダンス

0 20 40 60 80 100 120 140

0.1 1 10 100

|Z

BBin

| ]

BB frequency [MHz]

Proposed

25% Duty

50% Duty

- 53 -

そこで、図 3-8 に示すような、容量を用いて I 信号と Q 信号を合成する回路構成を提案 した。I信号とQ信号の間に容量(C1とC2)を挿入することによって、低周波の信号はI/Q 間でアイソレートされると考えられる。その結果、ZBBin は増大することが期待される。単 純な直列回路と考え、C1とC2を1 pFとすると、80 MHzでは3978 Ωのインピーダンスが 追加されるはずである。しかしながら、QMODでは[13]で示されたインピーダンス変換と同 様の原理で、ノード A から RF 側を見た LO 周波数におけるインピーダンス(ZA)が周波 数変換に伴って低周波の ZBBinにダウンコンバートされてしまう。ZBBinを大きくするには、

LO周波数近傍のZAが大きくなるように設計する必要があった。加えて、[13]と異なり送信 機の場合には、ノード B から BB 側を見た LO 周波数近傍のインピーダンス(ZB)も考慮 する必要がある。なぜなら、BBバッファの出力インピーダンス(ZQおよびZQB)がLOQ とLOQBによってアップコンバートされてZBとなりZAに影響するためである。

ZBのZAへの影響を明らかにするため、ノードAからRF側を見た等価回路を図 3-9に 示す。ZA を増大させるため、チョーク・インダクタを用い、共振周波数を LO周波数近傍 に設定した。共振インピーダンスを最大化するには共振回路の Q 値を大きくする必要があ り、ZQ(およびZQB)は低抵抗であるか、容量性のインピーダンスであることが求められ る。DC 近傍の低周波で容量性のインピーダンスを実現することは困難であるため、BB バ ッファ回路の出力抵抗(RBBout)は低抵抗である必要がある。そこで、ソースフォロワ回路 をBBバッファ回路として用いることとした。図 3-10は、RBBoutの影響を調査するための回 路であり、図 3-11 は図 3-10 の回路を用いてシミュレーションにより求めた ZBBinRBBout 依存性である。RBBoutが増加するに従って、ZBBinは低下することが明らかとなった。しかし ながら、ソースフォロワ回路の出力抵抗である 9 Ωの RBBoutでは高い ZBBinを保っており、

114 Ωの ZBBinとなる見通しが得られた。図 3-7 に、提案したQMOD のZBBinも示した。提

案したZBBinは25%デューティLOを用いた場合の約1.5倍である。これらの検討結果より、

提案した QMOD は従来の QMOD に比べて高い線形性が得られるだけでなく、消費電力も 低減できることが明らかとなった。

- 54 -

図 3-8 提案したQMOD回路の構成

図 3-9 提案したQMOD回路の等価回路

- 55 -

図 3-10 BBバッファの出力インピーダンスの影響を調べるための回路

図 3-11 BBバッファの出力インピーダンスの影響

0 20 40 60 80 100 120 140

0.1 1 10 100

|Z

BBin

| [ Ω ]

R

BBout

[Ω]

- 56 -