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QCD 型の理論

ドキュメント内 2017 II 1 Schwinger Yang-Mills 5. Higgs 1 (ページ 40-45)

6 Yang-Mills 場(非アーベル的なゲージ場)

6.1 QCD 型の理論

量子電磁力学(これはAbel的なゲージ場理論と呼ばれる)の素直な非Abel 的な群への一般化であるQCD(Quantum Chromodynamics、量子色力学) と同じ形をした理論の構成の説明から始めたい。この理論のLagrangianは L= ¯ψ(iD̸ −m)ψ+LY M (6.22) のように書かれる。ここでのDirac行列の規約は、γ0 行列はエルミート的で 空間的な成分γkは反エルミート的で、空間の計量をgµν = (1,1,1,1) として

γµγν +γνγµ = 2gµν (6.23) が成立し、

γ5 = 0γ1γ2γ3 = γ5,5)2 = 1 (6.24) を満たすγ5はエルミート的である。共変微分Dµ

̸

D ≡γµDµ = γµ(∂µ

a

igAaµTa) γµ(∂µ−igAµ) (6.25) のようには非Abel的な群の生成演算子Taを用いて定義される。非Abel的 なゲージ場は生成演算子の数と同じ数の成分を持つ。ただし、今後は同じ 添え字が2回現れるときには、断らない限りその添え字について和をとる

ものとする。あるいは最後の表式のようにAµ = AaµTaと書かれる場合も多 い。ゲージ場の場の強さのテンソルFµνa (電場E⃗ と磁場B⃗ の一般化)は

[Dµ, Dν] = −ig(∂µAaν −∂νAaµ +gfabcAbµAcν)Ta ≡ −igFµν (6.26) で定義される。LY M は非Abel的なゲージ場(Yang-Mills場と呼ばれる)

に対して

LY M = 1 4

µ,ν,a

Fµνa Faµν

= 1

4(∂µAaν −∂νAaµ+ gfabcAbµAcν)2 (6.27)

であり、Maxwellの電磁場理論の作用の一般化である。

ここで、非Abel的な群の復習をしておく。一般のコンパクトで連結な 群は単純群とAbel的な群の直積に分解される。単純な非Abel的な群の生 成演算子Taはエルミート的な行列で与えられ、

[Ta, Tb] = TaTb −TbTa = ifabcTc (6.28) の関係を満たす。添え字a, b, cに関して完全反対称なfabcは構造定数

(structure constant) と呼ばれる。ただし、生成演算子の規格化は trTaTb = 1

2δab (6.29)

で与えられるものとする。具体的には、角運動量でもおなじみの群SU(2) の場合には、生成演算子(の基本表現)は次の3個のPauli行列を用いた式 で与えられ

T1 = 1 2

0 1 1 0

, T2 = 1 2

0 −i i 0

, T3 = 1 2

1 0 0 1

(6.30)

代数関係

[Ta, Tb] = abcTc (6.31) を満たす。ただし、ϵabcは3個の添え字に関して完全反対称なϵ123 = 1を満 たすシンボルである。

SU(3)の場合には、Gell-Mann行列と呼ばれるPauli行列を33 に一般化した8個のa, a= 1 8}を用いて

Ta = 1

2λa, a = 1 8 (6.32)

で与えられる。一般に、n行n列で行列式が1のユニタリーな行列が作る 群SU(n)は、n2 1個の生成演算子で定義され、したがってゲージ場も n2 1個現れる。この講義ではSU(n)型の群のみを考えることにする。

さて、上記の経路積分に現われるDirac場は、群SU(2)の場合には詳し く書くと

ψ(x) =

ψ1(x) ψ2(x)

, (6.33)

のように、通常の4成分のDirac場ψ1(x), ψ2(x)を二つ含んでいる。した がって、Dirac行列も通常の4行4列のγ行列を対角線に沿って2個並べた 88列の行列で表示するのが正しいが、上記のように略記しても誤解は ないので、通常は上記のように書かれる。現実の強い相互作用を記述する QCDのようにゲージ群がSU(3)の場合には3個のDirac場を一つの組にし て考えることになる。

例えば、ゲージ群がSU(2)の場合を考えると、群SU(2)に値を持つ任 意の関数はωa(x)を実の関数として

g(x) = exp[i

3 a=1

ωa(x)Ta] SU(2) (6.34) のように、上記のPauli行列で表わした群SU(2)の生成演算子Ta を用い て書くことができる。このとき、非Abel的な(局所)ゲージ変換と呼ば れるものは

ψ(x) →ψ(x) = g(x)ψ(x), ψ(x)¯ →ψ¯ = ¯ψ(x)g(x) (6.35) Aµ(x)

a

Aµ(x)aTa Aµ(x) = g(x)Aµ(x)g(x) + 1

ig(∂µg(x))g(x) という置き換えで定義される。すなわち、ゲージ変換とは物質場ψ(x)に関 しては時空間の各点において(すなわち局所的な)g(x)で指定される内部 自由度の空間内の回転に対応し、ゲージ場Aµに関しては回転(第一項)と 併進(第2項)の組み合わせで表現される。このときは共変微分Dµ

Dµ = µ −igAµ(x) =g(x)(∂µ−igAµ(x))g(x) =g(x)Dµg(x) (6.36) のように変換することが確かめられ、したがってDµψ(x)

Dµψ(x) = (∂µ−igAµ(x))ψ(x) = g(x)(∂µ−igAµ(x))ψ(x) = g(x)Dµψ(x) (6.37)

のように、場の変数ψ(x)と同じゲージ変換則を持ち、この理由でDµは共 変微分(covariant derivative)と呼ばれる。また場の強さのテンソルは共 変微分の変換則から

[Dµ, Dν] = −igFµν = g(x)[Dµ, Dν]g(x) = g(x) (−igFµν)g(x) (6.38) のように変換される。

したがって、g(x)g(x) = 1に注意すると上記のLagrangianはゲージ変 換に関して

L = ¯ψ(iD̸ −m)ψ− 1

4Fµνa Faµν

= ¯ψ(iD̸ −m)ψ 1

2trFµνFµν

= ¯ψ(i −m)ψ 1

2trFµν Fµν (6.39) のように形を変えない、すなわちゲージ不変であることがわかる。ただし trTaTb = (1/2)δabを用いた。ここで重要なことは、質量項ψmψ¯ もゲージ 不変なことである。関数g(x)自身もゲージ変換と呼ばれることが多い。

非アーベル的なゲージ理論の量子化は、経路積分で

exp[i

¯ h

d4xLef f] (6.40)

で与えられる。ここで、有効Lagrangian Lef f Lef f = ψ(i¯ −m)ψ− 1

4Fµνa Faµν +Ba(x)∂µAaµ

−i¯ca(x)∂µ[∂µca(x) +gfabcAbµ(x)cc(x)] (6.41) で定義され、経路積分の測度は

= ¯DψDAaµDBaD¯caDca (6.42) で定義される。ただし、ここではLorentz(あるいはLandau)ゲージと呼 ばれるゲージ条件

µAaµ(x) = 0 (6.43)

を採用した。スカラー場Ba(x)は上記のゲージ条件を定義するための補助 場であり、フェルミ粒子的なスカラー場ca(x)はFaddeev-Popovのゴー スト場であり¯ca(x)は反ゴースト場である。

6.2 カイラルなゲージ理論

Weinberg-Salam理論と呼ばれる弱い相互作用と電磁相互作用の統一理論

は、カイラルなゲージ群あるいはカイラルなゲージ場を用いて構成される。

現実的な理論で重要なのは群SU(2)Lなので、この構成の概要を説明した

い。群SU(2)の生成演算子を用いて、カイラルな群の生成演算子を

TLa Ta(1−γ5

2 ) (6.44)

で定義する。ここで、γ5はエルミートなDirac行列で (γ5)2 = 1,

5, γµ}+ = γ5γµ +γµγ5 = 0 (6.45) の関係を満たす。したがって、(12γ5)は

(1−γ5

2 )(1−γ5

2 ) = (1−γ5

2 ) (6.46)

の関係を満たし、射影演算子を与える。この射影演算子の性質を用いると、

上の(6.44)で定義したTLa

[TLa, TLb] = abcTLc (6.47) の関係を満たすことが示される。このTLaで生成されるゲージ群がSU(2)L である。

カイラルなゲージ場とDirac粒子の結合は L = ψi¯ D(̸ 1−γ5

2 )ψ 1

4Fµνa Faµν

= ψiγ¯ µ(∂µ−igAaµTLa)(1−γ5

2 )ψ 1

4Fµνa Faµν

= ψ¯Lµ(∂µ−igAaµTLaL 1

4Fµνa Faµν (6.48) で定義され、このLagrangainはゲージ変換のパラメターを

gL(x) = exp[iωa(x)TLa] (6.49) で定義するとき

ψL(x) →ψL(x) = gL(x)ψL(x), ψ¯L(x) ψ¯L = ¯ψL(x)gR(x) (6.50) Aµ(x)

a

Aµ(x)aTLa Aµ(x) = gL(x)Aµ(x)gL(x) + 1

ig(∂µgL(x))gL(x)

̸

DL = γµ(∂µ−igAµ(x))(1−γ5

2 ) ↛DL = gR(x) LgL(x) (6.51)

ドキュメント内 2017 II 1 Schwinger Yang-Mills 5. Higgs 1 (ページ 40-45)

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