• 検索結果がありません。

Py / Al スピンバルブ素子における Hanle 効果

ドキュメント内 面内スピンバルブ素子における Hanle 効果 (ページ 30-34)

第 3 章 実験結果 23

3.2 Py / Al スピンバルブ素子における Hanle 効果

Py/Cu面内スピンバルブ素子では、Alを蒸着し酸化させたが、トンネル接合を作製するこ とができなかった。これは、Py細線の表面状態が均一でなかったり、Al表面が一様に酸化し ていないことが理由だと考えられる。そこで、トンネル接合素子を作製する場合、以下のよ うなプロセスを行った。まず、はじめにAl を60 nm蒸着し、チャンバー内で酸素雰囲気中

(20 Pa , 20分)にてAlの酸化を行った。その後、Pyを斜めから40 nm蒸着しリフトオフし作

製した(図3.6(b))。この方法を用いることで絶縁層を効率よく作製できるはずである。一方、

オーミック接合素子では、初めにPy斜めからを30 nm蒸着し、次にAlを60 nm蒸着した(図

3.6(a))。この際、試料フォルダーを液体窒素温度までに冷やして蒸着を行う必要がある。Al

は、常温での蒸着中にグレイン組織を形成しやすいためである。グレインが大きい場合、最悪 スピンバルブ素子を作製することが出来ない(図3.6(c))。

Py

Py Al

Py Al

1 mμ 1 mμ 1 mμ

1 mμ

(a) (b)

(c)

グ レ イ ン

3.6.(a)Py/Alオーミック接合スピンバルブ。(b)Py/Alトンネル接合スピンバルブ。(c)常温蒸 着でAlのグレインが成長した場合。

-0.01 0 0.01

1131 1132 1133 1134 1135

DC current (mA)

dV/dI(Ω)

I V

Tunnel

(a) (b)

Py / Al tunnel

@10 K

Cu Py

I

+ +DC V+

I-V

-図3.7.(a)I-V曲線模式図。(b)Py/Al接合部での微分抵抗測定結果。

試料作製後、トンネル接合であることを確認するためPy/Al接合部の微分抵抗測定を行っ た。トンネル接合におけるI-V曲線は図3.7の様になるから、測定した微分抵抗(dV/dI)曲線 がトンネル特性を示すことが定性的にわかる。

次にAlのスピン拡散長を求めるため、トンネル接合素子におけるスピン蓄積現象のHanle 効果を測定した。素子の問題で強磁性細線の垂直磁場に対するAMRを直接測定することはで きない。そこで、面直磁場に対するPy細線の磁化過程を、磁場がPy細線の磁化容易軸に直 角に印加された場合で近似を行う。この時、外部磁場、飽和磁場をそれぞれB,BS とおくと、

sinθ= B/BS が成り立つ。よって式(3.1)は、

V(B)=VB(1−(B/BS)2)+V(B =0)(B/BS)2 (3.2) となる。この式を用いてフィットを行った結果、スピン拡散長λ= √

DτSF=640 nm、Alのス ピン抵抗はRAlS =7.90Ω*4となった。

次に、オーミック接合におけるHanle効果を測定した。図3.9に示すように、トンネル接合 とオーミック接合の場合では、Hanle効果が大きく異なりトンネル接合では垂直磁場に対して 大きな変化を示す。さらにPy/CuとPy/Alオーミック接合素子では、Hanle効果の磁場依存 性が少し異なることもわかった(図3.11)。

0 1 2 3 4

0 5

-5

Magnetic field (kOe) Spin accumulation signal

(m)Ω

L =950 nm

@ 10 K

data Fitting

3.8.スピン蓄積信号()Hanle 効果のフィッティング結果(赤線)。既知の値として、

ρAl = 6.14×108 µΩcmを用いた。フィッティングにより、τSF = 90 ps,D = 4.6× 10−3m2s−1,PJ = 0.091となった。従って、これらから Alのスピン拡散長は、λ =

DτSF = 640 nmとなる。また飽和磁場は、これまでの AMRの結果を参考にして

BS=6.0 kOeととし仮定している。

*4線幅150 nm、膜厚60 nmρAl=6.14×10−8を用いた。

-2 -1 0 1 2 0

0.2 0.4 0.6

Magnetic field (kOe)

H a n le s ig n a l (n o rm a lize d )

⊿R/2

L=950 nm Py / Alスピンバルブ

@10 K

オーミック&'

トンネル&' L=800 nm

トンネルフィット23

3.9.Py/Alオーミック接合およびトンネル接合スピンバルブのHanle効果。縦軸は、スピン 蓄積信号で規格化している。また、実際の測定は負の磁場方向のみを行ったが、Hanle 効果が磁場に対して遇関数になることを利用してB=0で折り返している。また、端子

間距離が150 nm異なっているがAlのスピン拡散長よりも十分小さいと考えられるため

この比較は有効と考えられる。またトンネル接合の場合は原点からずれているが、これ は零磁場付近でのPy細線の磁化方向が精度良く揃っていないためである。

-4 -2 0 2 4

0 0.1 0.2 0.3 0.4 0.5

Magnetic field (kOe)

H a n le s ig n a l (n o rm a lize d )

L= 800 nm

@ 10 K

⊿ R/2

Py / Cu オーミック

Py / Al オーミック

3.10.Py/Alオーミック接合及び、Py/Cuオーミック接合における同端子間距離L=800 nm

でのHanle効果。

ドキュメント内 面内スピンバルブ素子における Hanle 効果 (ページ 30-34)

関連したドキュメント