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Passmore らによる反論

ドキュメント内 Microsoft PowerPoint - 文化論第04講2011後期 (ページ 31-54)

 『神は人(アダム)をエデンの園に置き、これを耕 させ、これを守らせられた』(創世記 2 章 15 節)

 聖書における「支配」とは、無謀な自然支配では なく、自然に対して責任をもつものである。

スチュワードシップ( stewardship )モデル

 地球は神が創造したものであり、人間は他の被 造物と共に生きる存在として、連帯と管理を委ね られた「信託者」=「神のスチュワード(執事、管 理人、世話役)」 である。

 良いスチュワードは権威主義的な搾取などせず、

常に愛情を込めて管理する。

④人間以外の生物の位置づけ( 1 )

人間以外の生物における差別化

 宗教によっては、人間以外の生物の位置づけに関わるもの がある。

他の生物は平等的な存在と位置づける例

 輪廻の概念

人が何度も転生し、また動物なども含めた生類に生まれ変 わること、また、そう考える思想のこと。

清い生物とそうでないものを位置づける例

 旧約聖書『創世記』におけるノアの方舟

神(ヤハウェ)はノアに、「清い動物を7つがいずつ、清くな い動物を1つがいずつ」生き延びさせるよう命じている。

④人間以外の生物の位置づけ( 2 )

宗教における食のタブー

 宗教によっては、特定の食品の摂取を禁じている例が少な くない。

 食のタブーが設定された理由は諸説ある。

宗教上の食のタブーの例

 ユダヤ教:「旧約聖書」の「レヴィ記」第11章の記述にした がって、カシュルート(適正食品規定)と呼ばれる、食べてよ いものといけないものに関する厳密な規則を定めている。

 イスラム教:クルアーンの中で、豚を食べることやアルコー ルを摂取することが禁じられている。

 キリスト教:タブーはほとんどないが、一部の分派で肉食を 禁じているところがある。

 仏教:自らの手で殺生をすることは禁じられているが、そうで ないものを食べる分派もある。

⑤欲望のコントロールの可能性( 1 )

王守華による指摘

神道では、自然と自然現象も神として崇拝され、自然と人間を生んだ 母体である神は、人々の崇敬により神威を発揮する。

今日の日本で生態環境が比較的よく保護されているところは、神社 の社地が極めて大きな部分を占めているので、「神道は自然保護の 宗教である」と言われている。

神道とキリスト教の思考方法と自然観には違いがあり、前者は調和 一体化の親和関係であり、後者は主客両極が対立した、決定と非決 定、創造と被創造の関係である。前者は自然生態環境を保護するの に比較的有利であり、後者は主体の欲望を満足させるために自然生 態環境を破壊しやすい。

ヨーロッパ人も、日本の鎮守の森を賞賛している。

ドイツの植物学者シュミット・ヒューゼンは、日本の生態環境を視察した あとで、「日本の神社の森を見ると、彼らの祖先の賢明さに敬意を表した くなる」と述べている。

イギリスの歴史学者トインビーは、2度目の伊勢神宮参拝を終えたあと、

千古の神宮林と清らかな五十鈴川を目の当たりにして、「この聖地で、

私はあらゆる宗教の根底的な統一性を感得した」と書いている。

⑤欲望のコントロールの可能性( 2 )

加藤尚武による指摘

 西洋哲学では天人分離であり、東洋哲学では天人一体 であるという観念が示しているのは、東洋思想の優越性 ではなくて、是が非でも西洋思想を二元論的な対立構造 にはめ込んでしまおうとする意思であり、西洋に対する劣 等感以外のものはない。

 生き物を食べるときに感謝の念をもったとしても、それは、

感謝の念がありさえすればどのような自然破壊でもよい とする限度のない破壊につながる。

 人間と自然が,主観と客観の関係になる近代的二元論を 守ることなしに,地球の生態系を守ることは不可能. (加 藤

,1991

 重要なのは一面的な自然との一体感情を口先だけで吐 露することではなくて、自然保護と自然利用の限界を合 理的に設置することであり、また自然保護のために何を 犠牲にしてよいかを見極めて実践することである。

⑤欲望のコントロールの可能性( 3 )

中世浄土教の自然観

 仏教倫理の基本である不殺生戒(生命ある存在への攻 撃や破壊を禁止する)が普及した。

 不殺生戒は、自然崇拝やアニミズムの精神を仏教思想に よって普遍的な一般的倫理原則にしたものと言える。

亀山純生による指摘

 21世紀の環境思想の範型として伝統的自然観や仏教的 生命思想が称揚されることがある。一面では、生命平等 主義や自然と人間の循環の思想は、近代西洋の手段的 自然観の行き詰まりを打開する手がかりを与えるように 見える。

 しかし、その伝統思想は、近代日本の激しい自然破壊に 対する歯止めにはならなかったし、深刻な公害も引き起こ してしまった。

⑤欲望のコントロールの可能性( 4 )

殺生禁断思想の空洞化・解体

 生命や自然の破壊、山野河海の開発を肯定し、促進する 二つの論理があった。

「仏国土形成の論理」

 仏国土を実現するためなら、自然物の殺傷・破壊や山野 河海の開発は、むしろ善行に転化する。

 動物の殺傷(漁猟)や山林伐採・山野の開発(荘園化)に ついて、動物や山野河海(の神)が人間と等しく往生ない し成仏するための布施行(自己犠牲)として正当化された。

「悪人往生論」

 悪人こそが阿弥陀仏の救済の対象となる。

 不殺生を犯しても救われる(許される)という精神的態度 を宗教的に合理化した。

1.宗教とは何か

2.宗教と環境問題の関係

3.多神教と一神教

多神教と一神教( 1 )

多神教とは

 神や超越者(信仰、儀礼、畏怖等の対象)が多数存在する 宗教で、一柱の神のみを信仰する一神教との対比のために 用いられる語。

 かつてヨーロッパでの初期文化人類学などでは、極端なキ リスト教優越主義に基づき原始宗教やシャーマニズムなど の多神教が発展した頂点に一神教が存在するという進化 論的な考えが存在したが、現在では否定されており、宗教 の形態に序列はない。

人間の自我とアニミズム

 人間は、自我を持ったがゆえに、外界に自己投影を行い、

様々なものも同様に意志をもっているかのような認識をした。

環境との関係

 多神教は森林の宗教、一神教は砂漠の宗教と言われること もある。

多神教と一神教( 2 )

一神教とは何か

 一神教は、一柱の神のみを信仰する宗教。次のように大別さ れる。

唯一神教(monotheism):世界に神は一つであると考え、その神を礼拝 する。ユダヤ教、キリスト教、イスラム教など。

拝一神教(monolatry):複数の神を認めるが、一つの神のみを礼拝す る。古代イスラエル民族の宗教など。一神崇拝ともいう。

単一神教(henotheism):複数の神を崇拝する。特定の一神を主神とし て崇拝する。古代インドのヴェーダの宗教など。

交替一神教(Kathenotheism):他の神々の存在を認める。崇拝する神 が交替する。バラモン教など。

 狭義には唯一神教を指すことが多い。

 新興宗教を除けば、現在確認されている限りにおいて、唯一 神教は古代エジプトのアメンホテプ4世によるアテン(太陽神)

信仰(世界最古の唯一神教とされる)とユダヤ教だけに興り、

現在はユダヤ教と、それをから派生したキリスト教、それから 大きく影響を受けたイスラム教に引き継がれている。

アテンについて

アテンとは

 アテン

(Aten)

は、エジプトの太陽神。

 人間的形態である他のエジプトの 神々とは異なり、先端が手の形状を 取る太陽光線を何本も放ち、光線の 一つに生命の象徴アンクを握った太 陽円盤の形で表現される。

 初期には従来の太陽神ラーと同一 視されるが、その後神性は薄れ、天 体としての太陽を表すようになった。

 ツタンカーメンの父でもある、アメン ホテプ

4

世が特に崇拝した。

アメンについて

アメンとは

 アメン

(Amen)

は、古代エジプトの太陽神の ことで、アモン

(Ammon)

、アムン

(Amun)

と表 記されることもある。

 元々はナイル川東岸のテーベ(現ルクソー ル)地方の大気の守護神、豊饒神である。

 中王国時代第

11

王朝のメンチュヘテプ

2

世が テーベを首都としてエジプトを再統一して以 来、末期王朝時代の第

30

王朝までの

1,700

年余りにわたり、ラー神と一体化、「アメン=

ラー」としてエジプトの歴史・文明の中心に位 置し、エジプトの神々の主神とされた。

 エジプト最大の神殿であるカルナック神殿に 祭られており、神殿の大列柱室などに見られ る壁画には、

2

枚の羽を冠した人物像として 刻み込まれている。

アメンホテプ4世とアテン信仰

アメンホテプ4世の宗教改革

アメンホテプ4世(Amenhotep IV)は古代エジプト第18 王朝の王(ファラオ)で、治世第5年目頃に、遷都を宣告 し、宗教改革を行った。アテン神のみを唯一神とするも のであり、他の神々への信仰を禁止した。

それまでの主要な神であったアメン神を主神とする

神々への祭祀は停止され、複数形の「神々」という文字 が単数形の「神」に改められた。

自らの名も、「アテン神に有用なる者」の意味で、アクエ ンアテンと改名した。

しかし、宗教改革はうまくいかず、アクエンアテンの死 後、アテン神への信仰はすぐに廃れ、伝統の多神教に 戻ってしまう。

宗教改革の理由

多神教から一神教への変革は、人類史における大変革であるため、

様々な理由が考えられている。

近年では、王権にまとわりついていたアメン神殿の旧勢力を排除する ための政治改革ととらえる傾向が強い。

仮説として気候変動が要因とも考えられている。紀元前1420±100年 頃に起きたサントリーニ島での大噴火によって急激な気温の低下が起 きたとされる時期と一致しているからである。

ドキュメント内 Microsoft PowerPoint - 文化論第04講2011後期 (ページ 31-54)

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