WPS 差
J- POSTL 自己評価の変遷
A-1測定法 C-1自己評価 D-2言語運用
次に発表原稿の全体の傾向である。1年次の3月末に作成した「1年の思い出」(表6①)
と2年次の8月から9月にかけて作成した「夏休み日記」(表6⑰)の英文を比較した(図 3参照)。その結果,語数・文数・WPSのいずれも半分以上の生徒が増加しており,語数 差が増加した生徒のパーセンテージとWPS差のパーセンテージが同じ62%だった。パフ ォーマンステストと比べて WPS 差が伸び悩んだのは,語数以上に文数が増加したためで ある。未習の分詞や関係代名詞を使えるようになれば,WPS 差はより増加すると思われ る。
図3.発表原稿における1年次と2年次の比較
抽出した生徒の変容(accuracyの観点から)
ここでは,3つのパターンに分類された 3名の生徒の成果物を取り上げる。パターン1 の英語が得意な生徒の抽出方法は,2学年の中で語数の合計が最も多い上位3名の生徒の 中から分析対象データの1回目と2回目の変化の差が一番小さい生徒を選び,パターン2 の大きく変容した生徒は 1・2 年次の比較の結果,語数・文数の差が最大だった生徒,パ ターン3は比較して,発表原稿と書き起こし両方の語数および文数がマイナス2からプラ ス2の間で,ほとんどfluencyに変化が見られない生徒の中から選んだ。
表7.「発表原稿およびパフォーマンステスト書き起こし」パターン1 生徒A
トピック 発表原稿の内容
1年の思い出(1年 次3月:表6「発表
①」の原稿)
<54語6文>
We had our field trip in May. We stayed at the hotel in Yamanasi. I had various talks with friends before sleeping and swelled. We hiked on the second day. We saw beautiful lake and Mount Fuji on the way. Though I was tired very much on that day, it became the good memory.
夏休み日記(2年次 9月:表6「発表②
」の原稿)
<62語7文>
I went to Tokyo Disney land with my friends. It was crowded as it was summer vacation. I got on various attractions and watched a show. The waiting time was spent talking with my friends. Therefore, it was not boring. I chose a souvenir thinking about the person to hand it over. I was very tired but it had become a fun day.
- 78 -
トピック パフォーマンステスト書き起こし文 My Favorite
Sports
(1年次2月:表3
「パフォーマンステスト②」)
<33語8文>
I like tennis very much. I practice it after school. I’m in the tennis club. I have racket. Color is pink. Tennis is interesting. I don’t like soccer. I don’t like baseball too.
School Festival (2年次11月:表6
「パフォーマンステスト③」)
<44語8文>
評価ABA
My school festival was in October. My school has lots of fun events. We had a song very hard. Both students and teachers enjoyed on that day. We had a my class song. We practiced it. It was very hard. But my class got ワ ーストプライズ.
Your Answer: Yes, I did. I like Silent Majority.
My question: Do you like to sing?
ALT’s answer: Yes, I do.
英語が得意なこの生徒の発表原稿の良いところは,語数や文数がどれも多いことだけで はなく,文法の誤りがほとんどないことと,1年次からthoughなどの接続詞を使ってい るところである。未習事項を積極的に活用しており,受け身や完了形が見られるように使 用語彙や文法の幅が広いのも良い点である。
パフォーマンステストに関しては書き言葉と比べて使用語彙や文法が限られている。こ れは本人のfluencyに対する意識が高かったためと考えられる。評価はfluency: A,spoken communication: B,pronunciation: Aであった。QMAシートの自己評価はどれも一番良 い評価をつけていたが,実際のパフォーマンスとギャップがあるため,生徒自身が持って いる語彙力や文法力を素早く取り出して話ができるように練習を積ませていく。
表8.「発表原稿およびパフォーマンステスト書き起こし」パターン2 生徒B
トピック 発表原稿の内容
1年の思い出(1年 次3月:表6「発表
①」の原稿)
<30語6文>
We had Kashiwa school festival in October. I song the song, “Kokorono Hitomi”. Kokorono Hitomi is difficult. Our class won second place. We enjoyed the day very much. Thank you.
夏休み日記(2年次 9月:表6「発表②
」の原稿)
<58語8文>
I went to a concert with my sister. We went to Tokyo Dome City Hall. We went to Summer Paradise 2017 for “風 is I?”. “風is I?” is Kikuchi Fuma’s solo concert. We saw Kikuchi Fuma and SixTONES and Johnny’s Jr. They were a very fun time. I was very happy. We enjoyed today.
トピック パフォーマンステスト書き起こし文
Favorite School Lunch
(1年次2月:表3
「パフォーマンステスト②」)
My favorite school lunch is curry and rice. Because it is delicious. I like curry and rice. I can cook curry and rice. Because it is easy. I like apple too. I like fruits. Thank you.
<36語8文>
My School Festival (2年次11月:表6「
パフォーマンステスト③」) 評価BAA
I’m going to talk about My School Festival. My School Festival is Kashiwa Festival. Kashiwa Festival is very fun time. Because I listen to many songs. I like singing. My classmate likes singing. My classmate has beautiful singing voice. We got the second price. We were very happy. I enjoyed Kashiwa Festival.
Your answer: I sing the Heiwano Kane. Yes, I did.
My question: What song do you like?
ALT’s answer: I like Sakuranbo.
fluencyが大きく伸びた生徒を見ると,1年次の発表原稿では,一般動詞やbe動詞を適
切に過去形にできていない点が目立っているが,2年次は不規則動詞を適切に過去形で表 現できていることや,抜けやすいa / theなどの冠詞を適切に使うことができている。
1年次のパフォーマンステストを見ると,使っていた動詞がis / like/ cookの三種類のみ であるが,2年次では動詞の使用語彙の幅が大きく広がった。さらに現在形と過去形の使 い分けができている。さらに話し出しで“I’m going to talk about”のように適切な表現を使 っているだけでなく,最後に感想で締めており,聞き手にとって理解しやすい話の構成が できるようになった。
評価はfluencyがBなので,間をできるだけ少なくするためにつなぎ言葉を積極的に使
う指導をする必要がある。QMA シートの自己評価は,聞き手の「相手に質問をした」の みが一番良い評価で,あまり自信がないようである。しかし,実際は語数・文数および内 容に大きな向上が見られるので,良くなっている点をほめて自信を持てるように促してい く。自信が持てないのはおそらく筆記テストの点数があまり高くないからであろう。しか しアウトプットをさせることで,筆記テストのみでは分からなかったことが見えてくるよ うになった。
表9.「発表原稿およびパフォーマンステスト書き起こし」パターン3 生徒C
トピック 発表原稿の内容
1年の思い出(1年 次3月:表6「発表
①」の原稿)
<44語8文>
We had our sports day in June. We played Honjo no Watashi. I walked on the people. It is scary. But Me and classmate practice is very hard. A result was about 4. It isn’t that good. But These is good memory.
夏休み日記(2年次 9月:表6「発表② の原稿」)
<44語7文>
That day, I was very busy. Because I had three things business. First, I practiced “Eisa” Japanese dance. Second, I played “Koto” in Yasuda teien.
It was very hot. Third, I went to my grandmother’s house, and I saw fire works. It was so beautiful.
トピック パフォーマンステスト書き起こし文 My Favorite Sport
(1年次2月:表3
My favorite sport is ドッヂ ball. I like ドッヂ ball. ドッヂball is difficult.
But it is interesting. Thank you.
- 80 -
パフォーマンステスト②)
<16語5文>
Sports Day
(2年次11月:表 6パフォーマンステスト③)
<17語4文>
評価BBA
My sports day was interesting. My grade played Human チェーン. It was difficult. But it was very fun.
Your answer: No, I don’t. I like basketball.
My question: Do you like soccer?
ALT’s answer: Yes, I do.
伸び悩んだ生徒の特徴は,カタカナの使用が目立つことである。辞書を引く習慣が確立 されていないため,スペリングを含む語彙力が課題となっていることが推察される。発表 原稿に関してはbe動詞が過去形になっておらず, be動詞と一般動詞を一緒に使っている,
さらには主語と動詞の活用の不一致などの課題が散見された。しかし2年次になると序数 詞を用いて出来事を分かりやすく伝えることができるようになった。be動詞を適切な過去 形に活用することもできており,誤りが修正された。パフォーマンステストに関しては,
あまり興味のないトピックだったのか,使う語彙や文法が限定されてしまった。発音以外 の評価はBで,自己評価でも一番よい評価をつけた項目がなかったため,やりとりに関し て苦手意識があるのが見て取れる。そこで発表原稿で用いることができた序数詞などの話 の流れを作る表現をやりとりにも応用することで,内容面をより充実できるように教えて いく。本人の強みを生かして指導をしていくことが大切である。
7まとめと今後の課題
まとめ
実践者はかつての指導の反省点を受け止めて,実践研究を 2 年間積み上げた。fluency の向上を念頭に置いて指導した結果,生徒のアウトプットを受け止め,それに対してフィ ードバックをするという習慣ができあがった。そこには生徒の文法の間違いを非難する教 師の姿はなく,accuracy を高める良い機会として捉えるスタンスに変容していった。
fluency 優先という方針は,生徒が安心して間違えることができる教室環境を作ることに
つながった。誤りを犯してもその後に accuracy を高めるフィードバックがあるという構 成にしたためである。反対に accuracy 優先だと,実践研究前の生徒のように表現活動の 際には文法上の誤りを恐れ,定型文に沿った内容のみをアウトプットすることになるであ ろう。話すことにおける発表とやりとりの評価をするうえで,指導した内容が評価項目に 反映されるようにすることが大切である。このように生徒のアウトプットにまず向き合う ことで教師は指導と評価の改善を継続的に図っていく姿勢になり,それと同時に生徒の変 容も引き起こされる結果となった。
話すことの指導をする上で大切なことは,1 年次最初からのルールの徹底である。ペア で活動するときに,向かい合うこと,アイコンタクトをすること,起立すること,終わっ たら手を挙げて知らせることなどの決まりを守らせ続けることでルーティーン化した。そ れを続ける,ペアで協力をしてタスクを終わらせることが当たり前になり,人間関係を築