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O 2 -jet への接触

ドキュメント内 室蘭工業大学学術資源アーカイブ (ページ 62-66)

5 CONCLUSION

3.2 O 2 -jet への接触

ここでは、PTC中C2H4で還元した表面が483 K, 1.2 x10-5 PaのO2-jetに接触している時の測定結果 (A-series)について説明する。Cs3d5/2は0.2 eV低 BE側へシフトし、Re4f7/2は0.4 eV高BE側への シフトを起こし、CsとReはともに酸化されてい る こ と が 分 か っ た(8)(14)。 表 面 濃 度 に お い て は 、O は経時的に19.9から25.2 atom%に増大し、同時 にCsは0.9、Reは0.2 atom%それぞれ減少した。 これらの結果は、CsとReの酸化反応がO2-jetと の接触に伴って促進され、CsとReの一部がバル ク内へ移動していたことを示している(8)(9)(14)3.3 C2H4-jetへの接触

B-seriesにおけるO2酸化表面がC2H4-jetに接触 している時には、O濃度が20.7から17.4 atom% へと減少したが、CsとReはそれぞれ6.6から6.2 atom%、0.8から0.7 atom%となり変化は小さかっ た 。 一 方 、 接 触 開 始 後 15 分 以 内 に 観 測 さ れ た Cs3d5/2の723.8から724.1 eVへのシフトは還元側 に移行したことを示唆している(14)。Re4f7/2の45.8 eVと46.0 eVは同じ酸化状態Re7+にあることを示 している(14)。C-seriesの583 KでのC2H4-jetへの 接触時では、Csの還元とCs, Reの表面濃度の減 少がより一層明確に現われた。Re4f7/2の46.3から 47.1 eVへのシフトについては、Re4fスペクトル のノイズレベルが大きく、その真偽と理由は不明 であるが、Re7+の状態にあると思われる。O1s は 530.8, 529.2 eVから530.3, 528.9 eVにシフトして いるが、これらは、C2H4との反応に伴う表面酸素 濃度の減少(20.4から16.3 atom%に減少)が原因で あり、表面酸素種(O1sコアスペクトル)の組成がよ り低いBE値をもつ酸素種側へ移行したため(後述) と考えられる。

B-および C-series における C2H4-jet 接触中の CsとReの表面濃度の減少はH2還元時の変化とは 1 接触時間180 min後のC1sスペクトル

A-series: a 655 Pa-H2; b 655 Pa-O2; c 655 Pa-C2H4; d 1.2x10-5 Pa O2-jet;

B-series: e 655 Pa-H2; f 655 Pa-O2; g 1.2x10-5 Pa C2H4-jet;

D-series: h 1330 Pa-H2,240 min; i 1.2x10-5 Pa O2-jet, 15 min; j 1.2x10-5 Pa O2-jet, 180 min;

k 1.2x10-5 Pa C2H4-jet;

- 64 - - 65 - 宮本 政明,千田 卓也,荒山 岳人,菖蒲 明己

- 64 -

ることが可能となるであろう。最近、第三世代の 放射光施設のX線源を用い、上記の差動排気系を 設けたAmbient Pressure XPS(AP-XPS)装置を試作 し、測定を試みているいくつかの研究グループが ある(1)(2)(3)(4)

。彼らは1~数Torr程度の気体に接触 している表面からの光電子を測定し、反応中の表 面吸着種を捉えることに成功している。特に、近 藤らの1, 2の差動排気系とその1段目の先端に1 mmφのアパーチャーを設けて試料表面に近接さ せ、試料からの光電子を最大限取り込めるように

試作したAP-XPS装置と軟X線を使用した研究(4)

が注目される。しかし、いずれも金属Pd(3)、Ag(111) 表面(4)、Pt(111)表面(5)、Pt(110)表面(6)、Rh0.5Pd0.5微 粒子表面(7)などの純物質もしくはそれに準ずる金 属表面であり、微量元素は含まれていない。

著者らの一人は、Ar+スパッタリングで清浄化し たCsRe-Ag触媒表面に、5x10-6 PaのO2-jetを接触 させながらin situ XPS測定を試み、表面(酸化)状態 のダイナミックな変化の追跡が可能であることを 報告してきた(8)(9)。同様の試みをBi-Mo複合酸化物

表面(10)(11)、アルカリ金属添加TiO2表面(12)

Y-Ba-Cu-O高温超伝導体(13)について行ない、成功

している。その後、前処理室(PTC)内でH2還元、

O2酸化をしたCsRe-Ag表面上で得られたCs, Reの 酸化状態と表面濃度は、Ar+スパッタリング清浄化 表面に関する結果とは一致しないことが判明した

(14)

。その主たる原因はAr+スパッタリングによる表 面ダメージの大きさ(特に微量添加元素で激しく起 こる)に起因するものであった。

本研究の一つの目的は、汎用XPSとgas-jet 法

(8)(9)(12)

、および表面ダメージの起こらない方法で清 浄化したCsRe-Ag表面を用いて、10-5 Pa台のO2-jet, C2H4-jetに接触している時の表面状態をin situ 測 定し、そのダイナミックな挙動を明らかにすると ともに、酸素以外の表面吸着物を確認できるか否 かを知ることであった。

一方、これまで超高真空(UHV)装置内で測定され た固体表面状態と大気圧(もしくは加圧雰囲気)下 におかれた同表面の状態とは類似性に乏しい、ま たは、異なると考えられ、特に金属元素の化学(酸 化)状態の解釈には疑問がもたれていた。同様のこ とは、PTC内で 133~105 Paの気体に接触させた

表面とUHV下のgas-jet に接触させて得られる表

面についても言えるであろう。そこで、本研究で は、CsRe-Ag表面を133~103 Pa台と10-5 Pa台の 気体に接触させた時の終状態を測定して比較する ことで、表面化学状態と圧力差の関係を議論でき

ると考え、前報

(14)

で報告したPTC内、483 K, 133 Pa のO2, C2H4に接触させたCsRe-Ag触媒表面の測 定・解析結果と本研究で得られる結果を比較して、

表面化学状態と気体圧力との関係に考察を加える こととした。

2 実 験

使用したXPS装置、その設定条件、操作条件は

全て前報(8)(9)(12)と同じで、光電子取り込み時間は一

元素あたり3~5 minとした。Gas-jet法は分析チ ャンバーに取り付けたリニアモーション装置と超 高真空流量制御バルブを介して設置したステンレ スパイプで試料表面上に導き、所定の気体を表面 に接触させた(12)(15)。CsRe-Ag触媒の調製・ガス類 の詳細は前報(14)のとおりである。

3 実験結果と考察

Ag3d5/2の束縛エネルギー(BE)は368.1±0.1 eV, 半値幅(fwhm)は1.1±0.1 eVであり、本研究を通 して不変であった。図 1 はこれら測定中の試料表 面の清浄度をC1sスペクトルで示したものである。

H2ガス接触(処理)後に存在していた炭素を含む物 質(スペクトルa,e,h)はO2酸化によって表面から消 失し(b,f,I,j)、C2H4を接触させた表面上にも存在し て い な い(c,g,k)こ と が 明 ら か で あ る 。 な お 、 C-seriesにおけるC1sスペクトルはB-seriesのス ペクトルと同一であった。

3.1 前処理表面とgas-jet接触表面

UHV装置導入直後の分析結果を Initialとして 表1に示してある。試料disc作成時、および、試 料台への取り付け時の大気接触によって酸化され た状態にあったため、Cs3d5/2のBEは723.9 eV, Re4f7/2のBEは46.0 eVで、表面濃度はCs,Reそ れぞれ 5.3,1.2 atom%であった。同試料を PTC 中で483 K,3 hのH2還元を行った表面を、同温 度で633 PaのO2中3 h酸化、引き続き633 Pa のC2H4に3 h接触させた表面をそれぞれ分析した。

こ の 後 、 こ の 最 終 表 面 に 分 析 室 内 で 483 K, 1.2x10-5 PaのO2-jetに接触させながら表面状態の 経時変化を追跡した。これら一連の実験をA-series とした。B-seriesではPTC内でのH2還元後のO2

酸化表面に483 K,1.2x10-5 PaのC2H4-jetを接触 させながら表面状態変化を追跡した。B-series で はC2H4接触時のCs3d,Re4fスペクトルの変化、

1.2x105 Paの酸素、エチレンに接触しているCsおよびRe添加Ag触媒表面のin situ XPS分析

- 65 -

表 面 濃 度 の 変 化 が 小 さ か っ た の で 、583 K で C2H4-jet接触を試みたのがC-seriesである。A-お よびB- seriesで観測されたCs3d,Re4f,O1sの スペクトル形状の変化は前報(14)の図3A,図3Bと ほぼ同じであった。図2はC-seriesで得られた各 スペクトルを示している。また、これら一連の実

験で得られたBE値と表面濃度を表1 にまとめて 示した。

PTC内で483 K, H2, O2, C2H4接触に伴うCs, Re, OのBE値および表面濃度の変動は前報(14)で報告 した挙動と同じであった。すなわち、H2接触時、

O2接触時にはそれぞれ、ReはRe0への還元とRe7+

への酸化、CsとReはバルクから表面層への拡散 移動とその逆方向の拡散移動が起きていた。同様 に、基本的に酸化状態にあるCsも還元側へ、酸化 側へとシフトを繰り返した。

3.2 O2-jetへの接触

ここでは、PTC中C2H4で還元した表面が483 K, 1.2 x10-5 PaのO2-jetに接触している時の測定結果 (A-series)について説明する。Cs3d5/2は0.2 eV低 BE側へシフトし、Re4f7/2は0.4 eV高BE側への シフトを起こし、CsとReはともに酸化されてい る こ と が 分 か っ た(8)(14)。 表 面 濃 度 に お い て は 、O は経時的に19.9から25.2 atom%に増大し、同時 にCsは0.9、Reは0.2 atom%それぞれ減少した。

これらの結果は、CsとReの酸化反応がO2-jetと の接触に伴って促進され、CsとReの一部がバル ク内へ移動していたことを示している(8)(9)(14)3.3 C2H4-jetへの接触

B-seriesにおけるO2酸化表面がC2H4-jetに接触 している時には、O濃度が20.7から17.4 atom%

へと減少したが、CsとReはそれぞれ6.6から6.2 atom%、0.8から0.7 atom%となり変化は小さかっ た 。 一 方 、 接 触 開 始 後 15 分 以 内 に 観 測 さ れ た Cs3d5/2の723.8から724.1 eVへのシフトは還元側 に移行したことを示唆している(14)。Re4f7/2の45.8 eVと46.0 eVは同じ酸化状態Re7+にあることを示 している(14)。C-seriesの583 KでのC2H4-jetへの 接触時では、Csの還元とCs, Reの表面濃度の減 少がより一層明確に現われた。Re4f7/2の46.3から 47.1 eVへのシフトについては、Re4fスペクトル のノイズレベルが大きく、その真偽と理由は不明 であるが、Re7+の状態にあると思われる。O1s は 530.8, 529.2 eVから530.3, 528.9 eVにシフトして いるが、これらは、C2H4との反応に伴う表面酸素 濃度の減少(20.4から16.3 atom%に減少)が原因で あり、表面酸素種(O1sコアスペクトル)の組成がよ り低いBE値をもつ酸素種側へ移行したため(後述) と考えられる。

B-および C-series における C2H4-jet 接触中の CsとReの表面濃度の減少はH2還元時の変化とは 1 接触時間180 min後のC1sスペクトル

A-series: a 655 Pa-H2; b 655 Pa-O2; c 655 Pa-C2H4; d 1.2x10-5 Pa O2-jet;

B-series: e 655 Pa-H2; f 655 Pa-O2; g 1.2x10-5 Pa C2H4-jet;

D-series: h 1330 Pa-H2,240 min; i 1.2x10-5 Pa O2-jet, 15 min; j 1.2x10-5 Pa O2-jet, 180 min;

k 1.2x10-5 Pa C2H4-jet;

- 66 - - 67 - 宮本 政明,千田 卓也,荒山 岳人,菖蒲 明己

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1 前処理表面およびO2-jet, C2H4-jetに接触している表面上のCs3d5/2, Re4f7/2, O1sの束縛エネルギー(BE)Cs, Re, Oの表面濃度

2 583 K1.2x10-5 PaC2H4-jet接触している時の Re4f, Cs3d, O1sスペクトル

1.2x105 Paの酸素、エチレンに接触しているCsおよびRe添加Ag触媒表面のin situ XPS分析

- 67 -

3A H2処理表面が1.2x10-5 PaO2-jet, 引き続きC2H4-jet 接触している時(D-series)Re4fスペクトルの変化

3B H2処理表面が1.2x10-5 PaO2-jet, 引き続きC2H4-jet 接触している時(D-series)O1sスペクトルの変化 宮本 政明,千田 卓也,荒山 岳人,菖蒲 明己

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ることが可能となるであろう。最近、第三世代の 放射光施設のX線源を用い、上記の差動排気系を 設けたAmbient Pressure XPS(AP-XPS)装置を試作 し、測定を試みているいくつかの研究グループが ある(1)(2)(3)(4)

。彼らは1~数Torr程度の気体に接触 している表面からの光電子を測定し、反応中の表 面吸着種を捉えることに成功している。特に、近 藤らの1, 2の差動排気系とその1段目の先端に1 mmφのアパーチャーを設けて試料表面に近接さ せ、試料からの光電子を最大限取り込めるように

試作したAP-XPS装置と軟X線を使用した研究(4)

が注目される。しかし、いずれも金属Pd(3)、Ag(111) 表面(4)、Pt(111)表面(5)、Pt(110)表面(6)、Rh0.5Pd0.5微 粒子表面(7)などの純物質もしくはそれに準ずる金 属表面であり、微量元素は含まれていない。

著者らの一人は、Ar+スパッタリングで清浄化し たCsRe-Ag触媒表面に、5x10-6 PaのO2-jetを接触 させながらin situ XPS測定を試み、表面(酸化)状態 のダイナミックな変化の追跡が可能であることを 報告してきた(8)(9)。同様の試みをBi-Mo複合酸化物

表面(10)(11)、アルカリ金属添加TiO2表面(12)

Y-Ba-Cu-O高温超伝導体(13)について行ない、成功

している。その後、前処理室(PTC)内でH2還元、

O2酸化をしたCsRe-Ag表面上で得られたCs, Reの 酸化状態と表面濃度は、Ar+スパッタリング清浄化 表面に関する結果とは一致しないことが判明した

(14)

。その主たる原因はAr+スパッタリングによる表 面ダメージの大きさ(特に微量添加元素で激しく起 こる)に起因するものであった。

本研究の一つの目的は、汎用XPSとgas-jet 法

(8)(9)(12)

、および表面ダメージの起こらない方法で清 浄化したCsRe-Ag表面を用いて、10-5 Pa台のO2-jet, C2H4-jetに接触している時の表面状態をin situ 測 定し、そのダイナミックな挙動を明らかにすると ともに、酸素以外の表面吸着物を確認できるか否 かを知ることであった。

一方、これまで超高真空(UHV)装置内で測定され た固体表面状態と大気圧(もしくは加圧雰囲気)下 におかれた同表面の状態とは類似性に乏しい、ま たは、異なると考えられ、特に金属元素の化学(酸 化)状態の解釈には疑問がもたれていた。同様のこ とは、PTC内で 133~105 Paの気体に接触させた

表面とUHV下のgas-jet に接触させて得られる表

面についても言えるであろう。そこで、本研究で は、CsRe-Ag表面を133~103 Pa台と10-5 Pa台の 気体に接触させた時の終状態を測定して比較する ことで、表面化学状態と圧力差の関係を議論でき

ると考え、前報

(14)

で報告したPTC内、483 K, 133 Pa のO2, C2H4に接触させたCsRe-Ag触媒表面の測 定・解析結果と本研究で得られる結果を比較して、

表面化学状態と気体圧力との関係に考察を加える こととした。

2 実 験

使用したXPS装置、その設定条件、操作条件は

全て前報(8)(9)(12)と同じで、光電子取り込み時間は一

元素あたり3~5 minとした。Gas-jet法は分析チ ャンバーに取り付けたリニアモーション装置と超 高真空流量制御バルブを介して設置したステンレ スパイプで試料表面上に導き、所定の気体を表面 に接触させた(12)(15)。CsRe-Ag触媒の調製・ガス類 の詳細は前報(14)のとおりである。

3 実験結果と考察

Ag3d5/2の束縛エネルギー(BE)は368.1±0.1 eV, 半値幅(fwhm)は1.1±0.1 eVであり、本研究を通 して不変であった。図 1 はこれら測定中の試料表 面の清浄度をC1sスペクトルで示したものである。

H2 ガス接触(処理)後に存在していた炭素を含む物 質(スペクトルa,e,h)はO2酸化によって表面から消 失し(b,f,I,j)、C2H4を接触させた表面上にも存在し て い な い(c,g,k)こ と が 明 ら か で あ る 。 な お 、 C-seriesにおけるC1sスペクトルはB-seriesのス ペクトルと同一であった。

3.1 前処理表面とgas-jet接触表面

UHV装置導入直後の分析結果を Initialとして 表1に示してある。試料disc作成時、および、試 料台への取り付け時の大気接触によって酸化され た状態にあったため、Cs3d5/2のBEは723.9 eV, Re4f7/2のBEは46.0 eVで、表面濃度はCs,Reそ れぞれ 5.3,1.2 atom%であった。同試料を PTC 中で483 K,3 hのH2還元を行った表面を、同温 度で633 PaのO2中3 h酸化、引き続き633 Pa のC2H4に3 h接触させた表面をそれぞれ分析した。

こ の 後 、 こ の 最 終 表 面 に 分 析 室 内 で 483 K, 1.2x10-5 PaのO2-jetに接触させながら表面状態の 経時変化を追跡した。これら一連の実験をA-series とした。B-seriesではPTC内でのH2還元後のO2

酸化表面に483 K,1.2x10-5 PaのC2H4-jetを接触 させながら表面状態変化を追跡した。B-series で はC2H4接触時のCs3d,Re4fスペクトルの変化、

1.2x105 Paの酸素、エチレンに接触しているCsおよびRe添加Ag触媒表面のin situ XPS分析

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表 面 濃 度 の 変 化 が 小 さ か っ た の で 、583 K で C2H4-jet接触を試みたのがC-seriesである。A-お よびB- seriesで観測されたCs3d,Re4f,O1sの スペクトル形状の変化は前報(14)の図3A,図3Bと ほぼ同じであった。図2はC-seriesで得られた各 スペクトルを示している。また、これら一連の実

験で得られたBE値と表面濃度を表1 にまとめて 示した。

PTC内で483 K, H2, O2, C2H4接触に伴うCs, Re, OのBE値および表面濃度の変動は前報(14)で報告 した挙動と同じであった。すなわち、H2接触時、 O2接触時にはそれぞれ、ReはRe0への還元とRe7+ への酸化、CsとReはバルクから表面層への拡散 移動とその逆方向の拡散移動が起きていた。同様 に、基本的に酸化状態にあるCsも還元側へ、酸化 側へとシフトを繰り返した。

3.2 O2-jetへの接触

ここでは、PTC中C2H4で還元した表面が483 K, 1.2 x10-5 PaのO2-jetに接触している時の測定結果 (A-series)について説明する。Cs3d5/2は0.2 eV低 BE側へシフトし、Re4f7/2は0.4 eV高BE側への シフトを起こし、CsとReはともに酸化されてい る こ と が 分 か っ た(8)(14)。 表 面 濃 度 に お い て は 、O は経時的に19.9から25.2 atom%に増大し、同時 にCsは0.9、Reは0.2 atom%それぞれ減少した。 これらの結果は、CsとReの酸化反応がO2-jetと の接触に伴って促進され、CsとReの一部がバル ク内へ移動していたことを示している(8)(9)(14)3.3 C2H4-jetへの接触

B-seriesにおけるO2酸化表面がC2H4-jetに接触 している時には、O濃度が20.7から17.4 atom% へと減少したが、CsとReはそれぞれ6.6から6.2 atom%、0.8から0.7 atom%となり変化は小さかっ た 。 一 方 、 接 触 開 始 後 15 分 以 内 に 観 測 さ れ た Cs3d5/2の723.8から724.1 eVへのシフトは還元側 に移行したことを示唆している(14)。Re4f7/2の45.8 eVと46.0 eVは同じ酸化状態Re7+にあることを示 している(14)。C-seriesの583 KでのC2H4-jetへの 接触時では、Csの還元とCs, Reの表面濃度の減 少がより一層明確に現われた。Re4f7/2の46.3から 47.1 eVへのシフトについては、Re4fスペクトル のノイズレベルが大きく、その真偽と理由は不明 であるが、Re7+の状態にあると思われる。O1s は 530.8, 529.2 eVから530.3, 528.9 eVにシフトして いるが、これらは、C2H4との反応に伴う表面酸素 濃度の減少(20.4から16.3 atom%に減少)が原因で あり、表面酸素種(O1sコアスペクトル)の組成がよ り低いBE値をもつ酸素種側へ移行したため(後述) と考えられる。

B-および C-series における C2H4-jet 接触中の CsとReの表面濃度の減少はH2還元時の変化とは 1 接触時間180 min後のC1sスペクトル

A-series: a 655 Pa-H2; b 655 Pa-O2; c 655 Pa-C2H4; d 1.2x10-5 Pa O2-jet;

B-series: e 655 Pa-H2; f 655 Pa-O2; g 1.2x10-5 Pa C2H4-jet;

D-series: h 1330 Pa-H2,240 min; i 1.2x10-5 Pa O2-jet, 15 min; j 1.2x10-5 Pa O2-jet, 180 min;

k 1.2x10-5 Pa C2H4-jet;

ドキュメント内 室蘭工業大学学術資源アーカイブ (ページ 62-66)

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