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▲ LNG 船 :

B) NSR航路の安全航行性への懸念

ⅰ)海氷の存在と危険性:北極海海氷分布アニメ.AVI 海氷勢力の不確定さ

・海氷の存在を理解: 右図の9月中旬↓での年度別変化)

海氷は年次単調減少ではなくランダムに増減している。

定時運行の不安が予想される。

・氷塊発見のための海氷予測システムが不十分:

一見、無氷でOpen Seaが広がっている場合であっても海流や風の影響により沖合の氷塊が接近する可能性があり また浮遊する隠れ流氷の存在が船舶と衝突する危険性がる。 安全速度に関係

・海図情報の不足:水深が浅く(最浅20m)座礁の危険がある。

0 1 2 3 4 5 6

2006 2008 2010 2012 2014 2016 2018

27 北極海氷面積の年間変化(19792016)と 最近の最少面積の変化

40%程度の変動幅

MillionsofsquareKm MillionsofsquareKm

28 原子力砕氷船「Таймыр」にclose coupleされて救出される「Индига

Indiga号の海氷による氷閉塞の事例:

海氷勢力の不確定さ

2014年6月Murmanskを出航し、NSR 1,300smを6日間9ktsで航行したが、

東シベリア海で氷にstuckされ船速1.3kts 大幅に遅れてPevekに到着

LxBxdx△=164x22x9.6mx 22,654tons

V=9kts

V=1.3kts

ⅱ)原子力砕氷船の隻数不足の懸念

参照§2(3)

・原子力砕氷船隻数の充足度?

2017年現在4~5隻が稼働しており今後4,5隻増強(内1隻は建造中)の予定とされるが NSR航行が活発になると砕氷船支援要求が増加し隻数の不足が懸念される。つまり、

➡Yamalプロジェクト対応:ヤマルLNG輸送が開始され生産がピークを迎えた時、また 他プロジェクトが進展した場合

➡NSR Transit対応:今後の発展状況により

同時航行船の支援や想定外の救援支援の増加となる。

NSR全長約2,800海里の駆け付け航海には8~12日かかり、

支援隻数や時間の問題が予想される。

・砕氷船の隻数不足は船主側の懸念とされているが、

ロシアにとっては、1隻400億ルーブルといわれる 高価な原子力砕氷船の新造は莫大な投資となる。

事前投資☓NSRの発展 ???

費用対効果の確実な予測

が課題となっている。

29 氷海航行中の原子力砕氷船

・探索/救難/救出

Oil spill対応と連動

・船舶寄港、修繕補給港

・海氷予測システム

・沿岸海図/水路/水深図

・無線誘導施設 無線、衛星通信

●関連インフラ

2017年現在の達成は予定の

13 Stationsの半分であり大幅な 遅れと言われる。

安全シナリオを高度化すれば

限りなく費用がかさむ。

・NSRの氷の状況は今後?

・経済投資/回収??

ロシア一国では無理という 意見もある。

ⅲ)Search&Rescue

(救難/避航/探索)

システムと関連インフラが不充分

-国際航路として安全性、定時制を担保する重要要件-

ⅳ)ロシアNSR関連法令への懸念

NSR通行海域はその殆どがロシアの領海あるいは排他的経済水域(EEZ)である。

一般に他国の船が領海を航行するときは国際海洋法条約(UNCLOS)第17条の無害通航権が適用されるが、

NSR通行海域には同条約第234条「氷に覆われた水域」が適用され、海洋汚染防止の規則からロシアは通 行船舶に対して無差別の法令を制定し執行する権利が与えられている。ロシアはこれを根拠にしてロシア の法律(NSR関連法令)を制定したので航行船はこれに従わざるを得ない。例えば、

❶NSR水域における商業航行の政府規則(ロシア連邦法2012年7月)

NSR入航申請:砕氷船/水先人による航行支援事項/金額を定めた申請書(NSR管理局に提出許可受領)

許可条件 :航海規則/船舶条件/環境保護等および汚染等の損害賠償を担保する保険資格の適合

❷ NSR水域における航海に関する規則(2013年1月)

申請手続き:希望船主はNSR入航予定日の15日前までに損害賠償責任の保険または財務上の手段を示す 書面を添えて申請、許可をとる。 有効期限、ルート、IB要否、水先人要否などの決定

❸ 「NSR海域における砕氷船支援サービス」提供のための通行支援料(タリフ・レート)の許可命令

通航支援料:船舶トン数、航海時期、砕氷船支援料による。

確定・支払:料金はロシア国営原子力船公社Rosatomflotが運航会社と航海ごとに交渉、航行終了後相談 (negotiation)確定するといわれている。

一般的なタリフ・レート(表定運賃:基本料金)だけでなく追加料金、特別料金が発生する 出来高料金である。不確定な海氷状況に依存しコストに絡むのでロシアにとっては好都合な 方法であるが運航者側にとっては入航申請時に不安と懸念が残る。

ⅴ)地政学的影響

地政学とは地理的な環境が国家や関連諸国に与える政治的、軍事的、経済的な影響を巨視的視点で研究す る学問である。この観点からNSRを考察する。

①NSR Transit航路に対する懸念 (欠点)

NSRはロシアの領海やEEZ内を通過して西欧と東洋を結ぶ航路であるが国際海洋法条約(UNCLOS)により ロシアに法令の制定・執行の権利が与えられているため適用範囲、運用、タリフの設定ロシア主導とな らざるを得ず航路利用船社の利便性を満たさない規則にコントロールされる懸念ある。

・不確定な海氷勢力の影響は未知で、遅延しているインフラ整備はNSR航行の安全性能の関わるとしても そのコストは当然、タリフ等に加算され、商船運航採算性に影響を及ぼしかねない。また、取り越し 苦労かもしれないがロシアは領海通航の権限を外交カードとして使用しかねない。

平和の祭典“ソチ・オリンピック”の1週間後に起こったクリミヤ侵攻と経済制裁は記憶に新しい。

・NSR Transit航行の地政学要因を並べると、

NSR航路、2,800海里、ロシア領海、航行距離、運航効率・費用、海氷勢力、航行希望船主、安全性、

原子力砕氷船、インフラ整備と膨大コスト…等である。“運航効率、安全が確認されその発展に投資し たくなるNSR”をロシア一国で国際社会に提供できるのか? 安全性×コスト増加のジレンマで解決が 難しいかも知れない。(Transitに比べロシアとの契約で行われるDestination航行は問題は少ない。)

一方で、

②NSRではスエズ運河やマラッカ海峡等でみられる安全通行上の問題がない。(利点)

では、種々の懸念を払拭し、NSR航路を進展させるにはどんな提案があるのであろうか!!!

(2) NSR Transit航路の持続的発展ための提案

(参考 出典:Dr.Bjorn Gunnarsson(CHNL)

NSR Transit航路の有効性は理解してもロシア一国が単独で整備し国際的に提供することの難しさが理解できた。それを打開

する解の一つに、航路利用国が領海を持つロシアを長とする共同運営組織を作って管理、運営する方法がある。政治的経済 的問題が緩和され国際航路として持続的発展が望めるのではないか。( Dr.Bjorn Gunnarsson(CHNL):参考文献 7)

★海運業界のNSR航行の興味を踏まえNSR航路の地政学的意味も含めた政治的経済的安定性の確保を志向した組合会社

(仮称:NSR航行会社)の設立

A:統括管理機関: ロシアを含む関係国が組織した中枢機関 B:運航サービス機関: 船舶運航・原子力IB手配・調整

C:インフラストラクチャ―機関:航路ハード/ソフト・安全性・拡張

A:NSR統括管理機関

・NSR利用者の航路利用上の安全性を担保し、B:運航サービス、

C:インフラストラクチャ―の監督・統合調整を行う。

・将来の必要インフラ計画、予算、財政手段

・NSR航行の法制問題の取り決め:ロシア領海/排他的経済水域航行環境問題規則 B:運N航サービス機関

・通行希望船舶に的確、迅速に航行可能となるサービス行う。

・砕氷船支援の支援、手配、遂行

・港湾支援

・海難事故、SARとOil Spill対応 C:インフラストラクチャ―機関

統括管理機関の指令のもとに、・航路、港湾、避難システム、SARシステム等のインフラの設計、建造、検査、修繕

A B

C

図31: NSR Transit航路の持続的発展ための提案

(3)NSR利活用と日本

1)NSR利活用

❶Transit shipping:2010年以降、順調な進展を見せたNSRは2014年に減少傾向となり低調が続いてい る。海運業界には海氷にともなう安全性への不安、原子力砕氷船とインフラ整備の遅延、ロシア主導の通 行制度の中で本当に運航経済効果が上がるのかという懸念が残るのは確かである。NSRの評価が定まる迄 には暫く時間がかるであろう。しかし、NSRの国際航路化は船舶運航の最適化を行えば運航効率やスエズ 航路併用にメリットがあることは間違いない。日本にとって西欧と東洋を結ぶ経済的利点は大きい。

❷Destination shipping:Yamal LNG プロジェクトが順調に進展している。オペレータ(Yamal LNG) と日本の商船三井を含む参加グループが15隻の砕氷LNGタンカーを建造して日本等世界の仕向地へLNGを輸 送し始める。ロシアが関与するDestination shippingはTransit shippingに比べてシンプルで懸念は少な い。ロシアとの2国間貿易となれば両国間の利益関係で成立する。特に日本はエネルギー資源のほとんど を先行き不透明な中東など海外から輸入している。隣国ロシアから安定供給できれば安全保障上のメリッ トは大である。エネルギー資源以外にも交易の候補は沢山ある。

2)日露のさらなる友好関係

現在、日露政府間では平和条約制定に向けてその基礎となる経済協力の枠組みが検討されている。

Destination shippingとしての日露NSR利活用の推進は時機を得た課題である。ロシアのエネルギー資源、

日本の自動車等製品の相互貿易にNSRが利用できる。そのためにも日露の更なる友好関係の向上が不可欠 である。日露平和条約と北方領土問題の解決もNSR利活用という観点で推進する絶好の機会である。

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