#67 CoHCF
Na 2 MoO 4 / ホウケイ酸ガラス球系 CaMoO 4
10 20 30 40 50 60
I強度
2θ[degrees]
650 ℃
Na2MoO4/ホウケイ酸ガラス球系 CaMoO4
XRD 測定
Na2MoO4・2H2O/ホウケイ 酸ガラス球混合系:模擬HLLW/Na2MoO4・ 2H2O/ホウケイ酸ガラス 球混合系:
混合物をPtセルに充 填、室温 → 650℃に加 熱・冷却後、熱分解後 のNa2MoO4、模擬HLLWを ガラス球と分離する。
熱分解後のNa2MoO4 相、熱分解後の模擬 HLLW&Na2MoO4のXRD測定 を行う。
図3.2-52 Na2MoO4・2H2O/ホウケイ酸ガラス球及び模擬HLLW乾燥体/Na2MoO4・
2H2O /ホウケイ酸ガラス球の昇温過程におけるMoの化学形態
Na2MoO4・2H2O/ホウケイ酸ガラス系について、拡散温度域におけるガラス相内の各種元素の
組成分布を把握するために次のようなシステムを考案した。Na2MoO4・2H2O とホウケイ酸ガラ ス間の界面現象及び各種元素の拡散現象をより詳細に把握・理解するために、凹型ホウケイ酸ガ ラスを作製した。ホウケイ酸ガラス球を Pt るつぼに充填後、20℃/min の昇温速度で1200℃まで 加熱・2 時間保持後、板状の枠内に流し徐冷することで、板状のガラス体を得た。このガラス体 に成型加工を施した凹型のホウケイ酸ガラスを図 3.2-53(反応前)に示す。凹型ホウケイ酸ガラ スは円柱状(直径:10mmφ、高さ:5~6mm)で、その中心に凹型の同心円状窪み(窪み径:
4mmφ、深さ:1.5mm)を施している。凹型形状に成形加工の利点は次の通りである。くぼみに 充填した Na2MoO4・2H2O は昇温に伴う溶融等の相変化あるいはホウケイ酸ガラスの熱膨張に対 して、常に重力の働きによりガラス相と Na2MoO4・2H2O 相の接触が保たれる。くぼみ空間に Na2MoO4・2H2Oを30mg充填し、窒素雰囲気下、10℃/minの昇温速度で700℃まで昇温、3時間 保持した。急冷後、エポキシ系樹脂に埋め込み、その切断面を研磨・調整後、ガラス相内部に分 布している元素のEPMA測定を行った[図3.2-53(反応後)]。EPMAの測定条件は前述と同じ である。
3.2-60
図3.2-53 Na2MoO4・2H2Oを凹型ガラスに充填、昇温に伴うNa2MoO4/ホウケイ酸 ガラス系の現象把握手法の概念図
Na2MoO4相及びホウケイ酸ガラス相、両相内の各種元素の分布を反射電子像と併せて図3.2-54 に示す。なお、Na2O、Al2O3、ZnO、CaO、MoO3の分布をより詳細に見るために、その拡大図を
図3.2-55に示す。ホウケイ酸ガラスを構成している主要なSiO2に着目すると、その分布がフラ
ットな領域と急激に濃度が低下している領域からNa2MoO4相及びホウケイ酸ガラス相の界面を 見分けることが可能である。700℃の温度域で、3時間保持後においてもガラス相とHLLW相の 界面は比較的明確(図3.2-54の反射電子像参照)である。各種元素はその濃度分布に従って、拡 散が進行している。Na(Na2O)はガラス相表層から内部に向かって拡散が起こっている。ガラ ス相表層から約60μmの領域では、ガラス相内のCa(CaO)、Zn(ZnO)が相界面に向かって拡 散している。一方、MoO3はガラス相表層に若干貫入している程度である。このことからも、
Na2MoO4はガラス相内への拡散は起こりにくいことが分かった。さらに、ガラスを構成している
Ca(CaO)がガラス相表層へ拡散していることから、ガラス相外でCaMoO4が形成する前述の結果
は妥当であると言えよう。なお、Al2O3の濃度が両相界面で急激に高くなっているのは、試料を 研磨するために使用したアルミナが界面近傍に貫入したことによると考えている。
3.2-61
図3.2-54 700℃、3時間保持後のNa2MoO4・2H2O/凹型ホウケイ酸ガラス系の元素分布
図3.2-55 図3.2-54の拡大図
Na2MoO4・2H2O(40 mg)/ホウケイ酸ガラス球(20 mg)系について軟化温度(700℃)より高
い 1000℃に昇温し、急冷した結果を図 3.2-56 に示す。なお、操作条件は前述と同一である。Pt
セル内には、透明なガラス相とイエロー相が完全に相分離した状態で形成されていた。このイエ
3.2-62
ロー相は CaMoO4と Na2MoO4 の混合相であると言える。以上の結果から、Na2MoO4・2H2O は
100℃前後の温度域で脱水和して Na2MoO4 になり、650℃の温度域では、ホウケイ酸ガラス相か
らの拡散元素CaとNa2MoO4中のNaとの交換反応を介して、CaMoO4を生成する。680℃の温度 域 で は 、 ホ ウ ケ イ 酸 ガ ラ ス と 共 に 溶 融 状 態 を 呈 す る 。 さ ら に 温 度 が 上 昇 す る と 、 CaMoO4/Na2MoO4混合相とガラス相が相分離する。
600 700 800 900 1000 温度[℃]
1000 ℃
Na2MoO4/ガラス系:相分離