3.3 緩和関数 G(t)
3.3.4 Lorentz 分布する等方的な内部磁場が存在する時の ZF · LF-µSR . 30
1.0
0.5
0.0 GKT(t)
10 8
6 4 2
0
Time (ms) 1/3 ZF
1mT 0.5mT LF 2mT
図 3.7: Gauss分布する等方的な内部磁 場が存在する時のZF·LF-µSRの緩和関数 GKT(t)。図はγµσB = ∆ = 0.5 MHzの時 の計算結果である。ZFにおいてt → ∞で 1/3だったGKT(t)は縦磁場の増大によっ て徐々に1に近づく。
1.0
0.5
0.0 Gz(t)
10 8
6 4
2 0
Time (ms)
LF 5mT
1/3
0.5mT 2mT
ZF
図 3.8: Lorentz分布する等方的な内部磁 場が存在する時のZF·LF-µSRの緩和関 数。図はγµα = a = 0.5 MHzの時の計 算結果である。GKT(t)と同様に、t → ∞ で1/3だったGz(t)は縦磁場の増大によっ て徐々に1に近づく。
LF-µSRは式 (3.8)で、Bz →Bz−B0とすればよく Gz(t)≡GKT,LF(t, B0)
= 1−2∆2 ω02
[
1−exp(−1
2∆2t2) cosω0t ]
+2∆4 ω03
∫ t
0
exp (
−1 2∆2τ2
)
sinω0τ dτ (3.10) となる。ここでω0 =γµH0である。∆ = 0.5 MHzとした時の式 (3.9, 3.10)を図3.7に 示す。
となる。ここでa=γµαである。GKT(t)と同様に、緩和を示さない磁場に平行な成分 1/3と、指数関数的な緩和を示すx, y成分の和になっている。
LF-µSRでは式 (3.11)で、Bz →Bz−B0とすればよく、同様に計算すると Gz(t)≡GLF(t)
= 1− a B0
j1(B0t)e−at− ( a
B0
)2
[j0(B0t)e−at−1]
−[
1 + (a/B0)2] a
∫ t
0
j0(B0τ)e−aτdτ (3.13) となる。ここでji(x)はi次の球ベッセル関数を表す。a = 0.5とした時の式(3.12,3.13) を図3.8に示す。
3.3.5 物質中に局所磁場がある時のTF-µSR
図 3.9に横磁場でのµSRを行う際のカウンター配置の模式図を示した。ミュオンは 荷電粒子であり、磁場中でLorentz力によりその軌道が曲げられてしまうため、強い 磁場を印加すると試料にビームを照射することが困難になる。これを回避するために、
スピンローテータと呼ばれる装置を用いる。スピンローテータはミュオン軌道上の磁 場によってミュオンスピンと軌道を90度まげ、電場によりビーム軌道のみを元の方向 に保つようにする働きを持っている。これにより進行方向に対して垂直にスピン偏極 したミュオンが得られる。このためミュオンビームと平行方向に横磁場を印加するこ とが可能になり、高磁場下での測定が可能となる。ミュオンの崩壊で放出される陽電 子は印加した横磁場により軌道が曲げられてしまうので、その影響 (らせん運動により 1つの陽電子が2つ以上のカウンターで検出されるなど) をできる限り減らすため、4 つのカウンターは試料の近くに配置される。このとき、L, Rで観測する成分をPx(t)、
U, Dで観測する成分をPy(t)とすると、位相が90度ずれていることを考慮して Px(t) = hIx(t)i
I(t) =
∫ hIx(t)i
I(t) cos(γµBt)n(B)dB Py(t) = hIy(t)i
I(t) =
∫ hIy(t)i
I(t) cos(γµBt−π/2)n(B)dB
=
∫ hIy(t)i
I(t) sin(γµBt)n(B)dB
となる。これを用いて複素アシンメトリーを以下のように定義できる。
P(t) =Px(t) +iPy(t) =
∫ ∞
−∞
n(B) exp(−iγµBt)dB (3.14)
!
"#$%&'$()*+$,%&
)-+)(%./&0$)/'
2 1
3
z x
y
µ
+)
4µ
+図3.9: TF-µSRのカウンター配置の模式図。スピンローテータと呼ばれる装置で、ミュ
オンのスピン方向を変えて物質に入射する。
式 (3.14)をフーリエ変換することによって磁場密度関数n(B)を得ることができる。
n(B) = Re
∫ ∞
−∞
P(t) exp(−iγµBt)dt
場所によって異なる内部磁場が存在する物質に、横磁場TF=B0をかけた場合、ミュ オンが感じる磁場は場所ごとにより異なり、B0の周りにある分布をとることになる。
すると各ミュオンスピンの回転の位相がずれ、回転振幅が時間とともに減少する。以 下ではB0はx軸に平行で、ミュオンのt = 0におけるスピンはz軸に平行とする。
まず、内部磁場の大きさがB0 よりも十分小さく、その分布がGauss分布 (式 3.7) をしている時の緩和関数を考える。このときスピンはy軸周りに歳差運動するので、
式 (3.2)においてθ ∼ π/2としてよいので、Iz(t) = Icos(γµBt)とできる。ここで B =√
(Bx−B0)2+By2+Bz2である。式 (3.4)に代入して磁場の平均を取ることで、
Pz(t) =
( 1
√2πσB
)3∫ ∞
−∞
dBcos (γµBt) exp [
−(Bx−B0)2+By2+Bz2 2σB2
]
= exp (
−γµ2σB2t2 2
)
cos(γµB0t)
となる。外部磁場B0に相当する周波数でミュオンは回転し、Gauss型関数でその偏極 を失う。つまりGauss分布する内部磁場が存在するときの横緩和関数Gx(t)は
Gx(t) = exp (
−γµ2σ2Bt2 2
)
(3.15) となる。
内部磁場分布がLorentz分布(式 3.11) しているときも同様に計算すると、
Gx(t) = exp (−at) (3.16)
となり、指数関数型でスピン偏極が失われる。