第 4 章 LP データを用いた河川空間モデル生成技術の提案
4.2 LP データを用いた MMS 手法による河川空間モデル生成の課題分析
本章では,MMSデータとLPデータの特性の違いを踏まえて,LPデータにMMS手法を 適用した場合の解決すべき課題を明らかにする.具体的には,まず,MMS手法の概要につ いて説明する.次に,MMS手法を用いてLPデータから生成した河川空間モデルを検証し,
MMS手法をLPデータに適用する場合に解消すべき課題を分析する.
4.2.1 MMS 手法の概要
MMS手法は,河川空間を計測したMMSデータからブレイクラインを再現した河川空間 モデルを自動生成する技術である.具体的には,まず,計測車両が走行した平坦部の形状 を推定し,ブレイクライン候補線を自動生成する.次に,推定したブレイクライン候補線 を基に平坦部のブレイクラインを抽出する.そして,ブレイクラインを考慮した格子状の フィルタを用いて膨大なMMSデータを間引く.間引いた点群を使って河川空間モデルを作 る.
4.2.2 LPデータを用いた河川空間モデル生成実験
(1) 実験概要
本節では,LPデータにMMS手法を適用した場合の技術的な課題を分析するため,ブレ イクライン候補線の生成実験とブレイクラインの抽出実験との 2 つの実験を実施する.ブ レイクライン候補線の生成実験では,MMS手法を用いてLPデータからブレイクライン候 補線を正しく生成できるかを確認する.ブレイクラインの抽出実験では,正しくブレイク ライン候補線を入力した場合に MMS データと同様にブレイクラインを抽出できるかを確 認する.ブレイクラインの抽出実験には,ブレイクライン候補線が正しく抽出できた前提 が必要である.そのため,手作業で作成したブレイクライン候補線を用いてブレイクライ ンを抽出する.
(2) ブレイクライン候補線およびブレイクラインと平坦部の関係
本節では,提案手法によって抽出したブレイクライン候補線やブレイクラインが実際の平 坦部や法面と比較してどのような関係であるを説明する.ブレイクラインは,実際の平坦 部と法面のブレイクラインを再現した形状である.ブレイクライン候補線は,実際の平坦 部を包括し,実際の平坦部と相似の形状である.
本実験では,平坦部およびブレイクラインの正解データをLPデータから人手で作成した.
正解データは,LP データから任意の間隔で横断図を作成し,その横断図内で断面変化点を 目視で確認しながら作成した.
(3) 実験結果
a)ブレイクライン候補線の生成実験
MMS 手法を用いて LP データから生成したブレイクライン候補線と評価基準となる平坦 部との重ね合わせ結果を図4.1に示す.図4.1を確認すると,淀川上流の実験結果では,天 端面からブレイクライン候補線を生成していることがわかる.しかし,淀川下流の実験結 果では,高水敷のブレイクライン候補線を生成していることがわかる.また,MMS手法は,
LPデータに含まれる複数の平坦部からブレイクライン候補線を1つだけ生成していること がわかる.これは,計測位置の密度が最も高いというMMSデータの密度分布の特性を用い
高水敷
天端面
淀川下流(距離標7.4km地点)
天端面
淀川上流(距離標48.4km地点)
比較範囲 平坦部 ブレイクライン候補線生成結果
図4.1 LPデータを用いたブレイクライン候補線の生成結果
淀川下流(距離標7.4km地点) 淀川下流(距離標48.4km地点)
比較範囲 正解データ ブレイクライン抽出結果
図4.2 LPデータを用いたブレイクラインの抽出結果
ブレイクライン候補線を取得 断面変化点の特定範囲を限定 天端面の断面変化点を特定 ブレイクライン候補線の近 傍かつ上端の変化点を取得
ブレイクライン 候補線を取得
断面変化点の 特定範囲を限定
断面変化点を 誤って特定
特定範囲に含まれる 平坦頂部の端点を取得
図4.3 MMS手法のブレイクライン抽出手法
b)ブレイクラインの抽出実験
MMS手法を用いてLPデータから抽出したブレイクラインと正解データとの重ね合わせ 結果を図4.2に示す.図4.2を確認すると,淀川上流では問題なくブレイクラインを抽出で きているが,淀川下流では小段を示すブレイクライン候補線から天端面のブレイクライン を誤抽出していることがわかる.その理由について,実験に用いた淀川下流地点を詳細に 調査したところ,MMSデータとLPデータの計測範囲の特性が異なる影響であることがわ かった.MMS手法は,ブレイクライン候補線の近傍にある平坦部を区別にせずにブレイク ラインを抽出する.しかし,LPデータは,天端面や小段など複数の平坦部が含まれる計測 結果である.そのため,図4.3に示す「天端面や小段の区別が出来ない課題」が明らかとな った.