Vol. 78, No. 6(2011 年 12 月発行)
Summary
Journal of Nippon Medical School に 掲 載 し ま し た Original 論文の英文「Abstract」を日本医科大学医学会雑 誌に和文「Summary」として著者自身が簡潔にまとめた ものです.
Tumor Necrosis Factor-α-induced Mononuclear Cell Death May Contribute to Polymorphonuclear Cell Predominance in the Cerebrospinal Fluid of Patients with Bacterial Meningitis
(J Nippon Med Sch 2011; 78: 360―366)
腫瘍壊死因子-α(TNF-α)による単核球の細胞死が細菌性 髄膜炎における脳脊髄液中の多核球優位性発現に寄与する
川上康彦1,2 月本光俊3 桑原健太郎1,4 藤田武久1,5 藤野 修1,6 小島周二3 福永慶隆1,4
1日本医科大学大学院医学研究科小児科学
2日本医科大学多摩永山病院小児科
3東京理科大学薬学部放射線生命科学教室
4日本医科大学付属病院小児科
5日本医科大学武蔵小杉病院小児科
6日本医科大学千葉北総病院小児科
目的:細菌性髄膜炎(BM)急性期における,脳脊髄液 中炎症細胞が多核球優位性を発現する機序を,腫瘍壊死因 子-α(TNF-α)の作用の面から検討し興味ある知見を得た.
方法:BM6 症例を対象とし,非 BM4 症例を対照とし た.本研究実施は倫理委員会で承認され書面により保護者 から同意を得た.髄液サンプルの TNF-α濃度を測定し,
これらの髄液に,ボランティアから採取した末梢血白血球 を単核球(MN)と多核球(PMN)とに分離して各々浮 遊させ,37℃10 時間のインキュベート後,生存細胞数(率)
を MTT assay により測定,別途 propidium iodide 取り込 みによるアポトーシスをフローサイトメトリー(FACS)
により検討した.
結果:BM 6 例の髄液中 TNF-αは,対照 4 例に比較し て著明に高値であった.BM 各患児の症例間比較で MN は TNF-α高値ほど細胞死比率は高(生存率は低)かった.
PMN の 生 存 率 は TNF-α値 に 依 ら ず ほ ぼ 100% で あ っ
た.対照 4 例では MN・PMN ともに生存率はほぼ 100%
であった.しかし FACS 解析では BM の髄液中で MN・
PMN ともにアポトーシスを検出した.
考察:PMN 比率優位の機序は,白血球が血液脳関門を 越えて中枢神経系内に流入の際,接着因子の作用で選択を 受けるという仮説が有力であるがこの説に否定的臨床研究 もある.TNF 高濃度の髄液に暴露された MN は高率に細 胞死し,PMN は残存する今回の実験結果は,PMN 優位 の機序のひとつになり得ると考えられた.
Diagnosis of Vertebral Artery Dissection with Basiparallel Anatomical Scanning Magnetic Resonance Imaging
(J Nippon Med Sch 2011; 78: 367―373)
Basiparallel Anatomical Scanning-Magnetic Resonance Imaging を用いた椎骨動脈解離の診断
勝野 亮1 小林士郎2
1網走脳神経外科・リハビリテーション病院
2日本医科大学千葉北総病院脳神経外科
背景・目的:脳梗塞の原因の一つである脳動脈解離に対 する適切な診断法に関しては様々な議論がなされている.
近年,椎骨脳底動 脈 の 血 管 外 観 を 評 価 す る Basiparallel Anatomical Scanning-Magnetic Resonance Imaging
(BPAS-MRI)が血管病変の把握に有用であるとの報告が ある.そこで,われわれは椎骨動脈解離の急性期診断に BPAS-MRI を含めてどのような検査が有用か検討した.
方法:後頸部痛や椎骨脳底動脈領域の脳虚血症状を呈し た患者に対して diffusion-weighted,T2-weighted,BPAS-MRI を行い,椎骨脳底動脈の血管や支配領域に異常所見 が確認された場合は発症後 3 時間以内に脳血管撮影を施行 した.BPAS-MRI に異常所見がなかった場合はラクナ梗 塞またはアテローム性血栓性脳梗塞とし,それ以外を動脈 解離の疑いと初期診断した.追跡検査の MRI で異常所見 に経時的な変化が認められた場合は動脈解離と確定診断し た.確定診断した後に急性期に施行された MRI と脳血管 撮影を retrospective に検討し,動脈解離の診断に有用な 検査を検討した.
結果:22 症例に対して検討し得た.T2-weighted MRI と脳血管撮影の所見での初期診断は 17 例で椎骨動脈解 離,3 例でラクナ梗塞,2 例でアテローム血栓性脳梗塞と したが,7 例で確定診断を変 更 し sensitivity は 85.7% で specificity は 37.5% であった.T2-weighted MRI と BPAS-MRI の所見での初期診断は 13 例で椎骨動脈解離,6 例で アテローム血栓性脳梗塞,3 例でラクナ梗塞としたが,3 例 で 確 定 診 断 を 変 更 し sensitivity は 85.7% で specificity は 87.5% であった.
考察・結果:脳動脈解離の診断には血管内腔だけでなく 血管外観を合わせて評価することが重要であり,その方法 として BPAS-MRI は短時間で行え非常に有用である.脳 血管撮影の代わりに BPAS-MRI を含めた検査での初期診 断では specificity の上昇が得られたが,小病変の描出は困 難で完全な検査方法でない.したがってさらなる検査方法 の検討が必要である.
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Journal of Nippon Medical School
Vol. 79, No. 1(2012 年 2 月発行)
Summary
Journal of Nippon Medical School に 掲 載 し ま し た Original 論文の英文「Abstract」を日本医科大学医学会雑 誌に和文「Summary」として著者自身が簡潔にまとめた ものです.
Sequential Analysis of Myofibroblast Differentiation and Transforming Growth Factor-β1!Smad Pathway Activation in Murine Pulmonary Fibrosis
(J Nippon Med Sch 2012; 79: 46―59)
マウス肺線維症におけ る 筋 線 維 芽 細 胞 分 化 と TGF-β1! Smad 経路の活性化に関する経時的解析
臼杵二郎 松田久仁子 吾妻安良太 工藤翔二
弦間昭彦
日本医科大学大学院医学研究科呼吸器感染腫瘍内科学
筋線維芽細胞は組織の線維化において決定的な役割を 担っている.しかしながら,筋線維芽細胞分化における細 胞内シグナルについては十分に解明されていない.今回わ れわれは,TGF-β!Smad 経路の活性化と筋線維芽細胞分 化の関係についてvivoおよびvitroの実験系で検討を行っ た.マウスのブレオマイシン肺線維症において,ブレオマ イシン投与後 7 日目にリン酸化 Smad2!3(p-Smad2!3)は 核内に局在したが,α-平滑筋アクチン(ASMA)陽性筋 線維芽細胞の出現は 14 日目であった.この 14 日目には,
p-Smad2!3 は細胞質に局在していた.
次にマウス肺線維芽細胞株(MLg2908)を用い,筋線 維芽細胞分化と I 型コラーゲン発現に与える TGF-β1 の効 果について比較を行った.TGF-β1 処理により p-Smad2!3 は直ちに核内に発現したが,その後になり ASMA の細胞 質における構造化が見られた.
しかし,Smad2!3 がリン酸化された後においても,TGF-β1 は ASMA の発現量に対し mRNA レベルでもタンパク レベルでも影響を与えなかった.一方,TGF-β1 は I 型コ ラーゲン mRNA の発現を増加させた.これらの所見よ り,肺線維症における筋線維芽細胞分化に関する分子メカ ニズムは複雑であり,TGF-β!Smad による ASMA と I 型
コラーゲン発現には違いがあることが示唆された.
Fetal Heart Rate Classification Proposed by the Perinatology Committee of the Japan Society of Obstetrics and Gynecology: Reproducibility and Clinical Usefulness
(J Nippon Med Sch 2012; 79: 60―68)
日本産科婦人科学会周産期委員会が提唱する胎児心拍数陣 痛図の波形分類の再現性と臨床的有用性
林 昌子 中井章人 関口敦子 竹下俊行
日本医科大学大学院医学研究科女性生殖発達病態学
目的:日本産科婦人科学会(JSOG)周産期委員会によ り,分娩中の胎児心拍数波形が 5 段階(Level 1〜5)に分 類され(JSOG 分類),分娩時胎児管理の指針が提唱され た.この心拍数波形の分類の再現性と有用性について検討 した.
方法:2 人の産科医師が JSOG 分類と 3 段階の主観的判 断に基づき 247 の胎児心拍数図を判読し,胎児心拍数図の 判読者間・判読者内の再現性を検討した.さらに,96 分 娩について,JSOG 分類と分娩様式や臍帯血 pH,アプガー スコアとの関連を検討した.
成績:JSOG 分類を用いた場合の判読者内の重み付けκ 係数(wκ)は 0.73 と 0.77 であり,判読者間の wκは 0.70 であった.主観的分類では判読者内の wκは 0.69 と 0.72 であり,判読者間の wκは 0.59 であった.JSOG 分類のレ ベルは急速遂娩率と有意に関連していたが(p<.0001),
レベル 5 を除くと,各レベルの臍帯動脈血 pH に有意差は なく正常範囲に保たれていた.
結論:JSOG 分類では判読者内,判読者間とも臨床使用 に耐えうる再現性が確認された.また,JSOG 分類に基づ く分娩時医療介入は児の短期的予後の改善に役立つものと 推察された.
定例(4 月)日本医科大学医学会役員会議事録 日 時 平成 23 年 4 月 22 日(金)午後 4 時〜午後 5 時 5 分 場 所 橘桜会館 1 階第一会議室
出席者 田尻会長,水野副会長,草間,高橋,竹下,古川,
内田各理事,岡監事,松久,清野,ガジザデ,
上村各施設幹事,安武,原口,新谷,桂各会務幹事 以上 16 名 委任出席者 寺本副会長,清水,片山両理事,檀監事,
永井,儀我,石橋,飯島,相本,佐藤,鈴木,
小林各施設幹事,吾妻会務幹事 以上 13 名 欠席者 弦間理事,植田,玉井両施設幹事,黒瀬会務幹事 以上 4 名 確認事項
1.前回(1 月)の医学会役員会議事録確認
標記医学会役員会議事録が確認され,了承された.
報告事項
1.前回(1 月)定例医学会役員会開催後の活動報告確認 草間庶務担当理事,高橋学術担当理事,古川会計 担当理事,内田編集担当理事より標記定例医学会役 員会開催後の活動報告がなされた.
水野副会長より B 会員制度ができて 1 年経過する ので,事務局で会員増加のためにアナウンスして欲 しい旨,要望された.
審議事項
1.監事の委嘱について
田尻会長より,医学会理事・監事に基礎科学の教 職員が委嘱されていないことから,生物学・岡 敦 子教授を監事として医学会会則第 6 条 6 項により選 出されたことが報告され,了承された.
2.第 79 回総会一般演題募集要項(運営)について 高橋学術担当理事より,演題募集・運営について説
明がなされ,検討した結果,提案どおり了承された.
3.平成 23 年度医学会奨学賞候補者募集(案)について 高橋学術担当理事より,候補者募集(案)が提示 され,文言を一部修正のうえ,了承された.
4.医学会細則について
水野副会長より,医学会細則の一部改正について 提案され,了承された.
また,田尻会長より今後の検討事項として,1)研 究技術員,放射線技師等細分化されている点,2)付 属 4 病院にまたがっている点から,どのようにして 代表者を決定するか,案を考えて欲しい旨,要望さ れた.
5.その他
1)田尻会長より,シンポジウム・総会における係員 を従来本学の山岳部学生に依頼していたが,人員 確保が困難であるため,本学学生全員を対象とし て募集することについて提案され,了承された.
なお,役員から本学以外の学生を雇用した場合に ついて質問が有り,移動距離の問題,開催内容の 充実度について事務局より説明がなされ,本学の 学生を対象とすることとした.
2)田尻会長より,定年退職教授記念講演会・同記念 パーティーの対象者が平成 23 年度・24 年度とも 7 名おり,従来どおり橘桜ホール及び講堂での開 催が収容人員の関係で困難であることの報告がな された.予算や本学からの利便さを考慮した上で 何か良い案があれば,田尻会長又は事務局に連絡 して欲しい旨,要望された.
以上 議事録署名人 松 久 威 史 議事録署名人 清 野 精 彦
―会 報―