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Josephson 効果

ドキュメント内 Andreev Josephson Night Club (ページ 35-42)

第 4 章 Bogoliubov-de Gennes 方程式の解の性質 24

4.3 Josephson 効果

Josephson電流はCooperペアのトンネル効果(近接効果)によって現れる現象で純粋に量子力

学的効果であり超伝導現象のハイライトである。以下ではゼロ電圧で流れる直流Josephson電流に ついて考察する。Josephson 電流の定式化と現象の理解の歴史的な発展は極めて多岐に渡ってい る。本稿では Andreev反射という現象を用いてJosephson効果の理解を試みる。Josephson効果 を示す簡単な例は、図 4.5にあるように、2つの超伝導体で常伝導体をはさんだ SNS接合である。

図には各領域におけるBogoliubov準粒子の分散関係が示してあり、図4.1の左側にもう1つ超伝

導体を追加したことになる。超伝導体がs波対称性の超伝導体である場合にはこの系のJosephson 電流は Furusaki-Tsukadaの公式と呼ばれる以下の公式で記述される。

J =−e

p

T

ωn

∆ Ω

[rhe−reh]

, (4.52)

以下ではℏ=kB= 1の単位系を用いる(kBはBoltzmann定数)。この公式の特徴はJosephson

Ek

k

Ek

k

Normal Superconductor Superconductor

Ek

kx k

ϕ

L

ϕ

R

r

he

r

eh

図4.5: Josephson接合の各領域における分散関係とJosephson電流に寄与する2つのAndreev反 射過程。

電流が2つのAndreev反射係数rhe及びreh によって記述されている点にある。rheは電子が入 射し接合を周遊した後、ホールに反射される過程のAndreev反射係数で、その際にCooperペア が左から右の超伝導体に移動する(図4.5)。rehはその逆でホールが入射し接合を周遊した後、電 子に反射される Andreev反射係数で、その際にCooper ペアが右から左の超伝導体に移動する。

公式はそれらの差でJosephson 電流が記述されるという内容を表現している。ここで議論する直

流 Josephson電流は熱平衡状態における電流であることから反射係数は準粒子のエネルギ−E

松原周波数n=i(2n+ 1)πT に接続したものになっている。(nは整数、T は温度である。)ま た、コンダクタンスが反射係数の2乗で表現されていたのに対してJosephson電流には反射係数 そのものが現れていることが重要である。反射係数の位相自由度を使って超伝導体間で位相情報が 伝えられ、Josephson電流が流れると理解出来る。図4.5では真中に常伝導体をおいてあるがここ は絶縁体でもよく、そのような情報は全て2つのAndreev反射係数に含まれている。反射係数や 透過係数はメゾスコピック系の伝導現象で議論されるLandauerのコンダクタンス公式に現れる物 理量で、公式(4.52)は公式(4.42)と同様、超伝導の物理とメゾスコピック系の物理をつなぐ公式 の1つとして位置付けられる。

では実際にδ-関数型のポテンシャル障壁によって隔てられた2つの超伝導体間を流れるJosephson 電流を、BdG方程式を解きAndreev反射係数を計算し、公式 (4.52)に代入して計算することに する。前章と同様2次元s波超伝導体の接合を考えることにする(図4.6)。

Superconductor Superconductor

ϕ L ϕ

R

α β

A C

B D

図4.6: SIS接合における 入射波、反射波及び透過波。

BdG方程式は

[

h0(r) ∆(x)

∆(x) −h0(r) ] [

u(r) v(r)

]

=E [

u(r) v(r)

]

, (4.53)

h0(r) =ℏ∇2

2m −µF+V0δ(x), (4.54)

∆(x) =



∆eL x <0,

∆eR x >0,

(4.55)

左の超伝導体からは電子だけでなくホールも入射し、それぞれの振幅をα、 β とする。左の超伝 導体中の波動関数は、入射電子、入射ホール、反射された電子、及び反射されたホールの波動関数 の線型結合で、

ΨL(r) = ˆΦL [(

u v

)

eikpxα+ (

v u

)

eikpxβ+ (

u v

)

eikpxA+ (

v u

) eikpxB

] eipy

√W, (4.56) ΦˆL=

( eL/2 0 0 eL/2

)

, (4.57)

と表される。右側の超伝導体では、電子の透過波とホールの透過波があるのでそれぞれの振幅を C、 Dとして波動関数は

ΨR(r) = ˆΦR

[(

u v

)

eikpxC+ (

v u

)

eikpxD ]

eipy

√W, (4.58)

ΦˆR= (

eR/2 0 0 eR/2

)

, (4.59)

と表される。前章と同様にδ-関数のポテンシャル障壁を考慮した接続条件

ΨL(0, y) = ΨR(0, y), , (4.60)

2 2m

( d

dxΨR(r) x=0

d

dxΨL(r) x=0

)

+V0ΨR(0, y) = 0, (4.61) を課して、接続すればいい。式(4.60)から、

Φ ˆˆU [(

α β

) +

( A B

)]

= ˆU0

( C D

)

, (4.62)

Φ ˆˆU [

¯kˆσ3

( α β

)

¯kˆσ3

( A B

)]

=

[Uˆ¯kˆσ3+ 2iz0Uˆ ] ( C

D )

, (4.63)

Φ =ˆ (

ei(φLφR)/2 0 0 ei(φLφR)/2

)

, (4.64) Uˆ =

( u v v u

)

, (4.65)

この方程式からC、Dを消去すると、

( A B

)

= 1 Ξ0

(

iz0k−iz0)(u2−v2)2 k¯2uv(

1cosφ+isinφ(u2−v2))

¯k2uv(

1cosφ−isinφ(u2−v2))

−iz0k+iz0)(u2−v2)2

)  

× (

α β

)

, (4.66)

= (

ree reh rhe rhh

) ( α β

)

, (4.67)

Ξ0=z20(u2−v2)2+ ¯k2(

14u2v2cos2(φ/2))

, (4.68)

φL−φR, (4.69)

と計算できる。

uv=−i∆

n

, (4.70)

u2−v2=

ω2n+ ∆2 ωn

, (4.71)

を用いて、Josephson電流を表すと、

J = e

ℏsinφ

p

T

ωn

|tn|22 ω2n+ ∆2(

1− |tn|2sin2(φ/2)). (4.72) となり、公式

T

ωn

1

ω2n+y2 = 1 2ytanh

( y 2T

)

(4.73) を用いてωn の和をとると、

J = e

ℏsinφ

p

|tn|2∆ 2

1− |tn|2sin2(φ/2) tanh

∆

1− |tn|2sin2(φ/2) 2T

. (4.74)

となる。まずポテンシャル障壁が大きくて(z01)、真中が絶縁体になっている場合には、両側 が常伝導体のときの抵抗 (RN)が

RN1=GN = 2e2 2πℏ

p

|tn|2, (4.75)

と書けることに注意すると、

J = π∆0 2eRN

(∆

0

) tanh

(∆ 2T

)

sinφ, (4.76)

となることが解る。∆0は絶対零度におけるペアポテンシャルの大きさである。式(4.76)は

Ambegaokar-Baratoffによって導かれた公式であり、絶縁体を介したJosephson電流の温度依存性、位相差依存

性、振幅などの振る舞いは実験結果を極めてよく説明する。ペアポテンシャルの温度依存性を図3.2 で表わし、Josephson電流の温度依存性を書いたのが図4.7である。Josephson電流はT =Tc か ら発生し、温度の降下に伴って上昇した後、T = 0に向かって飽和する。

次にポテンシャル障壁が無くて(z0= 0)真中が、極めて幅長さ共に小さい常伝導体(constriction) である場合は抵抗(RN)が

RN1=GN =2e2Nc

2πℏ (4.77)

0.0 0.2 0.4 0.6 0.8 1.0 0.0

0.2 0.4 0.6 0.8 1.0

J C

[ 0

/2eR N

]

T / T C

図4.7: SIS接合におけるJosephson電流の温度依存性。

と書けることに注意すると、

J = π∆0

eRN (∆

0 )

sin(φ/2) tanh

(∆ cos(φ/2) 2T

)

, (4.78)

となる。この関係式はKulik-O’melyanchuckによって導かれた関係式で、T = 0において、 Joseph-son電流は位相差の sin(φ/2) となり、φ=±πにおいて不連続な振る舞いをすることが知られて いる。高温ではsin(φ)に比例する。図4.8に Josephson電流を位相差の関数として示した。低温 T /Tc= 0.0001ではほぼ sin(φ/2) という関係が成立しφ=±πのところではゼロになる。温度の 上昇に伴って次第に sinφに近づいていく。このように Josephson 電流は真中の領域の電気伝導 特性に依存して多様な温度依存性、位相差依存性を示す事が知られている。

-1.0 -0.5 0.0 0.5 1.0 -0.6

-0.4 -0.2 0.0 0.2 0.4 0.6

J[ 0 /2eR N

]

T / T c

=0.0001

0.1 0.5

0.8

図4.8: S-Constriction-S接合における Josephson電流を位相差の関数として表した。

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